アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

触れあう・・触れ合い

2013-08-03 | その他
…という、タイトルだが、この触れ合いは、「人」対「人」ではない。
いや、人もこの星に暮らす、この星(自然)の恩恵を受けている「生き物」ということから考えると、「触れ合う」仲間に入るか。

我が家の庭は春から夏を越し、晩秋になるまで、どうしようもないほどの草やら花やらで満杯になっていた。
若い時はよい。
それらを整備する力があった。
が、悲しいかな、歳月と共に、植物のその旺盛な生命力に抗しきれなくなり、真冬以外の庭は廃屋のごとく…になる。
勿論、草や雑草の花やらに覆われているのは嫌いではない。
が、蚊の発生も尋常ではなくなる。
蚊もゴキブリも「生命の同朋」であることに変わりはないのだが、どうしても、仲間として受け入れることはできない(笑)
蚊でも人の血を吸うのはメスだけという。オスは花の蜜や草の露を食す。
メスが血を吸うのは子孫(ボウフラ?)を残すためには、たんぱく質が必要だかららしい。
蚊には蚊の言い分がある(笑)。

最初は、草取りなどをしている。しかし、夏真っ盛りになり、酷暑の下での、それは、無謀な行為でもあり、やったとしても、旺盛な生命力に追いつかない。
我が家の隣には一人地主所有の広大な土地がある。以前は、ここには沢山の木々と栗の木が植わっていて、それは、それは、良い環境だった。
しかし、聞くところによると、行政機関に「農地」との届けをしていたその土地の扱いが「農地」とはいえないと認定され、(誰かが、密告したとか…噂が流れていたっけ)宅地並みの課税対象となった。それで、その時の持ち主の、ちょっと、偏屈なおじいさん(私は、結構、仲良かった)は木々を伐採し、広大な畑にした。
けれど、そこを耕すだけの人手はなく、野菜を植えては、枯らしてしまうことになった。
木々がなくなったから、我が家の庭に秋になると、それこそ、焼き芋が焼けるくらいに山積したケヤキの落葉もなくなった。
西日がまともに射すようになった。
なにより、窓から見える四季折々の緑や素晴らしい紅葉が喪失された。
新宿から30分ほどの所の立地なのに、こういう自然の中で暮らしてきたのに、「農地扱いだっていいじゃないか、誰だ、密告したのは…」とか「栗の林だから農地だろう!」とか、私は、一人、文句を呟いた(笑)

90才を越しても働いていたおじいさんは、ちょっと、寝込み、間もなく逝った。
現在は息子たちが所有者で、以前よりは畑を耕している。
その畑と我が家の堺に建っている塀が、傾きだした。
我が家の土地は畑の高さより30センチくらい高い。さらに畑の土は柔らかい。
いずれ、そちら側に塀は倒れる―ということで、コンクリートで固める事になった。
それを機に、庭の一部(花壇部分)を残し、コンクリートを打つことになった。

5月に函館に行く前に完成し、だだっ広くなった庭の花壇部分には以前から、アジサイや雪柳や躑躅や、万年の木やら、そして、毎年秋が楽しみな富有柿の木やらが、所せましと植わっている。
そして、新しく出現した花壇に、小さな花々と初体験の家庭菜園。
草ぼうぼうの夏の庭は、蚊にも負けて、
「もう、どうでもいいや!」
の気分になったが、整備されると、「綺麗にしておこう」という気持ちになる。
家庭菜園も花も、グリーンカーテンも、私にしては、頑張った。
実のなる植物の栽培は、結構、はまる。
そして、そこに、触れ合い…である。
触れあう相手は、植物群。
こちらは、二酸化炭素を排出するが、植物たちは、酸素を供給してくれる。
もっぱら、助けてもらっている気がするが、実は、共存…かな。

苗や肥料などの購入でホームセンターに赴くと、ガーデニングや家庭菜園の人気が一目瞭然。
それまでも、花は育てていた。
が、食することのできるものの栽培は初めてで、農園を経営している友人のアドバイスやインターネットの「○○の育て方」なるサイトで調べたり…と、それなりの努力と、そうして、心を尽くしたら、多大な収穫を齎してくれた。
いや、今も、毎日の収穫量がすごい。他に分けても、食べきれないほどの収穫で、前述の農園経営の友人も、「うちよりすごい」と、異常な勢いの胡瓜たち。
そうして、達した結論が、植物たちと触れ合っていると、精神が落ち着いてくるということ。
植物には、鎮静作用があるのかもしれない。
生きものに最も必要な、それが、無かったら、瞬時に、人は死んでしまう酸素を供給してくれるのだから、対面していると、酸素を呉れているのかもしれないなぁ…などと、目には見えない世界に思いはせてみた。
…というわけで、心が折れそうな事象ばかりの現在のこの国に生きているのだから、この際、疲れた心身を、植物という「生命の王様」に、全部、預けてしまうのも、生き抜く方策の一つかもしれない。

画像は、収穫が追いつかないほどの勢いの胡瓜、こんな風に、あちこちで成っている。80円の苗だったのに、ね(笑)


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