衣裏珠の八葉蓮華 ≪創価学会 仏壇≫

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都市部の不夜城化「ねむり衣」起きている時間と寝ている時間・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-28 | 産経抄(コラム)

 ローマを訪問中の某国王女は、ネグリジェの代わりにパジャマを着て寝ることにあこがれていた。ひょんなことからその夢は実現する。ある夜こっそり街に出て、翌朝目が覚めたら、アメリカ人記者のベッドで、彼のパジャマを着せられていた。  

 映画「ローマの休日」の一場面である。ただし、オードリー・ヘプバーン演じる王女のパジャマ体験は、たった一夜で終わってしまう。そんな王女の目には、中国・上海市民の振るまいは、さぞうらやましく映るだろう。  

 先週の国際面の記事によれば、1970年代末から、一部でパジャマを着る習慣が始まった。今では4割を超える市民が、寝室のなかだけでなく、昼間も身につけたまま、公共の場所に出たことがあるというのだ。  

 社会学者の高田公理(まさとし)さんによれば、日本では近世の半ばまで、昼間の衣服のままで寝る、いわゆる「着所寝(きどころね)」が普通だった。さまざまな「ねむり衣」が、世間に出回るようになるのは、本格的な近代化が始まる明治時代に入ってからだ(『ねむり衣の文化誌』冬青社)。  

 工業化社会では、仕事の能率を上げるために、起きている時間と寝ている時間を厳密に区切る必要があったという。ところが、戦後の高度成長をへて情報化社会になると、必ずしも人々が同じ時間に集まって働く必要がなくなった。都市部の不夜城化もますます進む。  

 若い人なら、パジャマ姿には気が引けても、寝間着代わりのTシャツで近所のコンビニに出かけることに、抵抗はないようだ。高田さんが「今様着所寝」と呼ぶ風俗は、日中両国の都市生活で、共通しているのかもしれない。当局が禁止の通達を出し、市民がインターネットの書き込みで対抗する、政治のありようは違うにしても。

産経抄 産経新聞 11/23

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日本中が寒さの中で縮こまって「枯木の中」先行きに不安を抱いている・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-27 | 産経抄(コラム)

 「葱(ねぶか)買(かう)て枯木の中を帰りけり」。よく知られた蕪村の句である。冬枯れの寒々とした情景が、葱の一文字でみごとに浮かんでくる。ただし葱-ネギを待つ先が鍋を囲む団欒(だんらん)の家庭なのか、火の気のない1人暮らしの家なのかは読む人によって分かれる。  

 寒い日が続き、今年の冬の訪れは早いといっても、枯れ木の季節はもう少し先だろう。しかし、日本社会は一足先に「厳冬」を迎えてしまったかのようだ。政府の「デフレ宣言」や、大学生の就職内定率が急降下しているというニュースを読むとそんな気がする。  

 文科省などが調べた就職内定率は10月1日現在とはいえ、まだ60%強だそうだ。前年同期より7ポイント余り下がっている。今年7~9月の国内総生産は年率にして4・8%増だったのにこの低水準である。企業がいかに先行きに不安を抱いているかということだろう。  

 職についている人たちのフトコロも寒々としてきた。日本経団連のまとめだと、東証1部上場企業だけでも冬のボーナスが前年より16%ほど減っているという。「出るだけましだ」という声もあろうが、ボーナスの減少が消費をさらに冷え込ませることになりそうだ。  

 この経済の冬景色を「鳩山不況」の予兆と見る人もいる。鳩山政権が「反自公」や自らのマニフェストにこだわるあまり、柔軟な対策を打ち出せない。それが株価の低下などにつながり、企業も「守り」に入る。日本中が寒さの中で縮こまってしまったように見える。  

 むろん政府には、こんな空気を解きほぐすような温風を吹かせてもらいたい。それがないなら、蕪村の句ではないが、葱でも買い込み、鍋をつついて厳しい冬を乗り切る英気を養うしかなさそうだ。今日、明日は今年最後の連休である。

産経抄 産経新聞 11/22

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自民党と変わらず「数がすべて」政治の変化を求めた国民はどんな反応をするかなあ・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-26 | 産経抄(コラム)

