■われもまた愛國者たりその愛に世襲の王は含まぬなれど
■白蝶に文字はなけれど夏見舞ひ
■ごきぶりと對峙せし夜の智慧くらべ逃ぐるが勝ちよ追はぬも勝ちよ
■あをさぎの命まつすぐしづかなり
■四つ足の二つを手にかへいま椅子に坐りてをるはさびしきわたし
■その淵のなまづ王位は世襲制
■絶望はまだまだ生きてゆく人がときどき選ぶさびしきあそび
■少年の乳首あつめてぶだう
■浦島の龜にならひてかぶとむし買ひて放てばひとなつの幸
■透析の除水ゆふべの冷酒かな
■野に眠り目覺めに見ゆるあをぞらをきひつぎと思ふかなしみ
■新じやがと新じやがあまり似てをらず
■ガソリンを賣りゐる店に燈はともりゆふやけ赤く慘事はまだか