クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

チャイロスズメバチに刺される

2024-09-16 20:16:37 | スズメバチ

チャイロスズメバチに刺されました!

9月1日のこと、ブナ帯でライトトラップ中、服に付いた虫を払っていたら

チャイロスズメバチが付いていたらしく、右手小指の下付近をチクリと刺されました。

↓ ブナ帯の晩夏には女王らしき大きな個体が現る

このブナ帯では、キイロスズメバチやコガタスズメバチ、オオスズメバチなどを見かけますが

それらがライトに飛来してくることは稀です。

ところがチャイロスズメバチは近くにいたら高確率でライトに飛来します。

 

症状

服にたくさん付いた虫を払っていると、「痛っ!」思わず声が出ました。

暗がりのなか、右手に目を凝らすと

小指の下の方にチャイロスズメバチが付いており、目が合いました。

あわてて振り払うも時遅し、修正できる段階にありません。

「わぁ刺された、どうしよ?」 

↓ この辺りを刺された(帰宅後に撮影)

毒を吸いだそうと手際悪くリュックから「ポイズンリムーバー」を取り出し

患部を探しましたが、皮膚の丈夫なところで刺された痕がよくわからず

とりあえず痛いと感じるあたりを何度も吸引しました。

この時、的確に毒を吸い出せたかどうかは今でもわかりません。

↓ ポイズンリムーバーは安価でコンパクト、常備していて損はない

そうこうしているうちにも、手はしびれを伴うような痛さを感じ

腫れ始めたせいか、患部周辺は少し突っ張ったような感じになりました。

ただ、刺された場所が鈍感で毒の周りが悪いのか、毒量が少なかったのか?

それともポイズンリムーバーでいくらか毒を吸い出せたのか?

当初想定したほどの激痛がやってくることはなく

痛いながらもライトトラップは続けられる状態でした。

あえて痛さを例えるなら「小学5・6年生なら多分泣かない」多分。

これまで刺されたスズメバチ種(キイロスズメ・オオスズメ)の中では

痛さも腫れも一番弱く、むしろセグロアシナガバチに刺されたときのほうが痛く、よく腫れた記憶があります。

また、腫れて熱を持った幹部にペットボトルをあてて冷やしてみたのですが

これは失敗で、地味に痛さが増しました。

そして、刺されてから3時間ほど経過すると、患部から少し離れた場所がかゆく感じはじめ

翌日の昼頃には痛みはほぼなくなり、腫れた部分のかゆみが強くなっていました。

↓ 刺されて約3時間後、甲の部分が腫れている(帰宅時)

↓ 65時間ほど経過、まだ少し腫れており、熱があり、かゆい

刺されて4日目の朝には腫れは引いていましたが、少しのかゆみが残っている状態でした。

そして、5日目の昼にはかゆみもなくなり、完治を実感しました。

↓ 刺されて5日目 症状はなし、軽症でよかった

実は、以前からチャイロスズメバチにいつかは刺されると思っていて

少しの覚悟がありました。

その時のために「ポイズンリムーバー」をリュックに入れていたわけですが

まさか刺されてからチャイロスズメバチの存在に気づくとは・・・

少しの覚悟が台無しです、油断していました。

これから秋にかけてスズメバチ類の個体数は最大になります。

自分が刺されておいていうのもなんですが

スズメバチを見たら、刺激を与えず退散するのが一番幸せです。

余談ではありますが

直近で、平坂寛さんがオオスズメバチに刺される動画を見ました。

「オオスズメバチに刺されてみた」

タイトルを見ただけでドキドキして、凄すぎてビビりました!


標高1076mでチャイロスズメバチ飛来

2022-08-09 20:02:34 | スズメバチ

県下で確認したチャイロスズメバチの垂直分布高度を更新しました。

日時:2022年8月5日 21:20

天候:曇り時々晴れ  気温:20度前後

標高:約1076m  採集方法:今峰ライトによる灯火で1頭採集

2022年8月12日追記

 

↓ 今峰ライトHID96w前後 紫外線透過ガラス仕様 大・中2機使用 

 

最初に飛来を確認したのは21時前ですが、光源周辺を激しく飛び回るため

撮影も捕獲もままならず、5分ほどでどこかに消えてしまいました。

これまでの経験では一度去っても再び戻ってくることが多かったため

捕虫網片手に次のチャンスを待ちました。

 

 

撮影、或いは捕獲してチャイロスズメバチであることがわかれば

私が県下で確認した最も標高の高い場所ということになります。

 

↓ 再飛来を待ってやっと捕獲(8月5日)

↓ おそらくワーカー(自宅にて)

 

 

主な高標高記録は以下の通りで、今回は一気に1000mを超えました。

 2017年8月20日19:28 標高約720m (県北西部C山灯火採集)

 2020年9月 5日19:15 標高約827m  (県北西部A山灯火採集)

 2022年8月 5日21:20 標高約1076m(県北西部C山灯火採集)

もともと北方系のチャイロスズメバチは

モンスズメバチやキイロスズメバチなどの初期の巣を乗っ取りながら

中国地方にまで分布を広げてきた種です。

ホストとなるスズメバチ類の棲息域内であれば

この山の更に高いところでもチャイロスズメバチは棲息するものと思われます。

 

 

また、同地では以下のスズメバチ亜科も飛来しました。

↓ 標高1076m、灯火に飛来したクロスズメバチ

↓ 標高1076m、灯火に飛来したキオビホオナガスズメバチ(?)

