【移動日2】6/25(金) Bordeaux→Bayonne→St. Jean Pied de Port
まだ旅を始めたばかりで緊張しているので、早めに起床。
出発の準備を整え、朝食が始まるのを待つ。
ちょうど部屋の真ん前が朝食用ダイニングなんだけど、直前になっても全く準備が始まる様子がない。大丈夫か?
何度かドアを開けてチラチラ見てみる。
6:00を少し過ぎたころ、ようやくスタッフが来てドアを開けたようだ。
またこそっとのぞいてみたら、宿泊客のおじさんが一番乗りで入っていくのが見えたので、これ幸いにと私も続く。
クロワッサン(おいしい!)、バナナ、ヨーグルト、紅茶でさくっと朝食を済ませる。
ここはチップとか必要なのかよくわからないが、例のおじさんが何も置いていない様子なので私も置かない。
早めにチェックアウトし、駅構内の様子を確認してから写真を撮ってみる。
正面が泊まったホテル。
市電が走ってる。
チケット売り場の様子。
ちなみに駅構内にカフェがあるので、なにも高い料金払ってホテルで食べなくても良かったなと今さら思う。
念のため、売り場付近に立っていた係りの女の子に確認してからホームへ。
若い世代だからか、彼女には英語が通じてよかった。
各ホームへ通じる入口の刻印機にチケットを通し、これでひと安心。
ホームの番号を確認したはずなのに、行ってみると案内板に違う地名が書いてあり混乱。
ホームとチケット売り場の間を右往左往する。
もう一度ホームに戻り、各停車駅が書かれた別の案内板で再確認。
大丈夫、Bayonneにも停まる。
でも車両によって書かれている行き先が違い、これまた混乱。
途中で車両切り離しとかある?関空快速が途中で半分だけ和歌山行きになるみたいに。
フランスで列車に乗るのは初めてなので、さっぱり分からない。
とりあえずBayonneより先の目的地が書かれている列車に乗り込み、念のため乗客に「この電車はBayonneに行きますか?」「ここは2等車ですか?」と聞いてみる。
答えは “Oui. “ だったのでまたまたひと安心。
ちなみにせっかくだからTGVに乗ってみたかったんだけど、今回の旅程ではやむを得ずTERという普通の列車にした。
結構古い車両だったな。
途中、車掌さんが検札に回ってくるんだけど、これがまた若くてかわいい女の子!
グレーのユニフォームにベレー帽もこれまたかわいい。
やるなあ、SNCF(フランス国鉄)。
途中で交代した車掌さんもこれまた若くてかわいい女子。
まりりんが見たらさぞかし喜ぶだろうなあ。(注:まりりんはレズではありません。たぶん)
Bayonneまでは2時間ほどの乗車。
車窓から見える町並みや田園風景を眺める。
途中、霧がかかっている場所もあり。
9:22、Bayonneへ到着。
ここから先は、普段であれば列車が出ているけど、今は線路工事中のためバスで代替輸送中。
構内の掲示板にもその旨書いてあった。
さて、バスのチケットは列車のチケット売り場で買うんだろうか?
列車の代替輸送なんだからきっとそうだよね。
何一つ分からないけど、とりあえずチケット売り場に並んで窓口で聞いてみることにした。
ふと前方を見ると大きなリュックを背負った東洋人の女の子が窓口でメモを渡し切符を購入している。
窓口の人が「St. Jean Pied de Portまでのバスはあっちの乗り場から」と説明しているのが聞こえたので、大丈夫みたいだ。
窓口のおじさんはなかなか「打てば響く」感じの人で、「バスのチケットを…」を言うとすかさず「サン・ジャン・ピエ・ド・ポー行きね」と答え、「出発時間は確か11時…」と言うとまたすかさず「11時47分!」と答えてくれる。(ま、私のフランス語がトロいからというだけかもしれないけど。)
さあ、バスのチケットを確保したのでもう何も心配はいらない。
あとは時間をつぶすだけ、と思っていると、通りがかりのおじさんが「ウルトレーヤ」の曲を口笛で吹いていたので思わず反応してしまった!
