クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

ノセオオクワガタ・2-幼虫飼育とおまけ

2021-12-05 22:19:26 | ノセオオクワガタ(China)

*カテゴリーから入ると飼育過程等に繋がります。

*「おまけ」の項にスキットオオクワガタの画像を載せました。

 

前記事はノセオオクワガタの飼育開始でしたが

その後、万一の同定ミスに備え

別ルートから、より確実な幼虫(初2齢)を買い足しました。

これでノセオオクワガタ2産地の飼育が始まったわけですが

残念ながら野外メスが産卵しないまま死亡していることを

今日確認しました。

がっかりです・・・

 

↓ 2021年12月5日 野外メス死亡確認 

↓ 産卵管を露出した状態で死亡(無産卵)

 

幼虫飼育

幼虫は菌床でも適合すると思いますが

若齢のため安全を優先し、マットを使用することにしました。

 

↓ 11月に買い足した幼虫(2齢?)

↓ 「産卵1番」と「ヒラタノコ1番」を半々

↓ 少し加水

↓ 11月 800ccボトルでマット飼育開始 

↓ 12月5日 終齢幼虫

↓ 終齢幼虫

 

今年はノセオオクワガタの野外個体を

オークション等で見る機会が多くあります。

出品毎の画像を見るかぎりでは

メスの上翅点刻(列)に思いのほか差異を感じるときがあり

それが単なる個体差なのか私にはまだわかりません。

 

↓ 当方入手の野外メス 中国雲南省産 

↓ 上翅の肩付近は点刻が弱く、消失部もある

 

また、木曜社の「世界のクワガタG」には

1999年7月25日にホロタイプと同じW.PutaoのMt’Namban 2500mで

採集されたメスも図示されていますが

見方によっては D.reicheiや、D. affinis にも見えてきます。

そういう意味でも、飼育中の幼虫が順調に育つことと

飼育成虫の流通が待たれます。

 参考文献:西山保典,2000.世界のクワガタG.木曜社:132.

 

おまけのスキットオオクワガタ

ここ最近は中国やその周辺諸国から

珍しいクワガタムシが入ってくるようになりました。

そういった系統種の入荷初期は

少々混沌として時にマニアを悩ませることもあります。

 

先日、カマキリ名人Kさんに

スキットオオクワガタの飼育個体を見せていただき

画像の使用許可も得ましたので

ここにその一部を掲載させていただきます。

kさん、ありがとうございました。

 

↓ スキットオオクワガタ飼育個体 ミャンマーカチン州産

↓ 特徴的な部分がいくつか見受けられる

↓ オスの上翅 

↓ メスの上翅には浅い点刻列 前脚脛節は先端にかけてよく広がる

↓ メス腹面 微毛が密

 


ノセオオクワガタ

2021-10-30 17:11:46 | ノセオオクワガタ(China)

はじめに

ノセオオクワガタ Dorcus nosei Nagai,2000 は

1997年7月、ミャンマー北部Putaoの標高2500mで

野瀬調査隊が発見し、永井信二氏によって記載されました。

当初、和名は「ノセオオクワガタ」とされていましたが

ヒラタクワガタに近い仲間と判断されたのか(世界のクワガタムシ大図鑑6⃣)

或いは「ノセ」と「能勢」との便宜上の呼び分けなのか

最近では「ノセヒラタクワガタ」とも呼ばれるようになりました。

しかしながら、ここでは記載者の考え通り「ノセオオクワガタ」と称します。

 

↓ Dorcus nosei Nagai 中国雲南省産野外個体 体長約30㎜  

 

同定ミスの市場流通

数年前のある一時期

「ノセオオクワガタ」と称された群が市場に流通しました。

(「Stag Beetles of China Ⅱ中華鍬甲」の影響か?)

私も同群を飼育してみましたが

残念ながらそれらはチャーユヒラタクワガタ

Dorcus chayuensis Huang & Chen, 2017でした。

 ↓ 参照記事:同定ミスーノセオオクワガタ

ノセオオクワガタ?・後編 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

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ノセオオクワガタ?・後編 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

 

 

また、最近では

パリーオオクワガタ Dorcus ritsemae として購入した野外メスから

ライヒラタ Dorcus reichei が出てきたりもしました。

↓ 参照記事:ジャワ島部のDorcus〜・4-正体現る

ジャワ島東部のDorcus〜・4-正体現る - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

*カテゴリーから入ると飼育過程等に繋がります。去年の春のことオークションでジャワ島東部Mt.Gumitir産とするパリーオオクワガタ(野外個...

ジャワ島東部のDorcus〜・4-正体現る - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

 

 

上記のようなこともあり、今回の野外メスに迷いはありましたが

既にある程度の数のノセオオクワガタが輸入されている現状を踏まえ

単品ながらも飼育を開始しました。

 

↓ Dorcus nosei  採集地の標高は地図上で1700m以上

↓ 上翅点刻

↓ 胸・頭部

↓ 頭部

 

比較

メスの上翅に筋(点刻)のある似通ったドルクス属はたくさんいます。

ましてや見たこともない種を少ない資料から正確に同定するのは困難です。

産卵セット投入の前に手元にあった格好の比較相手

ライヒラタ(野外個体からの子供)を横に置いてみました。

 

↓ 左:ノセオオクワガタ 右:2個体ライヒラタ

↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ

↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ

↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ

↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ

 

産卵セット

メスの形状がクルビデンスオオクワガタや

パリーオオクワガタなどと似るため

朽ち木をマットで埋めるというオーソドックスなスタイルです。

 

↓ 手元にあったブナ朽ち木と「産卵一番」と菌床食べかすを使用

 

届いた個体は比較的元気で、そう軽くも感じられませんが

野外個体のため、既に産卵を経験している可能性が高いので

10卵採れたら良しとします。

 

↓ 底部5cmほどはカチカチの硬詰め  管理温度:23度前後

 

今度こそ「ノセオオクワガタ」でありますように・・・