 

*追記:2022年8月12日

8月11日に同所にて樹液に着くチャイロスズメバチも複数発見することができました。

観察では同一木にコガタスズメバチ・キイロスズメバチも飛来しており

それぞれが異なる樹液に集まり、棲み分けのような状態でいることが多かったです。

また、コガタスズメバチと樹液場争いをする場面もありましたが

数秒でチャイロスズメバチが逃げ去りました。

 

↓ チャイロスズメバチ 標高約1076m 楓の樹液にて

 

夜の観察では樹液場にチャイロスズメバチの姿はなく

高所樹液場にコガタスズメバチが付いていました。

尚、ライトトラップには両種ともに飛来しました。

 

↓ 右:キイロスズメバチ昼間採集 左:コガタスズメバチ灯火飛来

↓ 左:キイロスズメバチ 右:コガタスズメバチ


チャイロスズメバチー標高827mライトに飛来

2020-09-11 23:05:40 | スズメバチ

県北部の標高約827mで行ったライトトラップにチャイロスズメバチが飛来しました。

↓ チャイロスズメバチ飛来(19時15分撮影)

これまでに私が県下で採集(確認)したチャイロスズメバチの

最高標高地は北部の約720m地点でした。

今回はそれより更に北部でかつ100mほど高所です。

私の採取記録としては県下最北・最標高地となりました。

 

日時:2020年9月5日 18:45~0:38

場所:県西北部 隣県近く

標高:約827m

天候:曇り・霧・雨~のち晴れ 時折風で非常に不安定

気温:23度±

飛来数:2頭(おそらく同一個体で働きバチ)

↓ 夕方から度々ガスが発生

私のチャイロスズメバチの高山採集に関しては

先述の通り、過去には県下の標高約720m地点でも

ライトトラップに飛来した1個体を採集しており(2017年8月20日19時28分・気温23度)

今回の高標高地飛来そのものは、特別なことではないと考えています。

また、チャイロスズメバチは

春にモンスズメバチやキイロスズメバチなどの初期の巣を乗っ取り

一時的な社会寄生を行うため、宿主の存在なくしてチャイロスズメバチの定着・分布拡大は成立しません。

↓ モンスズメバチ(兵庫県中部にて)

↓ キイロスズメバチ(兵庫県北部標高約1010mで採集)

↓ チャイロスズメバチ飛来(19時15分撮影)

↓ ↓ ↓

↓ ↓ ↓

上の画像は、灯火開始から30分ほどで飛来した時のものです。

飛来時に網を持って捕獲を試みるも

ここぞというタイミングで飛んでしまい数分で見失いました。

それから3時間半ほど過ぎた時、再びチャイロスズメバチが光に寄ってきました。

その個体が最初に飛来したものと同一かどうかはわかりませんが

捕獲して持ち帰れたのはラッキーでした。

また、本来ならばバッテリー切れで私のライトは終了するはずだったのですが

今季同山で知り合い、当夜も一緒に灯火した

「エアブラシアート」で世界的に有名な方、ヤッさんから電源供給をいただいたおかげで

このチャイロスズメバチは捕獲できました。

エアブラシのヤッさん、ありがとうございました。

↓ 電源借用

↓ チャイロスズメバチやっと捕獲(23時53分捕獲)

↓ 恐らく働きバチ(自宅にて撮影)

当夜の灯火はチャイロスズメバチのほかに

オニクワガタや、珍しいシロマダラ(ヘビ)なども見ることができ

久しぶりの大物に大興奮した夜でした。

尚、当日ライトトラップの大筋は別途記事にします。

参考文献

 加藤学・千田喜博・西崎健二・大生唯統,

 2019.中国地方におけるチャイロスズメバチの分布拡大.

 中国昆虫 CHUGOKU  KONTYU.NO.32(2019).


兵庫県のチャイロスズメバチについて

2018-06-23 11:39:48 | スズメバチ

樹液に飛来

兵庫県北部の雑木林で樹液に飛来していたチャイロスズメバチを発見しました。

日時:2018年6月16日 16:05~

天候:晴れ時々曇り 気温:23度前後





そこは、通りすがりの雑木林ではありましたが

入ってすぐ、オオスズメスズメバチ・ヒメスズメバチ

コガタスズメバチ・キイロスズメバチを見ることが出来ました。

今の時期ならどれもギリギリ女王と思われ、どの種もそれなりに大型個体でした。


↓ 左:キイロスズメバチ 右:コガタスズメバチ



林内の探索を続けていると、クヌギの根元付近から1頭のオオスズメバチが飛び立ちました。

樹液の匂いが漂っています。

ふと見ると黒っぽいハチが樹皮めくれに頭を突っ込んでいます。

「おっ! チャイロスズメバチ」、気付かれないようにスマホを近づけます。




周りにいるアリやハエを蹴散らしながらせっせと樹液を舐めています。

「どこにでもいるなぁ~」 

などと思いながらしばらく様子を観察した後ネットで捕獲しました。

捕獲した個体を容器に入れ樹皮下にクワガタがいないか見ようと思ったら

また、チャイロスズメバチが飛来していました。

時期と大きさからして2頭とも女王だと思われました。


↓ 捕獲した2頭












県下の分布について

スズメバチに興味を持ち始めた6年ほど前には県下に分布するチャイロスズメバチは

多くなく、珍しいと思っていましたが

南部の神戸市・姫路市・宝塚市、中部の丹波市、北部の豊岡市・養父市など

チャイロスズメバチは兵庫県の南部~北部にまで分布していることがわかりました。


↓ すべて兵庫県産





また、昨年は北部養父市の標高約720mで、ライトトラップにも飛来しましたし

今年も自宅車庫の蛍光灯に飛来がありました。

これらのことから、チャイロスズメバチは走光性があり

兵庫県では平地から山地帯まで広範囲に分布する普通種に近い存在ではないかと

最近では考えるようになりました。


↓ 左:2018年6月16日採集 右:2017年採集(中部)


