今だから…昭和さ ある男のぼやき

主に昭和の流行歌のことについてぼやくブログです。時折映画/書籍にも触れます。

粋でいなせな我らが浩吉っあん・高田浩吉

2007-01-07 14:47:02 | 昭和の名歌手たち

歌ふ映画スタァ-この言葉はもはや死語と化しております。
歌う俳優/タレント…こう言い換えた方が良いかも知れませんね。
昔は映画、今はドラマにCM。
自分も出演、主題歌・挿入歌も歌っちゃえ。
石原裕次郎、高倉健、吉永小百合・・・。

逆に、歌手が俳優やって大成しちゃった美空ひばり、江利チエミ。
結果、副業が本業になってる小林旭みたいなのもいます。
最近だと、上戸彩、沢尻エリカ、長澤まさみ…。
タイプは違いますが柴咲コウもそうでしょうね。
今は何だか女性ばかりなのは気のせいでしょうか(^^ゞ
・・・頑張れ、男(笑)

さて、このタイアップ、誰がトップバッターか?
女性だと高峰三枝子、男性だと高田浩吉と言われております。
お三枝さんは、今はとりあえずパスして、今回は浩吉っあんの方を取り上げたいと思います。


高田浩吉(1911~98)
兵庫県園田村(現・尼崎市)生まれ。
生後すぐ母が亡くなり、伯母のもとで育てられる。
大正十五年、松竹入社。
昭和五年頃から大幹部となり、主演映画が製作される。
昭和十年、「大江戸出世小唄」が公開、主題歌と共に大盛況を博し、スタアの座を固める。
昭和十六年、徴兵。満州・ロシア国境のチャムスへ赴任。
昭和十八年に除隊後は、慰問を中心に活動。
昭和二十年、高田浩吉劇団結成、二十五年の解散まで各地を巡業し盛況を博す。
昭和二十六年、映画界に本格復帰。「とんぼ返り道中」で美空ひばりの相手役を演じたところ、人気が再燃。親子二代のファンも急増。
「伊豆の佐太郎」もヒットさせ、見事に歌うスタアとして奇跡的に返り咲く。
その後も「白鷺三味線」「大江戸出世双六」「五十三次待ったなし」などヒットを連発。
昭和三十五年、東映移籍。
時代劇映画衰退に伴い、テレビ・舞台へ活躍の場を移行する。
昭和四十年代の懐メロブームでも、その美声を惜しみなく披露。
昭和六十年代には、原野商法を行っていた会社の広告出演していたことから、裁判で賠償を命じられたこともある(のち、和解)。
平成十年五月十九日、没。


元祖・歌う映画スタァなだけに、本来映画共々紹介すべきなんでしょうが、この手の娯楽時代劇映画というものはなかなか見る術がございませんので、視聴次第…とううことで御勘弁願いますm(__)m

江戸情緒たっぷりの端唄/都都逸調の浩吉ぶし。
戦後はそれに加え、ほのかにジャズの香り。
大江戸モダン・サウンドは、今もなお私の中では健在です。

伝七小唄
実は2種類ありますが、これは後者。
昭和43年3~7月にABCで放送された「伝七捕物帳」主題歌です。
浩吉っつあんと、その愛嬢・高田美和のデュエット。
三味線とエレキギター、スチールギターの融合。
和製・テケテケ・サウンド。
乞う再評価!
作曲は土田啓四郎(代表作:愛と死を見つめて)

大江戸出世双六
昭和30年公開の同名映画主題歌。
♪どうする どうする スチャラカン
といいながらも、ノホホ~ンと構えてるような歌詞。
まさに端唄の世界。
浩吉ぶし絶好調、私が最も愛唱する1曲です。

半次呼び込み唄(お軽勘平)
歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」から「お軽勘平」を題材にしたと思われる1曲。
♪私ゃ 売られていくわいな ヨイショ 行くわいな
軽快な曲調とは裏腹、なかなかヘビーな歌詞です。

大江戸出世小唄
♪土手の柳は風まかせ 好きなあの娘は風まかせ ええ しょんがいな
という歌詞は、ある年代以上であれば耳にした覚えはあるかと思います。
高田浩吉の唄といえばコレ、というべき決定版です。

むらさき小唄
これは高田浩吉では無く、国民栄誉賞俳優・長谷川一夫主演映画「雪之丞変化」の主題歌で、東海林太郎のヒット曲。
この「雪之丞変化」は長谷川一夫の当たり役で、戦後も市川崑監督でリメイク。
浩吉っつあんも、「雪之丞変化」を舞台で演じていたからなのか、昭和51年頃にこの曲を吹き込み、ポリドールからシングルが出ています。
曲中の台詞は、雪之丞・十代目岩井半四郎(仁科亜希子の父)、闇太郎・高田浩吉となっています。この台詞も素晴らしい。
さすがの浩吉っつあんも歌唱に衰えが見られませんが、そのあたりは50年の芸暦で見事にカバーしております。

