■こころとはいづこにあらむ今のところ腦のあたりを假寓となせど
■毒きのこ毒をたくはへゆく孤獨
■皆がいふ異常氣象のこの豪雨みづから責めを自覺するなく
■秋刀魚買ふ無數の中のその一尾
■天皇が逝きたるかの日NHK育テレビの「心の旅路」
■ジパングの黃金まばゆき稲を刈る
■人であることもときをり疑へばかがみの中にからつぽの部屋
■草の實をはこぶさんぽといふ仕事
■一滴のしづくは落ちてたのしげに宙に浮かべり地は迫れども
■さはやかと思ふ死にどきと思ふほど
■生と死の中間あたり透析の機械を見つついまを思へる
■萩に秋ハギにもアキの潛みゐる
■森をゆくわれのめぐりに霧たちてはてなはてなと白きなぞなぞ
■夜半の秋生きて何することもなく
■煙草やめ幾年を經ついまもなほ白きけむりに隱れたき鬱