衣裏珠の八葉蓮華 ≪創価学会 仏壇≫

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慈善事業チャリティーに寄付・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-30 | 産経抄(コラム)
慈善事業チャリティーに寄付・・・  産経抄 八葉蓮華
「ハスラー」「スティング」「明日に向って撃て!」…。米俳優、ポール・ニューマン氏(83)の死去を伝える記事を読んでいると、若いころに見た名作の数々が蘇(よみがえ)ってくる。反戦活動やカーレースにも熱心な人だった。 ▼なんと2億ドル(約210億円)以上をチャリティーに寄付した慈善活動家でもあったとは。きっかけはニューマン氏が、コネティカット州の自宅で、作っていた特製サラダドレッシングだった。友人にプレゼントすると好評なので、商売にしようと思い立つ。 ▼1982年に設立した食品会社「ニューマンズ・オウン社」には、大きな特徴があった。税引き後の利益を100%、慈善事業に寄付するというのだ。会社は急成長した。新製品を売り出すときも、他の食品会社のように巨額の宣伝費をかける必要がない。ニューマン氏が、自分で宣伝すればいいからだ。 ▼スパゲティソース、ポップコーン、レモネードと扱う商品が増えていき、支援するチャリティーも数千を数えたという。日本にも寄付文化が育ってきたとはいえ、まだまだ米国とはスケールが違う。 ▼1世帯当たりの年間寄付額は、日本が2500円前後にとどまっているのに対して、米国は約16万円だ。今年6月、マイクロソフト(MS)の創業者、ビル・ゲイツ氏が、経営の一線を退き、夫人と設立した慈善団体の活動に重点を移したことが、話題になった。団体の総資産は、約4兆円にのぼる。 ▼もっとも、金融業界に嵐が吹き荒れるまで、年収数十億円といわれてきたウォール街のエリートたちが、慈善活動に熱心だったとは、あまり聞いたことがない。ニューマン氏やゲイツ氏のように振る舞っていたら、公的資金の導入に、米国民ももっと寛容だったろうに。

産経抄 産経新聞 9/30

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好戦的なナショナリスト・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-29 | 産経抄(コラム)
好戦的なナショナリスト・・・  産経抄 八葉蓮華
日々の政治の動きがあまりにあわただしいので、旧聞に属してしまったけれど、ひと言言わずにはいられない。先週、国連総会で、外交デビューを果たした麻生太郎首相を、「好戦的なナショナリスト」と決めつけたニューヨーク・タイムズの社説のことだ。 ▼麻生首相は演説のなかで、「テロとの戦い」に参画すると宣言した。「対米追従」との野党の批判にさらされながらも、あくまでインド洋での補給活動を継続する決意を示したといえる。そんな同盟国の首相に向かって、「外交政策を近代化して、隣国を対等に扱え」などとピントはずれの“ご高説”とは、あきれかえるばかりだ。 ▼この新聞の、日本に対する偏見に満ちた論調については、以前にも小欄で取り上げたことがある。国内ではさすがに、「ニューヨーク・タイムズ信仰」ともいうべき風潮は薄れているようだが、国際的にはまだまだ影響力が大きいことも事実だ。間違ったことを書かれたら、その都度、日本政府は反論していくしか、国の名誉を守る方法がない。 ▼もっとも米国内でも、日本を正当に評価する専門家が、声を上げ始めていることを、ワシントンに駐在する古森義久記者のコラムで知った。「日米は共通の価値観で結ばれている」と主張し続けた、元駐日大使エドウィン・ライシャワー氏のお弟子さんが、師の伝記を執筆中なのだという。 ▼ライシャワー氏といえば、昭和39(1964)年、米大使館前で少年に太ももを刺されたとき、日本人を安心させるために出した名コメントが思いだされる。 ▼「たくさん日本人の血を輸血してもらったので、混血になったような気がしています」。政治の舞台で、こんな美しいせりふが聞かれなくなって久しい。