 昭和31年6月、当時の鳩山一郎政権は、教育委員を公選から任命制にする新教育委員会法を強行成立させている。特に参院では当時の社会党が実力で阻止しようとして衛視ら10人がケガをした。警察隊も導入され、国会史上有名な乱闘国会を招いたのだ。  

 むろん非の多くは、乱闘を引き起こした野党の社会党側にあった。戦後教育を正そうという鳩山首相にとって何としても成立させたい法案だった。しかしその一方で、この政権が意外なほど、保守合同直後の数に頼る強硬姿勢を貫いていたことも物語っている。  

 そんな歴史を思い出したのは、孫の鳩山由紀夫首相の政権が発足後初めて成立をはかった法案の採決をいきなり、強行したからだ。中小企業が受けた融資の返済の猶予を求めるという、国民の賛否が分かれる法案だった。それをたった8時間の審議で可決させたのだ。  

 与党・民主党は「自公政権もやってきた」と言うのかもしれない。だが、それでは政治の変化を求めた支持者を裏切る。開き直りである。しかも問題は、この強行が法案の責任者の鳩山首相ではなく、民主党の小沢一郎幹事長の主導で行われたらしいことである。  

 小沢氏の政治の師だった田中角栄元首相も、最大派閥を率いることで退陣後も政界に君臨した。「数がすべて」という論理がしみついているように見える。そう考えると、この政権の政治手法はかつての自民党と変わらず、数に頼ったものになることを予感させた。  

 もっとも祖父の鳩山政権はそのために国民の反発を買い、念願の小選挙区制導入を断念する。それを知ってか、孫の鳩山首相は小沢氏に対して「国民はどんな反応をするかなあ」と心配顔だったという。「語るに落ちる」とはこのことだ。

産経抄 産経新聞 11/21

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13年間で、組織防衛を何より優先する企業風土ができあがった・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-25 | 八葉蓮華

 JR福知山線脱線事故の報告書漏洩(ろうえい)問題で、コンプライアンス特別委員会から、名指しで批判されたJR西日本の井手正敬(まさたか)元相談役(74)は、かつて「国鉄改革三人衆」と呼ばれた一人だ。JR東日本の松田昌士相談役、JR東海の葛西敬之会長とともに、旧国鉄の分割民営化を主導した。  

 駆け出し記者時代に、当時JR各社の副社長を務めていた3氏に、日をおかずインタビューする機会があった。松田氏と葛西氏には、その迫力に圧倒された。最後に会った井手氏の柔らかい応対に、少しほっとした記憶がある。  

 「内弁慶に外地蔵」との井手氏評を聞いたのは後のことだ。平成4年に社長に就任してからは、起床は朝5時半。通勤電車のなかでは、運転席の後ろに立って、運転ぶりを確かめた。ワイシャツ姿で社員と触れ合い、休日には駅を回る。  

 阪神大震災の当日、飛び出した家に戻ったのは1カ月後だった。一切の権限を掌握して復旧に当たり、競合相手の阪急、阪神より2カ月も早く開通した。当時の各紙は、井手氏の剛腕ぶりをおおむね好意的に伝えている。  

 ただ、井手氏の存在が大きくなりすぎて、会社が「井手商会」化する恐れを、氏自身が危惧(きぐ)している、と指摘する記事もあった。特別委はまさに、井手氏の社長、会長、相談役時代の13年間で、組織防衛を何より優先する企業風土ができあがったとみる。それこそ漏洩問題の原因だとも。  

 それにしても、民営化後の経営を軌道に乗せた氏の功績の一方で、乗客のシ者106人を出した事故への対応には、首をかしげる。特別委の調査要請に応じず、遺族への謝罪も果たしていない。国鉄改革にかけた情熱、青春をささげたラグビーの精神に照らしても、矛盾だらけだ。

産経抄 産経新聞 11/20

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絵手紙「介護うつ」介護に尽くした姉の思い出をつづっている・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-24 | 産経抄(コラム)

 「絵手紙を創(つく)った男」として知られる小池邦夫さん(68)は、これまで何度も小欄に登場いただいた。その小池さんから、新刊の『介護うつ』(ブックマン社)が送られてきた。と、いっても小池さんの著作ではない。  

 今年4月、静岡県内の父の墓前で自サツした元タレント、清水由貴子さん(享年49)の妹、良子さんが、母の介護に尽くした姉の思い出をつづっている。小池さんと清水さんの出会いは、平成10年1月から3カ月間放映されたNHKの「趣味悠々」だった。  

