チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その11

2013-12-31 20:07:37 | ADHDとともに「君の星座」
 引き返すように家へ。薬はもらったか?うん。睡眠薬追加で。あと、朝夕飲んでる薬は変わらない。
「で、仕事はどういわれた?」
「働く能力は充分あるって。ただ、しばらくは休めって。」
「そうか。早く上に行って休め。」
 気楽なスウェットに着替えて、自分の部屋へ。この間ゲームセンターでゲットした、ゲームキャラの大きなぬいぐるみを抱いて、そのままベッドで横に倒れこんだ。何も出来ないもどかしさ、だけど、実際に今、何ができるかと言われると・・・ぬいぐるみの優しい感触。フフフ。可愛いね。そうだよ、これでいいんだよ。自分の世界、楽しみを持っていれば。それが、他人と共有できなくても・・・

 ハルカ、十四歳。中学三年生。
春休み、気分の悪い修学旅行を終えて。学校ではね!授業は!友達作りは!家に帰ったらまた、朝から晩までわけのわからない理由で怒鳴られ続けて。私、何が悪いの?何がいけないの?成績が悪いだけじゃ、こんな異常な怒られ方しないでしょ?ものが言えない状況にされていく。春休み最後の日、お父さんお母さんにボコボコに殴られて、
「三年になったら、合唱部に入れ!」
 で、始業式。私は合唱部への入部届けを出さざるを得なくなった。
『ハルカさん、前向きになられましたね!』
『すばらしいことです。きっと、学校が楽しくなられますよ。友達も出来ますよ。』
先生たち、勝手に私が好きで入部したって思い込んでる!あんたらが無理矢理入れたんだろ!
 あーあ。小学校の時は、中学の部活動って自分の好きなのを選んで入るものなんだって思っていた。実際は、違うんだね。大人が「あなたはこれ!」って勝手に決めて割り振って押し込む。あ、音楽科の、またあのオバハンにつかまった。
「ツキシロさん、合唱部入ったの?よっぽど音楽がすきなのね~♪」
「え・・・」
ほら、こうやって、いかにも本人が望んで入ったかのようにすりっかえる。
 放課後、その部活動へ。もともと音楽は好きじゃない。聴くと気分が悪くなるから。それなのに、
「はい!発声練習始め!」
ピアノの音を聴かされながら、声を出すことを強要され。
「もっとしっかり!」
突然目の前が真っ白になって、そのまま何もわからなくなった。気づいたら、床の上に寝ていて。先輩とか部活の連中は向こうのピアノに群がっている。もう、ぼろぼろだよ。心も体も。こんな部活嫌だ。たとえ、音楽じゃなくても。 
 一、二、三、四・・・十二人ほど。考えたら、たったこれだけの部活のメンバーの顔と名前すら一致しない。クラスメイトなんか、中学一年の時からさっぱり。だけど、何だよこのクラス・・・中学は毎年クラス替えあるけど、今年は始めから私に居場所はない感じ。入っていけない感じ。で、一番最悪なのは、この担任のクソババア。

 お父さんの書斎に、そっと入っていくお母さん。
「お父さん、ハルカ、病院どうだったの?」
「いや、もう駄目だわ。もう働けないって言われたらしい・・・」
「何してるのよ、あの子は!」
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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その10

2013-12-30 19:22:09 | ADHDとともに「君の星座」
 とりあえず、規則正しくだけ暮らせ。それ以外は自分の部屋で寝てろ。何も考えるな。静養生活が始まったその次の日。こころのクリニックの診察日。告知を受けてからドクターに会うのは始めてだな・・・
「ツキシロさん。」
呼ばれて診察室へ。
「こんにちは。」
挨拶もそこそこに、私はドクターにメモを手渡した。