「ウルトレーヤ」は巡礼者の歌。
う~ん、さすがここは巡礼者の通過地点なのね。
おのずと巡礼気分が盛り上がる。
さて、と。
2時間近く時間をつぶさないといけないけど、重いリュックを背負って街の中心部まで行く気になれない…。
Bayonne観光はあっさりあきらめ、カフェへ。
カフェラテとバゲットのサンドイッチで早めのランチ。
カフェから見た駅前風景。
時々巡礼者らしき人も通り過ぎる。
ここがフランスだと痛感したのは、周りが喫煙者だらけなこと。
私が長時間座っている間、周りは結構人が入れ替わったんだけど、その誰もがタバコを吸っている。
一時隣に座ったおじさんが椅子の脚で何かをトントンとしたのでふと見たら、喫煙用パイプだった。
ご丁寧にも「吸ってもいい?」と聞いてくれたので、「どうぞ」と。
周りがタバコ吸いまくってるのにパイプだけだめと言う理由もないし。
ひとつとっておきのネタがある。
右隣のテーブルで男性3人が大きな声で何やらしゃべっていた。
うち、1人はかなりマッチョないかついタイプ。
その彼が立ち去る時に何やら腕にタトゥーが彫られているのが見えた。
その内容: 「愛芋(←に似た漢字。でも微妙に違う)柔道オドレ」
まったくもって意味不明である。
「愛芋柔道オドレ」って…。
しかも「芋」の漢字ちょっと違うし…。
お兄さんがいかつかったので大っぴらに笑うこともできず、「写真を撮らせて下さい」と申し出る勇気も出ず、ひたすら笑いをこらえながら「この特別な経験を忘れまい」と思い、メモ。
西洋人のみなさん、漢字ブームなのは分かりますが、そのタトゥーで日本に行ったら恥かきますよー。
カフェを立ち去る時、またまたチップが必要なのかどうか悩む。
周りのお客さんはどうも置いていないような気がするけど、念のためちょこっとだけ小銭を置いてきた。
バス乗り場へ行くと先ほどチケット売り場で見かけた東洋人の女の子がいた。
韓国人かな~?
そばにいる西洋人の女性が「今日眠るところは?予約してあるの?」と心配して親切に色々聞いてあげてる。
あまり英語は通じていない様子。
ふとその東洋人の女の子が取りだしたガイドブックを見て日本人と確信。
ようやく私からも声をかけてみた。
彼女は東京から来たリエさん。
クリスチャンなので元々カミーノには興味があったけど、実際に思い立ったのはほんの2週間ほど前だとか。
東京の書店で偶然に日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会発行のガイドブックを見つけ、「行こう!」と思いすぐに代表の方に電話したそうだ。
そして英語もフランス語もスペイン語も分からないけど、友の会のMさんから頂いたアドバイスなどを参考に単身ここまでやってきた勇気と行動力には拍手!
まさに何かに導かれたような感じかな。
ただ、準備期間が短かっただけに何かと問題が…。
まずリュックが重い。(14kgぐらいって言ってたっけ?)
聞けば梅干しなどの日本食まで入っているそうだ。
そして長距離歩行に慣れているわけでもない。
トレッキングブーツはまだ新しい。
さらに今日の午後にSt. Jeanに到着後、そこに宿泊せずにそのまま10kmほど先のOrissonまで歩くつもりにしているらしい。
しかもOrissonに1軒しかないアルベルゲの予約は入れていない。
う~ん、こうまで見事に「してはいけない例」を実践してる人はいないのでは?
