チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その8

2013-11-30 18:57:35 | ADHDとともに「君の星座」
 ここは内科と、小児科もやってるんだって。
「ツキシロさん、子どもは好き?」
一度身につけば、全国どこでも働けるっていうけれど、医院によってずいぶん違うんだなって気づかされている。カルテ一つにしたって。
「こんにちは、今日はどうされますか?」
「あの、ここの医院は皆、診察ですので。」
あ、そうか!
 いずれにしても、職場を変わると何もかも一から覚えなおし。本当にこんなこと、よく適応してるとわれながら感心する。自分が望んでるわけじゃないのに・・・それも、もうすぐ解決できるんだ。家庭問題相談所の面談日がもうすぐ来る。
「よし!今日は診察終わり!」
まだ十二時前なのに。会計の仕方、後片付け・・・そこまで教わりながら仕事を終えて十二時十分だった。
「初めてでしたけど、どうでしたか?」
「はい、ありがとうございます。」
たくさんお仕事入れてもらえたことはありがたいけど、事前に決まっていた予定もある。申し訳ありませんが、この日とこの日の午前、お休みさせていただけませんでしょうか・・・ふぅ。よかった、交渉成立。ブロロロロ・・・家に向かうバスでも。
『帰りのバスでも、ノートを読み返してずっと勉強しなさい!』
 お昼の太陽かんかん照りの中、
「ただいま。」
おじいちゃんとお母さんがいる食堂。
「おかえり。どうだったの?」
「し!後で話す!」
おじいちゃんがいるからさ。お母さんも、もうちょっと周囲の状況考えるべきだと思う。私も人のこと言えないけど。
「おなか空いただろう、ハルカちゃん。」
先に昼食を終えたおじいちゃんの横で、私はお昼ご飯を。その間におじいちゃんはベッドに行き・・・
 今のうちに、話してしまおう。
「で、どうたったの?」
「うん、本当にこじんまりした医院。受付も四人で看護師さんは一人。内科と小児科もしてるんだって。ま、整形外科とはまた勝手が違うなって。」
「仕事は、ちゃんとノートに書いてるでしょうね?」
「当たり前でしょ!前の医院でもやってた!」
そうだよ!きちんとノートに書いて、ちゃんと仕事は覚えられていた!
「反抗しないの!解雇なんてこと、よっぽどだったってことでしょ!」
そうじゃない!・・・だけど、もうすぐその原因も判明するんだ。
「あの、お休みの交渉も出来た。留守番の日と、家庭問題相談所に行く日と。」
 
 
 
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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その7

2013-11-29 19:24:41 | ADHDとともに「君の星座」
 悪夢も見ながら寝て過ごして三日・・・ようやく熱が下がった。よかった、間に合ったよ。次の職場の初出勤に。
 週が明けて、八月。ハルカちゃん、今日から出勤ですか?ええ、はい。おじいちゃんに、解雇されて転職なんてことはとても言えず。
「ま、前よりはゆっくりだしよかったわね。・・・ハルカ!そんな服で行くの?」
「だって、上から白衣だよ?」
「それでも!もうちょっとましな服あるでしょ?婚活に買ったワンピースもあるのに!」
「何でそんなの着なきゃいけないの!」
「まあまあ、上手に汚い服でいける職場ばっかり探してくるわね!」
何を!・・・あ、バスが来る。
「遅れる!行って来ます!」
 午前八時。ブロロロロ・・・むちゃくちゃ頭にきた!服装、服装、服装!中学からずっとそればっかり!なら、何で私服校なんかに入れたんだよ!
『いい?これからは、普段から仕事以外のことは一切考えちゃ駄目よ。仕事の往復中もバスの中でずっと仕事のノーと読むこと!パソコンは開けないで。ブログも辞めて。それでお金稼いでるわけじゃないんだから!』
 午前八時半、新しい職場に到着。まだ、シャッター開いてない。早すぎたな、仕方ないけど。よいしょ・・・なるべく日陰に腰を下ろした。ギギギギ・・・
「おはようございます!よろしくお願いいたします!」
「はい、どうぞよろしくお願いします。じゃあ、入ってください・・・」
今度の奥さん。私より背が高いすらっとした人で。
「休憩室はないので・・・このロッカー使ってください。白衣はここに・・・」
今度こそ失敗してはいけない。些細なことでも全てノートに書き付けていく。
 その後から、
「タケダです。」
私よりちょっと若いの女の子。
「フクイです。」
顔立ちが整った綺麗な人、主婦でもう子どもが高校生なんだって。
「オノダです。」
ふっくらとした女性。そんな歳に見えないけど、もうお孫さんが出来るんだって!
「受付はツキシロさんを入れて四人です。あと、看護師さんのイチイさん。」
 院長、奥さんで七人。ずいぶんこじんまりした医院だな。
「では、まず掃除からいいますね。」
タケダさんから。
「はい、よろしくお願いします!」
今後、絶対失敗しないように!掃除道具を持ちながらミニノートにボールペンでしっかり書き込んでいった。
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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その6

