■蟲賣りが蟲賣りつくし病むのかも
■別れたる妻を思へるなしとせず麥の字ほどの懷かしさとして
■梅もどきにんげんもどき睦みあひ
■わが不在この肉體を空にしてときどき天よりわれを見てをり
■いなづまや起承轉結轉が好き
■少しづつ死んでゆく日のけふにゐてビール飮み干す惡事のごとく
■月天心こころまづしきゆゑに生く
■眞夜にゐてけものくさきはわれひとり命さびしむ放屁などして
■良夜なり人よあゆめば旅人に
■こころみに林檎に赤きペンキ塗り君に贈らむ愛のごとくに
■月まつる否かぐやをまつる男かな
■かくれんぼ最も上手に隱れたるといふ名の子は置き去りに
■在ることの不安は卓に梨の影