地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カリマンタン2日目

2013年04月11日 | Weblog
起きたら雨…。(え~ん

今日はオランウータンを見に行くボートツアーの日なのにぃ。
昨日の快晴がうそのようだ。
やっぱまだ雨季終わってなかった?
雨女な私が悪い?

朝食は洋食をチョイス。




しばらくしたら止むかと期待したけど、雨は一向に止まない。
運転手さん曰く、「船には屋根がついてるから大丈夫」ということだってので、予定通りでかけることにした。
ここのコミュニティに住み着いている友達のところに泊まっているという、ドイツ人の青年もついてきた。
3か月の休みを取って東南アジアを旅してるらしい。

宿から川までは車で10分ぐらい。

一応ボートツアーって、こういうのとか、




こういうのとか、




いやいや、宿泊しないからそこまで立派なやつじゃなくてもいいから、せめてこんくらい?




と思っていたのだけど、やってきたのは小さくて粗末な木の小舟に簡易エンジンをつけたもの…。

屋根って言ってもビニールシートみたいなのだし…。

しかも漁師のおじさんが船をスタートさせようとしたら、エンジンがかからず、あたふたと工具を取りに走っていた。
同乗のドイツ人が「この前フィリピンで全く同じ状況に陥った。その時は1時間も船の上から動けなかった」と不吉なことを言う。

幸い、オイルがうまくエンジンに流れなかっただけので、工具でチャチャッと直して出発。







川をどんどん奥へ奥へと進んで行くと、砂金の採取をする設備があったり、水上集落があったりして、人々の暮らしが垣間見える。







それにしても、小雨が降り続き肌寒い。
しかも全くオランウータンの姿は見えず、単調な旅に思わず眠気が襲ってくる。

1時間以上進んだところで、ダヤック人の集落へ上陸。
どこか行くあてがあるのかと思い運転手さんに聞くと、「いや、散歩だけ」って。

しかもこの人、運転手兼ガイドのはずなのに、何を聞いても「知らない」だし!
挙句の果てに「いつもはこの辺の島にいるオランウータンにリハビリセンターの人が朝ごはんをあげに来るけど、今日は雨だからサボってあげにきてないみたい。だからオランウータンは出てこない」とか言い出した。
ドイツ人も若干キレ気味に「だったら最初からそう言ってくれるべきだった。それならツアーを別の日にするとかできたのに」と抗議していたが、運転手は英語が通じてるのか通じてないのか、よく分からない反応だった。

仕方なく、ダヤック人の村をプラプラ。
子供たちがついてきたりする。








この村には電気が通っていないけど、ソーラー発電でテレビを見たりはしているらしい。



ここは村の小学校。






ちっちゃなキリスト教会もあった。




色んな宗教が共存してるみたい。






ドイツ人が運転手に「ここに現地特産のスパイスコーヒーがあって、そのコーヒーの試飲もパッケージになってるって聞いてたけど?」と訴えるも、相変わらず運転手は「さあ…?知らない」だった。
「じゃあ、カリマンタン特産のコーヒーってあるんですか?」と私が聞いても、「さあ…。コーヒーはスマトラの方が有名です」って!
こいつはガイドとしての機能を全く果たさない。

諦めきれないドイツ人がしつこく「コーヒーを飲めるところはないのか?」と聞くので、運転手が仕方なさそうに村の人に聞くと、「あっちにコーヒー屋台があるよ」と言われて行ってみたのだけど、そこは単なる小間物屋さん。
コーヒーって言っても、ネスカフェでもないインドネシアメーカーの、コーヒーと砂糖とクリームが一つになってるパックのインスタントに違いない。

私の予想はドンピシャ。
お店の人に聞いてみたら、インスタントコーヒーならあるよとのこと。

…。
いらん。


さすがのドイツ人も諦めた模様。
結局何も買わず、お店のお母さんと赤ちゃんのツーショット写真を撮らせてもらって退散した。

この子、生後まだ3か月なんだって。
かわい~。





再び小舟に乗り込み、また1時間かけてもと来た場所に戻る。
もう、オランウータン絶望的。

とりあえず周りの木々に目を凝らして探してみるが、見当たらない。
そもそも、ガイドがガイドとしての役割を果たしていないので、たとえば「こういう木にはオランウータンがいるけど、この種類の木にはいない」とか、「葉っぱが覆い茂っているところに隠れるようにいる」とか、そういう情報が一切ないので、どこをどう探せばいいのかも分からない。
質問しようかとも思ったけど、船のエンジン音がうるさくてそういう気にもなれなかった。