『九月二十七日、スズキ内科の受付を解雇されました。』

あちらに言ってもこちらに言っても、報告に疲れ果てて。メモを見てこちらを見るドクター。
「前、ここに来て検査の結果教えていただいて、その次の日だったんです。夜の受付だったんですけど、帰りに院長に呼ばれて。今日限り出て行けって・・・」
私はもう、悲しすぎて泣けないけど、
「はい・・・・。」
ドクターは悲しそうな目をしながら聞いてくれている。
 そして、お父さんに静養を言い渡されたこと。
「うん、いいことですよ。」
「そうですか・・・だけど、先生。私、働けますか?」
「うん。充分働けるよ。能力的には普通の人以上!ただ、お父さんがおっしゃるように、しばらくは休んだほうがいいね。今後、働くにしても、配慮してもらったほうがいいだろうね。」
配慮・・・私もそれは思う。何を配慮してもらえばうまくいくのかはわからないけど・・・
 わりと気楽な話、だけど、物凄く困っていることがどんどん溢れ出す。
「私、口がたたないんです。」
「口がたたない。なるほど。」
「今でも人と遊ぶより一人で何かしてるほうが好きです。学校時代はいじめられてばっかり。先生たちに皆と遊べって言われるのが苦痛で。アニメが好きになったのは小学校六年の時ですよ。それ以降、ずっと。ほら!」
ケータイのストラップ。お気に入りのゲームキャラクターだ。
「クレーンゲームは、強いか?」
「うーん、どうでしょう?」
まあ、結構ゲットしてるかな?
 ちょっと和みながら、
「こうして話してると、全然おかしくないのにね。」
「だから私も、どうしてかわからないんですよ。・・・あの、先生。夜が全く寝られないんです。」
「あらら。じゃ、睡眠薬も出しますね。他の薬はそのままで。」
 
 
 


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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その9

2013-12-29 18:32:38 | ADHDとともに「君の星座」
 気温が下がっていく。ハローワーク、求人チラシ、そして、もう一つの相談先の情報収集。できることを、出来る限りのことをやっている。だけど、正直もうお手上げだよ。アルバイトも駄目だった私、働く先あるの?三十二歳という年齢も・・・もう、働くのは無理だって言われてるのと同じだよ。だけど、どうしよう、どうしよう?何をしたらいいの?どうしたらいいの?
 日に日に悪化していく精神状態。とうとう、ジョブサポートセンターで、
「もう、求人票も見たくないです!」
ニシカワさん、心配そうに、
「・・・。しばらく、仕事探しも休んだらどうだ?」
そんな・・・ここで立ち止まっていいの?今、何もしなかったら私はどうなってしまうの?
 また、夕食後の我が家は大喧嘩となり。
「あんた!本当にどうするの!どうやって生きていくの!」
「ギャァァァァー!」
横にいたお父さんが腰を上げ、
「二人とも!離れろ!・・・ケイコ。」
「・・・わかったわ。」
お母さんが部屋から出て行って、お父さんと二人だけになった。
「ハルカ、わしか話を聞くから。」
「ワァァァァー!」
 お母さんのえげつない言葉に、あまりにも傷ついて。
「まあ、落ち着け。」
そこまで、かなりの時間がかかった。
「お母さん、きつすぎる!」
「うん。ちょっと言い方酷いな。だけど、優しい面もあるぞ、お母さんは。」
「ない!あの人、私に恥ばっかりかかせて!」
「お前もな、親にずいぶん恥かかせてるぞ!」
 ジョブサポートセンターのこと。
「今日は、どうだったんだ?」
「キャリアのカウンセリングで・・・」
その時、お父さんから、
「お前、静養したらどうだ?」
「え?あ、それ、カウンセラーさんからも同じこと言われた。」
「そうだろう。四月から休みなしだっただろ?今もおじいさんの手前、毎日出かけてるし。ずいぶん痩せただろ?発疹も消えてないし。疲れた頭では、ろくなこと考えられないぞ。」
そういえば。
「とにかく、お母さんとおじいさんには、わしがうまく言うから。しばらく安め。」
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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その8