産経抄 産経新聞 9/29

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粘り強い説得が無になりかねず・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-28 | 産経抄(コラム)
粘り強い説得が無になりかねず・・・  産経抄 八葉蓮華
これまで本音の発言やちょっとした言葉尻をとらえられて辞めさせられた大臣は数え切れない。「日本は侵略戦争をしようと思って戦ったのではない」といったどこが更迭に値する発言なのかさっぱりわからないまま首を切られた閣僚もいた。 ▼国民に言論の自由があるように、政治家にだって自由にモノを言う権利がある。発言に細心の注意を払い、腰低く四方八方に気を使う人物ばかりが大臣に登用されるのでは、政治はちっとも面白くない。とはいっても世間には常識というものがある。 ▼中山成彬国土交通相は、きのう地元の宮崎で、「日教組は解体しなきゃいかんと思っているところだ」と一席ぶった。道徳教育に反対し、教育基本法改正に抵抗した日教組には、小欄も長年にわたって苦言を呈し続けてきた。大いに賛同したいところだが、中山さん、あなたの担当は国土交通行政だ。 ▼「言葉狩り」にくみするつもりはまったくないが、騒動の発端となった成田空港反対派住民を「ゴネ得」とののしった発言は担当大臣として浅慮というしかない。これまでの関係者の粘り強い説得が無になりかねず、中山氏の大嫌いな過激派の面々を勢いづかせるだけだ。 ▼関係者に聞くと、麻生太郎首相の組閣構想に中山氏の名前は、当初、入っていなかったという。所属する町村派の強い巻き返しで入閣を果たしたが、ポストも本人の希望通りにいかなかったのも所管外の問題に口を出したがる一因のようだ。 ▼いずれにせよ、ニューヨークの国連総会で、派手な外交デビューを飾ったばかりの麻生首相にとっては、大きな試練だ。宰相たるもの人事は一人で決めなくてはいけない。泉下の吉田茂元首相も孫のピンチにハラハラしているのではないか。

産経抄 産経新聞 9/28

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キングメーカー森喜朗・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-27 | 産経抄(コラム)
キングメーカー森喜朗・・・  産経抄 八葉蓮華
今ではほとんど使われなくなったが、「闇将軍」というおどろおどろしい呼び方をされる政治家がいた。言うまでもなく田中角栄元首相だ。昭和49年、金権問題で退陣した後も、自らの派閥を率い、自民党に大きな影響力を行使していたからである。 ▼いや影響力といった程度のものではなかった。ロッキード事件で逮捕、起訴された後ですら、歴代の首相を誕生させるキングメーカーの役をつとめた。重要な予算についても真っ先に元首相に陳情したり了解を求めたりする。そんな尋常でない政治が続いた。 ▼政治家の出処進退にはいくつもの理由が重なっているのだろう。だからあくまで推測だが、小泉純一郎元首相の唐突な引退表明は田中元首相を反面教師としたような気がする。何しろ小泉氏は「闇将軍」と対立関係にあった福田赳夫元首相の近くにいた政治家なのだ。 ▼引退について「総裁選で自らの改革路線が否定され嫌気がさしたのでは」との解説もあった。それなら総裁選でもっと発言すべきだったが、それもしていない。退陣した権力者は軽々に口をさしはさむべきでないという「哲学」があったように思えてならない。 ▼推測ついでに言えば、恬淡(てんたん)と見える小泉氏の引退に嫌な思いをした人も多かっただろう。最近、キングメーカーになりつつあるとされる森喜朗元首相もそのひとりかもしれない。空耳でなく「あんたも余計なことをせず、早く引退したら」と言っているように聞こえるのだ。 ▼小泉氏を後ろ盾として期待していた人たちはガッカリだろう。元首相として無責任だとの批判もある。だがこれもまるで「闇将軍」の時代に戻りつつあるかのような自民党への警鐘だとすれば、なかなかに味のあるリタイアかもしれない。