隣で一生懸命話しかけていた西洋人(アメリカ人だった。名前は忘れた)が、「今日はSt. Jeanに泊まった方がいいよ。Orissonに行くなら事前に電話して確かめた方がいいよ」と勧めてくれていた。
私も同感だ。
そのアメリカ人女性は病気をしていたか何かなので、カミーノを全部歩くつもりはなく、途中でバスや列車を使うそうだ。
リエさんも日程が限られているのと、スペイン観光予定なども入れているので、全行程を歩くのではなく、途中でバスなどを利用するそうだ。
13:08、バスがSt. Jean Pied de Portに到着。
巡礼事務所までは誰かの後ろをついていこうと思っていたのに、他の巡礼者は駅の写真を撮ったりしているようで、他に歩きだす人がいない。
仕方がないのでリエさんと2人で地図を見ながら進んでみる。
それにしても日差しが強い。
大通りに出ると行き止まりになってしまったので「?」と思っていると、道の向こうにいた別の巡礼者が「こっちだよ」とジェスチャーで教えてくれた。
わ~い、しょっぱなから巡礼者同士の助け合いだね。
ありがと~。
アーチをくぐって小道を通り抜けると、そこはもう中世の街並みっぽいいい感じの町だった。
巡礼事務所はちょうどお昼休みで閉まっていた。
私が予約してるアルベルゲは巡礼事務所の真ん前。
どっちみち巡礼事務所より先に来るように言われてたのでまずはアルベルゲへ。
リエさんの分のベッドがあるか念のため聞いてみたけど、もう今日は埋まっているとのこと。
ひとまず部屋に荷物を置かせてもらい、ざっくり建物内を案内してもらってから、巡礼開始の手続きのために巡礼事務所へ戻る。
お昼休みが終わってドアが開くとすでに巡礼者がぞくぞく集まってきていた。
担当の方たちは対応に大忙し。
意外なことに巡礼事務所の受付の人たちでも英語ができるというわけではなかった!
しかし巡礼者のほとんどは非フランス語ユーザー…。
先に手続きをしていた韓国人の親子はフランス語が全く分からないらしく、かなり手間取っていた。
私たちの担当のおじさんも英語できず。
でもフランス語ができない人にもがんばって対応してみようという姿勢がかわいかった。
じゃあ私も渾身のフランス語で頑張ります。
クレデンシャル(巡礼手帳)に出発地点のスタンプをもらい、明日のピレネー越えルートの説明を受ける。
意外にも日本語で書かれた説明用紙もあってびっくり。
韓国語バージョンもあるのかな?日本人よりも明らかに韓国人の方が多いし。
リエさんの寝床を確保しないといけないので、おじさんに相談してみる。
Orissonのアルベルゲに電話してくれたけど、やはりベッドはすでにふさがっている。
次に向かいのアルベルゲに電話してベッドの空きがあるか聞いてくれた。(あ、おじさん、そこは私が泊まるとこで空きがないとすでに聞いてます。)
ということで、St. Jean Pied de Portの公営アルベルゲに決定。
無事に今夜のベッドを確保できたリエさんでした。
右側の建物が公営アルベルゲ。
その後リエさんと2人で町を散策。
初日なんで2人とも盛り上がっちゃって、写真撮りまくり。
「まだ歩き始めてもいないのにこんなに一杯写真撮って、この先どうなるんだろ?メモリー足りなくなるよね」と言いながらも、シャッターを押す手止まらず。
St. Jean Pied de Portは本当に美しい町だった。
リエさん曰く「写真を撮っていたら、汽車に乗ってるお客さんのおじさんがわざわざ眼鏡を取って微笑んでくれた」とか。(笑)
ドアのノックするパーツが手の形。
スペインでもいっぱい見かけたけど、初日なんでリエさんと盛り上がり思わず激写。
丘の上からの眺望もすばらしい。
放牧のヒツジのベルがカランコロン鳴ってる。(これ、ヤギじゃなくてヒツジよね?お土産物屋さんにはヒツジグッズがいっぱいだったし。)
巡礼の道は世界遺産。
フランス国内から出発してSt. Jean Pied de Portに到着した巡礼者は、このサン・ジャック門をくぐって町に入る。
明日は町の出口にあるスペイン門をくぐって巡礼へと旅立つ。
巡礼を象徴するホタテ貝、杖、ひょうたん。
水飲み場もホタテ貝デザイン。
こんなマネキンまで?!
