島崎翁助は島崎藤村の三男。職業は画家で良いのだろうか。文を読むと、なかなか名文家でもある。藤村の子どもだけのことはある。
蓊助は、10代の終わり頃からプロレタリア美術運動に関わり、21歳のとき(1929年)ドイツに渡り、ベルリン在住の日本人左翼グループら(国崎定洞、鈴木東民、千田是也、労働法学者の野村平爾など)と交流し、1933年に帰国する。
蓊助の交遊した人には、辻まこと(辻潤、野枝の長男)、竹久夢二の息子・不二彦もいる。
あまり知られていないけれども、藤村の関係者で社会運動に関わったのは、藤村の姪・島崎こま子と、この蓊助である。それぞれドラマティックな人生を送っている。こうした人物の生の軌跡を追うのもおもしろい。