2021年2月27日、朝からの予定がキャンセルになったので急きょ出かけることにしました。早起きしていたのでちょっと遠くまで足を伸ばそうと思って滋賀県あたりで考えていたところ、花が好きな奥さんが少し前に「行きたい」と言っていたことを思い出して、滋賀県米原市にある「ローザンベリー多和田」というイングリッシュガーデンに行くことにしました。9時半頃に自宅を出て、ずっと高速を走り、まったく渋滞することなく、ナビの到着予想時刻よりも10分早い11時40分頃に到着しました。この到着直前、「山津照神社」の案内標示を見つけ「そういえばこのあたりやったんや」と思わずつぶやくと、奥さんが「帰りに寄ってもいいよ」と言ってくれました。
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園内のレストランでランチを取ったあと、目的のガーデンを散策しました。この日は天気がよくて気温も上がり、ポカポカとした温かい日差しを浴びながらの散策となりました。ガーデンは夜になるとイルミネーションで彩られ、それを目当てにくるお客さんもたくさんいるようです。ただし、お昼と夜は入れ替え制になっていて、昼の部は16時で終了となり、夜の部はもう一度料金を支払って入園することになります。せっかく来たのだからイルミネーションも見て行こうということなり、15時にいったん出ることにしました。
さて、前置きが長くなりましたが、古墳の話はここからです。15時に出て夜の部が始まる17時までの間、上述の山津照神社へ行くことにしました。正確に言うと境内にある山津照神社古墳が目的です。ガーデンから車で5分とかかりませんでした。奥さんは駐車場で留守番です。
天野川右岸、横山丘陵の最南端の尾根の上に建つ山津照神社。
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この奥を進むと大きな二の鳥居と社殿があります。左手が山津照神社古墳。
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前方部と後円部の間、くびれ部のところに若宮八幡の祠が建っています。
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説明板によると築造は6世紀前半ですが、資料によっては6世紀中葉となっているものもあります。前方部、後円部とも削平を受けているので墳丘の大きさは現在の見た目よりも大きく、全長が約63メートルもあったらしい。前方部の幅が後円部の直径よりも大きく、典型的な後期の前方後円墳とのこと。明治15年(1882年)の神社境内拡張工事に際して石室が見つかり、倣製の銅鏡2面(獣文鏡・五鈴鏡)、金銅製冠、鉄刀、水晶製三輪玉、鉄製刀子、馬具(轡・杏葉・鞍金具・鎧・雲珠・辻金具・吊金具)、須恵器(蓋杯・台付広口壺・広口壺・大型器台)が、前方部から銅鏡一面(内行花文鏡)、鉄剣、鉄塊が墳丘から埴輪が出土したと伝えられています。残念ながら石室は埋め戻されて見ることができません。
このあたり一帯は息長氏の本貫地とされており、この古墳の被葬者も神功皇后の父である息長宿禰王と伝えられてきましたが、時代が合いません。ただ、朝鮮半島との交流が想定される金銅製冠などの豪華な副葬品から、息長氏の首長墓であることは間違いないとされます。これらの副葬品は、琵琶湖対岸の鴨稲荷山古墳の副葬品とも似ていると言われますが、鴨稲荷山古墳は即位前の継体天皇を支えた三尾氏の首長墓とされるので、この三尾氏首長との関係も想定される山津照神社古墳に眠る息長氏の首長も継体天皇との関係がうかがえます。
左側に前方部、右側に後円部。
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墳丘の裏に回ってみました。左側に後円部、右側に前方部。
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神社の社殿も撮ってきました。境内は意外に広く、社殿も立派でした。
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さて、17時までまだ時間があったので次は塚の越古墳に行くことにしました。息長古墳群を調べているときにこのあたりはGoogleストリートビューで何度も探索して景色が記憶に残っていたので、塚の越古墳の場所はだいたいわかりました。ここでも奥さんは車中で待機です。
北陸自動車に沿う小さな道路脇に古墳が見えます。墳丘はほとんど削平されて一部が残るのみです。左側が前方部で右側(手前)が後円部です。
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全長が46メートルで、説明には6世紀初頭の築造とあり、山津照神社古墳に先立つ息長氏の首長墓と考えられています。
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後円部です。盛土はほとんどありません。
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前方部と後円部の間に小さな祠が建っていました。
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左側が前方部です。
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右側が前方部です。この小山を登るときに石を踏みつける感覚があったのですが、たぶん葺石が残っていたのでしょう。
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塚の越古墳が6世紀初頭で山津照神社古墳が6世紀前半。いずれも継体天皇即位の時代に連続して築かれた息長氏の首長墓です。このあたりの息長古墳群にはほかに、5世紀後半後別当古墳や6世紀後半の人塚山古墳があり、5世紀後半から6世紀後半の100年間にわたり、数十m規模の前方後円墳が継続的に築かれたことがわかっています。詳しくはこちら、あるいはこちらをご覧ください。
塚の越古墳を見ているときに同世代くらいのご夫婦が歩いてこられ、奥さんの方が私の隣に来て同じように古墳の説明を読み始めました。すると突然「どちらから来られたのですか」と話しかけられました。「大阪からです」と答えると、「お好きなんですね」と言われました。「お互いに」という言葉を飲み込んで「そうなんです」と答えると笑顔で去っていきました。
