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今だから…昭和さ ある男のぼやき

主に昭和の流行歌のことについてぼやくブログです。時折映画/書籍にも触れます。

追悼・内山田洋、クールファイブ特集

2006-11-06 06:21:05 | 昭和の名歌手たち

歌謡コーラスグループ「内山田洋とクールファイブ」リーダー・内山田洋氏が先日肺ガンのために鬼籍入りされた。70歳。
少しばかり早い死は残念の一言である。また昭和が一つ去ってしまった感がある。

「内山田洋とクールファイブ」、私にとってもキング・オブ・歌謡コーラスと言える存在である。ヒット曲の多さは、歌謡コーラスの元祖である「和田弘とマヒナ・スターズ」に負けず劣らずである。
そして、彼らの登場で歌謡コーラスグループも大きく変わった。
まさに分岐点と言える存在でもある。
クールファイブ以前の歌謡コーラスは、ラテン・ハワイアンなどのバンドからの転向組が多く、どことなく品の良い夜の匂いがするグループばかりだった。

鶴岡雅義と東京ロマンチカもレキントギターがどことなく品格を漂わせていたように思う。ただ鶴岡は古賀政男の弟子でもあった(村田英雄「度胸千両」の採譜は彼の仕事)
あたりがうまく作用して、あのような独特のロマンチカサウンドが出来たのだろう。

それがクールファイブ登場以後、スチールギターが爪弾きに合い始め、泥臭い歌謡コーラスグループがぞくぞくと登場した。

ハッピー&ブルーの敏いとうはフランク・シナトラのボディーガードだったり、トラックの運転手だったりと実に波乱万丈に飛んでおり、音楽好きのお坊ちゃまという空気など微塵も無いヤクザなムード。そして森本英世(タイガーマスクの主題歌は実は彼)のカマっぽい歌声。
ハッピー&ブルーの世界は絶対クールファイブ以前ではメジャー化はムリだったろう。

ある意味では歌謡コーラスの幅を広げ、ある意味では歌謡コーラスに泥臭い演歌も持ち込んだとも言えるクールファイブ。
しかし、クールファイブ自体は演歌というより、ソウルな歌声である。
空前絶後ともいうべき前川清の歌声は、佐世保が生んだ奇跡。

森進一があえていうならば、前川に近い存在だが、森と前川では似て非なる存在。
森では「長崎は今日も雨だった」はヒットしまい。想像不能。
冬のリヴィエラや雪列車だったら浮かばなくも無いが。

クールファイブ・ソング解説

「長崎は今日も雨だった」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=3352
1969年2月発売。
クールファイブの言わずと知れたデビュー曲である。
作曲の彩木雅夫はなんと北海道出身、北と南のコラボ。
流れるようなメロディー、前川の咽び泣くボーカル、適度なコーラス。
見事に大ヒットし、69年紅白歌合戦に白組では二組しかいなかった初出場の座を掴むことになる。

「逢わずに愛して」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=420
1969年12月発売。
当時のヒットメーカー・川内康範の手によるドメスティックな詞が光る。
タイトルは「逢わずに愛して」、川内以外では考えられまい。
前川のボーカルは見事に川内ワールドを歌いきり、大ヒット。

「愛の旅路を」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=109
1970年4月発売。
「夜のワーグナー」の異名をとる藤本卓也作曲。
最近はとんと聞かなくなったが大ヒット曲である。

「噂の女」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=845
70年7月発売。
今も「のど自慢」などで歌われる、クールファイブの代表曲中の代表曲。
♪うわさ~あああああ~~~~~のおおおおおんんんんんなあああああ~
まさに前川節炸裂であるが、この曲実は森進一のために書かれた曲。
自信作でありながら、シングル化されないことに怒った故・猪俣公章が机の中にしまいこんだ曲をクールファイブへ渡したもの。

「愛のいたずら」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=28543
70年10月発売。
クールファイブ時代、前川ソロ以降、どちらを見ても非常に珍しい、もしかしたら唯一の失恋/悲恋を歌っていない、一度は別れようと決めながらも揺れ動く女心を歌った1曲。
安井かずみ(zuzu)の詞が実に的確に女心を描いている隠れた傑作。

「港の別れ唄」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=38812
71年7月発売。
初の内山田洋作曲によるA面曲。
サビ部分が一転し、Aメロに戻る展開はクールファイブとしてはあまり無い。
この曲で、71年3度目の紅白歌合戦出場の予定だったが、前川清の自然気胸の入院のため辞退(繰上げはフォーリーブス)。
代わって、前川の当時の妻・藤圭子が自身の「みちのく小唄」を歌い終わった後、続けて、クールファイブのコーラスで、ワンコーラスこの曲を歌った。

「悲恋」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=38815
71年11月発売。
川内康範による悲痛な叫びが前川のボーカルによりさらに悲壮さが増し、聴く物の胸を打つ、最近聞かれなくなった名曲。

「この愛に生きて」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=1950
72年3月発売。
馬飼野俊一の編曲が、前川のソウルボイスをさらに際立たせた名曲。

「恋唄」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=1784
72年7月発売。
前川清が持ち歌の中で最も愛する曲。馬にまでこの名をつけたほど。

