1591 こぼれ落ちる砂
農村で生まれた自分は
海は遠い存在にあった
ニセコの山々の向うを越えると
日本海だった
知らない海の砂浜で
両手ですくった砂は
指のすきまからこぼれ落ちてゆく
自分の記憶もすきまこぼれ落ちてゆく
あなたの名前も顔も誰だかわからなくなり
こころも自分も壊れていく
いっそう記憶が失せないうちに死にたい
こぼれ落ちゆく砂は時間のようでもある
両手ですくった砂は
指のすきまから時間がこぼれ落ちてゆく
松本清張の小説を想い出した
砂の器は脆く壊れやすい
砂浜に押し寄せた波で
「砂の器」は脆くも壊れてしまった
知らない海辺で
時間を忘れ
老いであることを忘れ
皴くれた両手で砂をすくい
指のすきまから落ちる砂を
眺めてみたい
農村で生まれた自分は
海は遠い存在にあった
ニセコの山々の向うを越えると
日本海だった
知らない海の砂浜で
両手ですくった砂は
指のすきまからこぼれ落ちてゆく
自分の記憶もすきまこぼれ落ちてゆく
あなたの名前も顔も誰だかわからなくなり
こころも自分も壊れていく
いっそう記憶が失せないうちに死にたい
こぼれ落ちゆく砂は時間のようでもある
両手ですくった砂は
指のすきまから時間がこぼれ落ちてゆく
松本清張の小説を想い出した
砂の器は脆く壊れやすい
砂浜に押し寄せた波で
「砂の器」は脆くも壊れてしまった
知らない海辺で
時間を忘れ
老いであることを忘れ
皴くれた両手で砂をすくい
指のすきまから落ちる砂を
眺めてみたい