衣裏珠の八葉蓮華 ≪創価学会 仏壇≫

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太平楽を並べる「武の舞」同じ表現を繰り返す「伝統」を守り続け・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-31 | 産経抄(コラム)

 勝手なことを暢気(のんき)に言い募ることを「太平楽を並べる」というが、語源は雅楽の太平楽からきている。はるか昔に大陸から伝来し、平安時代に様式が整えられたという。明治以降は天皇陛下御即位に際して必ず舞われるようになったおめでたい舞楽である。  

 風雅の道にも疎い小欄ではあるが、その太平楽を今上陛下御即位20年を記念して開かれた演奏会で運良く鑑賞できた。平成2年11月、即位礼後の饗宴(きょうえん)でも演奏されたが、序、破、急を通しての演奏はまれだそうで、まさしく百聞は一見にしかずだった。  

 平和なのんびりした舞をイメージしていたが、そうではなかった。金色(こんじき)の兜(かぶと)をかぶり、鮮やかなオレンジの装束に身を包んだ4人の舞人が、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)の音色にあわせて鉾(ほこ)を振りかざし、太刀を抜いて演じる勇壮な「武の舞」である。  

 舞人が身につける甲冑(かっちゅう)は重さ15キロもあるという。天下太平を祈っていにしえの都人も同じ舞を見ていたかと思うとそれだけで芳醇(ほうじゅん)な気分にひたれる。伝統を守り続けた先人と宮内庁式部職楽部のみなさんの努力に脱帽するしかない。  

 国会開会式での天皇陛下のお言葉について、同じ表現を繰り返す「伝統」を守るべきでないとの岡田克也外相の発言が批判を浴びている。陛下の思いが国民の代表である国会議員にもう少し伝えられていい気もしないではないが、「政権交代おめでとう」と言ってもらいたいのであれば論外だ。  

 お言葉が注目され過ぎて、陛下のご心労を増やすようなことがあってもならない。天皇を政治的に利用しようという気持ちは岡田氏にないと信じたいが、彼は普天間基地移設問題という日米関係を揺るがしかねない問題を抱えている。所管外の問題で、太平楽を並べる時期ではない。

産経抄 産経新聞 10/25

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混乱させないため「台風情報」気象庁のものに従うように・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-30 | 産経抄(コラム)

 「民」から「官」への逆流現象は郵政ばかりではなさそうだ。台風の上陸をめぐり、民間の気象情報会社が独自に上陸地点を割り出し、ネットで流した。これに対し気象庁が「台風情報は気象庁のものに従うように」と「指導」したというのである。  

 今月8日、台風18号が日本を襲ったとき、気象庁は「愛知県の知多半島付近に上陸した」と発表した。だがそれより前、民間のウェザーニューズ(WN)社が「三重県志摩市に上陸」と伝えた。WN社は有料会員からの情報などから判断したのだという。  

 18号は紀伊半島に沿って太平洋を北上していた。地図を見れば一目瞭然(りょうぜん)だが、知多半島に上陸するには、先に志摩市のある志摩半島を横切るのが自然だ。直接、知多半島にというのなら酔っぱらいのように蛇行して、伊勢湾に入る必要がある。素人目にはWN社に軍配が上がる。  

 しかし気象庁は、どちらが正しかったかではなく、独自の情報を流したことを問題にしている。気象情報業務が自由化されたとき、台風の進路情報は「気象庁情報の範囲に留める」と規定された。利用者を混乱させないためである。それに違反しているというのだ。  

 WN社側は「どこに上陸したかは進路情報ではない」と反論、やや水掛け論となっている。だがそれより気になるのは、気象庁がなぜ民間の情報に耳を貸そうとしないかということだ。「上陸情報」など素直に受け入れれば、より正確な進路予報ができるはずである。  

 気象情報の自由化もそこに狙いがあったはずだ。「一元化」もいいが、競争原理で民間の力を育てようという度量が気象庁にはほしい。「脱官僚」の掛け声と裏腹に「官」の力ばかり増大しているような鳩山政権にもいえることだ。

産経抄 産経新聞 10/24

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高い支持を受けて「国家戦略」政権公約にこだわって、国際社会に貢献する・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-29 | 産経抄(コラム)

