■ゆく春もすぐに忘れて老後かな
■手に取らば春の滿月甘き菓子
■春塵のひとつあるいはわがいのち
■春雨に濡れたる假面をとりかへる
■月おぼろわれもおぼろとして酌めり
■陽炎の中なり生と死のあはひ
■都みなほろびて大きかひやぐら
■水温むいのちを洗ふならば今
■水の春みづ拔くきかいに繫がれて
■わがいのち輕きを紙のふうせんに
■野火に眼をあたへよ足や手のほかに
■日本のテレビはいつも子供の日
■土すでに雨を含みてやはらかくすべりたきなり流れたきなり
■たがやして土もこころもやはらかく
■感情といへるをさぐるつもりなどなけれど蟲のまなこのぞきて