アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

そっちが×でこちらは○ ??

2014-11-23 | その他
あと少しで、11月が終わる。ホントに、本当に、2014年も、つくづく、アッという間だったなぁ―と、思う事しきり。
そのアッと言う間に、世間のいろんなことが、アッと言う間に、悪くなって、アッと言う間に、格差がひらき、
「貧困国と冨有国の二つの国をつくっているようだ」
と、本日の東京新聞の第一面の記事『進む二極化 偏る富』―に、書かれていた。
2013年、パートタイマー労働者や非正規労働者がその前年の2012年(ということは、民主党政権…かな)よりも、93万人も増えて、現政権は当時、「雇用が上った」と、得意げに言っていたけど、「どこが?」―であった。
労働者の37パーセントが非正規雇用で、平均年収も167万8千円、前年より2千円減った―とのことだ。
167万円の年収で、「結婚しろ」「将来に夢を持て」―とは言えない。
物価は値上がりしているから、生活は苦しくなっている。
首相の経済活性化の思惑は、金融緩和による円安で企業に大きな利益を上げさせ、それによって、雇用と賃金をあげる―との構想だったが、莫大な利益を得た企業は大企業ばかりで、大企業は一度、手にした利益を手放そうとはしない。社内留保する。
これは、多分に、日本人の特質、悪い言葉でいえば、「島国根性」というやつ…か。
欧米の富裕層は寄付を美徳のようにして、昔から、莫大な寄付をしたそうだ。莫大な富は沢山の下支えの人々の存在があってのことだから、それをわきまえていたのか。
しかし、日本の富裕層は、一度、手にした金や財は決して、手放そうとしない。
だから、それらが、世に循環していくことはないのだ、昔々から…。
この国で、1億2千万円以上の資産を持つ富裕層は、2012年から13年で42万人増えたそうだ。総額は2百兆円。合計で5百77兆円―この金額を一握りの富裕層が持ち、その消費は消費税が値上がりしても衰えないとのことだ。
何かが、おかしいなぁ…。

おかしいといえば、「サンゴ」の件。
一年で0.3ミリしか成長しないサンゴを、法なんぞ蹴り飛ばして、中国漁船の貪欲な密漁行動。
何とも歯がゆい日本の対応。そうこうしているうちに、大事な自然は死滅する。
しかし、それに憤慨していたら、そうこうするうちに沖縄の知事選―。
「そうか、そっちが×で、こちらは○って、やはりおかしいよね!」
と、目をはっきりと醒ました。

11月19日の「本音のコラム」に文芸評論家の斎藤美奈子氏が、『サンゴの処遇』と題したコラムで、合点させてくれた。(以下)

《16日の沖縄県知事選で、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する翁長雄志氏が大勝した。
しかし菅義偉官房長官は「選挙結果にかかわらず、計画を粛々と進める」と語った。毎度のことだ。為政者に都合のいい結果が出れば「民意が示された」といい、不都合なら「選挙結果にかかわらず」という。
 小笠原沖その他での中国船のサンゴ密漁はゆゆしき問題だけれども、辺野古の海の埋め立てはその上をいく暴挙。
11日には19の自然学術団体が連名で、移設計画の見直しと環境アセスメントの再実施を求める異例の要望書を国や県に提出した(と琉球新報や沖縄タイムスは伝える。全国紙はなぜ伝えない?)。
200種以上の絶滅危惧種を含む5000種超の生物が生息する大浦湾一帯は、世界に誇るサンゴ礁。
その保全は生物多様性条約の締約国たる日本の責務だと要望書は訴える。
 この件の半分は基地問題だが、半分は環境問題なのだ。
沖縄の造礁サンゴと宝石サンゴはちがった種類で同列には語れぬものの、サンゴの密漁が×でサンゴ礁の破壊が○なんてありえない。
 現政権が自然環境に無関心なのは原子力政策にも表れている。
原発事故という究極の環境汚染を無視して、さらなる再稼働を目指す。彼らを支持するのは地球の破壊に手を貸すこと。沖縄の選択は、であればこそ重いのだ。》


「地球の破壊に手を貸すこと」―なるほど、唯一無二の、我々のこの星だ、失えば、二度と戻らない。人類は、祖国どころか、この大宇宙の流浪の民となる。
多忙な年末の一日だが、やはり、棄権はすまい。
そうそう、余談だけど、12月14日は、「舟木一夫コンサート2014 ファイナル」が中野サンプラザで公演される。期日前投票という制度が各市町村にはあるから、投票は出来る。「舟木ファン」も棄権しないで済む…と、ちょっと、安心したが、果たして…。   

700だった!

