衣裏珠の八葉蓮華 ≪創価学会 仏壇≫

衣裏珠の譬え 産経抄 産経新聞 創価学会 地球市民 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

「オリンピックに「ロマン」を求める・・・」  産経抄 八葉蓮華

2008-07-19 | 産経抄(コラム)
「オリンピックに「ロマン」を求める・・・」  産経抄 八葉蓮華
師・太宰治の墓前で自ら命を絶った田中英光に『オリンポスの果実』という作品がある。ボートの選手として参加した昭和7年のロサンゼルス五輪での体験をもとにした青春小説だ。かつて胸をときめかせて読んだという方も多いだろう。 ▼ロスまではむろん太平洋の船旅だった。途中でハワイにも寄港している。その船上やオリンピックの会場で主人公は走り高跳びの女子選手に恋をし、外国の選手たちからさまざまな刺激を受ける。そんな話が、まるで潮の香りを感じさせるように叙情的に描かれている。 ▼昭和7年は五・一五事件が起きた年である。前年には満州事変が勃発(ぼっぱつ)している。日本全体に、きな臭く重苦しい空気も漂っていたはずだ。だが選手たちは思いのほか、五輪への旅や異国情緒を楽しんでいたことがわかる。ちなみにこの大会での日本の金メダルは7個だった。 ▼開幕まで3週間足らずとなった北京五輪の日本の代表もほぼ出そろった。今や北京まで飛行機で4時間足らずである。選手たちも旅や異国を楽しむ気分にはなれないだろう。それどころか、自分の競技が始まる直前まで日本にとどまり、調整する選手も多いという。 ▼欧米などの国にも日本で合宿をしてから大会に乗り込むというチームがある。北京の大気汚染や食への不安かららしい。日本からの観戦ツアーも「東京五輪の感激をもう一度」という団塊の世代はともかく、期待されたほどの盛り上がりはなさそうである。 ▼交通や情報の発達でこれだけ世界が狭くなれば、オリンピックに「ロマン」を求めることなど無理かもしれない。ましてチベット騒乱など政治の渦中にある北京となればなおさらだ。なんとか選手たちにはノビノビと力を発揮してほしいのだが。

産経抄 産経新聞 7/19

八葉蓮華 hachiyorenge