「そして、神戸」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=2859
72年11月発売
名曲揃いのクールファイブ、屈指の一品。
歌詞・曲・歌声・コーラス・編曲、すべてが見事に絡み合った最高の歌。
だが、この曲はもとは野村真樹のアルバム曲であったものを、ディレクター・山田競生(元・和田弘とマヒナ・スターズ)に、作曲家・浜圭介が売り込んだものである。

「出船」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=38813
73年5月発売。
クールファイブ(&前川清)には男心、しかも海の男の心を歌った珍しい曲。
ぜひ前川にまた歌って欲しい。

「海鳥の鳴く日に」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=39373
73年9月発売。
イントロから度肝を抜かれる。一部だけ西城秀樹が入る(笑)
マイナーからメジャー、マイナーからメジャーへとコロコロ転換。
まさに前川だから歌える曲。

「雨のしのび逢い」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=39371
74年5月発売。
別離寸前の女心を歌った隠れた傑作。
♪あああああめのしのび逢いは~もうしたくはないの~
のフレーズが良い。

「うわさ」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=842
75年2月発売。
低音から高音まで、音域がとんでもなく広い曲だが、前川は楽に歌いこなしている。
前川ボーカルの真髄ともいえる。

「北ホテル」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=1504
75年4月発売。
青江三奈に「神戸北ホテル」という曲があることからみて、おそらく神戸のご当地ソングなのだろう。
しかし、前川の手にかかれば、アジアに通ずる(By五木寛之)曲へ。
♪これ~~~~きりっとッおおおお いいいいいかけたあああ
くちびるがくちびいいいいるにいいいいいいいいい~ ふさがれる北ホテルゥゥゥ

「中の島ブルース」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=3359
75年7月発売。
もとは北海道/札幌でアローナイツなどが歌っていた曲。
それを大阪・長崎を歌った歌詞をつけ、全国発売。
本家・アローナイツもシングル化したが、クールファイブのパワーには叶わず。
当時「クールファイブさんはヒット曲一杯あるんだから、これくらい譲ってくれても…」
とアローナイツがぼやいたというハナシが伝わっている。
余談だが、前川清本人はこの曲を気に入っていない。

「東京砂漠」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=3178
76年5月発売。
「港の別れ唄」以来の内山田洋作品のA面。
後年、ダイア建設CM曲として長年使用されていた関係もあり知名度は高い。
現在、前川清の曲では最も若年層にも知名度がある1曲とも言われている。

「西海ブルース」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=2011
77年2月発売。
実はこの曲はデビュー候補曲の1曲であったが、西海が最下位に通じるという縁起担ぎという点から見送られたいわくつきの1曲。
前川には珍しい裏声を使った曲でもある。
前川いわく、「忘れたころにリクエストを受ける」曲だそうだ。

「二人の海峡」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=3950
77年6月発売。
芦田伸介主演「海峡物語」(テレビ朝日)主題歌。
作詞はあの五木寛之。
♪愛をたべては生きていけないと あなたはいうけど
 愛の暮らしなんて 私は欲しくない
下手な作曲家ならド演歌にしてしまうような際どい詞を、内山田は実に良い曲をつけ、前川ボーカルにピッタリくる作品に仕上げた。
「東京砂漠」とこの曲の仕事で、私は内山田は語り継がれるべき人だと思う。
しかしながら、前川清はこの曲は嫌いだそうだ。
そんなこと言わずに、ぜひ歌って欲しい。

「思い切り橋」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=39375
77年9月発売。
いきなりサビからスタートする珍しい曲。
流れるようなメロディーが実に良い。

「港の別れ草」
作詞:山田孝雄 作曲:浜圭介
77年12月発売。
♪暗いッ暗いッ港のようにイイイ~~~
前川ボーカルの鋭さが生かされてる。

「愛の扉」
作詞・作曲:猪俣公章
78年3月発売。
名曲中の名曲中でありながら、ベスト盤になかなか入らない1曲。

「さようならの彼方へ」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=2116
78年5月発売。
クールファイブ10周年記念曲。
何と初、かつ唯一の顔合わせの筒美京平作品。
(前川とはその後「よろこびの予感」で再び組む)
サビ部分では何とワンフレーズながら前川に英語というトンでもない試みがなさせる。
空港歌謡の大傑作である。
♪I'll never fall in love again

「昔があるから」
作詞:杉紀彦 作曲:曽根幸明
78年12月発売。
アルバムはもっとエレキギターを前面に出したアレンジらしい。
♪寒い風よありがとう 辛い昔よありがとう 
 昔があるから 私はあなたと生きていける
今でも前川のコンサートでリクエストが絶えない曲のひとつ。

「Last Song」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=4797
80年3月発売。
都倉俊一独特のメロディーが素晴らしいの一言。
クールファイブの中でも1,2を争う名曲。
もっと知られても良いと思う。
これも、前川コンサートでちょくちょくリクエストがある曲。
クールファイブ(=前川)が演歌だと思ってる人に黙って聞かせたい。

