歴史とドラマをめぐる冒険

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大河ドラマにおける徳川家康像・不思議な人気

2020-06-14 | 麒麟がくる
ツイッターをやってみて、徳川家康が大人気だということが分かりました。特に今川時代とか。

どうやら「おんな城主直虎」の影響もあるようです。さらに家康の持つ安定感とか、常識人っぽいところも人気の秘密のように思います。秀吉や信長に比べると、狂気度が相対的に薄いのかも知れません。山岡さんが描いた勤皇家の家康も影響しているのかな?

「おんな城主直虎」は、非常に評判のいい作品です。しかし私はところどころしか見ていません。最後の方は見た。信長が「ザ魔王」でびっくり。あそこまでデフォルメするとは。光秀にまたびっくり。結局、信長、光秀、家康の描き方しか見ていないから、作品に入り込めないのです。主役は直虎と二人の男です。

大河「徳川家康」が放映されたのは1983年で、むろん生きてはいたのですが、なぜか見ませんでした。その後DVDになって2000年ぐらいに見たのでしょうか。衝撃でしたね。「そんな馬鹿な」という所満載です。でもある意味「新鮮な家康」だったのです。山岡荘八さんの原作は読んでないので、ここまで「聖人君子にしてしまうか」と衝撃でした。あそこまでやると立派だと思います。「嘘に嘘を重ねて」と言われますが、嘘もあそこまでやれば立派です。そもそも「偉人伝」は嫌いじゃないのです。「偉人伝」としてはよくやった作品だと思います。

大坂の陣などでも「秀頼を助けよう」とするのです。でも秀忠が勝手に殺してしまう。それで怒って帰ってしまう。「おいおい、秀頼の遺児の国松を救わなくていいのか」とかつい思ってしまいますが、それでもあそこまでやれば見上げたもんです。嘘ばっかとは思いますけどね。でも嘘ばっかなのは他の大河も同じことですし。楽しい嘘なら構わないのです。

史実に近い感じがするのは「葵徳川三代」の家康です。家康研究家さんにとっては「小山評定なんてない」と嘘ばかりなのかも知れないが、私には「ちょうどいい感じの家康」に見えました。ただしあれは秀吉死後から始まるのですよね。前半生がない。

司馬さんは家康につき「覇王の家」「関ケ原」「城塞」という3つの作品を描いていますが、どれも大河になったことはありません。「関ケ原」はTBSでドラマになりました。近年の映画は、あまり触れたくありません。ドラマ、森繫久彌さんの家康は実に良い。最後に石田三成のために泣くのです。そこも実にいい。司馬さんは家康に対して厳しい。山岡さんへの意識だと思います。それでも「覇王の家」では珍しくほめています。全然無私の人じゃないこの男が、無私の人としての自分を徹底して仮装できた。そこが凄いと言うのです。あいまいな記憶ですが。

徳川家康という人がかわいそうなのは、下剋上がほぼ終わった時代に勢力を伸ばすので、豊臣家に対する「倫理が問われて」しまうところです。信長が義昭を追放しても、秀吉が織田信孝を殺しても、さほど倫理は問われません。乱世だからです。でも家康は乱世を終わらせてしまった。乱世が終わる時代に覇権を握った。だから倫理を問われてしまうのです。しかも江戸時代は倫理的な時代となって、その倫理観は今でも、なんとなく生きています。

家康を偉人として描いた大河「徳川家康」がある。なるべく等身大に描こうとした大河「葵徳川三代」がある。そしてコント仕立てで登場し、段々凄みを見せていった大河「真田丸」がある。狸親父として描いた作品もある。しかしその「狸度」は作品によってさまざまである。そんな風に感じます。

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