どんよりした雰囲気の中、ドイツ人、Y本さん、私の中に「このまま1頭のオランウータンも見ずには帰れないぞ」という空気が流れる。
しかも「1頭も見れなかったら値切ってやるからな」との考えも。


オランウータンがリハビリ後に一時的に放されているという島の周りをめぐったりして、必死に探す。

でももう半分以上あきらめかけたところに、いたあ~~~!




結構外から丸見えのところにポツンといるもんなんですね…。

お食事中のオランウータン様の周りには、子ザルがいっぱいうろちょろしてた。

ああ、よかった、出会えて~!
ありがとう、オランウータンさん!
あなたは救世主です。


船のエンジンを切ってないので小刻みに揺れてるし、ちょっと距離が遠いので10年物のデジカメの望遠機能を使ったら、やっぱりあまり写りはよくない。
でも嬉しい。


たった1頭だったけど大いに満足し、その後、オランウータンのリハビリセンターへ立ち寄る。






このリハビリセンターでは、密猟によって親を亡くした孤児や、怪我をしたオランウータンなどが保護されており、数年間にわたる社会(野生)復帰プログラムを経て野に放たれる。

リハビリセンター入り口にある、ボスオランウータンの銅像とパチリ。





館内で紹介ビデオを観、その奥の檻にいるオランウータンたちを眺める。
ここのオランウータンたちは人慣れしてるので、こっちがガラス越しに眺めていると寄ってきてお茶目なポーズをしてくれる。

ウータン3兄弟?






外に回ってもこっちに興味を示してどんどん集まってくる、かわゆい奴ら。






この後、宿の前まで戻り、ローカル食堂でランチ。
このカワユイ猫がしつこくご飯をねだってきた。




豆腐を甘辛く炒めたものが好きなようで、野菜をあげても見向きもせず、なぜかチキンの皮にも興味がない様子。
ひたすら豆腐を落としてもらうのを待っている。



食後一旦解散し、午後に再集合。
ドイツ人旅行者のジョージが泊めてもらっている家の別のドイツ人(名前忘れた)の案内で、近くのお寺へ行くことに。
この、ドイツ人居住者、おそらく信者であろう。

お寺まではこれまた近くて、車でほんの5分、10分。
入り口に着くと入場料を徴収するおじさんが寄ってきたが、運転手が一言「地元の人だけ」と告げると、相手はあっさり引き下がった。

おいおい、車の中に乗ってるの、ドイツ人2人と日本人2人。
どう見てもジモピーちゃうやん!
そんなアバウトなインドネシアが、す・き❤


お寺の敷地内はうっそうと木が茂るジャングルのような場所で、




汗だくになるほどの上りが続く。
(ジモピーもどきのドイツ人はさすがにビーサン履き。)





だんだん景色が良くなってきた。


こんな珍しい花も咲いている。





あちこちに祠などがある。




ついに丘のてっぺんまで来た!


すご~い!いい景色~!見渡す限りの地平線!
















う~ん、カミーノ…。





この辺りはヒンズー寺院で、最近できたらしいこういう建物もある。




ほんとにあちらこちらに祠が。












いや~、今日は朝からオランウータンも見れたし、結構しっかり目のトレッキングもできてよかったなあ。
(Y本さんは若干トレッキングでお疲れ気味。)



帰りに運転手さんに夕日が見えるスポットはないかと聞いてみたが、運転手は相変わらず「う~ん…」と言ってるだけ。
代わりにここに数年来住み着いているドイツ人ジモピーが、宿のずっと奥の方に行ったら小高い丘になっているところがあるよと教えてくれた。

旅行者の方のドイツ人(ややこしいな)のジョージが「いったん荷物置いてから合流するから先に行っといて」と言うので、私とY本さんとで教わった方向に歩き始めた。

宿を抜けて、住宅街を抜けてさらに奥に進むと、こういう木の遊歩道みたいなのが現れ、




ん?あれっていわゆる「神殿?本殿?」みたいな??





やっぱり!




