浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

軍部の独走

2024-07-20 10:05:03 | 近現代史

 一九四五年に終わった戦争を振り返るとき、そこに軍部の独走があったことは周知の事実である。暴力装置を保持している軍部は、政治家を脅し、官僚を従え、「統帥権の独立」を悪用して戦争政策を推進した。そして日本を敗戦国に導き、対米隷属の国家へと日本を貶めた。対米隷属の国家へと貶める尖兵となったのは、旧海軍をはじめとした勢力であった。旧海軍に戦争責任を課さないように、旧海軍将校はアメリカ軍に取り入り、戦後自衛隊が発足してからは、堂々とアメリカ軍の付属部隊としての存在にもっていった。海上にあるアメリカ軍のまわりに、海上自衛隊の艦船がコバンザメのようにとりつく姿を見かけたことがあるだろう。

 そうした旧海軍はじめ、旧日本軍のDNAをしっかりと継承している自衛隊は、日本防衛隊という外被をかなぐり捨てて、アメリカ軍の指揮下に、海外へと遠征する外征部隊としての様相を示しつつある。

 となると、日本の軍事機密は、同時に米軍の軍事機密となる。日米の軍事一体化は、強い秘密保持制度を具備することになる。

 さて、自衛隊の最高指揮官は、内閣総理大臣である。自衛隊法にはこうある。

第七条 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。

第八条 防衛大臣は、この法律の定めるところに従い、自衛隊の隊務を統括する。ただし、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の部隊及び機関(以下「部隊等」という。)に対する防衛大臣の指揮監督は、次の各号に掲げる隊務の区分に応じ、当該各号に定める者を通じて行うものとする。(各号略)

 しかし、実質的に自衛隊の指揮権は米軍がもつ。となると、この自衛隊法の上記の条文は、空文化する。自衛隊は、日本の総理大臣や防衛大臣よりも、米軍を仰ぐ。日本国民が、自衛隊への監視を疎かにし(それは、利権にしがみつくウルトラ右翼の自由民主党と自民党のコバンザメの公明党に政治をさせているということと同義である)た結果、自衛隊の独走を許すことになったのである。日本国民はかつての戦争の、異なる形での軍部独走を許しているのである。

 だから、『東京新聞』の記事に記されたような事態が起こるのだ。木原稔防衛相が知ったのは「野党より後」…ガバナンス欠如の防衛省自衛隊、元隊員の「逮捕」を8カ月報告せず

 その本文の一部を掲げる。

 木原稔防衛相は19日の記者会見で、海上自衛隊の潜水手当不正受給問題で元隊員4人が逮捕されていたことについて、約8カ月間報告がなかったと明らかにした。木原氏が逮捕の事実を知ったのは18日深夜。隊員らの一斉処分を公表した12日の段階でも把握していなかったことになり、「適切な発信ができておらず、深くおわび申し上げる」と謝罪した。大臣を補佐する本省内部部局(内局)が必要な情報をトップと共有しなかったことは「シビリアンコントロール(文民統制)」を揺るがす事態だ。(川田篤志)

 木原氏は会見で「大臣にしっかり報告するという文民統制の要諦が守られていない恐れがあるなら、由々しきことだ」と内局の対応を批判。自らの進退については「引き続き防衛省・自衛隊の体質改善をやらなければいけない」と辞任を否定した。防衛省は今後、報告が遅れた経緯や原因を調査し、関係者の処分も検討する。
 
 
 18日午後、立憲民主党の会合で防衛省担当者が逮捕について説明したことを機に、報道機関から問い合わせが相次ぎ、木原氏に報告した。防衛相の直轄部隊である警務隊による逮捕を共有していなかった理由について、19日未明に取材に応じた三貝哲・人事教育局長は「私が大臣に報告しない判断をした。判断ミスだった」と責任を認めた。三貝氏は19日付で退職した。
 逮捕者が出た場合、通常は書面で大臣に報告されるが、不正受給問題の調査が継続中だったため報告しなかったという。結果的に、木原氏の事実把握は、野党より遅れたことになる。

 

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