↓ 2017年  中部地方で灯火飛来


↓ 2017年 北部地方標高約720m 灯火飛来


↓  こちらは静岡県産



期待

チャイロスズメバチは他のスズメバチ初期の巣を乗っ取ります。

オオスズメバチは他のスズメバチの巣を襲うことがあります。


↓ コガタスズメバチと思われる初期の巣

  ⇓ ⇓ ⇓ 内容



こういった在来種の習性がいずれ迫ってくるであろう

特定外来生物「ツマアカスズメバチ」の個体密度に何らかの影響を与えるのではないかと

少し期待もしています。


↓ ツマアカスズメバチ 対馬産(10月下旬採集・女王)

↓ ツマアカはミツバチを襲う

↓ 左:ツマアカ  右:チャイロ


↓ 左:ツマアカ 右:オオスズメ(山口県産) 左下:チャイロ


チャイロスズメバチ夜に現る

2017-09-04 22:46:40 | スズメバチ

今日、チャイロスズメバチが自宅車庫の蛍光灯に飛来してきました。

↓ 19時10分飛来(前方個体)

↓ 車庫蛍光灯


日没ころから車庫でごそごそ作業をしているとブーンと何かが飛んできました。

おっ! もしかしてチャイロスズメバチ?

蛍光灯にぶつかりぶつかり飛んでいる何者かをネットで捕獲してみると 

正解、チャイロスズメバチでした。

それから間もなく似たような羽音が・・・2頭目です。

時間は、19時38分





近くに巣でもあるのでしょうか?

車庫の蛍光灯にチャイロスズメバチが飛来したのはこれで2回目です。

前回は2015年9月19日でした。

今日飛来してきた個体は2頭とも針を持っており、オスでないことは確かです。

↓ 2頭とも針がある


↓ 最大体長は20mm後半


立て続けに飛来したチャイロスズメバチ

この地域ではさほど珍しくない種であるように思え、明日も車庫を灯してみたくなりました。


モンスズメバチ灯火に飛来

2017-08-29 00:05:31 | スズメバチ

2017年8月27日21:05

場所:兵庫県北部  天候:晴れ時々風

気温:19度前後   標高:約715m



県北部の山地帯で行ったライトトラップにモンスズメバチが3頭飛来しました。



モンスズメバチは、夜間でも活動することのある種で

夜の雑木林で見るスズメバチはほぼこのモンスズメバチです。

昨日飛来した個体はトラップの設営場所付近に巣があったか

近くの樹木等にいたものだと思いますが灯火に飛来したのは初めてした。

↓ 捕獲直後


飛来してきたとき撮影のためライトをつけるとこちらに飛んできたので恐くなり

恥ずかしながらその時の画像はありません。

飛来した3頭はどれもワーカーだと思われますが比較的小型の個体でした。

↓ 飛来した個体 最大体長20mm後半






気のせいかもしれませんが標高の高い場所で見つかるスズメバチは

オオスズメバチを除き、どの種のワーカーもやや小ぶりに見えます。

↓ 茨城県産女王 最大体長約40mm


↓ 愛媛県産女王 最大体長約30mm後半


↓ 兵庫県中部地方平地にて(ワーカー)


昨日の灯火では比較的高標高でモンスズメバチを得ることが出来ました。

思いもよらぬ来客です。

当日は、日中クワガタ等の探索もしました。

その時の様子は後日書きます。


チャイロスズメバチの灯火飛来について

2017-08-24 21:57:20 | スズメバチ

2017年8月20日19:28

北部の山地帯で行なったライトトラップにチャイロスズメバチが飛来しました。




場所:兵庫県氷ノ山・標高約720m  天候:曇り時々晴れ  気温:23度

↓ 捕獲直後






↓ 自宅にて撮影 針保有・体長約27mm











本種が灯火に飛来したのはこれで2度目です。

前回は、015年9月19日に自宅車庫の明かりに飛来してきました。

時間帯、日没から1時間内です。

この時の様子は「チャイロスズメバチついに捕獲」と題して過去記事にしています。

↓ 2015年9月19日車庫の蛍光灯に飛来した個体



今回飛来した個体は最大体長が27mmほどあり、針も有しているため

もしかすると新女王かもしれません。

仮に、家族を持たない新女王に走光性があるとしたなら

それが分布拡大につながっているのかもしれません。

また、山地帯に分布するチャイロスズメバチは平地に暮すそれより

活動期間が短かいことも考えられるため

そういった場所では新女王の出現は平地より早くてもおかしくありません。

兵庫県でのチャイロスズメバチの分布状況は、南部の神戸~北部山地帯まで幅広く

ほぼ全域に分布するものと思います。


↓ 兵庫県中部地方産・標高約115m



チャイロスズメバチの女王は

コガタスズメバチやモンスズメバチなどの初期の巣を乗っ取ります。

他種女王と戦うのです。


↓ 静岡県産

↓ コガタスズメバチ女王・中央チャイロ・モンスズメバチ女王

↓ モンスズメバチ 巣の材料集め



画像からもわかるように、相手は大きく強敵です。

そういったチャイロスズメバチの習性が

近い将来本土にもやってくるであろうツマアカスズメバチの

個体密度調整に何らかのかたちで一役かってくれることを期待します。


↓ チャイロスズメバチ・ツマアカスズメバチ(女王)
 


