9月の民主党代表選は「赤と黒」の戦いだと、先日書いた。小沢一郎前幹事長出馬のニュースを聞いて、とうとう小沢氏は「青おに」になれなかったな、との思いも強くする。
浜田廣介の名作童話『泣いた赤おに』に出てくるあの「青おに」である。村人と友達になりたいという「赤おに」に、親友の「青おに」が知恵を授ける。村で大暴れするぼくを殴れ。そうすれば、きみは村人の信頼を得られる、と。
「きみにすまない」という「赤おに」を諭す、「青おに」のセリフがすばらしい。「なにか、ひとつの、めぼしいことをやりとげるには…だれかが、ぎせいに、身がわりに、なるのでなくちゃ、できないさ。」。今でもこの童話が、道徳の授業で使われる所以(ゆえん)だ。
6月の政変で勝利した菅直人首相は、「脱小沢」を打ち出し、世論の支持を得た。小沢氏が今回の代表選でもそれを受け入れ、敵役を演じれば、民主党政権は安泰だったはずだ。もっともそれが、日本にとって望ましいかどうかは別問題。首相は就任以来、日韓併合をめぐる「菅談話」などろくなことをしていない。
そもそも「ぎせい」という言葉が、小沢氏の辞書になかった。今の政治経済のありようにご不満のようだが、出馬の本当の理由は、自らの政治生命を守るため、との見方がもっぱらだ。首相になれば、政治とカネの問題での訴追がなくなるとの指摘もある。とすれば、まったくの「私闘」といえる。
ともかく「赤おに」と「青おに」の血みどろの戦いは、村人=国民にとっては大迷惑だ。この間に円高株安が進み、日本の国際的な地位の低下も続く。どちらが勝っても、もう「おに」はこりごりということではないか。
産経抄 産経新聞 8/27
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