パステルの淡さでなぞる嘘なのにやさしくなんかなれない夜更け 暮夜 宴 こころがうまく消化できていない様子の夜更け。 この「なぞる」というのは、 相手の嘘を、パステルの淡さでなぞっているのでしょうか。 輪郭もぼかしてしまって。 嘘の存在はわかっているけれど、それをくっきりさせないまま。 けれど「やさしくなんかなれない」と言ってしまうのは、 そこに嘘があることを知ってしまっているからでしょう。 嘘をどこまでもぼかすことまではできても、 それをなかったことにして、やさしくなどはできない。 むしろ、なかったことにできないがために、 パステルほどの淡さで「なぞる」のかも知れないですね。嘘を。 やさしさと、嘘の関係について考えてしまいました。 なんのために嘘をつき、 なんのためにやさしくなるのだろうか、と。 |
ひとつだけ嘘を許して見送れば 雨の匂いを連れてくる風 青野ことり こちらは、嘘を許すひとの作品。 「嘘を許して見送れば」とすらりと言えるのが大人です。 ひとつだけ、ですけど。 この作品は、下の句で 「雨の匂いを連れてくる風 」 と繋がるんですね。 ふわっと湿った、雨の匂いを連れてくる風に吹かれる。 その雨の湿気が、まるで流れなかった涙のようにも思えてしまう。 嘘を許したところで幸せになれるということでもなく、 ただただやるせない思い。 湿り気を帯びた雨の匂いを含む風に吹かれ、立ちすくむ。 雨が来たら、泣くかもしれない。 |
玉葱の皮むき作業するように剥がしても嘘剥がしても嘘 きじとら猫 「剥がしても嘘剥がしても嘘」が頭にこびりつく作品です。 どんどん剥がして剥がしてゆくけれど、見えゆくのは嘘ばかり。 嘘ばかりでどんどん必死になる。本当はどこ? ・・・・途方もない。 玉葱の皮むきに例えられているけれど、涙も一緒に流れるのでしょうね。 |
ジャンクフード@シブヤの嘘つきな味に飼い馴らされている日々 まほし ジャンクフード@シブヤ!!カッコイイ! 「嘘つきな味」なんて言いながら、ヤミツキな感じがするのはシブヤの魅力なのでしょうか。 ジャンクフードって、体に良くはないんだろうけど、食べだしたらやめられない味を含んでる。 しかもそんなジャンクフード@シブヤに「飼い馴らされている」と言う。 ジャンクフード@シブヤを歩く彼女は、はっきり感じているのでしょう。 シブヤがジャンクフードであることも、その嘘つきな味にも、自分達が飼い馴らされていることも。 わかっているけれど、だからと言って、そこから抜け出してなにがあるのか。 オトナはなんにも教えてくれない。 |
とても喜んでいます。
どうもありがとうございました。
とことん「嘘」に拘ってるわたしとしては、とても嬉しいです。
そして、とても丁寧な大人の読みをしていただいて、
詠んだ本人「おっ!」と思ってしまいました(笑)
それはとても些細な嘘だったりします。
天地がひっくり返るなんてことは間違ってもないような。
でも、その元にもまた嘘が潜んでいたりするわけで、
小さな嘘を知らず知らずのうちに重ねていってしまう。
罪の意識はないのかもしれない。
でもね、、、
さらっと流せないわけですよ。
なかったことにはできないし、忘れたふりもできないでいる。
信頼が揺らぐ(って言うか、崩れる?)
そう、やっぱ愛がなくっちゃね^^
許すことがやさしさなのかもしれない。
でもね、、、大人になりきれない暮夜なのでした(笑)
拙歌をとりあげてくださってありがとうございます。
私の歌が花夢さんの読みでドラマになる。
短歌って詠み手と読み手が一緒に作るんだなって
あらためて思いました。
書き込みありがとうございます。
なにか自分の世界の延長線で読んでいるような感じで好き勝手にコメントをつけてしまっています。
お許しくださいませ。
このお題で、私は自分が嘘をつく歌を詠んだのですが、皆さんの「嘘」は嘘をつかれる側に立った歌なんですね。
いろんな心情のゆらぎが印象的でした。
暮夜さんは、「やさしくなんかなれない」とうたう。
わかりますよ!暮夜さん!だって、やさしくなんかなれないですよ!(笑)←私も子供です。(笑)
私が気になったのは、「やさしくなんかなれない」という言葉は、“本当はやさしくなりたい”の意味のように感じたからだと思います。
やさしくなりたいけどなれないのだって相手を想っているからこそ、です。
そして、青野ことりさんは許す人。
それでも、やっぱり雨は降りそうなんですね。
なにがしあわせに導くのかわからなくなりそうで眩暈がする。
そして、きじとら猫さんに到っては、「剥がしても嘘剥がしても嘘」。
泣きそうです。
どんなに大人でも子供でも、嘘の存在を目の当たりにしてしまったら、どうしたって眠れない夜になりそうです。