スズメバチ展翅~日本産有剣ハチ類図鑑

2016-04-23 16:40:54 | スズメバチ

熊本地震で被災された皆様方へ、心よりお見舞い申し上げます。

また、一日も早い事態の終息をお祈りいたします。


スズメバチの展翅

4月も後半に入り、野外では多くの昆虫が姿を見せ始めました。

昨夜は、関東産スズメバチ3種5頭の展翅をしました。



標本といえば形を整える「展翅(足)」というのが付き物ですが

私はこれが下手で左右対称なんてことは過去に一度もありません。



展翅したスズメバチはヒメスズメバチ・モンスズメバチ・キイロスズメバチで

いずれも朽ち木の中から得られた女王のため、大型です。

展翅中は、針を刺すときに種類によって感じることが違います。

上記3種で最も体が(体表)硬く感じるのはヒメスズメバチです。

また、ヒメスズメバチは心なしか頭が上がりにくく感じます。

モンスズメバチは体に対して頭が大きく、太く力強さを感じます。


↓モンスズメバチ


そして、キイロスズメバチは結構毛深いですが、鮮やかで綺麗です。

↓キイロスズメバチ



ハチの腹部はよく収縮するためその時々で大きさや雰囲気が違って見えます。

私の場合は針(刺針)をピンセットで引っ張り出し、腹部が最長になるようにしています。


↓モンスズメバチ

↓ヒメスズメバチ

↓キイロスズメバチ


また、大あごはできるだけ開いた状態にしたいのですが

固く閉じた大あごを力で広げると外れたり

取れたりして収拾がつかなくなることもしばしばで展翅は私の天敵です。


コガタスズメバチの古巣

先月、草むらでコガタスズメバチの古巣を見つけました。


冬季~新緑前の草むらは見通しがよく、こういうのが見つけやすくなります。

↓大きさはソフトボールより一回りほど大きい

外壁には何層もの空室があり、内部の空調・保護をしています↓

↓外壁を崩ししてみる



↓結構古い巣のように感じます



日本産有剣ハチ類図鑑

こちらは今年の3月に発刊された図鑑で

産卵管を刺針に変化させたハチのうち515種が掲載されており

ハチの図鑑としては一番多くの種が載っています。


図鑑は、標本と解説・検索の2巻からなり、2法で表記されています。

このことに関して図鑑の「本書の使い方」には

「亜種的存在を認めないと言うことではない」としながら

亜種は、「~連続的な変量で、亜種の基準は種とは異なり存在しない」ということや

「~動物命名規約上の亜種小名と種小名(種限定語)は実質同格」

「~命名規約上の不必要な混乱を避けたい」

「××種の××地域個体群と言った表記で十分共通認識が可能」

などといった理由が詳しく説明されています。



因みに 私のブログ記事ではヒメスズメバチを3種としていますが

この図鑑ではそうなっていません(そのことを当該記事に追記)

また、亜種設定についての考えは同じ昆虫でもクワガタムシの世界とは流れが異なり

膜翅目では亜種を記載しないのが主流のようです。


↓亜種が増えていく図鑑

「日本産有剣ハチ類図鑑」


高価なものなで購入には躊躇しましたが、ハチに興味のある方なら永く楽しめると思います。

参考・引用文献:
 寺山守・須田博久 編著,2016.日本産有剣ハチ類図鑑,
     発行:2016年3月30日 東海大学出版部,


ヒメスズメバチ・3種

2015-11-23 22:19:46 | スズメバチ

現在、日本のヒメスズメバチは下記の3亜種に整理されています。

ヒメスズメバチVespa ducalis Smith
基亜種は中国浙江省の個体

日本本土亜種 ヒメスズメバチ 
 
ssp. pulchra Buysson 
 茨城県産(女王?)

分布:本州・四国・九州など
大きな特徴:お尻の先(端・ツマ)が黒い・3種の中でもっとも大型

対馬亜種 ツシマヒメスズメバチ
 
ssp. esakii Sonan
 長崎県豊玉町唐洲産(働きバチ)

分布:対馬
大きな特徴:お尻の先(端・ツマ)が黄色い

琉球亜種 リュウキュウヒメスズメバチ 
 
ssp. loochooensis Bequaert
 沖縄県石垣市産(左上女王、他働きバチ)

分布:石垣島・西表島
大きな特徴:他の亜種と全く異なる色合い
 
ヒメスズメバチ類は、沖縄本島では未確認だそうですが

奄美大島や徳之島などその周辺の南西諸島では分布が確認されているそうです。

私は、ヒメスズメバチといえばお尻の先が黒で

黄色いものは、それ以外のスズメバチだと長らく思い込んでいました。

ところが対馬ではそれが通用しないということ、

日本のヒメスズメバチは3つの亜種に整理されているということを

去年の夏に知りました。

↓お尻の先が黒いのがヒメスズメバチ日本本土亜種(左)