 番組で絵手紙の講師を務めた小池さんは、生徒役の清水さんに宿題を出した。「毎日絵手紙を描いて送ってください」。翌日から届いた絵手紙は、約1000通に達した。その一部が、本で紹介されている。  

 たとえばはがきいっぱいに描かれたタマネギには、「ツーンとくる玉ねぎの様なひと癖 私には足りないなあ」とのつぶやきが記されている。季節の花や食べ物を題材にしたユーモアあふれる作品が目立つ。母親をテーマにしても、介護のつらさを訴えることはなかった。  

 メール全盛の時代である。確かに、季節のあいさつから始まる手紙を書こうとすると、どうしても身構えてしまう。半世紀前、故郷の松山市から上京したばかりの小池さんは、同郷の友人に毎日、工夫をこらしたはがきを出して、寂しさを紛らわせた。友人たちの励ましが、絵手紙作家への道につながる。  

 「母親を介護しながら、絵手紙に生きたい」。清水さんが3年前に芸能界を引退したとき、小池さんは、マネジャーを通じて、こんな決意を聞かされていた。ただその後、清水さんから届いたのは年賀状だけだった。小池さんはいう。「絵手紙は清水さんを救えなかった。無念である」

産経抄 産経新聞 11/19

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「党首討論」いくら良い仕組みをつくっても使わなければ何の意味もない・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-23 | 産経抄(コラム)

 きょうは、鳩山由紀夫首相と自民党の谷垣禎一総裁とが1対1で渡り合う初めての党首討論が行われる予定だった。ところが、与党側がなんのかんのと理屈をつけて中止と相成った。来週も流れそうな雲行きで会期が延長されない限り、年内に初対戦は実現しそうにない。  

 次々と明るみに出る首相の政治資金にまつわる疑惑やくるくる変わる普天間基地移設に関する発言を追及されたくないと勘ぐられても仕方がない。影の薄い谷垣氏にとって怒りどころだったが、趣味のサイクリング中に事故に遭い、1週間休養をとるとか。まったくもってしまらない。  

 そもそも党首討論は、国会改革の一環として英国好きの小沢一郎民主党幹事長が自由党時代に音頭をとって導入したものだ。その割にはご本人も後を継いだ鳩山さんもあまりお好きでないらしい。いくら良い仕組みをつくっても使わなければ何の意味もない。  

 その小沢さんがいまご執心なのは、永住外国人の地方参政権付与法案だ。マニフェスト(政権公約)にすら載っていないが、「韓国政府サイドからも在日の方々からも要求が非常に高まっている」と成立に意欲満々だ。  

 在日韓国人でつくる民団は、さきの総選挙で地方参政権付与法案に賛成する民主党候補らを組織をあげて応援した。都内の某激戦区では、公示日だけで30人以上が動員され、ビラ2万枚に証紙を張り、演説会場で声をからして声援を送ったという。  

 こうした民団の努力に応え、来年の参院選もよろしく頼む、というのが、小沢さんの本心ではないか。ただし、憲法15条は選挙権を「国民」固有の権利と定めており、法案は違憲の疑いが消えていない。政治主導だからといって議論もせず無理を通すことを独裁という。

産経抄 産経新聞 11/18

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「自転車事故」二酸化炭素を出さない、生活習慣病の予防にもなる、いいことずくめ・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-22 | 産経抄(コラム)

 自民党の谷垣禎一(さだかず)総裁が自転車事故で、顔面を数針縫うけがをした、とのニュースには驚いた。谷垣氏といえば、財団法人「日本サイクリング協会」の会長を務め、財務相時代には「ツール・ド・北海道」に出場して、65キロを完走したほどの乗り手である。  

 どれほどスピードを出していたのかしらないが、遊歩道で対向してきた自転車と衝突事故を起こすとは。二酸化炭素を出さない、生活習慣病の予防にもなる。いいことずくめの自転車を甘くみてはいけない、と改めて思う。  