 あいかわらず、世論の高い支持を受けている民主党だが、“支持基盤”であるリベラル派の文化人から、このところ厳しい批判を受けている。鳩山内閣の目玉のひとつである「国家戦略室」が、けしからんというのだ。  

 といっても菅直人担当相の影が薄いとか、行政刷新会議との役割分担があいまい、といった仕事ぶりに対してではない。名前が問題なのだ。「国家」は、「国家総動員法」といったかつての暗い時代を想起させる。「戦略」なんて、軍事用語ではないか、と。  

 平和ボケもここまできたか、とあきれるほかない。とはいえ、小欄も実は、逆の意味で名前に違和感を覚える。国家戦略とは、日本が国益を守りながら、国際社会に貢献するための方策であろう。当然外交、安全保障政策が、柱となるはずだ。ところが、鳩山首相が決めた設置規則には、「税財政の骨格、経済運営の基本方針その他」と、内向きの政策しか記されていない。  

 民主党政権の安全保障政策の危うさについては、これまでも指摘してきた。今回来日したゲーツ米国防長官は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市への移設問題について、来月中旬のオバマ大統領初来日までに結論を出すように、日本側に迫った。  

 鳩山首相は、来年1月の名護市長選後まで先送りすると表明していたが、さすがに年内の結論をめざすらしい。いずれにせよ国外か県外への移設という、非現実的な政権公約にこだわっている場合ではない。  

 ただでさえ、インド洋における海上自衛隊の給油活動の撤収に対して、米議会を中心に批判の声が高まっている。「国家戦略」がさっぱり見えてこない同盟国に対して、米国のいらだちは限界に近づいているのではないか。

産経抄 産経新聞 10/23

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格差の拡大「バラ色の人生」多くの若者の進路を閉ざしてしまう・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-28 | 産経抄(コラム)

 「バラ色」には、ふたつの意味がある。『大辞林』によれば、ひとつめは淡紅色。ロゼ・ワインのうすいピンク色といえばわかりやすい。もちろんバラは、黄やオレンジ、白と多彩な色を持つ。ただ、これまで多くの育種家が挑みながら、青いバラだけは生み出せなかった。  

 英語で「不可能の代名詞」とされてきた難事に、サントリーが取り組んで20年、このほど商品化に成功して来月3日から発売するという。果たして商品名の「アプローズ(喝采(かっさい))」そのままに、世界で受け入れられるのか楽しみだ。バラ色はまた、しあわせや希望に満ちている状態や、輝かしい未来などを象徴する色でもある。  

 ♪あの人が私を腕に抱いて そっとささやきかける時 私の目に映るのはバラ色の人生--シャンソン界最高の女性歌手、エディット・ピアフが1945年に作詞した名曲だ。当時の恋人、イブ・モンタンへの愛をつづった作品といわれている。  

 近ごろ、「バラ色」が似合う人物といえば、岩手・花巻東高の菊池雄星投手(18)がまず思い浮かぶ。20日までに最速155キロの左腕投手と面談したのは、史上最多の日米20球団に及んだ。  

 現役の投手を同席させたり、日本の大学院に通う米国人男性を専属の通訳に起用するプランを明らかにしたり、大リーグ球団は精いっぱいの熱意を示した。注目度では、青いバラを上回っているようだ。一方で世間を見回すと、重苦しい灰色のニュースが目立つ。  

 厚生労働省の発表によると、平成19年の「相対的ヒンコン率」は15・7%で、7人に1人がヒンコン状態だった。格差の拡大は、多くの若者の進路を閉ざしてしまう。だからこそ、将来は未知数としても、菊池投手の「バラ色の人生」がまぶしくて仕方がない。

産経抄 産経新聞 10/22

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政治は魔術ではない「政権交代」筋道を通すのが何より肝心・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-27 | 産経抄(コラム)

 日本はいつから社会主義国になったのか。日本郵政は、法律で民間会社になったはずである。6月の株主総会で承認された社長を政治家が陰に陽に圧力をかけて辞任に追いやったのは、ルール違反というよりいじめに近い。  

 西川善文社長の経営手法には、確かに毀誉褒貶(きよほうへん)がある。売却先の選定が不透明との批判が強かった「かんぽの宿」問題では、総務省から業務改善命令も受けた。ならば、株主総会で堂々と解任すればよい。会社経営では筋道を通すのが何より肝心だ。  