↑上中央オオスズメバチ、右モンスズメバチ

下左コガタスズメバチ、下右キイロスズメバチ

前回の「ツマアカ~存在するか?」で少し書きましたが

先日、対馬在住のE様から貴重なツシマヒメスズメバチを頂き

念願のヒメスズメバチ3種が揃いました。 

スズメバチの色柄や形態は同種であっても地域変異や、個体差もあるので

以下の比較はかなり狭域ということになりますが、この機会に少しだけ踏み込んでみました。


体の表裏

↓上から日本本土亜種・対馬亜種・琉球亜種



↓上から日本本土亜種・対馬亜種・琉球亜種




日本本土亜種と対馬亜種は大筋で似たような色柄の組み合わせですが

お尻の先の色が全く異なります。

そして、地理的にも離れた状態になりますので判りやすいです。

また、琉球亜種は他の2種とはかなり違う色柄です。

↓琉球亜種・日本本土亜種・対馬亜種



胸部周辺

↓上から 日本本土亜種・対馬亜種・琉球亜種




角度により見え方は変化しますがサンプル実見(横見)で琉球亜種は

胸部から腹部接合部にかけての角度が浅いように感じました。


頭部

↓上から 日本本土亜種・対馬亜種・琉球亜種




顔の中央部(複眼と複眼の間)にある頭循の形態も

それぞれの形をしているように見えます。

こうして見ていると琉球亜種として整理されている個体群は

あまりにも他の2種と異なって見えるため何とも複雑な思いになります。

それは、色だけのせいでしょうか?

平嶋義宏・森本桂・多田内修 著「昆虫分類学(p17)」によると

「亜種とは、同一種のなかで、ある地域に分布する固有の分類形質を持つ集団で

他の地域の集団からは明確に区別できるもの、と定義される」とあり、

「それを分けるの?」

と言いたくなるようなクワガタの世界からするとこちらは、判りやすいです。


アシナガバチ類を襲う

ヒメスズメバチの生態の特徴の一つとして

アシナガバチ類の巣を好んで襲うということが上げられます。

↓アシナガバチの巣


私もその様子を一度だけ観たことがあります。

↓キアシナガバチ


その時の観察ではヒメスズメバチに襲来されたアシナガバチは

応戦することなく、侵入者を遠巻きに殆どフリーズ状態でした。

その間、ヒメスズメバチは数頭の幼虫や蛹に接触していましたが

それらを取り出すようなことはしませんでした。
(幼虫や蛹の体液を吸っていたものと思われます)

そして、ヒメスズメバチは数分間滞在した後、何処かに飛んでいきました。



この時の観察で飛来してきたヒメスズメバチはその1頭のみです。

初めて見たその光景はショッキングで、なぜアシナガバチは応戦しないのか?

最初は理解出来なかったのですがよくよく考えてみると

いくつかの幼虫・蛹は犠牲になったものの

女王を初めとする働き蜂達はダメージを受けていないため

営巣を続けることができるのです。

つまり、抵抗しないことで家族の存続が保たれたのです。

そして、ヒメスズメバチによってアシナガバチの個体密度は調整されました。

左:キアシナガバチ 右:ヒメスズメバチ
 


アシナガバチの発生消長と、ヒメスズメバチのそれとは同調しており

10月ごろには両種の活動は終わりを迎えます。


また、アシナガバチが多くない北海道にはヒメスズメバチはいないようです。

よくできた摂理です。


自宅に営巣

私の家の物置(洗濯物干場)には使用しなくなった食器棚(ガラクタ置き)があります。

そこにはほぼ毎年初夏になるとヒメスズメバチが営巣にやってきます。
(場所が場所だけに大きくならないうちに駆除するときもある)

また、巣を駆除しても9月終わりごろになるとまたやってきます(オス?)

↓この棚の隙間に入り込み営巣する

↓食器棚下部に作られていた巣(一昨年)

↓大きさはソフトボール位で、育房(巣房)は2段


物置へは毎日人が出入りしていますが家族が刺されたことは一度もありません。

私にとってヒメスズメバチとは、そういうハチです。

ヒメスズメバチは、オオスズメバチに次ぐ大きな種です。



その容姿とは逆に攻撃性がさほど強く無いとされるのは

その特殊な食性や外敵から巣が守れやすそうな閉鎖的な空間に好んで

営巣することなどが関係しているものと考えています。

以上、ヒメスズメバチ3種でした。

追記:2016年4月23日

2016年3月30日発刊の「日本産有剣ハチ類図鑑(東海大学出版部)」では

ヒメスズメバチは1種となっています。

*画像の標本は以下の産地になります
 ヒメスズメバチ
 日本本土亜種=茨城県筑波市産  
 対 馬 亜種=長崎県豊玉町産  
 琉 球 亜種=沖縄県石垣市石垣島産
  
参考文献:
松浦 誠,1992.都市で多発するスズメバチ{2}.
  THE INSECTARRIUM-vol.29.
寺山守・須田博久 編著,2016.日本産有剣ハチ類図鑑.
 東海大学出版部.

参考・引用文献:
 平嶋義宏・森本桂・多田内修,1989.昆虫分類学.p17. 川島書店.

参考URL:
 上野高敏-Takatoshi Ueno-.
  http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/ine/ueno/

 都市のスズメバチ.
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/infomation.htm


ツマアカスズメバチ~対馬にオオスズメバチは存在するか?

2015-11-15 13:47:12 | スズメバチ

先日、対馬でハチに関わるお仕事をされている方のご厚意により

ツマアカスズメバチの標本が届きました。





これらのサンプルは、対馬のほぼ中央部にあたる豊玉町で10月下旬に駆除された個体です。

↓左:2頭女王 右:2頭オス


ツマアカスズメバチ Vespa velutina Lepeletier, 1836

このツマアカスズメバチ(以下ツマアカ)については

外来種として最近マスコミ等で取り上げられることが

多いのでその存在は広く知られていると思います。

また、生態や分布状況は動画も含め

検索でよくヒットするのでその大筋を知ることは容易です。


しかしながら、仮に野山でハチを見つけそれがツマアカであったとき

果たしてどれだけの人がそのことに気づくのでしょうか?