2013-12-28 19:08:23 | ADHDとともに「君の星座」
 ニシカワさんのカウンセリングのおかげで、どことなくほっとした。そうだよ、生きていかなくちゃいけないんだから。何とかしなくちゃ。そのために必要なことなら、私は何でも・・・
 まだ、こんな時間か。家に帰れるまでずいぶん時間をつぶさなくちゃ。今日は、ジュース飲み放題のファミリーレストランへ。軽い食事を取り、コーヒーにジュースをたっぷりもらってきて、メモ紙と便箋、ペンを取り出した。家庭問題相談所のオカモトさんに、お礼のお手紙書かなくちゃ・・・カウンセリングのお礼、診断の結果、そして、悲しい報告に、
『検査を受ける決心が出来ました。オカモトさんのおかげです。本当にありがとうございました。』
お礼の言葉を添えて。フルネームに相談所の住所。名刺をいただいておいてよかった。きちんと折って、封筒に・・・よし!
 家にて。夕食後、また奥の部屋でお父さんお母さんと。
「どうなの!これから働けるの?どうなの!」
「うちはぶらぶらしてもらう余裕はないぞ!」
「だから!」
だから、どうして聞く耳を持てないんだよ!
「だから!これから考えていくんじゃない!」
「何を考えるんだ?」
「だから・・・・」
「はん!医者なんてね、あの人たちは病名つけたら、はい、おしまい、よ!親はね、ハルカに対して一生責任があるの!」
だから!そうじゃない!これからどうするか、一緒に考えて行こうって助けてくれるのが診断でありドクターじゃない!だいたい、一年半前に言ってたよ、私は。それをわざわざ遅らせたのはあんたらじゃない!
 何もわかってない。うちの親は何もわかってない。このまま放っておいたら、とんでもないことになりかねないことが。

『ガシャン!』

二年前、講師の仕事行く前に勤めていた職場のことがフラッシュバックした。まあ、研究所の事務補助をしてたんだけど、女の子三人で仕事してて。たぶん、それまでから仕事のことでいっぱいストレス溜まっていたとは思う。そして、何でもない言葉の掛け違いから、私は頭の中が真っ白になり・・・無意識の状態で、職場の窓ガラスを、割ってしまったんだ・・・
 三人の怒鳴りあいが続く。
「頼りない頼りない!今度、ジョブサポートセンター私もついていくわ!」
「出来ないって!」
言い出したら聞かないお母さんを何とか制止する。頼むから、もっと重く受け止めて欲しい。あの日、ガラスを割ってしまったこと。あれが人に向かっていたら、どうなっていたか!

 
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ADHDとともに「君の星座」第5章 翼、もがれて その7