結構立派だ。




裏手に回ってみると、Muhammad Subuh Centerの看板。
間違いない、例の宗教でっせ。




このあたり、お花も咲いてて手入れされてて綺麗。




でも全然「丘」じゃなくて、夕日とか見えるような場所じゃないんですけど!

もう帰ろうかと戻りかけたら、遠くから見慣れたドイツ人2人が犬を3頭連れてやってきた。

さっきの2人かと思いきや、ジモピーの方はお兄さんだか弟だかの方。
名前はマークと言う。
双子ではないみたいだけど、さっき一緒にお寺に行った人とかな~り似ていてほとんど見分けがつかない。

そんなことより大好きなワンちゃんが目の前に現れ、大興奮。
きゃ~、かわいい~!
飛びつかれたりなんかしてもぜんぜん平気。
(Y本さんは嫌そうだったけど…。)


そのまま犬の散歩に参加することとなった。
本殿というか神殿と言うかがある場所から、地元の人しか分からない細い山道をどんどん奥へと入っていく。





どんぐりなんかも生ってるよ。





喜び勇んで走り回る犬たちの写真を撮るのに一苦労。






ああ、でも犬と散歩するって至福の時だわ。


30分以上は歩いただろうか、途中で何度か曲がったりして、もう自力では絶対元の場所へは戻れない場所に来たら、川があった。

これまた喜び勇んで川に飛び込み泳ぐ犬たち。




ちなみにカリマンタンの川の水の色が赤いのは、パームオイルのせいらしい。
オイルというか、パームヤシの根から色が出ているという。

しばらく水辺で遊び、もと来た道を戻って神殿のところにたどり着いた頃にはすっかり日が暮れていた。

いや~、いい運動だった。
オランウータンが見られて、トレッキングができて、犬の散歩までできるなんて、夢のような一日だった。


ドイツ人2人と別れて、自分たちの宿に向かって歩いていると、散歩の間は全く寄ってこなかった小さい黒い犬がなぜだか後をついてくる。

あれ?この子はドイツ人の飼い犬ではなかったのか?

大きい方の2匹は人懐っこく、飛びついてきたりしたけれど、この小さい子は全く触らせてくれなかった。
なのになぜ今、ついてくる?

ちなみにこの子、スターウォーズに出てくる毛むくじゃらのキャラクターにちなんで、「トゥーバ」という名前らしい。

なぜだかトコトコと私らの後をついてきて、とうとう宿の前まで来てしまった。

ナデナデすると嬉しそうにしている。
なぜ今頃なつく???

Y本さんに「私はしばらく犬と戯れてますんで、先に部屋に入ってて下さい」と告げ、しばし部屋の前でトゥーバをかわいがる。
散歩の途中は愛想がなかったのに、今頃なついてくるなんて、不思議な子だ。

たくさん散歩して喉が渇いてるだろうから、ペットボトルの水を飲ませてあげて、バイバイした。
トゥーバは下手したら部屋の中にまで入ってきそうな勢いだった。
だから、なぜ今頃なつく?

でもトゥーバのおかげで心温まる1日となった気がする。



この日の夜、宿で借りたDVDを借りて観た。
BBCが取材した、ここのオランウータンリハビリセンターのドキュメンタリー。

とても興味深かったけど、どんどん登場人物(?)が増えて、途中からもはやどのオランウータンが誰だったから分からなくなった。
それにしても、ものすごく手厚く保護されているオランウータンたち。
いったん保護してトレーニングを受けたオランウータンは、カリマンタン中部に移住させられる。
それを運ぶのも結構大変で、まずはトラックに乗せて川まで運び、そこから船に乗せてジャングルの奥地へ連れて行っていた。
さらにはヘリコプターで連れて行くパターンもある。
ものすごく人手もお金もかかっている。

人間の子供にももっと支援が必要な子がいるのに、、、と思うとやや複雑ではある。

つづく

カリマンタン

2013年04月08日 | Weblog
とある3連休、職場のY本さんと一緒に2泊3日でカリマンタン島に行ってきた。

ちなみにカリマンタン島=ボルネオ島のことである。
インドネシア名はカリマンタン。

自然豊かなカリマンタンでのお目当ては、オランウータン。
絶対見たい!