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階級社会“お坊ちゃま”“ご令嬢”・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-26 | 産経抄(コラム)
階級社会“お坊ちゃま”“ご令嬢”・・・  産経抄 八葉蓮華
昭和も終わりに近づいたころ、芸能界の話題の中心は、歌手の郷ひろみさんと松田聖子さんの結婚だった。残念ながら婚約寸前で、破局に至る。松田さんは、俳優の神田正輝さんと結婚した。 ▼一方の郷さんは、2世タレントで、慶応大学在学中だった二谷友里恵さんを伴侶に選ぶ。「聖子なんかとは月とスッポン。素敵なご令嬢、友里恵さん」。こんな記事を目にして、怒りをぶちまけたのが、作家の林真理子さんだった。「週刊文春」の連載エッセーで、こう書いた。 ▼「聖子ちゃんというのは、おそらく日本歌謡史に残る大スターなのだ…テレビにちょこちょこっと出てた“ご令嬢”の方とは比較にもならない」。林さんが批判したのは、友里恵さんではない。令嬢好きで、自分の力でのし上がる女を嫌う「おとこマスコミ」の風潮だった。 ▼それは20年以上たった今も、変わりはないようだ。成り上がりの女性議員は、バッシングの対象になることが多いけれど、“ご令嬢”議員は別格だ。きのうのスポーツ紙は、「ゆうこりん」の初入閣を好意的に報じていた。 ▼野田聖子消費者行政担当相が郵政相となったときの37歳を抜いて、戦後最年少の34歳で少子化担当相に起用された小渕恵三元首相の次女、優子さんのことだ。もっとも新閣僚の主流は“お坊ちゃま”議員が占める。民主党が、その点を問題にしたくても、小沢一郎代表もまた世襲議員とあっては、いかんともしがたい。 ▼麻生太郎首相は、自身への人気の高さから、むしろ名門好き、ブランド好きな国民性を見極めて、「世襲力」で、総選挙を乗り切る腹を固めたのかもしれない。行き着く先は、格差社会を超えた階級社会だ。国民の多くは、それを望んでいるのだろうか。

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勇退。人間・王貞治にもどる・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-25 | 産経抄(コラム)
勇退。人間・王貞治にもどる・・・  産経抄 八葉蓮華
勇退を決意したソフトバンクの王貞治監督(68)とは、どんな人物なのか、同僚のベテラン運動記者に聞いてみた。「王さんは」と言いかけて、いつのまにか独り言になった。「そういえば、呼び捨てにしないのは、王さんとミスターぐらいだな」。 ▼記者の仲間内では、野球選手にかぎらず取材相手のことを、親しみもこめて、敬称を付けないで話題にすることがある。王監督とミスターこと、長嶋茂雄元巨人監督の2人は、例外だというのだ。 ▼現役時代は、プロ野球記録の通算868本塁打を放ったスーパースターだった。指揮官としても、2度の日本一に加え、2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、世界一にも輝いている。さん付けは、その偉業に対する敬意の意味もあるが、それ以上に監督の人柄によるところが大きいという。 ▼新人記者にもちっとも偉ぶらない。名刺を交換すると、次は名前で呼びかける。「王さんは、名刺を受け取ると必ず、日付とその人の特徴を書き込んでいた。いま私がそれを見習っている」とくだんの記者はいう。記者を大切にするのは、ファンとの懸け橋と位置づけているからだ。 ▼現役時代、スランプに陥ったときに、サインを求められても、嫌な顔ひとつ見せたことがなかった。そんな監督でも、ぐちをこぼしたことがある。国民栄誉賞をもらってから、もうばかなことはできなくなった、と。 ▼確かに、人格者のイメージは、監督にとって、かえって迷惑だったのかもしれない。若いころは、銀座で豪遊した武勇伝もある。ユニホームを脱ぐことで、少なくとも「神様」と祭り上げる人たちから離れて、人間・王貞治にもどることができそうだ。本当にお疲れ様でした。

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未来を担う子供たち・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-24 | 産経抄(コラム)
未来を担う子供たち・・・  産経抄 八葉蓮華
世の中の流れがあまりに速く、ほんの1カ月前に閉幕した北京五輪が遠い昔の出来事のようだ。その北京五輪で、8個もの金メダルを獲得した水泳のマイケル・フェルプス選手は、小学生のときADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断されたそうだ。 ▼落ち着きがなく教室でじっとしていられない子供だったようだが、母親は息子をかばい、才能を信じた。名伯楽との出会いもあって金メダル合計14個という水泳界のトップに上り詰めたが、母の献身愛なくして今のフェルプスはない。 ▼福岡市で起きた小学1年生の男児殺害事件は、犯人が母親というやりきれない結末を迎えた。殺された子供は、突然走り出したり、一つのことに集中できないADHDの症状を示していたようで、特別支援学級に通っていた。 ▼容疑者は病弱で、将来を悲観しての犯行とみられるが、未来のフェルプスの命を理不尽に奪った罪の重さは本人が一番わかっているだろう。ただ一点、弁護するとすれば、ADHDへの世間の無理解が母親を極限状態に追いつめたのかもしれぬ。 ▼ADHDの子を持つ親は、他の子供の親にも先生にも頭を下げなくてはいけない気持ちになり、肩身が狭くなりがちだ。夫は仕事が忙しいと称してあまり相談に乗らず、たった一人で悩む母親が増えているという。誰もがフェルプスの母のように強くなれるわけではない。 ▼きょう麻生内閣が発足するが、まもなく小沢民主党と雌雄を決する総選挙が控えている。争点は経済対策や社会福祉、安全保障といくらでもあるが、教育こそ最重要課題ではないか。単に子育て家族にカネをばらまいて済む話ではない。各党が未来を担う子供たちの問題にどう取り組むのか、しっかりと見極めたい。