 2カ月ほど前の小紙(大阪版)は、大阪市内の交差点で、自営業の女性が大けがをした自転車同士の事故をめぐり大阪地裁が、ぶつかったパートの女性に約1300万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した、と報じていた。自転車に乗らなくても、歩いているかたわらを後ろから猛スピードですり抜けていったり、信号を無視して交差点に突っ込んでくる自転車に、しばしばヒヤリとさせられる。  

 現在日本は、8000万台以上の自転車を保有する、中国、米国につぐ世界第3位の自転車大国だ。一方で先進国のなかで自転車事故の発生率が1位という不名誉な記録もこの10年以上続いている。汚名返上のために、マナー向上を訴えても効果は薄い。  

 歩道に自転車を当然のように走らせてきた、道路行政を根本的に見直すしかない。そのために、政治家や官僚などエライ人ほど自転車に乗るべきだ、と自転車文化人として知られる疋田智(ひきた・さとし)さんはいう(『自転車の安全鉄則』朝日新書)。  

 谷垣氏はまさに当てはまる。自民党再生のパフォーマンスのために、ペダルを踏むだけではもったいない。事故を奇貨として、あるべき自転車政策を提言してほしい。

産経抄 産経新聞 11/17

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世界一をめざす理由は何か。スパコンの性能は、開発国の科学技術力そのもの・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-21 | 産経抄(コラム)

 円の大小を問わず、円周の長さと直径の比は一定で、その数が3より少し大きいことは、紀元前2000年ごろのバビロニアで発見されたという。いわゆる円周率はその後、さまざまな方法で計算されてきた。  

 桁(けた)数が飛躍的に伸びたのは、コンピューターが開発されてからだ。1949年の2037桁を皮切りに、73年には100万、89年には10億桁に達した。現在の世界記録は、筑波大計算科学研究センターのスーパーコンピューターが今夏打ち立てた、2兆5769億8037万桁だ。  

 とはいえ円周率の計算は、あくまでスパコンの性能を確かめるために行われる。本来の仕事は、生命科学やナノテクノロジーの研究、気候変動予測、新薬開発などで、画期的な成果を挙げることだ。  

 政府系研究機関の理化学研究所が中心となり開発を進めてきた次世代スーパーコンピューターは、毎秒1京(1兆の1万倍)回という世界一の計算速度を誇るはずだった。神戸市のポートアイランド地区で施設も建設中だ。そのスパコン開発に、行政刷新会議の仕分け作業で、「ノー」が突きつけられた。  

 「世界一をめざす理由は何か。2位ではだめか」。決め手となったのは、仕分け人、蓮舫(れんほう)参院議員の発言だったという。7年前、日本のスパコン「地球シミュレータ」が一時世界一に躍り出たとき、衝撃を受けた米国のメディアは大々的に報じた。スパコンの性能は、開発国の科学技術力そのもの、2位ではだめなのだ。  

 ほかの科学関連事業も軒並みカットの判定を受けている。東大工学部で応用数学を学んだ鳩山首相をはじめ、菅国家戦略相は東工大、平野官房長官は中央大理工学部の出身だ。初の「理系内閣」の正体は、「科学軽視内閣」なのか。

産経抄 産経新聞 11/16

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国家予算を大幅に見直そうというのだから、ある程度の独善は避けられない・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-19 | 産経抄(コラム)

 民主党の小沢一郎幹事長は、よほどキリスト教がお嫌いらしい。高野山の金剛峯寺を訪ねたとき、記者団に「排他的で独善的な宗教だ」と切って捨てたそうだ。そのキリスト教を背景にした欧米社会に対しても「行き詰まっている」と述べたという。  

 場所柄から、仏教など日本の宗教へのリップサービスだったのかもしれない。とはいえ、そのキリスト教観には首をかしげてしまう。そもそも宗教はその性格上「独善的」であり、「排他的」にもなりがちだ。仏教だって宗派間の対立を何度もくり返してきた。  

 特にキリスト教の場合、唯一絶対の神を信仰している。だからその傾向は強かったともいえる。しかしここ数十年、他宗教との対話や融和を積極的に打ち出しているのもキリスト教だ。ローマ法王が世界中を飛び回るのも、カトリックの信徒を増やすためだけではあるまい。  

 それとも小沢氏は、ガリレオの地動説を裁いた昔の異端審問や魔女裁判などをイメージしているのだろうか。そう考えていたら、ニュースに触れた読者から電話をいただいた。「民主党政権がやっている事業仕分けこそ独善的、排他的ではないですか」というのだ。  