2013-11-28 11:48:41 | ADHDとともに「君の星座」
 ねえ、どうして中学生になるの?どうして中学生にならなきゃいけないの?義務教育だからよ。法律で決まってるからよ。
「ハルカ、友達はできたの?」
不登校から、もう一度学校に行き始めて、まもなくこれが始まった。家でも学校でも。
「ほら、皆と遊びなさいよ!」
どうして皆と一緒にお弁当食べなきゃいけないの?
 私は一人でいたい。昔からそうだったもん。皆と遊びたいって思わない。別に、一人で寂しくないし。アニメもあればゲームもある。ボールは取り上げられたけど・・・
『ハルカさんは乱暴です。皆、女の子ですから乱暴な振る舞いは辞めてもらわないと。』
乱暴って?普通じゃない。女子校って先生までわけわからない!
 学校にも色々腹立つけど、親にも・・・
「何してるの!友達作りなさい!」
「要するに、お前が暗いってことだろう?」
小学生のナオキまで、
「僕だって、友達作るの努力してる!」
そうよねー、ナオキ。フフフ。何だよ!ナオキばっかりいい子って!家でも私だけが一方的に悪者にされ、殴られっぱなし、怒鳴られっぱなし。
 定期試験の後には。
「出て行け!」
その結果で放り出され。
「このアホ。知能が低いんだろ!」
「どうせ、マンガみたいに都合のいいことばっかり起きるって思ってるんでしょう。親は必死に言ってるのに、こいつは全然身に滲みないのよ。」
ギャァァァー!その横で、パニック状態のナオキ。
「ごめんね、ナオキ。お姉ちゃん恨みなさいね。ハルカ!全てあんたのせいよ!」
「もう、退学しろ。」
お父さんが電話の前に。
「何で!辞めてよ!」
必死に受話器をもぎ取る。確かにもう、学校は嫌だけど、辞めたところでどうするの!
 心はもう傷だらけ。何もする気力起きない。眠るのも、食事をとるのも、勉強も・・・お父さんもお母さんもナオキも、私は辛抱が足りないっていうけど、私は自分の限界を超える辛抱をしている。
「ハルカ!いい加減に部活しなさい!」
非行に走る!悪い仲間が出来る!
「中学生なんだから、中学生らしく型にはめられることが大切!合唱部に入れ!」
何で・・・部活ってそんなにしないといけないの?成績悪くても?もう、全く理解できないよ!
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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その5

2013-11-27 19:02:22 | ADHDとともに「君の星座」
 解雇された・・・引きずる傷。私は、奥さんが言われた言葉が一番引っかかるわ。気づいてないでしょ?って奥さんが言われたことが。眠れたのか眠れてないのか。
「おはよう。」
「あ、おはよう。ハルカ、どうしたの?顔が真っ赤よ?」
そういえば体が熱くてだるい。体温計は、三十八度!