 鳩山由紀夫首相は「亀井静香担当相のところで素晴らしい方を(後任に)考えている」と語ったが、その言い方はないだろう。「解任」の手段をとらぬのなら、西川氏の労をねぎらうのが先だ。三顧の礼で迎えた人を政権が交代したから、とゴミでも放り出すように辞めさせては、友愛精神が泣く。  

 鳩山政権が打ち出した子ども手当や農家の戸別所得補償、高速道路無料化といったバラマキ策も社会主義のにおいがプンプンする。子供がいるだけで1人当たり年31万2000円もらえるのは、親にとってはうれしいが、半額支給だけでも2兆3000億円もかかる。  

 鳩山政権がまとめた来年度予算の概算要求は、あれほど批判していた麻生政権下の要求額をはるかに上回り、95兆円台になった。赤字国債の発行額も50兆円を軽く超える。選挙前に民主党の偉い人が「財源なんてどうにでもなる」と吠(ほ)えていたのを覚えているが、政治は魔術ではない。

産経抄 産経新聞 10/21

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重い問いに対する答え「高瀬舟」愛する者の苦しみを取り除くために・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-27 | 産経抄(コラム)

 ピンピン元気で暮らして、ある日コロリとシぬ、ピンコロ願望が強い人が多いけれど、寝たきりや長患いと比べて、どちらも一長一短がある。敬老の日のコラムで、元東北大学医学部長のこんな言葉を紹介したら、「納得いきません」とのお手紙を読者からいただいた。  

 Aさんとしておこう。数年前にご主人に先立たれたAさんは、自身と知人の介護体験から、「私は寝たきり、長患いは拒否したい」と書いていた。介護の末に起こるサツ人事件のニュースに接するたびに、「つらくて、とても人ごととは思えない」ともいう。  

 神奈川県相模原市で今月12日、妻(65)に「シにたい」と言われた夫(66)が、包丁で妻の首を刺しサツ害する事件があった。妻は5年前、自宅で介護していた難病の長男をサツ害していた。  

 裁判では、長男がシを望んでいたことが認められ、執行猶予付き判決を受けて、自宅に戻っていた。すっかりふさぎ込んでいたそうだ。きのうの社会面によると、妻は「これでやっと楽になれる」と書き残していた。Aさんは悲痛な思いで、この記事を読んだはずだ。  

 長く病の床にある弟が、カミソリでのどを切って自サツを図ったがシにきれない。兄の喜助は、弟に懇願されてカミソリを引き抜きコロしてしまう。森鴎外は、江戸時代の京都で実際にあった事件を素材にして、『高瀬舟』を書いた。愛する者の苦しみを取り除くために、その命を絶つ行為は果たして罪か。  

 鴎外は、高瀬舟で喜助の話を聞いた同心に「お奉行さまの判断を、そのまま自分の判断にしよう」と語らせただけだ。重い問いに対する答えを留保した。相模原市の事件が裁判員裁判の対象となったら、裁判員一人一人が、その答えを出さなければならない。

産経抄 産経新聞 10/20

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乱歩の生涯をたどる「大乱歩展」自分が余りに善人過ぎるということであります・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-25 | 産経抄(コラム)

 日本の探偵小説の父、江戸川乱歩が、『悪人志願』というエッセーでぼやいている。「私の嘆(なげ)きは、自分が余りに善人過ぎるということであります」。古今東西の極悪人のように、犯罪の才能があれば、もっとすばらしい探偵小説が書けるはずだ、というのだ。  

 そんな乱歩でも、最近、集団ごうかん致傷などの疑いで警視庁に逮捕、起訴された、男4人の極悪非道には、顔をしかめたのではないか。ネットの交流サイトで「猟の手伝い」といった隠語を使って仲間を募り、帰宅途中の女性を次々に襲っていた。  

 被害に遭った女性の一人は、男たちが使った薬品のために、顔に化学熱傷による6カ月の重傷を負ったという。「性欲と犯罪とは隣同志みたいな感じがある」。乱歩の残した言葉を、地で行く事件ではあるのだが。  