 その行政刷新会議の事業仕分けをのぞいてみると、これはもう法廷に近い。「被告」の行政側や事業者に「裁判官」の民主党議員らが質問を浴びせ「判決」を下していく。あまりに一方的な「尋問」に「私の話も聞いてください」と叫ぶ独立行政法人の理事長もいた。  

 むろん国家予算を大幅に見直そうというのだから、ある程度の独善は避けられない。だが「裁判官」たちは自分たちの権限に酔ってはいないか。「国家百年の計」という高い視点がないと、異端審問のような悪名を残すだけである。

産経抄 産経新聞 11/14

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芸能界の大御所、96歳の大往生を遂げた森繁さんは今ごろ・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-18 | 産経抄(コラム)

 「おばはん、頼りにしてまっせ」。映画『夫婦善哉』のラストシーンで、森繁久弥さんが演じるダメ男柳吉が蝶子にいう名セリフ。その印象が強烈だったので、芸能界の大御所となって、尊敬を集める姿に今一つなじめなかった。  

 作家の久世光彦(くぜ・てるひこ)が、森繁さんに聞き書きした『大遺言書』シリーズ(新潮社)を読んで、初めて名優の実像に触れた気がした。久世と森繁さんとの出会いは、テレビドラマ『七人の孫』を演出した40年以上前にさかのぼる。  

 後に名コンビを組む向田邦子を紹介されたのも、このころだった。向田のエッセーにも、森繁さんはしばしば登場する。艶聞(えんぶん)の絶えなかった森繁さんと向田の仲を実はほんの少し疑っていた。それが晴れたのは、向田が急死してからだ。「森繁さんが声をあげて泣いた。〈男と女〉の、男の泣きではなかった。〈親〉の涙だった」という。  

 その久世も3年前に世を去った。10日、96歳の大往生を遂げた森繁さんは今ごろ、先に旅立った夫人や長男、かつての仲間たちと、ひさしぶりに話がはずんでいることだろう。久世によると、旧満州で終戦を迎え、悲惨な体験をした森繁さんは、徹底した戦争嫌いだった。  

 それでいて、戦後、好戦詩人として非難された大木惇夫の「戦友別盃の歌」を愛してやまなかった。スポーツの国際大会で日本選手が「君が代」を歌う姿に満足し、祝日には、玄関に大きな「日の丸」がはためいていた。皇太子ご夫妻に愛子さまがお生まれになった日も、もちろん日の丸を立てた。  

 昭和天皇に愛子さまを見せたかったと、「まるで身内みたいに悔しがった」。だから、きのうの天皇陛下在位20年を祝う日を迎えられなかったことだけが、心残りだったかもしれない。

産経抄 産経新聞 11/13

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皇室アルバム「天皇陛下在位20年」50年にわたって皇室の素顔を伝えてきた・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-17 | 産経抄(コラム)

 「皇室アルバム」といえば、週末の早朝に放映される民放屈指の長寿番組だ。昭和34年、当時の美智子妃殿下(現皇后陛下)の「ミッチーブーム」に沸くなか始まり、50年にわたって皇室の素顔を伝えてきた。  

 小欄は、自分だけの「皇室アルバム」を持っている。天皇、皇后両陛下をはじめ、皇室の方々のお姿を、折に触れて心のなかの台紙に貼(は)り付けてきた。めくるたびに、ほおがゆるんでくるが、ときに居住まいを正さずにはいられなくなる。  

 平成17年6月28日、海に向かって、黙祷(もくとう)をささげられている両陛下を後ろからとらえた写真は、後者の一枚だ。撮影場所はサイパン島北端にある、先の大戦で多くの民間人が身を投げた、「バンザイクリフ(崖(がけ))」の上だった。両陛下にとって、戦没者慰霊の旅が、どれほど重い意味をもっていたのか、思い知らされた一枚だった。  

 天皇陛下在位20年に先立つ会見でのお言葉から、両陛下もまた「国民アルバム」をお持ちであることを知った。もちろん、けた違いの大きさと量のアルバムだ。最近では、ワールドシリーズで松井選手が獲得したMVPや、ゴルフや囲碁で活躍している平成生まれの若者の姿に目を細められたようだ。  

