なんとも立派な孝行息子だ。きのう夜、大阪・道頓堀の飲食店「大阪名物くいだおれ」が59年続いたのれんを下ろしたが、名残を惜しむ人々で店先は遅くまでごったがえした。味はともかく?看板人形「くいだおれ太郎」の人気ゆえだろう。 ▼赤と白の派手なストライプ服で昭和、平成と太鼓をたたき続けた太郎は、第二の人生を前に甲子園やビーチバレーの観戦と大忙し。宮本勝浩関西大教授によると、閉店発表から3カ月間で店の売り上げが倍増するなど約8億8000万円の経済効果をもたらしたとか。 ▼人気者の太郎と比べるのは酷だが、北海道洞爺湖サミットの経済効果はもうひとつのようだ。青の湖面に緑の中島がまぶしい洞爺湖の絶景が会場のホテルから見えるはずが、霧に隠れてテレビにあまり映らず、関係者をやきもきさせている。主要8カ国(G8)首脳の中に雨男がいるようだ。 ▼もっと深刻なのは、サミットで経済問題を話し合っている最中に、東京株式市場の株価が、1万3000円割れ寸前まで急落したことだ。美辞麗句で飾られた声明を出そうとも、景気減速や食糧・原油の価格高騰に政治は無力だと、市場があざ笑っているようにみえる。 ▼ヘッジファンドに代表される投機資本は、原油だけでなく、小麦、トウモロコシなどあらゆる物をカネのなる木に変えている。暴走する経済にストップをかけるのがサミットの役割のはずだが、明確なメッセージを出せたとは言い難い。 ▼北朝鮮問題も同じだ。ブッシュ米大統領は「拉致問題で日本を見捨てることはない」と約束したが、あすから北京で北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が再開される。数日後に小欄で「大統領の舌の根も乾かぬうちに…」と書きたくないのだが。
産経抄 産経新聞 7/9
八葉蓮華 hachiyorenge
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