カツヤさん、ハルカちゃんは風邪ですか?
はい。しばらく仕事がハードで疲れたようです。もうじき、もうちょっと楽な職場に行くんですけどね。

お医者さんへ連れてもらい、薬を飲んで、ひたすら横になって休む・・・セミの声が聞こえる。あの頃の夏も・・・

 ハルカ、十三歳。中学二年生。
 梅雨が早く明けたんだって。暑いなぁ。一応、今年四月から今日まで欠席ゼロ。だけど・・・
「何しに来た!帰れ!」
保健室に行ってはきつい言葉で追い返され。
『中学生の不登校、十万人に。』
だけど、私みたいに私学の子は統計に含まれず。
『不登校は誰にも起こりうる。』
国からそういう発表してるのに。
 クラスメイトとは、一年の時みたいないじめには遭っていない。でも、
「何?あの人?」
「アニメオタクなんでしょ?気持ち悪い!」
こういう心無い子がいっぱい。で、もう一方からは
「ツキシロさーん!」
また!二年になって登校再開してから、一部の連中に追い掛けてられている。私、男の子の代わりにされてるんだ。確かにスカートはかないけど、髪は伸ばしてるし、そんなに男みたいな顔してる?あー!女子校ってわけわからない!
 考えたら、先生の評価も真っ二つ。
「ツキシロさん!寝てないで!・・・もう!教科書は?」
その存在すら忘れてる。嫌いな科目はずっとこの調子。さ、帰ろう。通路を歩いてたら、
「ツキシロさん!」
げ!音楽科のミキ先生!
「あ、もう帰るの?どう?この頃毎日歌ってる?合唱部に入ったらいいのに。」
やめてくれ。最高の迷惑なんだよ!だけど、この人、変に迫力あって逆らえず。
「あ、はい。アハハハハ・・・」
あなたいい声してるし、あなたの音感は天性のものよ。・・・私、そんなの何一つ嬉しくないのに。
 何もかも、もう嫌だ。自分の生まれ持った能力のせいで。音楽とか勉強とか、私、どっちも大嫌い!しんどい思いばっかりさせられてるだけじゃない!


 
 
   

 


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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その4

2013-11-26 19:39:30 | ADHDとともに「君の星座」
 夜十一時半の帰宅。これももうお終い。
「おかえり。どうだった?」
「あっさりしたものだったよ!」
むっとしながら。今日で辞めると伝えた時のこと。こちらもせいせいしたよ!あんなこと言われて!
「次の仕事行くまでしばらくあるし。ちょっとゆっくりしたらいいわ。ほら、物凄く痩せてる!食べてなかったんでしょ、お昼ご飯。」
・・・・。
 お母さんの言うとおり。お昼休み二時間半もらっても家に帰る余裕はなし。お昼をきちんと食べるほど給料も出ない。痩せたことより、この赤い発疹。どうしたらいいんだろう?
『それ、どうした?大丈夫か?』
面接の時、新しい医院の先生にも。
「とにかくもう、ハルカの仕事のことは、親はお手上げだわ。私たちが思いつくことは全部やったもの・・・ジョブサポートセンターの人は?」
「うん、別の、こういう問題に詳しい相談所を相談してもらって。明日、電話する!」
 その翌日。朝一番に電話。家庭問題総合相談所。ニシカワさんに聞いたけど、子どもや若者の問題に対応してる施設らしい。つながった!
『はい、家庭問題総合相談所です。』
「あ、始めまして。私、ジョブサポートセンターから紹介されてお電話させていただきました。」
『わかりました。では、今どのようなことでお困りでしょうか?』
大学を出てから働き始めたけど、仕事が続かない。今まで八回仕事を変わっていて、
「医療事務してたんですけど、解雇になったんです。これで九回離職となりまして。幸い、八月から次の職場は決まったんですけど・・・」
『わかりました。そうですね・・・そうしましたら、ひきこもり相談のほうでお受けします。女性の臨床心理士が対応しますので、では、予約をお入れしますので、ご都合のいい日を教えていただけませんでしょうか?』
 電話終了。よかった。八月四日。結構早く予約が取れたな。だけど、ひきこもり相談で受けるって。電話で言われたとおり私はひきこもりではないし、割り振りに困られたんだろうな。
「よかったじゃない。いろんな角度から見てもらって、自分のサプライズを発見して!」
喜ぶべきなのかどうかわからないけど、親の気持ちも変わってきたみたい。
 制服のポロシャツも洗濯できたし、早いうちに返しに行こう。午後、クビになった医院へ。
「お世話になりました。」
「どうも、ありがとうございました。」
奥さんは気持ち悪いぐらいの笑顔。バンッ!とドアを力任せに閉め、一応、受付にも。
「お世話になりました!」
ドカッ!待合室の患者さんに構わず、受付の扉をすごい力で蹴って、肩を怒らせてこの気分の悪い職場を後にした。
 
 
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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その3