 一方で自然災害をはじめとする厄災が尽きないことに、心を痛められている。今回は特に拉致問題に言及された。「なぜ私たち皆が、自分たち共同体の出来事として、この人々の不在をもっと強く意識し続けることができなかったか」。  

 北朝鮮の金正日総書記が拉致を認めてまもなく、皇后陛下が述べられたお言葉が蘇(よみがえ)る。両陛下はアルバムの台紙に大きな余白を残しておられるはずだ。帰国を果たした拉致被害者が歓喜にむせぶ姿を、そこに貼り付けるために。

産経抄 産経新聞 11/12

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自責の念がなくなったから「悪者の顔」今は何食わぬ顔で、世の中に溶け込んでいる・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-15 | 産経抄(コラム)

 作家の佐藤愛子さんは、羽田空港のロビーで、買い物籠(かご)を提げた若者をハイジャック犯だと決めつけて、娘さんにあきれられた。新幹線に乗っていて、トイレから出てこない若い女性が、男に閉じこめられていると思いこみ、車掌室に駆け込もうとしたこともある。  

 「これだけ世の中に次々と想像を絶する事件が起きているというのに、世の中の人というものは全く暢気(のんき)なものだ、と私は呆(あき)れざるを得ない」。佐藤さんは、昭和50年ごろに書いたエッセー『悪者の顔』で嘆いた。30年以上たって世の人々は、治安の悪化をひしひしと感じている。  

 ここ数日の新聞の社会面は、サツ人と不審シ事件の記事で埋め尽くされるありさまだ。千葉県松戸市のマンションでは、千葉大4年の荻野友花里さん(21)がサツ害された。行方不明になっていた島根県立大1年の平岡都さん(19)は、変わり果てたイ体となって、広島県北広島町の臥竜(がりゅう)山で発見された。  

 荻野さんは、教員をめざして母校で教育実習も済ませ、卒業研究に取り組んでいた。平岡さんは、得意な英語を生かして海外留学を夢見ていた。実りの季節を迎えた人生を、邪悪な暴力で突然断ち切られた2人の無念は、いかほどだろう。  

 佐藤さんは、社会が乱れているのは、悪者が必ずしも悪い人相でなくなったからだ、という。悪者が悪者らしい顔をしなくなったのは、悪いことをしてしまった、という自責の念がなくなったからではないか、とも。  

 自責の念どころか、整形手術で自らの顔を変えてまで、逃げのびようとする容疑者もいる。2人の女子大生を手にかけた犯人たちも、今は何食わぬ顔で、世の中に溶け込んでいるはずだ。徹底した警察の捜査で、その悪行をあぶり出すしかない。

産経抄 産経新聞 11/10

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ハコモノ公共事業から「コンクリートから人へ」方向に引っ張っていく・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-14 | 産経抄(コラム)

 今年9月の「伊勢湾台風から50年」の時にも少し触れたが、高潮被害を大きくした一因に堤防工事の「手抜き」が指摘された。中にはコンクリートで造られていても上部は、土が露出している堤防さえあった。高潮はそこを狙いうちするように襲った。  

 本紙「戦後史開封」のリポートである。ひとつには堤防工事などの治水事業が国や地方自治体、同じ国でも各省庁バラバラに行われていたことがあった。国もこれを反省し「治水事業十カ年計画」を策定、全国に防潮堤やダムを建設していったのである。  

 その治水事業など土木工事の主役ともいえるコンクリートが今や「悪役」となっている。「コンクリートから人へ」という鳩山政権のキャッチフレーズだ。真意はこれまでの公共事業を見直すということだろう。しかしこれでは、土木事業を頭から否定していると聞こえる。  

 建設省出身の脇雅史参院議員のもとには「コンクリート」を社名に使っている建設会社から、苦情がきているという。6日の予算委で脇氏からそんな事実を指摘された鳩山由紀夫首相はあっさり陳謝した。「人の命を守るためにコンクリートは必要だ」と弁解もした。  

 だがはたして本当に反省したのだろうか。焦点の八ツ場(やんば)ダム問題でも、このダムがいらないというのなら、治水の歴史から学び、克明なデータをそろえて説明すべきだ。それをキャッチフレーズで押し切ろうというあたりが問題なのだ。  