2013-12-27 19:22:04 | ADHDとともに「君の星座」
 十月も半ば。さすがに長袖になっている。この間買ったショートブーツも下ろすか。せっかく買ったのに、買ったとたん解雇だなんて。私、アルバイトも続かないなんて。
 ジョブサポートセンター。ニシカワさんのカウンセリング。解雇後初めてあった。
「こんにちは。・・・マツウラさんから聞いてる。」
あえて、直接的には言わないのだろう。
「はい。いきなり解雇って言われたんです。今日限りで来るなって。」
保健師マツウラさんに伝えて、またもう一度同じ話を。癒しになってるのか辛いだけなのか。
「診断が出た、次の日だったんです。」
「うん・・・診断は、どうだったの?」
「発達障害傾向だそうです。不注意って言われました。」
 ニシカワさん、少し黙り込んで、
「で、ツキシロさんはこれから、どうやって行きたい?」
「働きたいです・・・」
これしか言いようがない。だって、働かなくてどうやって生きていくの?いずれ親もいなくなるじゃない。私は一人で食べていかなくちゃ行けないじゃない。
 WAIS(ウェイス)の結果をニシカワさんにも見てもらう。しばしの沈黙のあと、
「知的発達に問題ないらしいんです。常識もあるし、全体の流れもわかってるって言われました。」
「うーん・・・僕もこれが専門であるわけじゃないからね。マツウラさんもそうだし。ここには、発達障害に詳しい人っていうのは特にいないんだ。障害者用のブースもあるけど、あそこはもっと重い障害の人向けだしね。手帳がないと利用できないし・・・」
もう、ここだけじゃ解決できない。他の相談機関が私には必要。
 ニシカワさんは、パソコンで検索しながら、県内にある相談機関の情報を見せてくれた。
「そうだな・・・手帳なしで利用できるのは、ここと・・・それと、発達障害に特化してるところもあるよ。」
「あ、そこ知っています!講師の時、講演会のお知らせが来てました!」
発達障害者支援センター。二〇〇五年、発達障害者支援法が出来てから出来た。全国の各都道府県に一軒はあるんだ。
「どこが合うかは、自分で訪ねてもらわないとわからないけど、ま、資料を。」
「ありがとうございます。」
いくつかの相談所を掛け持ちするのは、まったくの普通らしい。
「要するに、いいところ取りをするんだよ。医療はドクターに、生活面はマツウラさんに、仕事探しの戦略と相談は僕にって感じで。」
 ここへ来て、何年も相談して、発達障害に気づく人も結構いるらしい。
「で、こころのクリニックを紹介した利用者さんもいるよ。ここのカウンセラーさんは皆、その事例持ってるよ。」
「それは前も聞いたんですけど、働けたんですか?その人たち。」
「うん。障害者手帳取ってね。一般枠も障害枠も・・・まあ、ケースバイケースだけど。とにかく、今回のこともがっくりくることはないよ。診断も出たし、ドクターとももっと相談して。僕とも一緒に考えていこう。」
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ADHDとともに「君の星座」第5章 翼、もがれて その6

2013-12-26 19:01:58 | ADHDとともに「君の星座」
 奥の部屋で、お父さんお母さんに詰問され。
「結局、仕事が出来ないの?」
「違う!」
部屋にある服、クッション、手当たりしだい投げつける。
「ほら、また怒鳴りだした。」
ついには立ち上がって、手に持つものでお父さんお母さんにぶっつけて。
「やめろ!」
「誰がやめるか!アホ!」
 キッチンへ走っていく。あのヤロウ、あのヤロウ!クビにしやがって!新聞紙、ライター。
「ハルカ! 何してるの!」
「火、つけてやる!」
「何言ってるの!馬鹿なこと辞めなさい!」
アルバイトすらクビになったんだ、どっち道生きてく道ないよ、私は!制止を振り切ろうと・・・あの二件の医院だ!クビにならなければ平穏に暮らせたんだ!燃やしてやる!燃やしてやる!
 あーあ。私は物凄く後悔して、半ば家出状態で繁華街に出てきていた。どうしてあんな暴れ方したんだろう?お父さんお母さんに暴言吐いて、殴って。はん!私が中学の時には、あっちが散々やってきたんだからね!大人になった今、お返しだ!
 夕べは、あのまま夜中の三時まで暴れて。寝ないまま夜明けを迎えた。外へは一歩も出ていない。新聞紙にライターは自分の手で元の位置に戻した。腹立つけど、クビになった職場にはもう、何も抗議できないんだよな。悔しいけど・・・そう思うとやっぱり、報復したくなるけど、どんな手を打つ?・・・打てないじゃない。
 とりあえず、朝は食べてるけど、昼も食べようという気はしない。お金ないし。と言いながら、ゲームセンターに来てるんだけど。ゲームをすると言うより、騒音に身を隠すようにベンチにかけて、居場所にさせてもらってる。あーあ、何でこんなことになったんだろう?
 私には障害があるんだ。そうわかっても、傷ついた現実をかき消せるものではなく。診断さえ出れば、すぐに解決の糸口がつかめると思ったのに。かえって混乱したような気持ちになってる。
『あなた、不注意ですね。』
それで、それだけで、どうして解雇になるの?どうして空気が読めないって言われるの?コミュニケーションが取れないとか。整形外科の奥さん。私に全体の流れわかってないって言ったけど、
『常識もありますよ。全体の流れもわかっています。』
何も見抜けてなかったんだね。
 ドクターにも聞くけど、自分ももっと勉強する必要あるな。私は一体何なのか?あ、そうだ。
「あの、これ。入り口でもらったんですけど。」 
「はい!ありがとうございます。クレーンゲーム一回無料ですね!」
よかった!ちょうど欲しいプライズが入ってる台があったんだ。本当にラッキー!
『おめでとうございまーす!』
めでたく一発ゲット!
 ハハハ。店員さんが大きい袋くれたけど、嬉しくて嬉しくて。ゲットしたぬいぐるみをその場でぎゅっと抱きしめた。
 



