■昆蟲と鳥とが統ぶるこの星の飛べざるゆゑに耕すわれら
■象を見にきて獸園は春の雨
■逃亡はかくて頭上に揚げひばり記憶の空をのぼりつづけて
■終はりなき惡夢も春の夢なりき
■死にゆく日無一物にてありたしと一日ひとつ物捨つるなり
■透析の除水も春の水として
■卷貝が卷きてねぢれて遺したる殼の内なるちひさき闇よ
■戀猫の戀の子細は闇の奧
■眼前の花は枯れしに花といふ言葉かをりて詩論となせり
■四季あれど君が生まれし春をまづ
■てふてふよ君らの翅を貸したまへ波を超すべきわれらの祈りに
■日記には初蝶のこと書きしのみ
■想像せよはるか異星に棲む人の星戀ふる眼をわが太陽を