ハナママゴンの雑記帳

ひとり上手で面倒臭がりで出不精だけれど旅行は好きな兼業主婦が、書きたいことを気ままに書かせていただいております。

ローラ・インガルス・ワイルダー ② ローラの両親 (前編)

2015-02-22 16:12:41 | ひと

ローラ・インガルス・ワイルダー ① からの続きです 》


まずはじめに、ローラの家系図です。

ローラの “父さん” 方のおばあちゃん(同じくローラ)のご先祖は、メイフラワー号でイギリスから渡ってきた

乗客のひとり(Richard Warren)だそうです。

 


ランスフォードと  ローラ・インガルス 


ローラの “父さん” チャールズ・フィリップ・インガルス(1836年1月10日-1902年6月8日、享年66歳)は、ランスフォードとローラ・インガルスの間に生まれた9人の子供のうちの第2子として、ニューヨークで誕生。 一家は1840年代前半にニューヨークを離れ、1848年にイリノイ州に移り、さらに1855年にウィスコンシン州へと移住しました。 チャールズは音楽と読書を愛する、意気軒昂で外交的な若者に成長しました。 罠による狩猟を得意とし、大工や農夫としての腕もなかなかのものでした。


左から: 継父フレデリック、兄トマス、異父妹のシャーロット、母親シャーロット


ローラの “母さん” キャロライン・レイク・クイーナー(1839年12月12日-1924年4月20日、享年84歳)は、ヘンリーとシャーロット・クイーナーの間に生まれた7人の子供のうちの第5子としてウィスコンシン州で誕生。 キャロラインが5歳のとき、父親ヘンリーはミシガン湖で事故死し、母親シャーロットは1849年に近在の農夫フレデリック・ホルブルックと再婚しました。 二人の間には、娘が一人生まれました。 継父を愛し尊敬したキャロラインは、のちに生まれた息子に継父の名をミドルネームとして授けています。 16歳半になったキャロラインは先生として働き始めました。


結婚前のチャールズとキャロライン                             二人の結婚写真            

         


チャールズとキャロラインは、1860年2月1日に結婚。 二人は1863年に、ウィスコンシン州ぺピンPepin)から11kmほど北西に離れた大きな森に土地を買い、小さな丸太小屋の家を建てました。 1865年1月10日にメアリーが、1867年2月7日にローラがそこで誕生。 しかし強い放浪欲(Wanderlust)をもつチャールズは、一ヶ所に定住して大勢の中で暮らすことを好みませんでした。 そのため彼は、結婚後も家族とともに幌馬車で移動し、何度も住居を変えることになります。

実際にはじめてここに住んだときのローラは2歳にも満たない赤ちゃんでしたが、『大きな森の小さな家』 ではローラは5歳になります。 これは、のちにローラの娘ローズがローラの伝記の著者に宛てて説明したところによると、「大きな森の物語での実年齢では、物語の中で詳細に描かれた記憶をもっているには幼なすぎるから年齢を上げるように」 出版元から求められたためだそうです。 そのため 『大草原の小さな家』 でのローラの年齢も実際よりは上に描かれましたが、その後の物語でアイオワ州バー・オークでの出来事は省いたため、そこで実年齢が追いつくことになりました。 インガルス一家はローラが4歳から7歳になる期間を大きな森に戻って暮らしましたから、『大きな森』 の詳細な描写はその頃の体験を基にしているのでしょう。

大きな森での暮らしは不自由もなく快適でしたが、チャールズは西部への憧れを募らせていました。 カンザスの平地が開拓者に開放されたと聞き、人が少なく平坦で木がない土地を開墾したいとの思いを止められなくなった彼は、1868年4月、家族を連れて幌馬車でカンザス目指して旅立ちます。

インガルス一家が暮らした辺りは現在は Little House Wayside というサービスエリアになっていて、インガルス一家の家があった場所には、ローラの著書 『大きな森の小さな家』 での描写を基に復元された丸太小屋が立っているようです。 中には暖炉とテーブルとロフトスペースがあります。 大きな森はとうの昔になくなり、小屋を囲むのはとうもろこし畑。 ぺピンの町には 『ローラ・インガルス・ワイルダー博物館( Laura Ingalls Wilder Museum)』 と、ローラから名づけられた公園があるようです。


ローラ生誕の地に再現された “大きな森の小さな家”

  

  

ぺピンにある “ローラ・インガルス・ワイルダー公園”

  


1868年にミズーリ州のロスヴィル(Rothville)に移ってしばらくそこで暮らしたあと、インガルス一家は翌1869年にカンザス州東南部のインディアン準州に移ります。 1870年8月3日に、ローラの妹キャロライン(通称キャリー)がカンザスで誕生します。