 その乱歩の生涯をたどる「大乱歩展」が、横浜市の神奈川近代文学館で開かれている。幼少期からのメモ、新聞の切り抜き、住んでいた家の間取りなど、乱歩自身がスクラップブックに貼(は)って保存した、資料の豊富さに圧倒された。  

 なかでも戦時中、町内会の役員として几帳面(きちょうめん)な字で作成した回覧板や、近所の主婦たちと勤労奉仕に精を出す姿をとらえた写真に、興味を引かれた。乱歩といえば、土蔵の暗がりに引きこもり、幻想に遊ぶイメージが強いからだ。当時、作品が反戦的だと当局からにらまれ、逼塞(ひっそく)中だった。それでも何か人の役に立ちたいと、奮闘した証しといえる。  

 戦後になると、新人作家を励ます書簡が目立つ。少年もののシリーズを執筆する一方で、プロデューサーとして、ミステリー界の発展に力を注いだ。やはり、とても悪人になれそうもない。「大」の字をつけてもいい、善人だったようだ。

産経抄 産経新聞 10/19

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国際ハブ空港「空」の全体像、利便性で劣る、国際化に対抗できるかわからない・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-24 | 産経抄(コラム)

 十数年前、国鉄の技師長として新幹線建設を推進した島秀雄さんに話をうかがって驚いたことがある。東海道新幹線を走らせた第一の目的は、東京と大阪など大都市を高速で結ぶことではなかった。在来線を生かすためだったというのである。  

 新幹線ができれば在来の東海道線はガラガラになる。だから観光に貨物にと、いくらでも使い道が広がる。そんな意味だったと思う。「それなのに在来線に金をかけようとしない。本当の鉄道を知らない」。当時90歳を超えていた島さんは後輩たちへの不満をぶつけていた。  

 新幹線が走った当時、国鉄当局も日本人みんなも「世界一の高速鉄道」に浮かれていたようだ。今でも地方には便利な新幹線への待望論が強い。そんなとき「新幹線後」の鉄道全体のあり方を考えていた島さんの鉄道マンとしての視線は、実に確かだった気がする。  

 前原誠司国土交通相の発言で火がついた羽田空港の国際ハブ(拠点)化論にも鉄路ならぬ「空」の全体像が必要だ。羽田の国際化を進めようというが、それなら国際空港の役を担ってきた成田空港や関西空港をどうするのか。それがいまだにハッキリしないからだ。  

 前原発言に「冗談じゃない」と怒っていた千葉県の森田健作知事も翌日、前原氏と会って矛をおさめた。「成田も国際空港拠点に」と説得されたためらしい。しかし、利便性で劣る成田が羽田の国際化に対抗できるかわからない。関西の前途も依然、不安だろう。  

 韓国の仁川空港の例からも羽田のハブ化を急ぎたい気持ちはわかる。だがその前に成田や関西、それに地方空港の役割をしっかり決めておかねばなるまい。そうでないと、新幹線開通でさびついたような在来線の二の舞いになってしまう。

産経抄 産経新聞 10/18

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天才の師匠「鎧袖一触」教えすぎて個性をつぶさないこと・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-23 | 産経抄(コラム)

 史上最年少で囲碁名人になった井山裕太さん(20)が「デビュー」したのは小学校に入る前、6歳のときである。小さな碁盤を使った民放の「ミニ碁」大会だった。司会の女流棋士が心配して「計算できる?」と聞いたそうだが、みごと5人抜きで優勝した。  

 関係者たちは、この井山少年をプロに育てるため誰が指導するか話し合った。初め関西弁による解説でおなじみの宮本直毅九段も候補に挙がったが「忙しいし、酔っぱらいだから」となり、石井邦生九段(67)にお鉢が回った。むろん「酔っぱらい」は冗談である。  

 天才の師匠に選ばれた石井九段はある決意をした。教えすぎて個性をつぶさないことだ。だがそれは碁の内容についてで、盤外の礼儀は厳しく教えた。対局開始の「お願いします」から終わったときの「ありがとうございました」まで、失することは許さなかった。  

 以上は石井九段が近著『わが天才棋士・井山裕太』で紹介している。自らを「師匠バカ」と認めており、随所でその成長がうれしくてたまらない様子がわかる。実にほほえましい。「私は井山が道を踏みはずさないようにしただけ」と書いているのも印象的だ。  