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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その5

2013-12-25 18:57:22 | ADHDとともに「君の星座」
 無職になったけど、おじいちゃんがいるから結構私にも用事をふられる。
「ハルカ、今度の水曜日、家にいてくれる?」
「うん。予定は特に入ってないし、いいよ。」
お父さんとも、
「お父さん!お母さんが今度の水曜日用事って。私、留守番できるし・・・」
まあ、家族とは普通に話ができてるのは幸いか。だけど・・・
 診断が出た。障害だとわかった。そして、立て続けに解雇された。
『不注意』
このキーワードを元に、私はかなり厳しい矯正を受けることになり。
「ちょっと!ゲームの本なんか読まないで!一緒にドラマ見なさい!」
無理やり興味もないドラマを一緒に見ろって言うんだ。
「テレビでもいいから、一緒に過ごすって練習をしないと。だから、職場でも浮いてるって言われるのよ。・・・ほら、これが空気を読むってことよ!」
ドラマのシーンを指して。そんなこと言われたってさ!
 そのうちに座っているのがしんどくなって、私は庭の見える窓辺に移動した。私、ドラマみたいに長いの駄目だ。映画も苦手。三十分ぐらいのアニメがちょうどいい。・・・て言うか、所詮お話はお話。それで練習したからって、リアルで空気が読めるかって絶対ありえない。無理だよ、努力したって解決しないんだ。もう私は、最大限努力してきた!障害を持ちながらも。
「ハルカ!お皿のふちが洗えてない!」
ここからまた、一時間の小言となり。
 外の世界で追い詰められて、さらに家でも追い詰められてるみたいで。夕方、ちょっとお父さんに呼ばれた。
「ハルカ、次、ジョブサポートセンターはいつ?こころのクリニックにはいつ行く?」
「ジョブサポートセンターは、今週金曜日で、こころのクリニックは次の月曜日。」
「・・・そうか。で、どう言われてる?」
「何について?」
「これからの仕事についてさ。」
「いや。まだあれから会ってないし。」
解雇されてから。診断を受けた翌日の出来事だったから、こころのクリニックのウノ先生も、こうなったことは知らない。ニシカワさんにはもう伝えたけど。
「どうする?病院は次、一人で行くか?・・・で、お前、夜は寝られてるか?」
「・・・・。」
 本当にどうしたらいいんだろう?原因がわかったのはよかったけど、これからどうしたら?
「おやすみ。」
自室に上がろうとした時、すごい足音が。
「おい!アホ!」
お父さん!
「タオル置きっぱなし!片付けろ!この不注意が!」
「ご、ごめんなさい!」
慌てて飛び起きて、下の部屋まで自分の使っていたタオルを片付けに降りた。 
 
  
 

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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その4

