チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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時は管理教育「この時代を」第10章 ちぎれた鎖 その27

2015-05-28 19:44:46 | 時は管理教育「この時代を」
 ミーンミーン。セミの声がさらに蒸し暑くする。アヤセマコトのマンション、
「マコト、暑くない?」
「うん。大丈夫。」
世の中の学校全体がお休みになったせいか、マコトも精神的に落ち着いている。病院のカウンセリングには、ずっと行ってるんだけど。
「マコト、カウンセリングは効果ある?」
「え?」
「ほら、この春からフリースクールに行くようになって、生活のリズムもできたと思うけど、どう?」
だけど、第一中学であんな事件があって、マコトも気づいていないところで傷ついているかもしれない。
 結局、マコトのカウンセリング続行決定。
「ねえ、カウンセラーさんとはどんなこと話してるの?」
「それは言えない。」
ふぅ。こればっかり。カウンセリングの内容は、親でも教えてもらえないからね。でも、今日は一緒に行く。親の私はカウンセリングではなく、お医者さんにお会いして、マコトの状態をお伺いするの。
 子ども病院児童精神科。マコトがカウンセリングルームに行っている間に、診察室へ。
「お世話になっております。あの、カウンセリングが始まって四か月ほどたちましたが、マコトはどうでしょうか?」
主治医の先生、
「はい、その件ですね。心理士とはうまくいっているようですよ。」
「あの、どんなこと話してますでしょうか・・・いえ、こんなこと、教えていただけませんよね。」
逆に、主治医の先生から質問された。
「おうちのほうではどうですか?フリースクールに行かれるようになりましたが。」
「そうですね、生活のリズムができたのと、出かける場所ができたのと・・・安定してきてはいると思います。ここからもっと安定させて、第一中学のほうに戻らせるべきなのか。今のところは、例の事件がありましたし、もう少し・・・」
何を言ってるの?私。全然話がまとまってない。
「お母様としては、いずれ、第一中学に戻らせたいと思われていますか?」
「え!・・・そうですね。やっぱり、本来はそちらに行くべきですし・・・」
 
 
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時は管理教育「この時代を」第10章 ちぎれた鎖 その26

2015-05-12 19:50:29 | 時は管理教育「この時代を」
 まずは、キョウコちゃんのお母さんにお願い。
「はいはい。いいわよ。キョウコと、うちのお父さん・・・お兄ちゃんも書かせてもらうわね。うちからは四人ね。」
即興で作った嘆願書に、早速サインをもらえた。
「ありがとうございます!・・・あ、そうだ。これ、もっとたくさん作らなくちゃ。コピーとかしないとね。」
お礼を言いながら、それに気づいたユウにキョウコがほほえみながら、
「そうだね。」
 第一中学校職員室。
「部活を止めてるから、本当に静かだな。」
「そうですね・・・」
生徒たちの動揺と、警察の捜査と、報道の問題で、お盆までは部活動も活動停止。学校としてこれから、生徒にどんな指導をしていけばいいのか。
「生徒を死なせるような指導は、もう、絶対にダメですよ・・・」
「よさないか!誰も今回のことは予想しなかっただろ?・・・事故だよ。当たり所が悪かったんだ。」
だけど、今のままでいいはずがない。世間からも非難の声が上がってる。保護者も生徒も許さないだろう。しかし、
「再び学校が荒れるようなことになっては元も子もありませんしね。」
「今、一時的に認めているような自由は、続けれられませんよ。」
 コンビニで、コピーを取っているユウ。そうだ、お菓子を買おう。
「ありがとうございました。」
商品が入ったビニール袋と、紙の束を抱えて家に戻る。とにかく、行動あるのみだよ。私が動かなくちゃ、誰が動くの。もう、誰も学校で死ぬなんてことがないように。夜、タカクラユウの家。
「お父さん、お母さん、署名お願いします!」
ユウが差し出した嘆願書を見て、驚く両親。
「署名活動してるのか?お前。」
「うん!校則を変えるんだ。九月になったら、皆が幸せに生きられる第一中学になっていますようにってね!」