また、ツマアカの今後の分布拡大に関し

他のスズメバチとの競合関係も気になるところです。

↓左 ツマアカ女王・右 オオスズメバチ女王(茨城県産)


区別は簡単か?

私がツマアカの存在を知った時最初に思ったことは

のスズメバチ(ハチ類)との区別は簡単か?ということです。

基本的には種類が異なるため区別はできるのですが

特別大きいとか、変わった色形の場合を除いては

それらをひとくくりにスズメバチ(ハチ)として見るのが一般的ではないでしょうか。



↑右端上段がツマアカ

そこで、どこが違うのか簡単な比較をしてみました。

↓ 在来する8種のスズメバチとツマアカ

↑中央の黒っぽく見えるのがツマアカ(女王)

こうして比較すると確かに区別出来ますが

慣れていなければ似たようにも見え、間違えることもありそうです。

そして、スズメバチとしては小さな部類であるこもわかります。

↓ツマグロスズメバチ・ツカアカ・チャイロスズメバチ 

↑似たような大きさですが間違うことはありません


ツマアカの見た目の特徴




①体長が30mm前後 


②全体的に黒っぽく見える
一般的なスズメバチのような黄色と黒の縞模様ではなく
全体的に黒いイメージで、更に真上から見ると顔も黒い 





③足(符節)がレモン色(黄色)

④お尻の方(ツマ)は和名から連想するような赤ではない(生体時未見)


⑤腹面にレモン色文様


だいたいこな感じの特徴があります。

ツマアカはこれから分布をどこまで広げていくのかは判りませんが

樹上高所に目立つハチの巣を見つけたり

2~3㎝ほどの黒っぽい黄色脚のハチを見つけたときは

それを疑うことで早期対策に繋がるかもしれません。

(上記は標本での私見です。生体時には腹部が収縮しているため

体長や太さ等も変化しています。

また、色彩・模様等についても生死・個体差などにより多少異なる場合があります)

↓左と中央上下4頭は女王  右上下2頭はオス

↑文様や色合いには個体差が認められます


スズメバチと紫外線

多くの昆虫は紫外領域の中の光で情報のやり取りをしています。

この光は、人が感じることのできる光(可視光)の

スペクトル(赤~紫)の紫最端の外側になるため人には見えません。



初めて実際のツマアカを見たとき脚部が印象的なレモン色であったため

その色に何か秘密めいたことがあるのでは?と思い

*LONG WAVE3650Åの紫外線を照射してみました。

*見え方の1例)参考:何種類かの紙に紫外線を照射

紙には蛍光物質を含むものとそうでないものがあり
蛍光物質は紫外線を反射する性質を持っています。

↓紫外線を照射する前の各種紙(可視光)


紫外線照射時(紫外線領域)
↓紫外線をよく反射している紙は、はっきり見えます。

↑最下部の光らない紙はティッシュです。

ティッシュには、蛍光物質が含まれてないことが判ります。

ツマアカへの照射結果は,

予想に反して複眼部がある程度紫外線を反射したものの

レモン色の脚部は殆ど反射しませんでした。





他のスズメバチにも照射してみました。

結果は下画像のようになりました↓


スズメバチの黄色と黒模様は刺激的で私たちには毒々しく伝わりますが

紫外線領域で情報交換する同種異種には、そんな風に伝えていないようです。



*参考:クワガタムシの複眼もまた紫外線を反射しています

(マキシムスマルバネクワガタ生体)


~対馬にオオスズメバチは存在するか?

結論からすれば「存在する」。

オオスズメバチは秋~晩秋にかけて他のスズメバチの巣を襲うことのある

攻撃的で強いハチです。


↓茨城県産オオスズメバチ女王


キイロスズメバチやコガタスズメバチなどをはじめとする多くの昆虫は

このオオスズメバチの力に影響を受けながら暮らしており

対馬でのツマアカとオオスズメバチとの関係を知りたく検索してみたところ

「対馬にはオオスズメバチがいない」とする記事が意外と多いことに驚きました。

そういう記事を見てしまうと自分の認識が揺らぎます。

「・・・ん? 対馬にオオスズメバチはいない?」

念のため、標本を送っていただいた現地の方に電話で確認してみると

「対馬はオオスズメバチが多産します」と結論された上で

「ツマアカとオオスズメバチとの関係が
今後どのようになっていくのか注視しています」

とのお考えを頂きました。



ツマアカは、島内北部から南(一部九州本土)へと分布を広げる過程で

オオスズメバチの影響をそれなりに受けてきたものと私は考えますが

今のところそれを裏付けるような情報は得られていません。



つまり、ツマアカとオオスズメバチとの競合に関する現状と今後について

推測はするものの、本当のことはまだ判らないというのが正直なところだと思います。


最後に

対馬から届いた標本の中にはツマアカの他にも

ツシマヒメスズメバチが同封されていました。




このハチは、ヒメスズメバチの対馬亜種ですが

それらしからぬ特徴を持った大変興味深い種です。

次回はそのヒメスズメバチを載せてみたいと思います。

最後になりましたが

貴重なサンプルと対馬での現状をご教授いただいたE様にお礼申し上げます。

ありがとうございました。

*紫外線照射機器:MANASLUーLIGHT

参考URL:
 上野高敏-Takatoshi Ueno-.
  http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/ine/ueno/

