goo blog サービス終了のお知らせ 

徒然なる日々からの歳時記

徒然なるままに日々の歳時・興味を綴っております。

背高泡立草にまつわるエトセトラ 前編

2005年10月28日 | その他の記事
この黄色い花に見覚えがない人はいないのではないだろうか。

セイタカアワダチソウ,北米原産のキク科の多年草,空き地や河原で群生する様子は,誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。

ところで,この花に対して,皆さんが抱いている印象はどんな感じでしょうか。概してあまり良い印象は持たれていないのではと思います。

その印象がちょっと変わるかも知れないエトセトラを,前後編2回に分けて紹介

『圧倒的な繁殖能力』
セイタカアワダチソウは,戦後,各地で都市化等によって生じた空き地(裸地)や耕作放棄地などを中心に広がりました。彼らが一気に勢力を拡大することが出来たのは,空き地や耕作放棄地などで生育するのに適した,極めて優れた競争力を持っていたからです。例えば,根から周囲の植物の成長(種子発芽)を抑制する化学物質を分泌し,群落の形成を優位に進める他感作用(アレロパシー)や,大量かつ広範に種子を散布出来る種子散布能力,ロゼットによる越冬,急激な生長,地下茎による物質貯蔵,栄養繁殖による株の増殖など。こうした特徴に裏打ちされた,他の植物に入り込む余地を全く与えないほどの圧倒的な繁殖力こそが,セイタカアワダチソウがあまり良い印象をもたれていない理由の原点。 

『蜜源植物』
あまり知られていませんが,セイタカアワダチソウは優秀な蜜源植物。(写真をよく見てもらえれば蜂が蜜や花粉を集めに来ているのが,分かると思います)広がった理由の一つに,養蜂業者が積極的に散布を行ったからという説があるほどです。セイタカアワダチソウ蜂蜜は,見たことありませんが(^^;

『喘息の元凶?』
圧倒的な繁殖能力に加えて,セイタカアワダチソウの印象が極めて良くない理由の一つに,一時期,喘息や花粉症の元凶だと言われたことがあったことがあります。高度経済成長期,身の回りで急速に広がる,見慣れない黄色い花に抱いた不安感と,時を同じくして広がった原因のはっきりしない喘息という病が結びついた結果が「セイタカアワダチソウ=喘息の元凶」だった訳です。ただ,これは濡れ衣だったと言われています。上記の蜜源植物の話からも分かるように,セイタカアワダチソウは,花粉を虫によって運んでもらう虫媒花,風によって花粉をばらまく風媒花ではないため,広く花粉が拡散することはありません。現在では,喘息や花粉症とは無関係と考えられています。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする