少年カメラ・クラブ

子供心を失わない大人であり続けたいと思います。

コペルニクス

2004-11-22 22:24:05 | 天体観測
久しぶりに望遠鏡を出して月を見た。

コペルニクスという最大級のクレーターをスケッチした。何段にも重なったクレータのふちのスケッチはなかなか大変。

クレーターから少し離れた場所に同心円状に散らばった小さな穴の列を見つけた。写真では、その存在を知っていたのだが、なぜか肉眼では今まで見つからなかった。今日初めてその場所を確認。一度分かってしまうと、なんでこんなにはっきりしているのにわからなかったのだろうと不思議な感じ。

色を塗らないスケッチは少しやわらかい鉛筆(2B)で。

空気も水もない月の世界。宇宙の果てから飛んできた隕石が、インパクトした瞬間の状況をそのまま写真に撮ったように月の表面は固定されてしまっている。

白い筋が放射状にクレーターから広がっていく。白っぽい表面もあれば黒っぽい部分もある。何億年もの間、全く動かずじっとしている月の表面にも、かつては溶岩が流れたり山ができたりするダイナミックな変化の時代があったのだ。

コペルニクスと対比されるティコというクレーターは、月で最も新しいクレーターのひとつ。このクレーターの場所に隕石がぶつかったころに、地球では恐竜が滅んだらしい。ティコと同じような隕石が地球にもぶつかったのだ。

そんな風に考えると、月は地球の歴史を写し取ったもののようにも思える。月を観測することの意味。それは本当の自分を知るためなのだ。それは地球を知ることであり、観測する私自身を知ることでもある。

今まで書いた月のクレーターのスケッチ。だいぶたくさんになったが、その時々の気持ちでスケッチもずいぶん違う。鉛筆のタッチや大きさ、陰の書き方から緻密さまで、まさにいろいろだ。

いつもできるだけ正確にそのままを書こうと思っている。スケッチというのは、できるだけ詳細に観察をして、見た地形をいったん頭の中でイメージとして再構成するプロセスだ。単に視覚だけの感覚で観察するのでは十分ではない。対象に没入して、そこにあたかもいるような状況まで自分を追い込む。めったにそういう風にはならないけど。イメージと実体が渾然一体となる瞬間。それがスケッチの醍醐味だろう。

タカハシの短焦点アイピースで高倍率を出してみているが、視野が狭いのでチョコチョコ望遠鏡を動かさなければいけないのがちとつらい。やっぱりナグラーかなあ。