通常、カリマンタンでオランウータンを見るツアーは船上で2泊3日ぐらいし、ひたすらマハカム川という川を使ってジャングルの奥の奥まで入っていくのが基本。
だけど私たちは「船で2泊はきつい」とか「水シャワーの宿は嫌だ」とか、散々わがままを言った結果、中部カリマンタンにある某リゾートにたどり着いた。

ここはカリマンタンの真ん中に位置しているので、陸地にある宿に泊まりつつ2~3時間のお気軽なボートツアーに参加できるというのだ。
メールでの問い合わせに対応してくれる女性もとても親切。
もうここで決まりやね。

が、インターネットでさらに調べたY本さんが「なんか、宗教団体が運営してるみたいなんだけど…」と。
ちょっとその時期仕事が忙しくて、調べ物も予約も全部Y本さん任せにしていて、その宗教団体のHPもちらっとしか見てないけど、Y本さんの説明では「イスラム教をベースに独自の教義がある新興宗教で、宇宙と交信するみたいです」と。

…。
やばくない?
洗脳されたらどうする?

一瞬やめようかと思ったけど、今からまた探すの嫌だし、水シャワーの宿も嫌だし、「思い切って宗教団体行ってみましょう!話のネタにもなるし!」とY本さんに提案し、そこに決まり。


さて、ジャカルタから中部カリマンタン州の州都パランカ・ラヤまでは飛行機で1時間半。
ライオンエアーという、格安航空会社を利用。

ウェブチェックインができるので、前日にインターネットからチェックインをしておいた。
なので、当日はゲートへ直接行けばいいだけ、、、のはずなのだが、空港についてモニターを見ても自分たちが乗るフライトナンバーが出ていない。

仕方なくライオンエアーのカウンターに行ったら、新たにボーディングパスを発行され、そこにゲート番号が書かれていた。
しかもウェブで指定した座席とは全然違う座席番号になっていた…。

ねえねえ、ウェブチェックインとか意味あるんですか???

格安だから仕方がない。
まあ、インドネシアではそれなりのお金を出してもサービスレベルは大して変わらないけど。

また、ただでさえしょぼいジャカルタの国内線ターミナルだが、格安航空機が発着するターミナルはさらにしょぼく、ろくなお店が入っていない。
仕方なしに適当なお店で休憩しようにも人があふれていて席が空いてない。
う~ん、高くてもライオンじゃなくてガルーダにすべきだったか。

当然のように出発時間は遅れ、ようやく飛行機に乗り込んだころにはお腹が空いていた。
機内で飲食物は購入しなければならない。
お腹が空いたのでオレオと水を買ってみたけど、オレオはなぜか断りもなしに「ピーナッツバター味」と「イチゴ味」の2種類が入っていた…。
普通のが食べたい…。


パランカ・ラヤに到着するとカンカン照りで暑い!
しかしジャカルタより断然空気がきれいだぞ。

出迎えの運転手に「お腹が空いたのでお昼ご飯が食べたい」と訴え、魚料理のお店に連れて行ってもらった。
パランカ・ラヤは州都とはいえ、相当にひなびた田舎町である。

連れて行かれたお店は超ローカル店。




ここで、焼き魚とスープと野菜とご飯のランチ。






ローカルの人たちに合わせて、手づかみで食べてみた。
ちなみについ最近、ジャカルタ近郊のボゴールという町に出張に行った際、先方がパダン料理のお店に連れて行ってくれたのだけど、その場にいた全員が当然のように手でご飯を食べ始めた。
一応テーブルの片隅にはスプーンも設置してあるのだけれど、誰一人使おうとせず、勧めてもくれないため「スプーン取ってください」と言い出せず、仕方なしにみんなに合わせて手で食べた。
インド以来だわ、手づかみの食事。

ボゴールで手で食べたばかりなので、今回は何の抵抗もなく手で食べられた。


食後は博物館に連れて行ってもらった。
その日は祝日なので閉館しているのだけど、運転手が館長さんに電話したら開けてくれるとのこと。
私たちだけのために???

