■自轉車を漕ぎつづけゐるロボットが君にふる保身の術とは
■野良猫といふ生き方や草は實に
■群れをなす群れをいとへるその二種に人を分かてどいづれも淋し
■きのふけふあすへと草の花の宴
■組織みな人を機械に變へゆくと醉ひし機械の語る夜かな
■掌に石榴少年の日にも憂ひありき
■深夜ひとり淚ながせりあやふきは心のかたち歪むな耐へよ
■いなづまやにもあるてふ凹と凸
■何者か夜ごと來たりてわが腦を繪本讀むかに見てかなしめり
■死んでのち鈴蟲ほどに鳴いてみたし
■木偶われをあやつる絲よ縺れてはつひにたどれぬ心のありか
■首吊るや胡桃くの一九九の果て
■まづ月がありきとうたふ外つ國の話にわれは親しみゐたり