2013-12-24 22:10:31 | ADHDとともに「君の星座」
 ハルカ、十三歳。中学二年生。
 結局、二学期の期末試験も惨敗で。
「何考えてるの!このアホ!」
殴られて蹴られて暴言浴びせられて。
「女の子は仕返しできないから、いくらでも殴っていいのよ。」
「ほら!もう出て行け!」
放り出されてそのまま家出、警察沙汰になり。
 それ以降、私の下校はお母さんのお迎えつきになった。
「ったく。家出なんて格好悪いことしないで。これ以上親に恥をかかさないで!」
家の前でサッカーボールで遊ぶのも駄目。ゲームは中学受験中のナオキのために取り上げられ、どんどん逃げ口をふさがれていく。
 学校でも家でも、身を硬くしてじっとしている以外になくなってきた。だって、身動き一つでもしたら、絶対言われるもん。ハルカさんは授業中に落ち着きがありませんって。
「ツキシロさん!」
家庭科の授業で。
「被服の作品、まだ提出してないけど?どこまで出来てるの?」
「そんなの、嫌いなことなんでやらなくちゃいけないの!」
「嫌でもするのが学校の勉強なの!」
「何で!嫌なことは絶対しない!私は!」
先生ともけんかばっかりになってきた。だって、家庭科なんてやる意味感じないもん。今時、一から自分で服作ってるやつっているかよ!
 私、何を悪いことしたの?どうして怒られてばっかりなの?成績悪いから?友達いないから?そんなのいっぱいいるのにどうして私だけ!
「修学旅行の班を決めます。」
春休みにあるんだ。小学校の時は楽しみだったけどね。今は・・・行きたくない。学校の連中と泊まりで過ごすなんて、絶対嫌。だけど、行くしかないんだよね。家にいても。
 お父さんお母さんが大喧嘩してる。わかってるよ、あれ、わざとだってこと。
『中学生の家庭は荒れていなければならない。中学生の居場所は部活動でなければならない。』
そう言いたいの、丸見えだもん。何で私を犯罪者扱いしたいの?私、疲れた。もう、疲れたよ・・・
 夜。自分の部屋で長く枕元のスタンドをつけている。アニメ雑誌に漫画。それと、じゃん!携帯ゲーム機。おばあちゃんに買ってもらったんだ。ここが私の居場所。この空想の世界だけが私の居場所。学校の連中と関わらされるより、この方がよっぽど人の心とか学べる!

 三十二歳になって。当時の大人は辞めさせようとしてきたけど、あの頃ファンタジーの世界に居場所を求めたこと、物凄く正解だったと思う。
 
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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その3

2013-12-23 19:31:54 | ADHDとともに「君の星座」
 悲しすぎて、何も考えられないんだけど、頭が働かないわけでもなく。
「ハルカは仕事が終わりになって、ほっとしてるかもしれないけど。」
何で!
「違う!そんなこと思ってない!どれだけショックか!」
「親のほうがもっと辛いわよ。」
どうしてそこまで私の気持ち無視するの!・・・昔から、女には心がないって言ってたそのままじゃない!
 親はとにかく、やっぱり私は発達障害だったんだ・・・アスペルガーだと思ってたけど・・・不注意って何だよ?・・・眠れない夜が明け。
 お母さんから、
『平日は、仕事の振りしてなるべく出て行って!おじいちゃんに言い訳たたないから!』
で、朝から出かけている。とりあえず、ハローワークへ。先に解決するべき問題がいっぱい出来たわけだけど、ここにも行っておく。もし、いい仕事が来てたら働いたほうがいいから。・・・だけど。何をしたらいい?私には何が出来る?医療事務はもう絶対無理。結局、何も出来ないじゃない、私・・・
 あーあ。まだ、お昼にもならない。どこへ行こうか?夕方まで家に戻れないし。お昼を食べようにも、お金が。貯金はしてきてるけど、むやみに取り崩したくない。お金かからず、長時間過ごせるところ。ファーストフード店か。
「すみません、ホットコーヒー、一つ。」
「ありがとうございます。百円です。」
また痩せるな。まあいいけど。ちょっと隠れ家っぽい位置のソファに力なく崩れる。
 スズキ内科。解雇されたあの日、ぽんと渡された金封。中身は三万円だった。
『しばらく困らないようにしてやるから。』
それだけでしばらく困らないかよ!いくら親に甘えてるといっても、三万円じゃ一ヶ月も暮らせない!次から次から簡単に仕事見つかるわけないのに!