インガルス一家がカンザス州で居を構えたのは、現在のインディペンデンス市(Independence)から南西に19kmほどの、開拓者にやがて開放されると約束されていた土地でした。 現在この場所には、ローラの著書の中での記述を基にして復元された 『大草原の小さな家(Little House on the Prairie)』 が立っています。 1977年に発見されたこの家の基礎は、実際にインガルス家のものだったと信じられています。 近くにはインガルス一家がいた頃と同時代の学校と郵便局が移設されてきて設置されています。 またそばにはギフト・ショップもあります。


カンザス州に再現された “大草原の小さな家”

 

  

  


しかし翌1871年、 一家はインディアン準州からの立ち退きを命じられてしまいます。 『大草原の小さな家』 では一家はそこからミネソタ州に向かいますが、実際はちょうど同時期に一家は、「ウィスコンシンの大きな森の家を買った男が負債不履行を起こした」 との知らせを受けます。 そこで一家はウィスコンシンに戻って数年をそこで暮らします。 つまり実際のローラは、4歳から7歳にかけての年月をふたたび大きな森の家で暮らしたのでした。

1874年春。 ミネソタ州南部のウォルナット・グローヴWalnut Grove)に到着した一家は、最初の一年ほどはプラム・クリークの土手を掘って作られた横穴の家に住みます。 購入した土地にチャールズが建てた木造2階建ての家が出来上がると、そちらに移りました。 翌1875年11月1日、チャールズとキャロラインにとって唯一の息子だったチャールズ・フレデリック(通称フレディー)が誕生します。

ローラ・インガルス・ワイルダーの著書の中では言及されない地名であるにもかかわらず、TVシリーズの舞台として “ウォルナット・グローヴ” が採用されたため、その名は世界的に有名になりました。 そのため町には 『ローラ・インガルス・ワイルダー博物館(Laura Ingalls Wilder Museum)』 があり、毎年7月には 『ワイルダー野外劇(Wilder Pageant)』 が演じられます。 チャールズが建てた家はまったく残っていませんしその位置も現在では不明確ですが、陥没してしまったプラム・クリークの土手の家はその状態のまま保存されており(Ingalls Dugout Site)、訪れることができます。 1953年版から 『大草原』 シリーズの挿絵を担当したガース・ウィリアムズ氏は、原作の風景をできるだけ忠実に再現するために、1947年にインガルス一家が旅した道を忠実にたどりました。 土手の家を含む土地の当時の持主は、プラム・クリークに着いたウィリアムズ氏に教わるまで、その土地の歴史的重要性をまったく知らずに住んでいたそうです。 なお町にある博物館の敷地には、インガルス一家の土手の家が再現されています。


ウォルナット・グローヴにあるローラ・インガルス・ワイルダー博物館

  

(ここに展示されているキャロラインが大切にしていた羊飼い娘の置物 ↑ は、実物ではありません。 残念ながら実物は、どこに行ったのか不明だそうです。)

  

再現された土手の家とその内部   


        土手の家があった場所

  


ミネソタを理想の地と信じ、この地で自作農を始めるつもりだったチャールズですが、大襲来したイナゴ(正確にはロッキートビバッタだったそうです)に2年続けて収穫をふいにされ、経済的に困窮します。 知人にアイオワ州のバー・オークでホテル運営を手伝う仕事をもちかけられたチャールズは、1876年7月、家族とともにウォルナット・グローヴを後にします。 一家はバー・オーク(Burr Oak)に向かう前に、その夏をミネソタ州のワバシャ郡に住むチャールズの兄ピーター一家とともに過ごしますが、そこで月齢9ヶ月だったフレディーが、8月27日に未確認の原因のため突然死亡してしまいます。

新作 “Pioneer Girl” によると、「小さな弟は具合が悪くなった」 あと 「ある恐ろしい日に、体をぴんと突っ張らせて死んでしまった」 そうです。 幼いフレディーはピーターの農地に埋葬され、現在ではその正確な位置は不明です。 ワイルダー研究者であるウィリアム・アンダーソンによると、「キャロラインはフレディーの死後40年近く経っても彼の死を悲しみ、『 “フレディーが生きていたら” なにもかもが違っていただろうに』 と親類に語っていた」 そうです。 『大草原』 の物語にはフレディーはまったく登場しませんが、それはローラと家族にとって、フレディーの思い出があまりにも悲しいものだったからかもしれません。


ローラ・インガルス・ワイルダー③ につづく 》



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