産経抄 産経新聞 9/24

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有権者の眼力が問われる・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-23 | 産経抄(コラム)
有権者の眼力が問われる・・・  産経抄 八葉蓮華
昭和58(1983)年に、胡桃沢耕史(くるみざわこうし)が58歳で直木賞を受賞したとき、「苦節40年」が話題になった。なにしろ、9歳で直木三十五の臨終の放送を聞いて作家を志し、「ほしい、ほしい」と公言してきた賞である。 ▼同人雑誌のほかの仲間はすでに受賞していた。胡桃沢は、候補4回目で受賞すると、「賞取り」の内幕を暴露する。3回目の候補で落ちたとき、文芸春秋の編集者から、私小説を書くよう説得されたという。 ▼物語作家としての自負からしぶったものの、「賞を取ってしまえば、こっちのものだ」といわれて、執筆したのが受賞作の『黒パン俘虜(ふりょ)記』だった。シベリア抑留体験をもつ胡桃沢にとって受賞は、兵隊から将校への昇格に等しかった。将校どころか、国の最高司令官である首相の候補が出そろった。 ▼21日の民主党の臨時党大会で、3選が決まった小沢一郎代表(66)は、早速、高速道路の無料化、農業・漁業者への所得補償制度、子ども手当の創設などを打ち出した。きのう、自民党の第23代総裁に選出された麻生太郎氏(68)は、後期高齢者医療制度の見直しに言及している。小沢氏のいう「最後の戦い」が迫ってきた。政権が「ほしい、ほしい」気持ちは痛いほどわかる。 ▼だからといって、国民の受けを狙った“公約”ばかり並べられると、こんな言葉が浮かんでくる。「政権を取ってしまえば、こちらのものだ」。胡桃沢の受賞には、城山三郎の選考委員辞任というオマケもついた。作品そのものより、「苦節40年」への情に流れた選考への反発が理由だった。 ▼政治家にとっての作品とは、政策とそれを実現する能力といえる。次期衆院選は、常にも増して、作品の質を評価する有権者の眼力が問われることになる。

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「人間の品性、品位」・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-22 | 産経抄(コラム)
「人間の品性、品位」・・・  産経抄 八葉蓮華
昨年、フジテレビ系列で放映されたドラマ「拝啓、父上様」のなかに、こんな場面があった。東京・神楽坂で料亭を営む女将(おかみ)が、野良猫にエサをやっていると、近所に住む若い主婦が文句を言ってきた。 ▼八千草薫さんが演じる女将が、平謝りする姿を見ていると、気の毒になってくるけれど、猫の糞尿(ふんにょう)トラブルなどに悩む人にとっては、人ごとではないらしい。「猫たちにエサをやるばあさん」を「僕は蹴飛ばしたくなる」。犬好きで知られた作家の中野孝次が、鼎談(ていだん)集『犬は東に 日は西に』で、物騒な発言をしていた。 ▼昔と違って野良犬がいなくなり、猫やカラスばかりが威張っている、というのだ。先週、東京都荒川区は、野良猫やカラスにむやみにエサを与えることを禁止する条例案を発表した。罰則まで付けるのは、全国で初めてだ。中野が存命だったら、感想を聞いてみたい気がする。 ▼荒川区内では、自宅敷地内で大量のカラスを餌付けした悪質な例があり、住民から苦情があっても、やめさせる手だてがなかった。ただ、条例で規制すべき問題だろうか、といった疑問の声は、これから当然出てくるはずだ。 ▼26日まで、動物愛護週間である。今、国内のペットの飼育数は、犬、猫あわせて2500万匹を超えている。人間関係が日に日に希薄になっていくなか、ペットが、日本人にとってなくてはならない存在になっていることがわかる。一方でサイエンスライターの竹内薫さんが、小紙で指摘したように、多くの犬や猫が、苦しみながら死んでいく、“動物愛護”の実態がある。 ▼中野は、人間と犬の関係で問題となるのは、「人間の品性、品位」だと言って、鼎談を締めくくる。あらゆる動物との関係に、あてはまることだ。