 今回の名人戦では、素人目にもまるで鎧袖一触(がいしゅういっしょく)のような勝ち方だった。「師匠バカ」がますます昂(こう)じそうだ。しかし、それより師匠にとってうれしいのは、井山新名人がいかにも礼儀正しい青年に育ち、「品格ある棋士」への道を歩んでいることのような気がする。  

 日本の伝統文化である囲碁が礼儀を重んじるのは当然かもしれない。だが同じ伝統文化の相撲界に、品性を欠く横綱が生まれていることなど考えれば、その教育方針は貴重だ。国歌や国旗に敬意を払えない学校の先生たちにも聞かせたい。

産経抄 産経新聞 10/17

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「朝飯前」朝ご飯の前に近所を見て回って、困っている住民の世話をする・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-22 | 産経抄(コラム)

 「ちょっと、ステッキ貸してくれないか」「いいとも、朝飯前だ」。きのうの社会面に載っていた、2頭のチンパンジーの写真を見て、こんなやりとりを想像していた。朝飯前とは、腹ぺこの状態でもこなせるほど簡単なこと、と辞書に書いてある。  

 思いやりにあふれた「江戸しぐさ」の普及に取り組む越川礼子さんによると、もっと深い意味があるそうだ。江戸時代の庶民は、朝ご飯の前に近所を見て回って、困っている住民の世話をするのが日課だった。今でいうボランティア活動に当たる。  

 京都大学霊長類研究所などの研究チームは、チンパンジーも人間と同じように、お互いに助け合って、行動していることを実験で確かめた。2頭のチンパンジーは、穴の開いた透明な板で仕切った、隣同士の部屋に入れられた。  

 ステッキがあれば部屋の外にあるジュースを手に入れられるチンパンジーにはストローを、ストローがあればジュースを飲めるチンパンジーには、ステッキを持たせる。すると約60%の確率で、道具の受け渡しが見られた。片方にだけ道具を与えた場合でも、たいてい相手に渡していた。  

 施した親切に、どこか見返りを期待してしまう人間に比べて、なんとも潔い。ただ実験に携わった研究員によると、チンパンジーは相手からの要求があって、初めて道具を渡すケースがほとんどだった。自発的に困っている他人を助けることがある人間とは、やはり大きな違いがあるという。  

 なるほどと、言いたいところだが、相変わらず電車のなかで、立っているお年寄りの前で、いい大人が座席で寝たふりをする光景は珍しくない。譲ってあげて、と声をかけて露骨にいやな顔をされたこともある。チンパンジーを見習えといいたい。

産経抄 産経新聞 10/16

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京都・大阪版「ミシュランガイド」たこ焼きなどの「コ ナモン」が選ばれず・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-21 | 産経抄(コラム)

 フランスといえば、アメリカが主導するグローバルスタンダードに抵抗しているイメージが強い。実はその一方で、自国文化のグローバル化に熱心な国でもある。もっとも成功した例は、フランス革命の副産物といわれるメートル法だろう。  

 革命政府は、改革のひとつとして、地球の北極点から赤道までの距離の1000万分の1を1メートルとすることを決めた。やがて世界中に普及していく。最近では、美食の国らしく、味覚の世界標準作りに励んでいる。  

 フランスのタイヤ会社が発行し、レストランの評価を星の数で示すことで知られる「ミシュランガイド」の日本進出をみていると、そう勘繰りたくもなる。平成19年に、欧米以外では初めてとなる東京版が出たのに続いて、今回は京都・大阪版の発売だ。  

 それに先立ち、星印を獲得した料理店が発表され、話題となっている。「世界に発信できる」と喜びを語るシェフがいる。一方で、お好み焼きやたこ焼きなどの「粉モン」が選ばれず、神戸が対象都市からはずされたことに、疑問の声も上がった。  

 何より合点がいかないのは、京都の13店、大阪の1店が、取材を拒否したにもかかわらず、掲載されていることだ。「せっかく評価してやったのに」といわんばかりの、傲慢(ごうまん)を感じてしまう。そういえば先日、仏人エッセイストという肩書の女性が、東京新聞で、一つ星を獲得した都内のすし店を批判していた。  