2014-11-22 | その他
衆院解散、総選挙ー。、
「大義なき税金の無駄遣い。搾り取られた私たちのお金が、何億、何十臆と、無駄に使われる。そのお金があったら、子供の貧困が16.7%というこの国の現状も少しは、改善できるかもしれないのに…である。」
と、書いたが、間違えた。
何億、何十億という単位ではなかった。
700だった。
七百億円である(驚!怒!呆!)。

やっぱり、自分たちが汗水流して得たお金ではないから、他人(国民、庶民)のお金だから、平気で使えるんだなぁ。
晩秋の真っ青な空、一年中で一番、空が高く、青いー秋~晩秋、良い季節に溜息と憤怒。


どこに行く?

2014-11-21 | その他
2014年も思った通りに…というか、決められていたように、あっと言う間に終わる。
夏ごろまでは結構、頑張って、ここにも書いていたけど、秋のかきこみが極端に少なくなったのは、マァ、他の原稿をまとめることに追われている―ということも、理由のひとつだけど、追いつかないほど、心(精神あるいは、神経)を悪い意味で直撃してくる事象が次から次へと、世情に氾濫してくるので、「追いかけ疲れた」―これが、一番の理由(わけ)か。

ちなみに、心を良い意味で直撃してくるのは、聴いていて心地よい歌、観ていて胸の奥に染み通ってくる芝居、いつの間にか、涙が頬を伝っている映画―である。

11月初め頃、公開から随分経って、『蜩(ひぐらし)の記』を観た。役所広司主演。
静かな、しかし、その胸の内では、熱い心を、本当の武士の心構えを持った男の物語。
こういう役を演じると、「役所広司はうまい!」と、私は、勝手に思っている。
その数ヶ月前に、役所さん主演の「渇き」という映画を観たが、バイオレンス映画―だったのだろうか。
結局、私は、この映画が何を言いたかったのか、わからなかった。
暴力と飛び散る血潮、やたら、イライラしている登場人物たち―すれ違っただけで、殺されてしまうかもしれないと
いったものを感じる人々―。画面いっぱいに、それらが溢れて、子供の目の前で親が殺される、母親が犯される―等々、本当に、なにが言いたかったのかな。主演した役所さんは、主題がどこにあるのか、何を言いたい映画だったのか、わかっているだろうけど…。
しかし、私は、居なくなった高校生の娘を探して、その娘はとんでもない化け物だったと行く先々で知り、最初から、イライラしているが、それが、怒りと合わさって、怒鳴りまくる、殴りまくる―そういう役の役所さんより、静かに語る役を演じている彼の方が好きだ。
たとえ、極悪非道の悪人であっても、必ず、怒鳴りまくっているかというと、そんなことは無いのだから…。