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健康問題はトップシークレット・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-21 | 産経抄(コラム)
健康問題はトップシークレット・・・  産経抄 八葉蓮華
それぞれの思いは異なるにしても、その「病状」に世界の注目が集まりだしてもう10日余りが過ぎた。むろん北朝鮮の金正日総書記のことである。「意識がない」から「歯磨きはできる」まで情報はさまざまだが、いまだにはっきりしない。 ▼北の当局や情報を得ているはずの中国がほとんどコメントしていないからだ。それどころか、板門店での南北実務者協議に出席した北朝鮮外務省の副局長は記者団に対し、健康悪化説について、こう答えたそうだ。「わが国がうまくいかないように願う悪人らの詭弁(きべん)だ」。 ▼一方、北京では総書記の長男、金正男氏の姿がしばしば見かけられているという。テレビカメラにとらえられたこともある。そのため「わざと北朝鮮を離れることで重病説を打ち消そうとしている」という見方もあるらしい。だとすれば、何とも念の入ったことである。 ▼もっとも要人の異変を隠すことは、独裁国の得意とするところだ。中国も1971年、毛沢東主席爆殺をはかって失敗、逃走中に飛行機で墜落死した林彪副主席の事件を1年近くも隠蔽(いんぺい)した。このときも国連代表団が異変説を笑い飛ばす「演技」までしている。 ▼日本でもかつては、天皇や将軍の健康問題はトップシークレットだった。しかし明治45年の夏、明治天皇の病状が悪化すると、体温などの症状が官報やマスコミを通じ刻一刻、詳細に発表された。それを知った国民はご快癒を祈り、国への思いを新たにしたのだった。 ▼体制の違いはある。後継者が決まっていない段階での症状発表が混乱を招くのも怖いのだろう。だが、国の最高指導者の健康状態を国民が共有することは、近代国家として生きていくための第一歩となるのだ。いやこれは「詭弁」でなく。

産経抄 産経新聞 9/21

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日本の給油支援・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-20 | 産経抄(コラム)
日本の給油支援・・・  産経抄 八葉蓮華
海賊と聞いて年配の人が思い出すのは19世紀の英国人作家、スティーブンソンの『宝島』かもしれない。海賊が離れ島に隠した宝物を少年たちが探しにいく冒険小説である。明治時代から何度も日本語に翻訳され、子供たちの胸を躍らせてきた。 ▼その『宝島』は戦後、米国で映画化された。ほかにも「海賊もの」といわれる映画がたくさん作られている。物語や映画に出てくる海賊は他の船を襲う悪党である。人相・風体も怖い。それでもどこか、人間くさい愛嬌(あいきょう)も備えていたような記憶が残っている。 ▼だが現代、アフリカ・ソマリア沖に出没する海賊に、そんな文学的イメージはない。紅海からインド洋に出てくるタンカーや貨物船に襲いかかり、乗っ取る。そして船の持ち主や管理者から法外な身代金をふんだくる。ロケット弾や機関銃で武装した、実にやっかいな連中だ。 ▼日本の海運会社が所有したり管理したりする船も襲われている。実際に乗っ取られた船もあるが、何隻かは近くにいた多国籍艦隊の軍艦に助けられた。テロリストの温床であるアフガニスタンと新たな温床になりつつあるソマリアを遮断するため展開する艦隊である。 ▼日本の海上自衛隊が給油支援しているのがこの艦隊だ。ここで給油すれば、いちいちペルシャ湾まで戻らなくていい。多国籍艦隊としては実に助かる。日本関係の船が海賊に襲われたとき助けにきてくれるのもそのおかげであることは言うまでもない。 ▼昨日の本紙朝刊で、岡本行夫氏が海賊の言葉は避けながらもソマリア沖の現実をつぶさに書いておられた。給油支援をやめれば日本は「国際互助会からは抜けるが果実だけは食わせろ」という国になると訴える。ぜひとも読んでもらいたい方は多い。