 
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時は管理教育「この時代を」第10章 ちぎれた鎖 その25

2015-05-09 20:21:49 | 時は管理教育「この時代を」
 何とかたどり着いたという感じの、夏休み第一日目。タカクラユウの家。朝、いつも通り一緒に朝食を取って、主人は仕事に行き。ユウと二人だけで過ごす時間が、しばらく多くなるのね。一緒にいると気になることも多くなるけれど。ユウ、精神的には、大丈夫な感じだけど。だけど、注意深く見ておかないと。先生の指導でオガタさんが亡くなって、ショックを受ないわけないものね。親の私だって。ユウは陸上部にいた時もオガタさんのことは結構意識していたし。
『お父さんがオリンピックの選手だったんだ。ありえないぐらい速いよ。』
お出かけの準備を終えたユウ。
「お母さん、行ってきます。」
「え!どこに行くの?」
「キョウコちゃんの家。一緒に宿題する!」
 自転車で下り坂でも、大汗をかく。
「こんにちは!」
「いらっしゃい、ユウちゃん。」
奥の和室にいたキョウコちゃんと顔を合わせて、第一声。
「聞いた?今日のニュース!」
逮捕されている私たちの担任が、警察に供述したこと。
『私は、学校の方針に従って指導したまでです。』
キョウコちゃん、両膝を抱いて、
「じゃあ、誰のせいでそうなったの?」
 そうだよ・・・ユウ、怒りを抑えながら、低い声で。
「責任の押し付け合いしてるだけだよね。逆にいうと、誰の責任でもなくなるんだよ。」
誰にも責任がない?話を続けるユウ。
「私だってさ、責任あるよね。去年、あれだけ校則を変えようって言ってたのに・・・」
結局、何もできなかった。何も変わらなかった。
「ユウちゃんのせいじゃないよ、それは。」
「ううん。」
気を取り直すユウ、レポート用紙を一枚破り取って、
「今がチャンスだよ、夏休みの間に校則を変えさせよう!嘆願書を書くんだ!」


 
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時は管理教育「この時代を」第10章 ちぎれた鎖 その24

2015-05-01 19:48:38 | 時は管理教育「この時代を」
 こうして、子どもたちは夏休みを迎えた。
『ご家庭での指導、監督をよろしくお願いします。』
保護者会でそういうってたけど、子どもは私たち親が権限を持つものよ。それを学校がよろしくって。アヤセマコトの家、
「マコト、教頭先生が通知簿、持ってきてくださったわよ。」
マコトの気持ちとしては、見たくもないかもしれないけど、伝えないわけにもいかない。
「ありがとう、見せて。」
あれ?見るの?私の手から取って、通知簿を開くマコト。
「ま、仕方ないよね。」
実技科目がオール一に対して学科はオール五。
『フリースクールへの出席も、学校への出席と認める。』
そんなことが国で決まったのよ。それだけ不登校問題は深刻ってことなのね。
 ツチヤキョウコの家。通知簿を見ながら、お父さんが、
「キョウコ、大変な中だったのに、よく頑張ったな。」
「ううん。悲しいのは私だけじゃないもん。」
本当に思いやりのある娘。去年、暑い時期は欠席が多かったのに、今年は少ない。喜べないけど、私服登校になったからだろうか。
「第一中学もこのままずっと、私服にしたらいいのにね。」
お母さん・・・そうだな。それもいいかも。だけど、学校なんだから、ある程度ルールはいるんじゃないかな?今みたいな厳しすぎるルールはおかしいと思うけど。
 タカクラユウの家。夜、両親と三人で通知簿を見ている。
「うん、よく頑張ったな。」
「そんなことないよ。」
「あら、ユウらしくないわね。謙遜するなんて。」
「ケンソン?」
「自分のことを控えめにいうってことよ。ま、それはいいとして、ユウ、塾はどうするの?」
お父さんが横から、
「今の塾、どうしても嫌なら、違うところに代わってもいいぞ。どっち道高校受験があるから、このままどこの塾にもいかないってわけにはいかんだろ?」
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