『今月いっぱいか来月半ばには退職してください。』
『あんたは気に入らないから。今日限り出て行って!』
『お前なんか就職できない。』

 馬鹿にしてる!
「ドンッ!」
二つの握りこぶしをテーブルに振り下ろした。あ、ごめんなさい・・・ 
 ここ三ヶ月の間に、二回も解雇されてしまった。だけど、これは避けられた傷!私、気づいていたもん、発達障害だって。親にも伝えたのに!あの時、何としても振り切ってでも病院を探して検査に行くべきだった!わかっていたのに・・・

『出て行け!』
 

 
 
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ADHDとともに「君の星座」第9章 翼、もがれて その2

2013-12-22 18:59:44 | ADHDとともに「君の星座」
 本当に失敗してなかったの?それなのに、どうしてクビになるの!何回言ってもらってもわからない!私は何もかも仕事に注いでた!
 ハルカこちらが言えばいうほど激しい言葉で抵抗する。確かに、こちらがいくら詰問しても答えは変わらないのかも・・・主人と一緒に、こころのクリニックのドクターからお話を聞いたあの日。
『え?ハルカさんはもう、医療事務の仕事、根を上げられてますよ?』
ドクターには、「給料安いし」とハルカは言ったみたいけど・・・もしかしたら、かなり無理な仕事だったのかしら?まさか、普通に人ができることが出来ないなんて。
 翌日、ジョブサポートセンターへ。保健師マツウラさんだけど・・・前のカウンセリングの日に、WAIS(ウェイス)の結果を持っていきますって予約入れてたんだ。だけど、今日取っていたことが本当によかった。
「こんにちは。本当に、立て続けにこんなことになってしまうなんて・・・」
がっくりきている私に、
「まあまあ、そんなに気にしなくていいわよ。だって、前の整形外科のことでかなりショックだったでしょ?そのあとすぐ行ったんだもん、それだけでもすごいことよ。前のところ、かなりハードだったんでしょ?」
確かにそのとおり、事実上、三ヵ月で終わったけど、週四十二時間働かせて十万円にならないなんて。
「はい、そのあと熱出しましたし。そのあともなんとなく不調で。」
体の赤い発疹。これもひかないまま。薬も効果なし。
 あ、そうだ。私は一枚のコピーを取り出した。
「WAISの結果です。」
真剣に見ているマツウラさん。
「うーん、私も専門じゃないからあれなんだけど、どうだったの?」
「はい。知的には問題ないんですけど、不注意って言われました。で、診断は発達障害傾向と言うことで・・・」
そりゃ、マツウラさんがすっきりしないって顔するのは当たり前だろう。私もすっきりしなかったもん。
「まあ、その傾向があるってことだけですよね?」
「うーん・・・」
「だけど、不注意ってどういうことなんでしょう?ほら、私が困ってるのはコミュニケーションとか、空気が読めないってことじゃないですか。」
「そうね、その辺はじっくり主治医の先生に聞くしかないわね。」
本当にそうだよ。不注意だけで人間関係困るのかな?失職繰り返すのかな?だいたい、そんなの言われるの始めてだし。
「わかりました。そうします。では、また次回の予約ですけど・・・ニシカワさんの方にも・・・」
 カウンセリングは一時間。まだ夕方、家に帰る気はしない。帰らないわけにも行かないけど・・・結局、夜遅くにそっと帰宅。まだ暑いし、そのまま寝るわけにも行かない。シャワーを浴びて、洗面所のドアを締め切ってドライヤーする。突然ドアが開き、
「お前誰だ!」
お父さん。かなりアルコールが入っている。
「お前は誰だ!お前は誰だ!クビ?わしの子じゃない!」
二階からお母さんが降りてきて。
「あなた!お酒飲んで、やめて!やめてちょうだい!」
悲しすぎて、涙も出なかった。

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