 「次回から香水をつけないで来て」といわれたことが、気に入らなかったらしい。香水OKが、味覚の世界標準というなら、困ったものだ。まつたけの土瓶蒸しの香りを台無しにしそうな、この女性が京都に乗り込んだとき、三つ星料理店は、どんなもてなしをするのだろう。

産経抄 産経新聞 10/15

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シャッターチャンス「撮り鉄」国益を大いに損なって、赤字を垂れ流している・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-20 | 産経抄(コラム)

 きょう14日は、鉄道記念日。明治5年に新橋-横浜間が開通してから137年の歳月が流れたが、ファンの数も他の交通機関を圧している(正確に数えた人はいないだろうが)。一昔前までは駅でカメラをぶら下げていたのは、オタク系男子がほとんどだったが、いまや「鉄女」と呼ばれる女性も結構いる。  

 鉄道ファンといってもさまざまな流派があるそうだ。鉄道の旅を楽しむ「乗り鉄」から、時刻表を隅から隅まで精読する「読み鉄」、車内放送や走行音を録音する「録(と)り鉄」、駅弁を肴(さかな)に一杯ひっかける「呑(の)み鉄」まで数限りない。  

 中でも一大勢力を築いているのが、高価な一眼レフと脚立を携えて全国各地を飛び回り、SLや特急の雄姿を撮影する「撮り鉄」だ。今をときめく前原誠司国土交通相は、「撮り鉄」の長いキャリアを持ち、作品がSLカレンダーに採用されたほどの腕前だとか。  

 そんな前原氏にとって建設行政だけでなく、交通行政も所管する国土交通相は、一見はまり役なのだが、知識豊富なゆえに「あるべき論」がつい口をついて出るようだ。羽田空港のハブ(拠点)空港化構想も理屈は正しいが、あまりに唐突すぎやしないか。  

 日本に韓国の仁川空港のようなハブ空港がなく、国益を大いに損なっているのは前原氏の言う通りだ。これまでの航空行政が、赤字を垂れ流している地方空港の整備に力を置きすぎてきたのも確かだ。  

 だからといって、開港までに幾多の血が流れた成田空港の地元に何の断りもなく、「羽田重視」を表明したのは、人の道にはずれている。八ツ場(やんば)ダム問題でも事を急ぎすぎている。事前に現場を詳しく調べあげ、シャッターチャンスがくるまでじっくり待つのが「撮り鉄」の達人のはずだ。

産経抄 産経新聞 10/14

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未来への希望「ノーベル平和賞」核兵器反対の姿勢が評価されて受賞した・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-19 | 産経抄(コラム)

 世の中は面妖なことだらけである。小学生のころから賞と名の付くものに縁がなく、賞といえば競馬の天皇賞が真っ先に思い浮かぶ身にとっては、功のあった人間に金品などを与えてほめるのが賞だと思っていた。  

 オバマ米大統領へのノーベル平和賞授与は、ご本人も「私が成し遂げたことに対してではない」と語るように、未来への希望を託した賞の前借りだ。この伝でいけば、25%の温室効果ガス削減を宣言した鳩山由紀夫首相にノーベル環境賞が授与される日も近い(そんなものがあればだが)。  

 ノーベル賞委員会は「核兵器のない世界」を訴えたオバマ氏を高く評価したが、35年前にも核兵器反対の姿勢が評価されて受賞した政治家がいた。佐藤栄作元首相である。大統領の大先輩というわけだ。  

 非核三原則が決め手になったが、中国の核実験成功(昭和39年)に危機感を抱いた佐藤氏は日本の核武装についてひそかに研究させている。その結果、米国に「核の傘」を確約させる一方、日本が核拡散防止に一役買うことが国益にかなうと判断したようだ。  

 当時の新聞をひっくり返してみると、いずれも1面トップで扱ってはいるが、称賛の嵐というわけではなかった。小紙は「佐藤さん最良の日」と好意的だったが、朝日新聞は社会面で「エッあの人が」。社説でも「どうもしっくりこない」とちっとも喜んでいない。オバマ礼賛とは大違いである。  

