今だから…昭和さ ある男のぼやき

主に昭和の流行歌のことについてぼやくブログです。時折映画/書籍にも触れます。

スウィングの女王・池真理子

2007-02-01 23:53:57 | 昭和の名歌手たち

ブルースの女王と言えば、淡谷のり子(または青江三奈)。
ラテンの女王と言えば、坂本スミ子(または宝とも子)。
タンゴの女王と言えば、藤沢嵐子。
歌謡界の女王と言えば、お嬢。
ブギの女王と言えば、笠置シヅ子。

さて、スウィングの女王は誰でしょう?
その方が今回取り上げる池真理子さんです。

バッテンボー
池真理子(1917~2000)
大正6年1月2日、京都生まれ。ミッション女学校卒業。
昭和9年宝塚入団、三日月美夜子の芸名で声楽専科に在籍するも、昭和12年退団。
東山ダンスホールで、歌うコンダクター(指揮者)として、人気を博するも昭和15年ダンスホール閉鎖。その後、三島一声・一色皓一郎の推薦で佐々木俊一の内弟子に。
そして、ビクターから「君と別れて」(一色との共唱)でレコードデビュー。
第2弾「青いリボンのお嬢さん」も吹き込まれたものの、リボンが検閲にひっかかり、発売中止に。
そのことなどもあり、ニッチク(戦時中の日本コロムビア)へ移籍。慰問隊員として全国を回る。
終戦を迎え、早速アメリカ調の曲を発売することになり、池に白羽の矢が立ち、コロムビアから改めて「愛のスウィング」でデビュー。大ヒットし、スウィングの女王と呼ばれるように。
その後も「センチメンタル・ジャーニー」「愛の散歩」「ボタンとリボン」など、洋楽または洋楽調のヒットを連発した。
私生活では、鈴木大拙氏長男で作詞家の鈴木勝と結婚し、一女を儲けるも離婚。
昭和35年、渡米。娘を知人の夫婦に預け、全米各地を回る。
8ヵ月後、ラテン系の新リズム「パチャンガ」を土産に帰国。
ラテン歌手としても歌い始める。
昭和45~46年頃、フォルクローレに興味を持ち始め、昭和48年には本場ペルーの首都リオで単独コンサートを催した。
その後も、音楽の道への追及は続き、ロシア音楽なども学ぶ。
歌手生活40周年コンサートでは都都逸(これは祖父母の影響)まで歌った。
昭和57年からは、二葉あき子、並木路子、安藤まり子らと「コロムビア五人会」を立ち上げ、老人ホーム慰問からハワイ公演、演劇まで幅広く活動した。
平成12年5月28日、ショーで「センチメンタル・ジャーニー」を歌い終わった直後にクモ膜下出血で倒れ、同30日死去。83歳。
愛称はアイク(名字(IKE)、及びアイゼンハワー米大統領のニックネームから)

二葉あき子曰く「珍しい音楽があるって聞いたら、南極だって行く人」
そのぐらい音楽には貪欲だった方らしく、フォルクローレやロシア民謡を正確に歌うために、ロシア語や中南米圏言語を基礎から勉強し、美声を護るためにヨガ修行をしていたそうです。

良い歌を歌いたい・聴かせたい…そういう姿勢だったことも関係あるのか、あまりレコードの類は出されて無いようです。
現在ではオムニバス盤に収録されている「ボタンとリボン」「愛のスウィング」程度しか入手は難しいと思われます。
興味のある方は中古市場/図書館で探して、10数年前に出たCDを探してみて下さい。特に専属50周年記念で出た方のCD(ヒット曲はステレオ再録音)は、池さんの幅広く歌ってきた歌が詰まっていてオススメです。

その中から、数曲ですがご紹介致します。

愛のスウィング
戦後すぐの大ヒット曲。
吹き込み前夜、緊張のあまり一睡も出来なかったそうです。
そのため、巷から流れる寝不足の歌声を聴くと、何ともきまりが悪かったとか。

インカ王女の子守唄
国際的に高名なギタリスト・中林淳真の手による、池真理子オリジナル・フォルクローレ。
この曲を聴いたとき、ココで池真理子を取り上げてみよう…と思いました。
そのくらい、非常に画期的な素晴らしい曲です。

百万本のバラ
加藤登紀子の歌でもおなじみのロシアの大ヒット曲です。
♪ミリオン ミリオン 真っ赤なバラで 
   あなたを あなたを 包みたい
     命の 命の 命の バラを
       あなたの 窓辺に 咲かせたい
70過ぎてから、持ち歌にして、ロシア語と日本語のチャンポンで披露。
そのチャレンジ精神には頭が下がる思いです。

ボタンとリボン
「バッテンボー」が流行語になった、そのぐらいのヒット曲。
ボブ・ホープ主演「腰抜け二挺拳銃」主題歌。
♪都が恋し 早く行きましょう 
   帰りたいわ あなた
     にぎやかな バッヅンヴォーズ 
       指輪と 飾りと バッツンヴォーズ 
後に、宝塚の後輩でもある久慈あさみも歌っています。

いとし吾が子
何と「長崎の鐘」は池真理子吹き込みの予定だったのです。
永井隆の親友・式場隆三郎が、池真理子の後援会長だった関係から、池にお鉢が回ってきたのですが、「長崎の鐘」は永井博士の心境を歌ったものですから・・・ということで、池は、尊敬する藤山一郎を推し、池はこの曲を取ったのでした。
「長崎の鐘」に隠れがちですが、こちらも素晴らしい古関メロディです。
この曲を歌ったことから、池さん、永井博士の遺児二人とも交友があったそうです。

祇園ブギ
大映映画「偽れる盛装」(主演:京マチ子)主題歌。
原六朗曰く「助監督がいきなり歌詞を持ってきて、これに曲つけてくれ。映画主題歌にするから」と、一週間で作らされた内の1曲。
映画と全然合ってない、ともっぱらの評判ですが、なかなか面白い曲。
榎本美佐江の「舞妓はんブギ」と酷似。


追記
プロフィールは加筆/修正の上でWikipediaに投稿致しました。これで少しでも興味のある方のお役に立てれば幸いです。


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