しかし、現実をみれば、怒鳴りたくなるようなことが多々。
一体、私たちが日々暮らしている、ここを喪失したら、我々はどこへいけばよいのだーと、ふいと、悲しみと不安が湧きあがる、どんな形ではあっても、ここは、私たちの祖国なのだから―というこの国の、一応「最高責任者は私だから、私が決定し、私が責任をとる」―と、自分の言葉に酔っているようにしかみえなかった安倍首相が、本日、衆議院を解散する。総選挙をして、「国民に信を問う」―そうだ。
2年前の12月の総選挙のように、大勝はしないだろうが、政権を失いことはない―という計算が働いているに違いない。
表向きは、「消費税のさらなる増税を、平成29年4月にする。18カ月先延ばしにするが、その時点での景気の動向に関係なく、上げる」―その事に対する国民の信を問うというが、腰砕けの野党の様子をみれば、また、自民党政治は続く、安倍政権は続くだろう。二年前の選挙の際の公約を、どんどん、変質させて今日に及ぶーその政権がつづくのだ。
特定秘密保護法についての記述は公約にはなかった。TPPも反対のはず。
「聖域なき関税撤廃を可能する限り、交渉参加に反対」→「聖域なき関税撤廃が前提ではないと交渉参加」。
原発も「原子力に依存しなくてもよい経済、社会構造の確立を目指す」→「原発の再稼働を推進」。
「政治改革、議員定数の削減など国民の求める改革を断行する」→「実現せず」…等々、本当に、好き放題やってきたなぁーと、思わざるを得ない。
それで、庶民(国民ではない、庶民である。国民の中には、政権にしっかりくっついて、莫大な富を得ている輩(やから)もいるから)―庶民の日々の生活が良くなったか、雇用が確保されたか―というと、それは、まったく無い。
そうして、何より、経済政策の是非を問うと告げる首相の解散表明に、「被災者」という言葉は無かった。
2年前、政権発足当時、「復興に全力を挙げる」と、約束したことは、もう、記憶の彼方に霧散したのか。
地球儀外交と称して、メリットの無い国までも含めて、国民の血税を湯水のように使って、あちこちで出かける首相だが、そのせいで、当初の予算より、1500億円不足した…とか、記事に載っていたのは、もう数カ月も前だったか。それよりも、足もとに目をやって、その足もと、そのずっと下で、日々の暮らしに喘ぐ、庶民を見ろ!―と言いたい。
…ということで、総選挙だ。大義なき税金の無駄遣い。搾り取られた私たちのお金が、何億、何十臆と、無駄に使われる。そのお金があったら、子供の貧困が16.7%というこの国の現状も少しは、改善できるかもしれないのに…である。
「好き勝手をするための免罪符」を手に入れたいのだろう―と、首相がどんな言葉を持って説明しようとも、私には、そのようにしか、見えない。

そうして、総選挙のあと、この国はどこに行く?
戦争の出来る国になるのか、戦争にいくのは 、まず、自衛隊員。
これまでは海外に派遣されても人道的派遣で一発の弾丸も撃たないで人も殺さずにすんだ。が、今後は、殺すか、自身が殺されるか、「最高責任者は私」と意気揚々と言い放つ首相が、自衛隊員の戦死をどのように受け止めるのか、自分の命をもってして、責任をとるのか―これは、あり得ない。
次に戦地に赴くのは、若者だ。けれど、為政者や国会議員の子息は行かない、行くのは貧困層から…。
第二次大戦よりも、前から、ずっと、昔から、その図式は変わっていない。
第二次大戦で310万人の命を犠牲にして手に入れた大事な大事な民主主義である。失ってなるか―と、唇を噛みしめなくては…逝った多くの命に申し訳ないだろう。それらの多くの良き人々の命の上に在る平和な祖国だ。
また、庶民が死ぬのは、戦争だけではない。日々の生活で命を奪われることもある。希望の見いだせない未来に殺されることもある。
…と思えば、12月14日という、忙しい時期の投票だ。棄権はすまい。自分と大切な人々の生きゆく道が、命が、かかっている。

昨日の新聞の「本音のコラム」に「アベノミクス第2弾?」というタイトルで、法政大教授の竹田茂夫氏が、「その通りだ!」と合点してしまうことを書いている(以下)。


《 選挙後に安倍政権が継続したものと仮定しよう。何か起きるか。
 まず、先日のGDPショック(消費不振とマイナス成長)であらためて明らかになったアペノミクス破綻の弥縫策(びほうさく)として、商品券配布や燃料費補助が行われる。
 犠牲にしてきた庶民や中小企業や農漁業者をばらまきでなだめてから、いよいよ財界やエコノミストらが大合唱で要求してきた成長戦略で権力志向と大ばくちの政権の本領を発揮するだろう。
 すでに日銀への政治的圧力や憲法解釈変更や原発再稼働で試してきた強権手法を本格的に雇用制度や農業や医療の分野で行使し始めるはずだ。
「世界で一番ビジネスをしやすい国」にするために法人税引き下げだけでなく、かねて財界首脳が主張してきた解雇自由、解雇の金銭解決、時間外ただ働きが制度化され、企業内失業の中高年から首切りが始まる。
 その穴埋めをするのが、不安定で低賃金の非正規や限定正社員の若者だ。
農業や医療への株式会社参入も強行されるだろう。
四年後には格差が一層拡大し、国民の疲弊も著しい荒涼とした日本社会が出現しているはずだ。
 真に活力ある経済と社会を実現する確かな方法が別にある。無数の草の根ビジネスに依拠して原発から再生可能エネルギーヘの全面的転換を図るという方法だ。》