産経抄 産経新聞 9/20

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神聖な山を汚したくないから・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-19 | 産経抄(コラム)
神聖な山を汚したくないから・・・  産経抄 八葉蓮華
「最強のクライマー」とも、「天国に最も近い登山家」とも呼ばれた。酸素ボンベや固定ロープに頼ることなく、8000メートル級の高峰を単独で踏破してきた山野井泰史さん(43)のことだ。 ▼2002年10月、ヒマラヤのギャチュンカン(7952メートル)北壁に、妙子夫人と挑んだときは、下山途中に雪崩に襲われた。右足をつま先から6センチ、両手の小指と薬指を凍傷で失いながら、2人で果たした生還は、まさしく奇跡だった。 ▼そんな不死身の登山家も、自宅近くで、生命の危険にさらされようとは、夢にも思わなかったろう。17日午前7時半ごろ、東京都奥多摩町の登山道で、ジョギング中に親子連れとみられる2頭のクマに襲われた。命に別条はないものの、鼻や腕をかまれて、重傷だという。 ▼本州と四国に生息するツキノワグマは、本来おとなしい性格だといわれる。ところが、平成16年と18年には、山から人里に下りてきて、人を襲い、けがをさせる被害が続出して、大騒ぎになった。エサとなるブナやクリの不作が直接の原因だったが、山間部の過疎化が進み、人とクマとの緩衝地帯の役割を果たしてきた、里山が荒れ果てたことも背景にある。 ▼クマにおびえる住民からは、駆除を求める声が強いが、「日本ツキノワグマ研究所」の米田(まいた)一彦理事長は、捕まえたクマを、山の奥に逃がす奥山放獣を提唱している。さらに、天候の変化によって、出没を予測する研究を進めて、クマとの共存への道を探りたいという。 ▼山野井さんは、最低限の装備で一気に頂上を目指す「アルパインスタイル」と呼ばれる登山法にこだわる理由を聞かれて、「神聖な山を汚したくないから」と語ったことがある。ツキノワグマとの共存にも、大賛成のはずだ。


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品質をさげたりして事業に失敗する・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-18 | 産経抄(コラム)
品質をさげたりして事業に失敗する・・・  産経抄 八葉蓮華
作家には、それぞれ気分転換の流儀がある。山本周五郎の場合は、小説の筆が滞ると、よく手紙を書いた。『周五郎に生き方を学ぶ』(木村久邇典著)によると、あて先は友人や知人ばかりではない。 ▼たとえば、街で偶然買ったとんかつソースが、とてもうまかったとする。レッテルで製造会社を確かめると、早速、こんな手紙をしたためた。「食べ物屋には、ちょっと評判がよくなると店舗を広げたり、品質をさげたりして結局、事業に失敗する例がザラにある」。 ▼「あなたのところは絶対そんなマネをなさらず、ぜひこの高品質を維持していただきたい」。こんな手紙を受け取って、ソース会社の経営者が喜ばなかったはずがない。もっとうまいソースを作ろうと決意を新たにしたはずだ。 ▼汚染米の不正転売問題は、自殺者が出る最悪の事態を迎えた。三笠フーズから出荷された汚染米が、24都府県で、約380社にも及んでいることがわかり、政府は全社名の公表に踏み切った。消費者の不安を鎮めるために、やむを得ない措置だったとはいえ、汚染米と知らずに購入した「被害者」の業者が、名前を出されたことに、怒りをぶちまけるのは当然だ。 ▼「店がつぶれてしまう」との悲痛な声も上がる。本来なら不正を見逃した農水省が、公表の前に、きちんと謝罪し、省を挙げて、風評被害を防ぐために全力を傾けるべきだった。ただ、大臣や次官の発言を聞いていると、この役所にはもはや何も期待できそうにない。 ▼ならば、消費者が動くしかない。焼酎、和菓子、中華料理…。リストには、地元の人たちに長年親しまれてきた、名品の作り手が含まれているはずだ。周五郎のように、そんなまじめな業者を励ましてほしいのだ。