「魅惑・シェイプアップ」
作詞:伊藤アキラ・奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ
80年9月発売。
資生堂CMソング。久々にテレビでこの曲を披露時に自身の演奏で歌った。
クールファイブ最大の怪作。
どう考えてもゴダイゴの歌である。
初っ端から
♪Shape up ....to a whole new day  Take away the blemishes of yesterday
   Shepe up ....yourself it's a wonderful feeling  You can start all over again
コレである。モノマネして下さいと言わんばかりである。
ただ、チャレンジ精神は買いたい。

「愛は終ったの」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=1848
81年3月発売。
もとは「愛のいたずら」のB面であったが、コンサートや有線等でリクエストされていたことから新たに吹き込みシングル化。
ロスインディオスのようなラテンな世界のムード歌謡を見事にクールファイブ色に染め上げた隠れた名曲。

「夢酒場」
作詞:荒木とよひさ 作曲:鈴木邦彦
82年2月発売。
♪ああ~流れ流され~ 女の愛は夢酒場~
もっと売れても良かった、アップテンポな演歌調歌謡曲。

「恋さぐり夢さぐり」
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=42628
84年8月発売。
ニールセダカ「君こそすべて」のカバー曲。
スマッシュヒットとなり、これが往年のメンバーによるクールファイブ最後のヒット曲。

「夢待ち人」
85年6月。
作詞:嶺岸未来 作曲: Maurice Mysels/Ira Kosloff
エルヴィス・プレスリー「I Want You I Need You I Love You」のカバー。
この曲を最後に、前川は以前より行っていたソロ活動に専念するため、クールファイブを涙の卒業。
この離脱には内山田自身、前川におんぶに抱っこしている状態を脱却したいという思い、前川自身馬主となり金を稼ぎたかったという思いや、もう完全に一本立ちしたい、内山田と不仲になっていたスタッフの画策…様々な事情があると言われている。
今でも、宮本悦朗は時折前川のステージを見に来たり、ゲストで出演したりしている。


前川清も今ではソロ時代の方がキャリアの中で長くなった。
しかしながら、今でもリクエストが多いのはクールファイブ時代の曲。
ソロ以降の曲が悪い訳では決して無い。
「明日に」「花の時・愛の時」「抱きしめて」…良い歌も一杯ある。
内山田洋追悼という意味で一度、クールファイブメンバーを集めて同窓会的イベントを開いてみたらどうだろうか?
個性的だったクールファイブの面々にもう一度会いたいという人は多いと思う。
ぜひ実現して欲しいものである。

ただ…このまま昭和で終わった伝説の歌謡コーラスグループのままでいてもいいな、と思う気持ちもどこかにあるが。


画像(見えにくいが右クリックで保存して頂ければ何とか見えるかと…)
右上:森本 繁(担当:ドラム)
右下:故・内山田 洋(担当:ギター)
中央:前川 清(担当:ボーカル)
左上:小林 正樹(担当:ベース)
左中:岩城 茂美(担当:テナー/アルト/ソプラノサックス、フルート)
左下:宮本 悦朗(担当:ピアノ)


最後に…内山田洋氏のご冥福、心よりお祈り申し上げますm(_ _)m


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3 コメント

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脱帽 (うじうじ)
2006-12-03 23:54:20
はじめまして.ワタクシは吉幾三からはじまりはや二十余年.人生のほとんどを昭和歌謡に捧げてきた者です.
画像ならびにソング解説があまりに的確で感動です...オーナーさまのクールファイブへの愛が感じられます.
前川さん自体はクールファイブでまたやりたいみたいですね...だけど,忙しいからってみんなに断られてしまってたみたいですよ.
返信する
コメントありがとうございます (函館のシト)
2006-12-04 01:17:14
うじうじさん
はじめましてm(_ _)m

>二十余年.人生のほとんどを昭和歌謡に捧げてきた者です

スゴイですね、私の2倍以上ですf(^_^;
お褒めの言葉を頂戴できて、光栄です。

>前川さん自体はクールファイブでまたやりたいみたいですね...だけど,忙しいからってみんなに断られてしまってたみたいですよ.

う~ん、それは残念です。
何とか一度ぐらいは実現して、宮本・小林・森本・岩城・前川の5人が一堂に会している姿を見たいですね。
返信する
教えて下さい (清大好き♥)
2011-12-15 11:26:19
初めまして。

この記事を大変興味深くまた更なる感動を持って読ませて頂きました。

ありがとうございましたm(__)m

クールファイブはデビューの頃からのファンで今も清の歌いぷりにシビれています^^

昭和と言う事でお尋ねしたい事があります。

昔クールファイブの企画物LPを買ったのですが(家のどこかにあるのですが見つからず)
もう1度聞きたい「前川清の歌」として再発掘したいのです。

それ以来聞いた事もなくYouTubeにもアップされておらず タイトルだけでも知りたくてご存じでしたらお教え下さいm(__)m

歌詞はうる覚えですが
「赤い花ならまんじゅしゃげ~
オランダ屋敷に花が咲く
濡れて泣いてるじゃがたらお春・・・」

確かではありませんが、このような内容でした。

タイトル等をご存じでしたら教えて頂ければ幸いです・・・。


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