■ゆく秋とゆくへ不明のてふてふと
■言葉に人に寡默を強ひる定型のわれいとほしむこの簡明を
■秋惜しむ今日にかはらぬ明日なれど
■遠く見て風あるところゆるやかに旗ははためくいのち惜しめと
■鳥であるよろこびいかに實南天
■ミステリのどんでん返しのやうなこと決してなくて透析の日日
■半七の十手も腰に冷ゆるかな
■それぞれの時計に時のあるごとくわが體内のこはれし時間
■どぶろくのこの混沌をうべなへり
◎腰痛。
■淋しければイスカリオテのユダにさへ逢ひたきほどのけふの夕暮れ
■冷ややかや右もひだりも眞ん中も
■かの日かのぶらんこ遊び幼な日に空を飛びしは記憶の彼方