投石日記

日野樹男
つながれて機械をめぐる血の流れ生は死の影死は生の影

とうかうの

2014年03月20日 | 短歌

 *思ひ出に
■登校の少女とともにバスを待つ死にゆく旅の途上にありて
■小暗きは小暗きままに陽のさせばそれも幸とし熊野道ゆく
■やすらへば舟見峠の霧はれてはるかに見ゆる人の棲む街
■峠より人の棲みなす街といふ小さきものをはるかに見たり
■はるかなる勝浦灣を見下ろして生を語りき山の老人は
■霧らひつつ杉のそびゆる熊野道たどれば時を旅するわれか
■いにしへは蟻のごとしと熊野道いまわれひとりはぐれし蟻か