チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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時は管理教育「この時代を」第11章 新たなる秩序 その6

2015-08-23 20:36:31 | 時は管理教育「この時代を」
 桜は満開に・・・道には新入生の姿。平成三年度が始まった。朝の支度中の、ユウの自宅。朝食を食べているユウの父親が。
「ユウ!またジャージで行くつもりか?」
「行くつもりって・・・私は今まで通りの格好してるだけだよ?」
横で聞いていた母親、
「そうかもしれないけど、ユウ。もう三年生よ?少々嫌でも、制服にしたらどうなの?今年は受験があるのよ。」
「わかってる!」
荷物を持ち、飛び出していくユウ。お父さんもお母さんも!あんな校則間違いだったって、わかってるはずなのに!・・・この間、家のポストに学校のお知らせが入っていた。
『制服は今まで通り着てくること。』
校則について詳細は、新学期が始まってからって。
 学校に着くと、部活の風景は相変わらず。髪形も・・・
「おはよう。遅刻するなよ。」
一応、先生は立ってはいるけど、ここで検査はなしか。三年二組の教室。私たち仲良し三人組は、今年も同じクラスで。
「おはよう!キョウコちゃん!」
最終学年だから仕方ないんだけど、今年は教室が三階。キョウコちゃん、きついだろうな。マコトちゃんは今年もフリースクールに行くんだって。
「ユウちゃん、やっぱりジャージにしたの?」
「まあね。あ、ベルが鳴った!・・・じゃ、あとで。」
今年の担任は家庭科の女の先生、
「始めまして。オオカワです。この一年間で中学校も最後、受験があって大変ですが、修学旅行とか楽しい行事もたくさんあります。皆、仲良くいきましょう。」
 この先生、まあ優しそうか?去年のより何倍もいいよ。鬼みたいだったよな?うんうん、クビになってよかったよ。
「こら!静かにする!」
わ、怒ると怖いよ、この人も!教科書をもらって、生徒手帳も配られる。
「では、校則について確認します。」
一緒に生徒手帳を開くんだけど・・・なにこれ?
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時は管理教育「この時代を」第11章 新たなる秩序 その5

2015-08-16 20:51:40 | 時は管理教育「この時代を」
 お邪魔しました・・・夕方、キョウコちゃんと返っていくユウちゃんが、
「大人が絶対正しいなんて嘘だからさ。マコトちゃん、自分のことは自分で、しっかり決めたらいいと思うよ。」
と、言ってくれたこと。深く深く沁みる。自分で決めていけ。責任をもって。
 四月一日、平成三年度の始まり。校長を始め、大半の教員が入れ替わった第一中学校。その、大会議室。
「先生方、お疲れ様です。只今より新年度の全体会議を始めたいと思います。まずは、黙祷。」
去年の事件で亡くなった生徒に。今年度からやってきた校長の号令で捧げる。今、この国のどこを探しても、あの事件を知らない人間はいないだろう。新任、転任教職員の挨拶、一通りの伝達が終わった後、
「ここからは、生徒指導の方針について話し合いたいを思います。ご存じのとおり、世間では管理教育と、学校の指導の在り方に非難が上がっています。生徒手帳に記載している校則も・・・」
「すみません、校長先生。校則の変更に関しては、生徒会も通す必要があります。」
「本格的な変更は子どもたちが来てからとして、教員としての指導の在り方を・・・」
 昨年度の終わりに、国から、全国の国公立の中学校に通達があった。
『生徒指導の在り方について』
改善するようにとの通達。部活動は強制しないこと、制服は卒業までの時間等を考慮して強制的な着用をさせないこと。
「制服を辞めろとは言ってませんよね、国も。」
「とりあえず、服装と頭髪の検査はやめましょうか。」
「では、どうやって指導するんですか?」
「注意にとどめるぐらいしかないですね。せいぜい反省文、減点ぐらいしか。」
 もうすぐ新学期。もうすぐ三年生になる。先に控えている高校受験を気にしながら過ごす、ユウ、マコト、キョウコ。マコトの自宅。母親が、
「お父さん帰っちゃったし、一緒にお話しできないけど。マコト。どうするの?四月から。」
お母さん、中学に戻れ戻れってすごい勢い。言葉にしなくても感じる。だけど、私は。マコト、首を横に振り、
「私、春からもフリースクールに行く!」
「ま、マコト!」
部屋へ戻るマコトの背中に声を投げかける。そんな!受験があるのにどうするの!マコト・・・あんなマコトを見たのは初めてだわ。しっかりしたというのか。

 
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時は管理教育「この時代を」第11章 新たなる秩序 その4

2015-08-08 20:25:16 | 時は管理教育「この時代を」
 三月最後の日。今日は第一中学の離任式だって。その後、ユウちゃんとキョウコちゃんが揃って、私のマンションに来てくれた。
「マコトちゃん!」
元気そうだね、よかった!フリースクールはどう?うん、今は春休みだよ。珍しく、マコトちゃんのお母さんがいない。
「お母さんね、お父さんを送りに行ってるのよ。」
マコトちゃんがお茶とお菓子を出してくれて。
 一応、伝えてはおこう。今日の離任式のことを。こういう話を切り出すのは、キョウコちゃんのほうがうまい。
「あのね、マコトちゃん。離任式なんだけど、今度さ、校長も教頭も変わるんだって。」
横からユウが、
「そうそう、偉-い先生たちがさ、一斉に入れ替え!責任取らされたんじゃないの?」
「ユウちゃん!」
ユウを制止するキョウコは弁解するように、
「要するに、総入れ替えよ。普通の担任とかの先生も、半分以上いなくなるみたい。」
 中からも外からも、第一中学を改革しようと。クッキーをポリポリと頬張りながら、ユウ、
「絶対に変えなくちゃいけないからね、うちの中学。人が死んでテレビでも大騒ぎされてさ。でも、どこまで変わるか、だよね。」
横からマコトが、
「ユウちゃん、いつもそう言ってるよね。」
「でもさ、学校って皆にとって過ごしやすい所であるべきでしょ?」
キョウコちゃん・・・何だろう?ユウちゃんに考えが似てきた。キョウコちゃんこそ入院ってことになって、もっと大変だもんね。
「校則のせいで学校から追い出されて、大事な将来を潰されたらたまらないよ。」
ユウちゃんのこの言葉こそ、私たちがこの二年間経験してきたこと。もし、このまま未来を絶たれることになったら?
 マコトの母親が帰ってきた。
「あら、二人揃って。こんにちは。」
「こんにちは。お邪魔しています。」
「早いものね。もう三月もお終いね。・・・あらあら。皆、大きくなって。」
ユウ、キョウコ、マコト。三人の背丈はほぼ変わらなくなっていた。
   
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