■病みて見き癒えてなほ見る百日紅
■秋れの空といのちをとりかへてわれは眞き無爲のよろこび
■空をつかみそこねて曼珠沙華
■オルゴールまはせば同じ子守唄六十年後は老いて眠れる
■月光を絲につむぎて織るは屍衣
■高きより見下ろしをれば人とふは頭蓋を運ぶ手と足なりき
■人界に背き高きに登るかな
■鳥が飛ぶその飛ぶさきに何かあるかならず何かなくてはならぬ
■戰爭や葡萄は葡萄にしかなれぬ
■ぶらんこが無人のままに搖れてをりすでにたれかを異界へ送り
■鹿と眼があふ人體の無防備に
■剝製の鳥に見られて見かへせばつばさひろげて死を飛ぶ君よ
■白帝や天に一創許さざる
■地にあるはかならず空のいづこよりか墜ちたるあかしもはや戾れず
■望月のかぐやに捧ぐき地球