このことからも、ここは相当小さいコミュニティーであることが想像できる。


小さい町のわりには博物館は立派だった。






内部には中部カリマンタンの原住民族であるダヤック人に関する展示物がずらり。










こういう布の刺繍がとてもきれい。






これは棺。
独特のお葬式の風習があるらしい。







こういう家々は、この前ジャカルタにある「タマン・ミニ」というアミューズメントパーク的なところで見たな。






タマン・ミニにはインドネシア各地の伝統的な建築物なども再現されている。
ほら、こんな感じの階段がついた高床式住居を楽しんだり、




こんな銅像と写真を撮ったり、




ガルーダとも写真を撮ったりしてずいぶんと楽しんだ。





さて、話をカリマンタンに戻そう。

これはダヤック人が昔実際に使っていた船かな?






それとも昔から儀式のためにこういうミニチュアを作っていたのかな?
よく分からないけど、こういうかわいいのが展示されていて、町のお土産屋さんでも売られていた。



その後、車で1時間ほど走り、Rungan Sari Resortと言う宿泊施設へ到着。





部屋の設備なんかはバリみたいなラグジュアリー感は全くないが、敷地内はとてもきれいにしてある。














レストラン。






向こうにテニスコートやプールも一応ある。




リゾートの周辺には民家が建ち並んでいる。






ひょっとしたら信者が住んでいてこの一帯にコミュニティを形成しているのかも。
住人の中にちらほら西洋人を見かける。



夕食のためにレストランへ行くと、西洋人の集団が食事をしていた。
その中の一人が、事前のメール問い合わせに答えてくれていたマヤさんというイタリア人の女性だった。
(ちなみにマヤさんはめちゃくちゃ体が大きくて、声も男のように太かったので、思わずドイツ人かと思った。)

さらには驚いたことに、年配の日本人女性もおり、「この近所に住んでいるものですから、注文していたご飯を取りに来たのよ」とのこと。
う~ん、この方も信者かしら?

このレストランにはインドネシア料理と洋食のメニューがあったけど、この日はインドネシア料理を注文。




ただでさえサービスの遅いインドネシアだけど、西洋人の団体さん対応があるためか(と言っても10人ぐらいしかいないけど)、おっそろしく料理が出てくるのが遅い!
お腹すいてから注文してたら遅いな、ここ。



つづく


ワヤン・ゴレッ

2013年04月07日 | Weblog
インドネシアの伝統芸能で影絵人形劇の人形はワヤン・クリッ(Wayang Kulit)と呼ばれるものだが(http://blog.goo.ne.jp/hikkikkih/e/a9acd82eb936922737c25cd8da438d46)、影絵じゃない人形劇の人形はワヤン・ゴレッ(Wayang Golek)である。

Wayang Golekのショーがあるというので、車で1時間もかけて北ジャカルタまで観に行った。
なにやら有名な人形師のおじさんが演じてくれるそう。


向かった先はその人形師のおじさんの自宅。
いかにもと言った感じで人形がたくさんあるが、家自体はごく普通の民家。










その民家の玄関先にプラスチックの椅子を並べて、おじさん自らが人形劇を実演してくれた。




そのすぐ横の狭苦しいスペースで楽器の生演奏。





このように色んな種類の人形があるが、人形遣いはおじさん1人だけなので、一度に操れる人形は多くて2体。








登場人物が3人以上いるときは、残りの人形は持ち手の棒をグサッと土台に刺して、ただじっとしている。


インドネシアのWayang Golek自体は100年以上の歴史があるみたいだけど、このおじさん本人は、日本の文楽にインスピレーションを受けて人形を作り始めたと言っている。
何度も大阪に出向いて、文楽の人形師さんから頭の作り方を教えてもらったとも言っていた。

えーっと、確かに人形の頭自体はとても精巧にできている。

例えばこんな、オバマとユドヨノの人形なんかもよくできている。




しかし、日本の文楽とは決定的な違いが多々あるんだよなあ…。
よそ様の伝統文化にあれこれ口出ししてはいけないと思いつつ、完成度というかなんというか、、、疑問が残る。

まず、ストーリーがよく分からない。
一応どこかの王様が外部からの侵入者と戦うという設定らしいが、今一つストーリー性に欠ける。
影絵人形劇を観たときもそうだったけど、やたらと人形同士が殴り合ったり蹴りあったりするシーンばかりである。

次に、伝統的な衣装を身に着けて出てくる人形は美しいけど、普通にチェックのシャツを着ている人形も出てきたりする。
このお話の時代設定は一体いつなんですか?

