チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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ADHDとともに「君の星座」第12章 揺れて揺れて その2

2014-03-23 19:49:23 | ADHDとともに「君の星座」
 世間はゴールデンウィークか。飛び石のその平日、発達障害者支援センターの面談日を迎えた。こちらの面談は月に一回だけど、この一ヶ月、ハローワークの登録のことで、ずいぶんイワキさんのお世話になっていた。
「こんにちは。」
だから、あまり久しぶりにあったという感じもなく。
「この間は、ありがとうございました。」
「いえいえ。とりあえずよかったですね。親御さんとは?」
相変わらず、柔らかい口調のイワキさん。この間のハローワークで口を利いてないことを話していたからだろうか。
「相変わらずですよ。口利く気もしないです。昨日、服の入れ替えしてたら、母が話しかけてきましたけどね、無視しましたよ。」
 親のことはちょっと横に置いといて、今日相談したいのは、
「あの、障害者手帳のことなんですけど。ほら、この間、ハローワークでも言われましたけど、やっぱり、取ったほうがいいんでしょうか?」
「うーん、そうだね。先月の面談の時もお話しましたけど、就職のために取ってる人もたくさんいますよ。」
守秘義務があるだろうし、あまり突っ込んで聞けないけど。
「で、どうでしょうか?発達障害をオープンにして、うまくいってるもんですか?」
 本当のところ、どうなんだろう?ジョブサポートセンターの人は、皆、いいことしか言わない。でも、デメリットは?
「本当にないんですか?私も聞いてるんですけど、精神の手帳って、殆どメリットがないって。」
そう。雇用についても、現在のところ、雇用義務まではつかない。
「障害者枠で就職しても、クビにならないってことではないわけでしょ?」
「まあ、そうですね。・・・あ、ちょっと待ってくださいね。」
 退室したイワキさんは、冊子を持って戻ってきた。
「うちでわかる範囲でしかないので、もうしわけないですけど・・・これは、Q県が障害者手帳を取った人に渡している冊子です。」
中には、それで受けられるサービスのことがいろいろ書いてある。
「うーん、就労については、これだけですね。」
障害者用のパソコン教室と、ハローワークの障害者窓口の話。
 なんか、あまり参考にならないな。
「私、働いてなかったわけじゃないですし・・・それなりに身につけたスキルもありますし・・・どうでしょうね?どれだけ有利に働くか。っていうか、親なんですよ。」
親が、認めてくれない。
「僕もよく聞きますよ。実際、僕の担当している利用者さんも。本人は認めているのに親が認めないって人たち。このセンターはね、家庭訪問もよくやってるんですよ。実際、僕もよく行きます。」
「そうなんですね・・・」
そういう意味では、私はまだ幸せかもしれない。うちは両親が、こころのクリニックに来てくれたし、お母さんはこのセンターにも一緒に来てくれた。
 本当に、どうするべきなのかな・・・そんなことを悩みながら、雑談に発展してしまい、
「では、時間ですのでまた来月に。それまでに、適性検査ありますよね。」
「はい。」
「その結果が出たら、また連絡来ますから。ケース会議に僕も同席します。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」