■雜草の仲間となりてのちのことわれも見えざる花を咲かせつ
■晩年はきつと寒かろ冬仕度
■永遠に水めぐりゆくこの星に機械で水を拔きとるわれは
■小説の秋にかならず人の逝く
■萬卷の書を藏したる圖書の落丁誤植が語る世界史
■病めば身にしみて心はこはれもの
■かなしみて丘に登れば樹とならむもろ手を空に差し伸べながら
■日本のきのふの空に木守柿
■墓原に墓のみありて人よりも長きいのちの石ならびをり
■落ちてゆくその愉しさに黃落す
■群の空をたやすく灰色にかへて少年嘘をつきはじむ
■芝居ならここで柝の入る紅葉かな
■生に倦み時を殺してわがあれど時の屍臭をいかにせよとや
■わが秋思蜂一匹をもつて消ゆ
■進化していまに至れるその時間飛ばざることの選擇はなぜ