時間はまだ少しあったのでほかの古墳に行こうかとも思ったのですが、イングリッシュガーデンに戻って駐車場で夜の部を待つことしました。少しだけイルミネーションを紹介して終わりにします。
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↓↓↓↓↓↓↓電子出版しました。ぜひご覧ください。
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園内のレストランでランチを取ったあと、目的のガーデンを散策しました。この日は天気がよくて気温も上がり、ポカポカとした温かい日差しを浴びながらの散策となりました。ガーデンは夜になるとイルミネーションで彩られ、それを目当てにくるお客さんもたくさんいるようです。ただし、お昼と夜は入れ替え制になっていて、昼の部は16時で終了となり、夜の部はもう一度料金を支払って入園することになります。せっかく来たのだからイルミネーションも見て行こうということなり、15時にいったん出ることにしました。
さて、前置きが長くなりましたが、古墳の話はここからです。15時に出て夜の部が始まる17時までの間、上述の山津照神社へ行くことにしました。正確に言うと境内にある山津照神社古墳が目的です。ガーデンから車で5分とかかりませんでした。奥さんは駐車場で留守番です。
天野川右岸、横山丘陵の最南端の尾根の上に建つ山津照神社。
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この奥を進むと大きな二の鳥居と社殿があります。左手が山津照神社古墳。
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前方部と後円部の間、くびれ部のところに若宮八幡の祠が建っています。
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説明板によると築造は6世紀前半ですが、資料によっては6世紀中葉となっているものもあります。前方部、後円部とも削平を受けているので墳丘の大きさは現在の見た目よりも大きく、全長が約63メートルもあったらしい。前方部の幅が後円部の直径よりも大きく、典型的な後期の前方後円墳とのこと。明治15年(1882年)の神社境内拡張工事に際して石室が見つかり、倣製の銅鏡2面(獣文鏡・五鈴鏡)、金銅製冠、鉄刀、水晶製三輪玉、鉄製刀子、馬具(轡・杏葉・鞍金具・鎧・雲珠・辻金具・吊金具)、須恵器(蓋杯・台付広口壺・広口壺・大型器台)が、前方部から銅鏡一面(内行花文鏡)、鉄剣、鉄塊が墳丘から埴輪が出土したと伝えられています。残念ながら石室は埋め戻されて見ることができません。
このあたり一帯は息長氏の本貫地とされており、この古墳の被葬者も神功皇后の父である息長宿禰王と伝えられてきましたが、時代が合いません。ただ、朝鮮半島との交流が想定される金銅製冠などの豪華な副葬品から、息長氏の首長墓であることは間違いないとされます。これらの副葬品は、琵琶湖対岸の鴨稲荷山古墳の副葬品とも似ていると言われますが、鴨稲荷山古墳は即位前の継体天皇を支えた三尾氏の首長墓とされるので、この三尾氏首長との関係も想定される山津照神社古墳に眠る息長氏の首長も継体天皇との関係がうかがえます。
左側に前方部、右側に後円部。
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墳丘の裏に回ってみました。左側に後円部、右側に前方部。
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神社の社殿も撮ってきました。境内は意外に広く、社殿も立派でした。
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さて、17時までまだ時間があったので次は塚の越古墳に行くことにしました。息長古墳群を調べているときにこのあたりはGoogleストリートビューで何度も探索して景色が記憶に残っていたので、塚の越古墳の場所はだいたいわかりました。ここでも奥さんは車中で待機です。
北陸自動車に沿う小さな道路脇に古墳が見えます。墳丘はほとんど削平されて一部が残るのみです。左側が前方部で右側(手前)が後円部です。
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全長が46メートルで、説明には6世紀初頭の築造とあり、山津照神社古墳に先立つ息長氏の首長墓と考えられています。
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後円部です。盛土はほとんどありません。
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前方部と後円部の間に小さな祠が建っていました。
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左側が前方部です。
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右側が前方部です。この小山を登るときに石を踏みつける感覚があったのですが、たぶん葺石が残っていたのでしょう。
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塚の越古墳が6世紀初頭で山津照神社古墳が6世紀前半。いずれも継体天皇即位の時代に連続して築かれた息長氏の首長墓です。このあたりの息長古墳群にはほかに、5世紀後半後別当古墳や6世紀後半の人塚山古墳があり、5世紀後半から6世紀後半の100年間にわたり、数十m規模の前方後円墳が継続的に築かれたことがわかっています。詳しくはこちら、あるいはこちらをご覧ください。
塚の越古墳を見ているときに同世代くらいのご夫婦が歩いてこられ、奥さんの方が私の隣に来て同じように古墳の説明を読み始めました。すると突然「どちらから来られたのですか」と話しかけられました。「大阪からです」と答えると、「お好きなんですね」と言われました。「お互いに」という言葉を飲み込んで「そうなんです」と答えると笑顔で去っていきました。
時間はまだ少しあったのでほかの古墳に行こうかとも思ったのですが、イングリッシュガーデンに戻って駐車場で夜の部を待つことしました。少しだけイルミネーションを紹介して終わりにします。
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