 こうしたキャッチフレーズは、野党が政府・与党の政策を批判するのには有効だった。だが民主党が与党となった今、十分な説明もなく振りかざすのはフェアではない。国民をあらぬ方向に引っ張っていく危険もある。特に耳に聞こえのいいものほど要注意である。

産経抄 産経新聞 11/8

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鳩山首相に匹敵するようなリッチな政治家といえば・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-13 | 産経抄(コラム)

 株の売却益7200万円の税金申告漏れについて、鳩山由紀夫首相は「株の電子化で慌てて売った際の間違い」と弁明している。申告を忘れるような金額なのかと怒りたくなる。だが資産総額が14億円を超えると聞けば、思わず納得してしまいそうだ。  

 歴史上、鳩山首相に匹敵するようなリッチな政治家といえば、まず頭に浮かぶのは大隈重信だろう。明治、大正期に2回首相をつとめたが、自宅は豪邸そのものだった。そこには常時、四、五十人の食客がいて、豪華な食事が用意されていたというのである。  

 「大風呂敷」と言われたその開けっぴろげな性格で金持ちにもかかわらず、大衆の人気があった。その代わり言動も万事、鷹揚(おうよう)だった。朝、禁酒会の会合で酒の害を説いたと思えば、午後は酒造業組合に行き「酒は百薬の長」と力説した。そんな逸話も残っている。  

 大正3年に首相になったときもその鷹揚さで第一次世界大戦に参戦し、中国に「対華二十一箇条」を突き付けた。いずれも外務省や陸軍の意向にそのまま従った結果だ。しかしこの「二十一箇条」が国際的に強い非難を浴びたことから人気も落ち、退陣に追い込まれた。  

 そうしてみると、鳩山首相はリッチさだけでなく言動でも大隈を思わせるところがある。発言の「ブレ」がこの首相の代名詞とさえなりつつあるからだ。それも「酒の害」についてならともかく、米軍普天間飛行場の移設という安全保障の問題でもブレているのだ。  

 最終判断の時期をめぐり首相が「早く」「時間がかかる」などと修正を繰り返すのを聞けば、米国側がイライラするのも当然だ。だがそのことにも首相はどこ吹く風に見える。そうなるともう「鷹揚」どころではない。感性の問題である。

産経抄 産経新聞 11/7

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「勝利への執着心」ワールドシリーズ日本人初のMVP・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-11-12 | 産経抄(コラム)

 平成7年元日の小紙は、セ・パ両リーグのニューヒーローとして、松井秀喜選手とイチロー選手を取り上げている。前年のシーズンで、210安打の大記録を打ち立てたイチローには、「4割」への期待が高まっていた。もっとも本人があくまで目標に掲げていたのは安打数だ。  

 一方、「勝利への執着心」を強調する松井は、すでにメジャーでプレーする夢を公言していた。14年後、2人はそれぞれのスタイルを貫いたまま、とてつもない選手になっていた。  

 マリナーズのイチローは、メジャー史上初となる9シーズン連続200安打の偉業を達成する。けがに苦しんだ松井は、晴れ舞台で「勝利への執着心」を示した。ヤンキースを9年ぶりの頂点に押し上げ、ワールドシリーズ日本人初のMVPに輝いた。  

 かつて巨人軍の黄金時代を支え、ライバルでもあった長嶋茂雄さんと、王貞治さんは、「記憶の長嶋」「記録の王」とも呼ばれた。本塁打王15回、通算868号と次々に記録を塗り替える王さんに対して、天覧試合など大舞台にめっぽう強い長嶋さんは「巨人軍は永久に不滅です」などの名言も残した。  

 この関係をあてはめれば、記録の上では、もちろんイチローが上回る。日本での7年連続の首位打者記録をひっさげて乗り込んだメジャーで、今後もさまざまな記録を打ち立てていくはずだ。もちろん、今年3月のWBC決勝での決勝タイムリーは、忘れられるものではない。  

 松井は6年前のメジャー本拠地初戦で、満塁本塁打の衝撃のデビューを飾った。新装なったヤンキースタジアムで6打点をたたき出し、日米両方のファンに、あらためて「記憶に残る選手」であることを強烈に印象づけた。2人のライバル物語はまだまだ続く。

産経抄 産経新聞 11/6

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