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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】朝日新聞津支局『海よ!芦浜原発30年』(風媒社)

2012-12-07 16:31:35 | 日記
 発行は1994年だから、この芦浜原発が最終的に(といっても、絶対に、とは言えないところが問題ではあるが)白紙となったのは、2000年であるから、途中経過を記したものといえよう。

 三重県に中部電力が原発を建設しようとしたのは、1963年。2000年には実質的に「中止」となっているが、原発予定地はすでに中部電力の所有地となっているから、また息を吹き返すこともあるかもしれない。

 計画が持ち上がってから約40年近く。その間、この原発の建設をめぐって地域に激しい対立が生まれた。

 本書は、賛成派が多い地域と反対派が多い地域の状況、複数ある漁業協同組合の動向、そして自治体の動きなど、その対立がどのように生まれ、どういう経過をたどったのかを、なかなか丁寧に追跡している。

 対立をつくったのは、もちろん原発建設計画である。経済的に豊かな地域ではないところに、電力会社や政府は原発立地を計画する。その理由は簡単だ。札束で頬を撫でれば、「賛成」となる人びとがでてくるからだ。

 人は、理念や理想だけで生きていくわけではない。

 中部電力は、カネをつかう。しかし考えてみれば、そのカネは私たちの電気料金である。そのカネが、買収工作のためにつかわれるのである。

 芦浜原発は中止となっている。中部電力が所有している原発は浜岡だけ。中部電力の原発依存率が低いのは、芦浜原発反対運動があったからだ。

 この反対運動については、もう一冊ある。図書館から借りるつもりだ。

 政府や電力会社、そして原発ムラの住人たちが、原発の新設や再稼働などを企んでいる。過去の反対運動からいろいろな教訓を得ることは必要なことである。

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