 都市のスズメバチ.
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/infomation.htm


これが、ツマグロスズメバチ

2015-10-29 00:02:49 | スズメバチ

ツマグロスズメバチVespa affinis (Linnaeus, 1764)

沖縄県宮古島以南の琉球列島にはツマグロスズメバチという

非常にきれいなスズメバチの仲間が分布しています。


↓↑ 女王 3㎝ほどあります


ツマグロの和名由来は、お尻の端(ツマ)が黒いのでそのままツマグロになりました。

最近問題になっているツマアカスズメバチVespa velutina Lepeletier, 1836の場合も

端が赤い=ツマアカのようです。

和名だけをみればこれら2種は似通ったハチかと思ってしまうのですが

実際は全く異なる容姿をしており、和名の紛らわしさを感じたりします。

また、ツマグロはスズメバチの仲間としては比較的はおとなしい部類だそうです。

↓おとなしいけど刺激すると刺されます!



↓左は女王、あとの3頭が働きバチ(石垣市産)

↓クマバチとの比較

↓キイロスズメバチとの比較


女王は、キイロスズメバチに近い大きさです。

↓オオスズメバチ(女王)との比較


さすがにオオスズメバチとは全く大きさが異なります。

ツマグロスズメバチの棲むエリアにはオオスズメバチはいませんが

ヒメスズメバチ・コガタスズメバチは混生するようです。

↓硬化した標本を柔らかくして羽を広げます



ツマグロスズメバチは、現地では普通種ですが本州では見ることの出来ない南国系です。

毒々しさのないオシャレなレモン色は「これもスズメバチ?」と思うほどでした。



参考URL:

 上野高敏-Takatoshi Ueno-.
  http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/ine/ueno/

 都市のスズメバチ.
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/infomation.htm


スズメバチに人気のヤナギ

2015-10-05 18:05:31 | スズメバチ

昨日は、久しぶりに上原高原林道とその周辺のルッキングをしてきました。



 日時:10月4日 12:30~

 天候:曇り時々晴れ  気温:麓で24度前後

 同行:Tさん



高原にはが放牧されています。



人気のヤナギ

扇ノ山上原高原を鳥取県側に下る途中のヤナギに多数のスズメバチが飛来していました。

標高は、970m付近でした。



「なんやこれは?」 同行のTさんと暫く観察をしてみると

どうやら スズメバチは群生するヤナギの中の1本に集中して飛来しており

その範囲は、地面近くから枝先にまで全体に渡ります。

このヤナギ、スズメバチに大人気です。

しかしながら、人気のヤナギは樹液らしきものを出している様子がありません。

枝や葉に止まったり、飛翔をしたりを繰り返すもの枝で静止しているものなど様々です。

よく見ると、飛来するスズメバチは1種ではないようで

もう少しヤナギに近ずいて観察をしたいのですが

飛び交うスズメバチを目の前に距離を縮めることは出来ませんでした・・・

ホバリングするスズメバチを網ですくい容器に移します、緊張の瞬間です。

採れたのはキイロスズメバチ。



色合い雰囲気からしてここに飛来している個体のほとんどは同種のようですが

時折り黒と黄色のコントラストがはっきりした個体を見受けます。


↓画像右、それはコガタスズメバチのようです



このヤナギにはスズメバチの他にも小型のハチ類・ハエの類等も飛来しています。

最初にこの光景を見たときはキイロスズメバチの配偶行動かと思ったのですが

後で調べてみると、飛来の目的はどうやら甘露のようです。

スズメバチたちはヤナギに付くアブラムシが出す甘い排出物を舐めに来ていたものと思われ

それが人気の秘密だったようです。

念のため、持ち帰ったキイロスズメバチ(大・中)の毒針の有無を確認してみると 

2頭ともありました、針が! 確かにメスです。


納得しながら針を刺す

↓ キイロスズメバチのメス





↑ キイロスズメバチ

↓ コガタスズメバチ、こちらもメスでした

↓乾燥用タッパーにいれます(中央チャイロスズメバチ)

先日から乾燥させていたチャイロスズメバチ








高原から移動

時計は15時半を回っていました。

時間もないのでここでは軽く林道を流すことになりました。


秋の気配がなにげにオシャレです。

コブヤハズ(カミキリ)を探しましたが発見できず

↓クマの仕業(しわざ)でしょうか?

私は、クマよけの鈴を何度も落としてし、無くしてしまうため

カラビナで止める強音響タイプを今回は奮発しました。


↓頼るは腰の鈴





アカアシクワガタ発見

長袖1枚では寒く感じる 落ち葉の積もり始めた林道で

アカアシクワガタのメスが活動をしていました。

標高1000m付近 アカアシクワガタとキイロスズメバチ

↓アカアシクワガタのメス

↑ 改めて見ると本当にきれいな赤をしています↓



結局、発見できたクワガタムシ類はこの1頭のみで

「今年見る最後のアカアシかな~」

と思いながらリリースして、山をあとにしました。


補足:標高の表示について

電波に支障のない場所ではスマホの高度計アプリも使用できるため
「これは便利」と思ったのですが
異なる数か所でPROTREKとの比較測定をした結果
以下のような差異が毎回発生しましたので

標高についてはこれまでどうりPROTREKに頼り
基準地で毎回高度を合わせた後、現地で表示された数値を載せています。

測定結果の1例
PROTREK(気圧由来)=105mのとき
アプリ(電波由来)=GPS:156m/MAP:104mでした。



PROTREKに対してアプリはGPSで50m前後高い数値を表示。
MAPで2m前後低い数値を表示。
MAPの方がPROTREKに近い。

私の測定では毎回このくらいの差異が発生します。 


チャイロスズメバチ ついに捕獲

2015-09-19 01:18:49 | スズメバチ

ついに念願のチャイロスズメバチを捕らえました!