産経抄 産経新聞 9/18

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緊急事態に政治空白・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-17 | 産経抄(コラム)
緊急事態に政治空白・・・  産経抄 八葉蓮華
世間の評判があてにならないのはわかっているつもりだったが、彼ほど虚像が膨らんだ経営者をほかに知らない。経営破綻(はたん)したリーマン・ブラザーズを長年にわたって率いてきたリチャード・ファルド最高経営責任者(CEO)のことだ。 ▼攻めの経営で「世界で最も尊敬されるCEO」(バロンズ誌)に選ばれ、リーマンも「最も称賛に値する米証券会社」(フォーチュン誌)に輝いた。どちらも昨年の話である。そんな立派な会社の尊敬されるトップが、世界同時株安を招いた一大事にちっとも表に出てこない。 ▼かつて山一証券が廃業に追い込まれたとき、社長は記者会見で突然立ち上がり、「社員は悪くありませんから!」と大泣きした。ずいぶんと格好の悪い姿だったが、そのおかげで救われた社員も少なくなかったという。 ▼夜逃げ同然に段ボール箱に私物を入れ、オフィスから立ち去らざるを得なくなった二万数千人の従業員にかける言葉はなかったのか。むろん、世界の人々を恐慌の瀬戸際に立たせたことへの一片の謝罪もない。これでは「世界最低CEO」の称号を与えるしかない。 ▼ブッシュ米大統領は「経済全体への悪影響を最小限にとどめられるよう取り組む」と語ったが、どこかの首相のように人ごとに聞こえる。諸悪の根源といえるサブプライムローンを放置してきた責任を感じているようにはとても見えない。 ▼日本も対岸の火事では済まされない。きのう、日経平均株価は600円以上も急落した。北朝鮮情勢も心配だ。一刻も早く新政権を立ち上げ、緊急事態に備えねばならないのに、だらだらと自民党総裁選を続けていていいのか。野球には、コールドゲームというルールがある。政治空白を危機は待ってはくれない。

産経抄 産経新聞 9/17

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次の世代に伝える試み・・・  産経抄 八葉蓮華

2008-09-15 | 産経抄(コラム)
次の世代に伝える試み・・・  産経抄 八葉蓮華
大阪市福島区で、たばこ店を営む井形正寿さん(87)は毎日、なじみ客との会話を楽しんでいる。最近では、たばこ増税論議が話題になることが多い。大幅な値上げは、戦時中にもあった。 ▼井形さんが、知人から譲り受けた昭和18年ごろの「金鵄(きんし)」の空き箱には、「平時定価八銭、戦時負担額十五銭」とある。「ある意味、正直ですね。今度値上げするとき、箱にはどんな説明書きがつくことやら」。井形さんは苦笑いする。 ▼郷土史家でもある井形さんは、終戦をはさんだ数カ月間、大阪府警の特高係だった。昭和20年8月15日の午後、上司から大量の書類の焼却を命じられた。そのなかには、国民が当局に寄せた厭戦(えんせん)、反軍、天皇制批判のはがきや手紙が含まれていた。 ▼その勇気に感動した井形さんは、一部を自宅に持ち帰り、機会があるごとに投書の主を捜してきた。これらの資料は、大阪市立福島図書館で、開催中の「戦時下、庶民のレジスタンス」に展示されている。 ▼きょうの「敬老の日」を長寿を祝うだけでなく、お年寄りの話を聴き、記録に残す日にしよう。NPO「昭和の記憶」(本部・東京)では、こんな呼びかけを行っている。確かに井形さんに限らず、高齢者はみんな歴史の証人だ。一人一人の昭和の記憶を集めて、次の世代に伝える試みが、敬老の日に限らず広がっていけばいいと思う。 ▼「みなさん、そろそろ30年、50年先を見据えた仕事をなさったらいかが」。小欄の知人は、高校の同窓会で再会した、元校長の言葉が忘れられないという。視線を過去だけでなく、遠い未来にも向けている。そんな人生の大先輩との会話から、仕事にかまけて足元しか見ていなかったことに気づく、現役世代も少なくないはずだ。

産経抄 産経新聞 9/15

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