2013-11-25 15:34:34 | ADHDとともに「君の星座」
 暑さも盛り・・・ジョブサポートセンターの中は冷房が効いていて。去年の十月からちょっと模様替えしたのかな?
「ツキシロさん。」
ニシカワさん!
「すみません・・・お久しぶりです。・・・本当にすみません。こんなことになりまして。」
「いやいや。それは仕方ないから。」
解雇されたのに何の分析もしないですぐに次の仕事が決まってしまった。ニシカワさんが心配してるのも当たり前だ。
「ま、それは仕方ないとして。で、今の医院ではどう言われた?」
「はい。仕事中に急に奥さんに呼び出されたんです。あんたはミスが多い、全体の流れがわかってない。だから、出て行けって。」
渋い顔のニシカワさん。
「それはあんまりにも突然すぎるね・・・」
 ここからしばらく、慰められるような話。
「だけどね、ツキシロさんはそんなに気にしなくていいと思うよ。四月から週に四十二時間働いてたんでしょ?となると、社会保険の問題もあっただろうし。」
「あ、そうですね!」
そうだな、それだけ働くとなったら当然付く。
「だとしたら、それって違法ですよね?私をそれで長く使う気だったのなら。」
「そうだね。まず、患者さんの書類を受付の台で書かせてるのも個人情報で問題だよね。それに、その医院さん、それだけ忙しいのに受付三人って無茶苦茶だよ。僕も今、整形通ってるけど結構繁盛してて、受付だけでも常に六、七人いるかな?」
そんなに!ということは、かなり無茶苦茶な医院だったということか。採用されたときはそれなりに喜んでいたけど。
 だけど、いくらニシカワさんに気にしなくていいといわれても、皆、私みたいにはなっていない!
「私、どうしてこうなるんでしょう?」
ここまで繰り返し失職する・・・ここ以外の相談、支援が私に必要。発達障害の診断を受けることも。だけど、それは私から言い出せないか。
「うん。ここにはそういう問題に詳しい人いないし・・引きこもり状態でここに来た人に紹介した相談所があるんだけど。」
ニシカワさんはホームページを開き、見せてくれた。
「へぇ・・・」
「ここで心理検査を受けた、うちの利用者さんも結構いるよ。発達障害だった人もいるし、そうでなかった人もいる。いずれにしてもその結果からジョブマッチングして今は元気に働いてるよ。」
「そうなんですか!・・・私、行ってみます!」
「じゃあ、プリントアウトするからね。予約制だからこの番号に電話して。また結果も教えてもらえるかな?あ、最後に一つ。次の医院はいつから行くの?」
「八月からです。」
 そして、今働いている整形外科医院。午後診の仕事が終わって、引き上げようとした時。待合は無人、受付は奥さんだけ。今がチャンス。
「奥さん、すみません。私ですが、今日で退職させていただきます。」
「はい、わかりました。ありがとうございました。では、ロッカーを片付けていただいて、制服は後日で結構ですので返却していただけますか?」

 
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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その2

2013-11-24 19:49:36 | ADHDとともに「君の星座」
 何とか履歴書、間に合った。黒いスーツで面接へ。結構古そうな医院。内科だって。奥さん風の人が面接。
「今のお仕事は続けれられます?」
「いいえ、もう、退職します。あまりにも激務なので。このとおり酷く痩せまして。」
「はい、わかりました。では、今週末には連絡しますね。」
ま、感触は悪くなかったかな?
 ジョブサポートセンターにも連絡。
「こんばんは、あの、ニシカワさんにお世話になっております、ツキシロです・・・はい・・・」
幸い、ニシカワさんにすぐつながった。失職の知らせに、
『うん、大変だったね。・・・状況はわかりました。だけど、どうしてだろうね?現場でツキシロさんがどうなるのか、僕らは直接見ることは出来ないからね。とにかく、早く次の手を一緒に考えよう。予約は入れてくれた?』
「はい。」
本当に・・・あれだけ支えてもらったのに・・・しっかり分析して、これでいけると思ったのに!
「私、やっぱり調べなくちゃいけないと思う。」
発達障害の有無を。
「そうね、まあ、調べたらいいと思うわ。」
去年の春、講師の仕事の最後に話した時は完全否定だったのに。解雇という重大な結末になって、やっと親も認めざるを得なくなったということか。
 翌日、まだ在職中の整形外科医院。出て行けと言われてもう、行きたくもない。今日にでも辞めたい。
「こんにちは、今日は?」
もう、仕事もする気がしない。一応、親とも話し合っているけど。

次の仕事決まるまでは辞めるわけにいかないし。でも、早く辞めたい。奥さんも来月半ばまではいいって言ってくださってるんでしょ?でも・・・。ま、早い目のほうがよいだろうな。ハルカのためにも。医院の方も。言った以上、一日も早く出て行って欲しいだろ?