シルバーウィーク前夜

車庫でクルビデンスオオクワガタの幼虫割り出しをしようと電気を付けたら

何やらブーンと飛び始めました。





最初はアブかと思ったのですが少し違う雰囲気があります。

「もしかしてハチ?」

刺されても困るのでとりあえずそばにあった網で捕獲。

どうやらハチの様子。

しかも茶色と黒のコントラスト・・・



チャイロスズメバチです!

その大きさからして女王のようです。



後で測定したら30㎜ほどありました。




まさかあれほど探していたチャイロスズメバチが車庫で採れるなんてウソのようです。

これで、私の住む地域にもチャイロスズメバチが棲息していることもわかりました。

興奮冷めやらぬまま、刺されないよう慎重に容器に移し替えます。


チャイロスズメバチは

モンスズメバチやキイロスズメバチの巣に寄生する珍しい種です。

新女王はそれらのハチよりあえて遅く出現し

春~初夏に単独営巣しているモンスズメバチや

キイロスズメバチの女王を殺し巣を乗っ取ります。

そして、ある一時期にはチャイロスズメバチと

乗っ取られた元の種の働きバチとが一緒に営巣します。

また、チャイロスズメバチの体表は硬く、毒針も太くて長めで

強敵の攻撃に備えているといわれています。

加えて、攻撃性も強いそうです。

捕獲した個体はサクエチを入れたビンに投入して静かになるのを待ち早々に展翅しました。



とても渋いハチです。



↓ シリカゲルを詰めたタッパーで乾燥させることにしました。



参考URL:

  都市のスズメバチ.
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/infomation.htm


キイロスズメバチ・2

2014-11-23 23:02:13 | スズメバチ

キイロスズメバチの乾燥が終わりました。



50日ほどかけて自然乾燥させました。

キイロスズメバチはオオスズメバチと比べるとかなり小さいですが

それでもスズメバチはスズメバチ、怖い顔をしています。





越冬後のキイロスズメバチ(女王)は樹液に飛来しますが

そこには他のスズメバチもやってきます。

オオスズメバチ・モンスズメバチ・コガタスズメバチ・チャイロスズメバチなど

樹液酒場では、これら5種の中でキイロスズメバチは弱者の部類になります。



また、秋にはオオスズメバチに巣を攻撃され壊滅状態に追いやられることもあります。

ところがこのキイロスズメバチは木の枝や岩壁、ちょっとした空洞などにも栄巣できる

高い環境適応能力の持ち主です。

壊滅につながるような風雨を避けることができ

アリからの攻撃も少ない(栄巣初期)人の住居はより安全な繁殖場所となります。

更には都市部では人工的な緑化が捕食対象者を確保してくれたり

ジュース缶などの残りを吸汁することもできます。



おまけに天敵となるオオスズメバチは都市部には暮らしていません。

数を抑制していた天敵がいなくなればあとは適応能力がものをいいます。

昔は農村の民家や神社、寺などのよく見えるところに作られた巨大な巣を

人は縁起ものとして崇めたり、信仰するなど

必要な距離を保ち無用な摩擦を避けてきたようです。

所謂共存というやつです。

近年では開発が進み、人口が増え

人とキイロスズメバチとの距離は以前より接近してきました。



子供の頃、母親の実家付近で屋根の下に巨大な巣が複数ぶら下がっていたのを

懐かしく思います。

参考文献:
松浦 誠,1992.4,「都市で多発するスズメバチ[2]」
TEH INSECTARIUM vol.29.
財団法人東京動物園協会. 


キイロスズメバチ・1

2014-10-01 23:47:48 | スズメバチ

見出しの画像は、数年前に撮った養蜂風景です。


↓こちらは今日見つけたスズメバチのものと思われる初期の巣。



恐らく春に女王が作ったものの何らかの理由で空き家になっのではないかと思います。

大きさは直径10㎝位です。

毎年これからの時期スズメハチに刺される被害が増えてきます。

その被害の中で最も多いとされるのがキイロスズメバチによる殺傷です。

キイロスズメバチは、自然の少ない都市部でも見ることがあり

捨てられた缶などに残る飲料も餌とする高い環境適応能力の持ち主ですが

キイロスズメバチの巣はオオスズメバチに襲われることがあり

一旦襲われた巣は壊滅してしまうことも珍しくありません。

そういった自然の摂理でうまくバランンが取れているのも事実です。


今日、ハチの標本が一つ増えました。

キイロスズメバチの展翅、針がいっぱいです。




御世辞にも綺麗な展翅ではありませんが、慎重にしました。

沢山の針に閉じ込められたその姿を見ると残酷に感じる方もいるかもしれませんが

貴重な野外生体、その時そこに存在した証を残します。

野生の情報を封じ込めます。




この個体は、西宮市内で採集された個体です。

お尻の先端をピンセットで挟んでも針がなかなか出てこないので

もしかして♂かな?

この時期に♂が出てくるのかはよくわかりませんが

大きさからして♀のような♀であってほしいような。




これでオオスズメバチ・ヒメスズメバチ・モンスズメバチ

キイロスズメバチ・コガタスズメバチの収集ができました。

後はチャイロスズメバチ・クロスズメバチです。

チャイロスズメバチは、樹液にも飛来するそうなので

来年の初夏には何とかしたいと思います。


↓ キイロスズメバチ