トリよりブタが好き、と暢気(のんき)なことを書ける雰囲気ではなくなってきた。昼休みに薬局の前を通りかかると、レジに行列ができていた。ほとんどの客がマスクが入った袋を握りしめている。中には10袋以上も両手で抱えているお父さんもいた。
世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げた。「草なぎ事件」になぜか及び腰だったテレビのワイドショーもインフルエンザ一色となれば、「マスク景気」もむべなるかな。小欄もつられてレジに並んでしまった。
舛添要一厚労相は記者会見で、「正確な情報に基づき、冷静に対応していただくことが最も大切だ」と訴えた。もっともな話だが、真実からガセネタまで、ネットを通じて情報が瞬時に世界を駆けめぐる現代では「正確な情報」の見極めはなかなか難しい。
スペイン風邪が流行した90年前は、日本と大陸との移動手段は船しかなかったが、今やメキシコから成田まで半日ちょっとしかかからない。関係機関が水際で必死に食い止めているが、WHO事務局長が「封じ込めは不可能と判断した」と言うように、いつ感染者が国内で発見されてもおかしくない。
「国内患者第1号」が発見されれば、大騒ぎになるだろうが、いかに感染拡大を最小限で食い止めるかの方が重要だ。そのためには、政府が正確な情報を迅速に公開する必要がある。「テポドン発射」でしくじった経験を大いにいかしてほしい。
幸いなことに、きょうから大型連休に入る会社も多い。ほとんどの役所や学校も5月2日から5日連続で休みになり、会社や学校で流行(はや)る恐れは当面ない。神経質にならず、まずは遊びにでかけますか。経済の病状がさらに悪化しないように。
産経抄 産経新聞 4/29
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