私が泊まったアルベルゲ(L’Esprit du Chemin)の玄関先。
町をぐるりと散策し、明日用の水や果物を購入したり、巡礼の象徴であるホタテ貝を購入。
杖などの巡礼グッズもたくさん売っている。
バスク地方なのでバスクの男性がかぶる黒いベレー帽ほか、バスクのお土産も売っていた。
教会で旅の無事を祈り、明日の準備は整った。
まだ巡礼を始めてもいないのに、リエさんと「きっとまた歩きたくなるよね~」などと語り合う。
私営のアルベルゲ、L’Esprit du Chemin(「カミーノのスピリット」と言った感じ)はとても良かった。
部屋は2段ベッド1台とシングルベッド1台の3人部屋で、各ベッドの上にウェルカムメッセージとキャンディが。
ルームメートは、オランダからはるばる自転車でやってきたアンケと、60歳になる記念にひとりでカミーノを歩く決意を夫に宣言してやってきたアメリカ人のキャシー。
ボランティアで宿を運営するのはオランダ人のウベルタとアルノ夫妻。
あともう一人お手伝いしてた。
宿泊者みんなそろって夕食があり、それぞれ自己紹介と巡礼の目的などを話す。
ウベルタが器用にフランス語と英語で全員の自己紹介を通訳してくれた。
お料理もおいしく、楽しいひととき。
ウベルタとアルノが「日本のカミーノ」に興味を持っているという。
ああ、お遍路のことですね。
「日本のカミーノは何か所あるの?」とか「何キロあるの?」とか「アルベルゲはあるの?」言う質問は、カミーノを通していろんな人に聞かれたことだけど、う~ん、私お遍路やってないから詳しい内容は分からない。
とりあえず「一番有名なのは八十八か所のお寺を回るやつ」ぐらいしか言えない…。ごめん。
宿泊客の中にポーランドから来た一家あり。
マチェイーという若者と彼のフィアンセ、そしてフィアンセの両親。
マチェイーはわりと英語ができる。
お父さんはほとんどできないのに、なぜか必死に私と話をしようとする。
ところでウベルタとアルノにリエさんのことを話したら、「彼女、明日そんな重い荷物を背負ってピレネーを越えるのは絶対に無理だから、荷物の配達サービスを利用した方がいいわ。是非そのことを勧めてあげて」と。
分かった。リエさんのアルベルゲに行って伝えてくる。
「あ、ここは22:00に鍵を閉めるからそれまでに戻ってきてね~」と。
そうだった。
アルベルゲのほとんどは22:00閉門、消灯。
すでに21:30を回っていたので急いで公営アルベルゲまで走る。
外はまだ明るい。
ベッドで寝ているリエさんを発見。
悪いけど、ゆすって起こし、用件を伝えたところ、「他の人にも同じアドバイスをされて、荷物の発送手配しました」とのこと。
ほっ。よかった。
じゃあ明日がんばってねということで別れる。
自分のアルベルゲに戻り、クレデンシャルにスタンプをもらい支払いを済ませる。
あと、アルベルゲからのお土産として2つのものあり。
ひとつは小さなプラスチックのカプセル。(ガチャガチャに入ってるやつ。)
アルベルゲの裏庭的な場所に鉄製のタワーのようなものがあり、中にこのガチャガチャで出てくるカプセルがいっぱいあったので何だろうと思っていたんだけど、ここに何か記念になるものを入れて置いていくそうだ。
中に入れるものはメモでも持ち物の一部でも石でもなんでもいい。
もうひとつのお土産はアルベルゲの名前が印刷された黄色いビニールリボン。
思い出として、重くもないしかさばりもせず、リュックに結ぶと目印にもなる。
同じ宿に泊まった人を発見する目安にもなり、会話がはずむ。
さあ、明日はいよいよ巡礼が始まる。
どんな日々が待っているんだろう。