気分悪い!気分悪い!気分悪い!ショックを隠しながらの仕事は本当に辛い。どうして解雇なんて目に!怒りと殺意がこみ上げてくる。
 失礼します!たぶん、態度には出てると思う。私の怒りが。でも、それでいいんだ。こんな職場!バス停でバスを待っていた時。ケータイが。あ、この間面接に行った医院からだ!
「はい、ツキシロです。」
『こんにちは、スズキ医院です。今、よろしいですか?』
「はい。」
『先日は面接にお越しいただきありがとうございました。つきまして、もう少し聞きたいことあるんですね。ですので、近いうちにこちらに来ていただけませんでしょうか?』
「わかりました。あの、今、わりと近いところにいますし、今から行くこともできますが。」
『そうですか。では、何時ごろなら?』
「えーと、十五分ぐらいで到着できると思います。」
『わかりました。お待ちしています。』

   








  
 
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ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その1

2013-11-23 14:37:16 | ADHDとともに「君の星座」
 退職してください・・・解雇・・・冷や汗を隠しながら仕事・・・解雇された・・・
「お疲れ様でした。」
何もなかった顔しながら帰る道。どうしよう・・・この夜中、このまま消えてしまいたいけど、帰るしかない・・・親に何て言おう?どうしよう、どうしよう・・・
 バスの中で悩みに悩んで、
「ただいま。」
「おかえり。どうしたの?」
「あの、お父さん、お母さん・・・」
隣の、おじいちゃんの来ない部屋へ三人で行き、重い口を開いた。
「実は、今日奥さんから呼び出されて・・・あんたはミスが多い、全体の流れがわかってない・・・今・・今月いっぱいか来月半ばまでに退職してくれって・・・」
後半は涙声。
「そうだったのか・・・」
案外、両親は平静で。
「そうなの・・・ハルカ、どうするの?」
「次を探す。」
「どんな仕事を?」
「とりあえず、医療事務しかないと思う。」
たぶん、それしかない。
 次の日。家事当番だけど免除してもらって、朝一番にハローワークへ。医療事務、医療事務・・・あった!窓口へ。
「すみません、この三件申し込みたいんですけど。」
「わかりました。えーと・・・あ、これはやめといたほうがいいですね。交通費出ないし、あなたは損します。これも、求人出して時間が経ちすぎてる。しかも最低賃金ですね。こういうのは応募しないほうがいい。」
すごい!ジョブサポートセンターに負けない丁寧さ。すごく親切になったな、ハローワークって!関心もそこそこに、
「では、この一件だけですが、申し込みます。」
幸い、すぐに医院につながり、
「今日の夕方四時に来てくださいということです。・・・あの、医療事務探してるかな?今回は仕方ないけど、医療事務は病院の内容をよく調べてから行ったほうがいいよ。」
「わかりました、ありがとうございます!」
 今、十時。早く帰らないと。履歴書書かなくちゃいけないし。リクルートスーツも。
「お帰り、どうだったの?」
「うん、一件面接着てくださいって!今日の夕方に!」
えーと、えーと、あー!頭がまとまらない!まず、何からするか?
「ハルカ、落ち着いたらどうだ?お茶でも飲んで。」
お父さんから。そんな、のんきなこといってる場合じゃない!
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ADHDとともに「君の星座」第7章 断ち切れない鎖 その55

2013-11-22 20:54:10 | ADHDとともに「君の星座」
 どうして・・・落涙。失敗は私が悪いけど、言葉遣いって。私、その辺一番気をつけてるのに!それなのに『上から目線
!』だなんて。
 フォローしてくださった奥さんも、この頃は、
「同じ薬を二重に出すなんて、どう考えてもありえませんよ!薬局でこの医者アホか、って話になりますよ!何度も言ってますけど、あなた、ちょっと不注意ですよ。」
だんだん、何この人?みたいな顔されるようになってきて。
 六月の給料日・・・何とか十万円に届いた。これだけ働いてるのに、わりがあわない気がするけどしかたない。仕事があるだけでも幸せ、それも、キャリアとして積んでいける仕事。去年の十一月から来たから、これで八ヶ月。今までの職場はどこも半年以内に追い出されるとか、酷い目に遭うとかだったのに、ずいぶん勤まってるじゃない!
 七月ももう半ば。今年の夏は特別に暑い。髪も長く伸びすぎて、暑いし。
「お母さん、今日は美容室に行って、その足で仕事に行って来る!帰りはまた、十一時半になるから!」
手帳でスケジュール確認してたんだけど、もう、今日のこの時間しかチャンスがない!そうだよ、自分の身も構わなくちゃ。受付の仕事してるんだもの。制服のポロシャツがあるし荷物多いから、バッグも買いたいな。ヘアスタイルが整って気分よく。デパートに来てるんだしちょっと、お昼ご飯贅沢しようかな?
「すみません、ハンバーグランチください!」
 さ、気合を入れなおして、午後四時半、医院に出勤。
「こんにちは、よろしくお願いします。」
相変わらず患者さん殺到の受付。プルルル・・・内線電話。取ったマエハシさんが、
「ツキシロさん、奥さんからでした。時間のある時にちょっと上の休憩室に来てくださいということです。」
奥さんが?何だろうな?・・・心拍数が増える。
 ちょっと患者さんが引いた隙に、休憩室に上がった。
「あ、ツキシロさん、お疲れ様です。」
奥さん一人がいて。
「あのですね、ツキシロさん。あなた、仕事の失敗多いですね。」
「・・・・・。」
「多いんですよ、他の方よりずっと。それに、ここに来られて八ヶ月ですけど、あなたは全体の流れが全くわかってない。普通、半年ぐらいでかなりわかるものなんですよ。このままお仕事続けてもらうと、せっかく育ったベテランの人たちが負担を感じて退職されますし、何より、患者さんの迷惑になります。つきまして、今月いっぱいか来月の半ばまでに退職してください!」
た、退職・・・要するに、解雇!冷や汗が出て、唇が震える。
「そうですね・・・これからどんな方面がいいか、何ともアドバイスできませんが、とにかく、うちではもう無理です。これは、私と院長の判断です。あなた、気づいてなかったでしょ?」
「わ、わかりました・・・」
こう答えるのが精一杯だった。