 その佐藤さんは沖縄返還を成功させたが、非核三原則とは裏腹の「核密約」という細い綱を渡ったとの証言は数多い。民主党は密約暴露に熱心だが、他策はあっただろうか。「日本は米国に依存しすぎていた」との鳩山首相の言動は、先人の苦労への思いやりがあまりに欠けている。

産経抄 産経新聞 10/11

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「にばんてえ!」追い抜こうとする気の逸り、追われている苛立ち・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-17 | 産経抄(コラム)

 寺山修司と幸田文には、競馬好きという共通点がある。ハイセイコーをこよなく愛した寺山だが、あくまで競馬は賭博のひとつだった。「私は“予(あらかじ)め準備されてある”ものは何でも好きではなかった」「賭けない男たち、というのは魅力のない男たちである」などと書いた。  

 幸田は馬そのものが好きだった。といっても、血統や過去の戦歴には興味がない。あくまで「一目惚(ぼ)れ」。競馬場のパドックで待ちかまえていると、ちょっとした馬のしぐさに、ポカーンとしてしまう瞬間がある。そうなると、馬券売り場に一直線だ。  

 でも、本当に夢中になったのは、二番手に走る馬だった。「追い抜こうとする気の逸(はや)り、追われている苛立(いらだ)ち、こんな哀れ深い、せっぱつまった姿ってあるでしょうか」と、『二番手』と題したエッセーで書いている。着物姿で最前列に陣取り、「にばんてえ!」と叫んでいる幸田の姿を想像すると、おかしい。  

 東京都内のデータ分析会社の英国人社長は、競馬予想プログラム作りには熱心だったが、競馬好きとはいえないようだ。プログラムは出走馬の血統や天候、騎手などのデータを入力して解析する独自のものだった。  

 それではずれる可能性の高い馬を除き、ほかのあらゆる組み合わせの馬券を購入していた。英国が本場の、競馬を冒涜(ぼうとく)する行為だ。しかも、荒稼ぎした配当金を海外に移し、税金を逃れたまま出国してしまった。それにしても、3年間で160億円とは…。  

 寺山は、ときに40万近く勝つこともあったが、全敗に備えて電車の往復切符を買っていた。幸田の場合は、時たま当たると、馬にすまないという気になった。「馬券というのは、馬にご苦労サン、ってあげるご祝儀」と心得ていたからだ。

産経抄 産経新聞 10/10

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村山談話について「言葉より行動」日本が大陸アジアと付き合って・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-10-16 | 産経抄(コラム)

 宮沢喜一内閣のときに、アジア太平洋問題に関する首相の諮問委員会が設置された。最初のゲストスピーカーを務めたのが、比較文明学者の梅棹忠夫さんだった。「日本が大陸アジアと付き合ってろくなことはない、というのが私の今日の結論です」。  

 委員の一人だった渡辺利夫拓殖大学学長によると、冒頭の言葉に参加者一同はあっけにとられた。梅棹さんが、『文明の生態史観』を発表したのは昭和32年だった。ユーラシア各地での現地調査を踏まえて、日本と西ヨーロッパにだけ、高度な文明が発達した理由を説明して大反響を呼んだ。  

 南北アメリカなどをのぞいた旧世界を、西ヨーロッパと日本が属する第一地域と、破壊と征服の歴史が続いた、それ以外の第二地域にわけたのが、独創的だった。古典的名著を、今読み返しても、暴力の連鎖が止まらないアフガニスタン情勢や、独裁体制のまま超大国化しつつある中国の姿を、半世紀以上前から見通していたことに驚く。  

 この梅棹史観からすれば、岡田克也外相が7日に日本外国特派員協会で行った講演は、国家の行方を危うくするような内容だった。村山談話について「言葉より行動」とは、何をしようというのか。  

 いくら謝罪を重ねて、「東アジア共同体」をもちかけても、しょせん中国は、日本とは水と油ほど違う文明をもつ国なのだ。まして、韓国を含めて、共通教科書を作るなどナンセンスとしかいいようがない。  

 梅棹さんは65歳のときに失明したが、89歳の今も健在だ。渡辺さんや、「海洋史観」によって日本と西ヨーロッパの近代化を論じた川勝平太静岡県知事など、梅棹史観に影響を受けた学者も数知れない。だれか、民主党の暴走を諫(いさ)める人はいないのか。

産経抄 産経新聞 10/9

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