結構グロテスクな顔の人形も登場する。
まあ、それはそれで悪役なら仕方ないのかもしれないけど、戦ったときにそのグロテスクな顔が割れて中から目玉が飛び出したりするのはいかがなものか。

さらには戦った後の人形がゲロを吐く設定もいかがなものか。
口からラーメンとか飛び出すし。

観客の大半は西洋人なので、基本、ドン引き。


影絵芝居もこの人形芝居も昔からインドネシアでは夜通し演じられてきたものである。
なのでちゃんとしたストーリーもあるはず。
だけど観光客向けに1~2時間で演じるものは、変にウケを狙って下品にしてあるようでどうにも解せない。
どうでもいいオバマとユドヨノを登場させたりもするし。

おじさん、日本の文楽から学んだんであれば、もうちょっと品格のある伝統芸能にしてください!
これならまだベトナムの水上人形劇の方が好感が持てる。


さらには、「インドネシアの人形劇の歴史ってどれぐらい古いんですか?」と質問しても、「めちゃめちゃ古いよ。イスラムが来るより前だから」としか答えてくれない。
素人ならまだしも、国で人形劇の第一人者と呼ばれてるぐらいなら、そこんとこもうちょっときちんと答えて頂けませんかね?

あと、人形を立たせるときは自然素材でできた台にグサッと持ち手の棒を刺すのだけれど、時々刺しにくそうにしてたりする。

…。
毎度のことなんだから、最初からきちんと刺しやすい穴を開けといたらどうですか?

影絵人形劇の時も、たくさんある影絵人形を取り出しやすいようには設置せずに、使ったらどんどん山積み。
なので、ストーリーの途中で人形使いさんが重なり合った人形の中から次の場面で使うものを探すみたいな場面が多々見られる。
「観ているお客様本位ではない」と言うのがインドネシアの基本だ。

元々屋外で演じる、気取らない大衆娯楽だったのかもしれないけど、日本人の感覚からいえば、それにしてもいろんなことが雑すぎる。
人形も殴り合い、蹴りあいばかりだし、普段からおじさんやスタッフの人形の扱いは全く丁寧ではないので、人形も衣装も傷んだり汚れたりしやすい。
「心を込める」とか「心を入れる」ってのは、インドネシアにはないことなのかな?



観劇後はおじさんの自宅内に入り、お菓子などふるまわれる。




家中おびただしい数の人形が飾られていて、圧巻。






ちなみにこれ、クレヨンしんちゃんらしいです…。





ここに飾られている人形は購入することもでき、西洋人は結構人形好きみたいで次々と買い求めていた。
意外とお安くて、1体1,500円ぐらい。

結構古い感じの人形もあるのに、そんなに気前よく売り払っちゃっていいのかなと思っていたら、こういう100年は経っていると思われる人形は売ってくれないらしい。




動物バージョンもあり、




珍しい馬に乗ったバージョンもある。(ちょっとピンぼけ)




トペン(お面)もたくさんあって、さながら博物館のよう。




チェスはおもしろいかも。





私はワヤン・ゴレッではなく、こちらのワヤン・スクッ(Wayang Suket)を買った。




ナチュラル素材で編んである、影絵芝居の人形だ。
何の素材かはネットで調べてもよく分からないが、「草」である。
以下のサイトにちょっと説明があるけど、rumputはインドネシア語の辞書で調べても「草」とか「雑草」としか出ていない。
http://hanajoss.exblog.jp/d2011-03-07/

すでに持っているカラフルなワヤン・クリッとはまた違った味わいで、好き。





西洋人たちがわれもわれもと人形を買い求めたので、この日1日だけでもかなりの儲けになっただろうな。



この日、もう3か月も前に制作してまだ返してもらえていなかった陶芸作品がようやく手元に返ってきた。

ちゃんと箱に入れてくれている。




こちら、私が作ったゆがんだ小鉢。



先方で色をつけていい感じに仕上げてくれていた。


カメさんも色を塗ってくれている。




ありがたいのだけれど、ちょっと気になるのは、せっかく裏に名前を彫っていたのに、勝手に全部消されて番号が振られていたこと…。


あと、おまけでチョウチョと貝殻の小物をつけてくれていた。






それにしても、もうインドネシアの人形劇はいいかな。。。