 
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ADHDとともに「君の星座」第7章 断ち切れない鎖 その54

2013-11-21 14:19:43 | ADHDとともに「君の星座」
 日が長くなってきて、六時起きも多少心地よい。七時半、出発。八時。
「おはようございます。」
「ツキシロさん!職場の挨拶はきちんとしてください!」
奥さんに怒られた。別に、無視したわけじゃない。相手がアライさんだったから。すぐに返事が出来なくて。私、話しにくい相手とは徹底的に話しにくいんだ。昔の職場で注意されて、人の好き嫌いを表に出さないようにはしているけど・・・また、奥さんから。
「あの、皆さんよろしいでしょうか?今日から新しい方が二人、入られます。お一人は今日の夜から、もう一人は明日の朝からです。一ヶ月研修ですので、皆さん、どうぞよろしくお願いします。」
よろしくお願いします!
 そうか。新しい人決まったんだ。どうなるのかな?それはさておき、今いるスタッフさんたち、ほら、もう私をはずして向こうで輪になって、楽しそうに雑談している。
 午後診、朝のお話にあった新人さんが来た。へぇ。結構年長の人だな。応対してるのはマエハシさん。
「じゃあ、今日は基本見ていていただいたら。・・・ツキシロさん、ゴミの出し方、教えてあげてもらえますか?」
わかりました!年上の新人さんと一緒に、夜のゴミ出しへ。
「ゴミ箱は、待合と、トイレと、出入り口と三つあります。全て回収して、あと、この扉が物置で、ここにも上の部屋のゴミが集められています。ダンボールとか雑誌があったら、それも一緒に出してください。」
ヘヘヘ。アライさんやマエハシさんは私が何もわかってないみたいに思ってるけど、私はすごくわかってるんだぞ!
 また、そのマエハシさんが。
「ツキシロさん、今言われたことノート書いて!」
さすがに、むっとした顔をして、その時。
「腹立つのはわかるけど、顔に出さないほうがいいよ!」
腕を引かれてこっそりと言われた。だけど、マエハシさんへの無言の抵抗を繰り返し重ねるうちに、この不愉快なノート記録と読み上げの強要を向こうから辞めたんだ。
 上手になるには、練習以外にない。そうだよ、ここで精一杯練習してるんだ。そうしていけば必ず、失敗だってしないようになる。フル回転の毎日・・・こんにちは。お願いします!今日は特に患者さんが多い。あ、しまった!カルテの修正を診察室にお願いしたら、看護師さんから。
「ツキシロさん、ちょっと後で話がある!」
 午前診の仕事終了後。その看護師さんにつかまり、
「ちょっと、こっち行こうか?」
隅っこに連れて行かれて。
「今日はいい加減あんたにキレたわ!何でそんなに間違うの!何か工夫はないの!もう、いろんなところで働いてきてるんでしょ?学校でたての若い子なら、こちらも辛抱するけど!ものの言い方だって、何でそこまで偉そうなの!上から目線よ!」
どうして・・・あまりにも激しい怒鳴り散らしに、小刻みに震えるしかなかった。
 
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