鴛鴦道中
昭和13年、上原敏と青葉笙子によるヒット曲。股旅歌謡の決定版の1曲。
戦後、ニューギニアで戦死した上原に代わって、東海林太郎に相手役を替えて、実演等で披露していたこともある(レコードも発売)。
懐メロブーム到来の昭和42年ごろ、テイチクで、今度は高田浩吉を相手役に迎え、三度吹き込んだのが、コレです。
上原、東海林、高田…と戦前ポリドールの看板スタア三人と同一曲を吹き込みをしている青葉笙子、他にこういう例は少ないかと思います。
三代目の歌声も、決して悪いモノでは無く、青葉共々往年を回想しながらの心暖まる歌唱となっております。

浮かれ駕篭
米山正夫の作詞/作曲による、和製ジャズ端唄。
高田浩吉もお気に入りで「私のお気に入りの曲のひとつです」と、後年語っています。
まさに高田浩吉の真骨頂、ぜひとも一聴をオススメ致します。

明日なき男
昭和32年公開「りんどう鴉」劇中歌。
粋な台詞入りの、浩吉股旅ソングの名作。

この台詞をこう爽やかさすら感じさせて聴かせる俳優は今では皆無でしょうね。
演ってる俳優が恥ずかしがってることがバレバレな状態で、この台詞は・・・。
浩吉っつあんの偉大さを痛感致します。
そして、娯楽映画の難しさも。

江戸の三四郎さん
昭和31年公開「花笠太鼓」劇中歌。
戦後、高田浩吉の相手役といえば、美空ひばりなのですが、この映画の相手役は何と江利チエミ!一応ジャズ歌手としてスタートしたはずなのですが、この映画ではそんなことを一部歌うシーンを除き、微塵も感じさせぬ熱演振り。
映画で何とチエミを、途中まで浩吉っつあんは「男」だと思って接しているのです(笑)

後年、サザエさんを当たり役にするのもわかる気がします。
さて、この曲ですが、もとは九州地方の俗謡で、それをアレンジしたものだそうです。
見事に江戸の唄となっているのは浩吉ボイスの成せる技でしょう。

伊豆の佐太郎
戦後、高田浩吉カムバック第一弾シングル。
佐太郎という名は、作詞の西條八十邸出入りの植木職人の名前から拝借。
股旅+小唄/端唄調のエッセンスのこの曲は高田浩吉ならでは。

白鷺三味線
タモリお気に入りの1曲(曰く「思想が無い唄」)
この曲の売りはイントロの三味線。
オリジナルでは、伝説の三味線弾き・三味線豊吉が担当。
この曲は、高田自身も会心の1曲。
上原げんと作品では最も良いと、絶賛。


日本調復活…ぜひ受け継いで歌う方が出てきて欲しいモノです、男で(笑)
女性では、檜山うめ吉さん?とかいう方がいるそうなので。


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
博多の三四郎さん (みんみん)
2007-01-08 00:03:03
私も高田浩吉さん大好きなんですけど、伝七小唄が2種類あるということは知りませんでした。高田さんが1人で歌っている方しか知らなかったのです。ほんとうに、いつもいつも勉強になります。
読むたびに、そうだったんだと驚くことばかりです。
これからも楽しみにしています。
ちなみに、博多の三四郎さんの元唄は、
博多のお座敷で唄われた「かっちり節」という唄です。
別名「博多の三四郎さん」です。
歌詞は、

言うちゃすまんばってんうちの母さん手利き
夜着も布団ものう、三四郎さん丸洗い
それもそうかよ、そりゃ嘘ないぞえ
トコトンのカッチリカッチリ

春のどんたく賑わう博多
杓子叩くものう、三四郎さん芸のうち
それもそうかよ、そりゃ嘘ないぞえ
トコトンノカッチリカッチリ

…こんな感じです。
「のう、三四郎さん」というのは、囃子言葉です。
返信する
「かっちり節」というんですか! (函館のシト)
2007-01-08 05:53:14
みんみんさん
いえいえ、こちらこそイロイロ教えて頂いて感謝していますm(__)m

「江戸の三四郎さん」の元唄は「かっちり節」。
なるほど、確かにうま~く消化してますね。
こういうことは高田浩吉以外では出来ませんね
(除:芸者歌手)

ちなみに高田美和との「伝七小唄」は『なつかしの昭和テレビ主題歌集 完結編』(COCP-32213)に収録されてます。まだ入手可能だと思います。
返信する
博多三四郎さん (えびす)
2007-08-18 08:37:48
博多カッチリ節について色々おしえていただきありがとうございました。さらにお伺い
①「のう、三四郎さん」囃子言葉との事ですが、なぜ三四郎何ですか。三四郎にいみがあるのですか。
②『カッチリ節』の由来、種類。
以上よろしくお願いします。
返信する