最近は小欄もメールなるものをやりとりするようになったが、年のせいか手紙やはがきの方が心に響く。ことに読者のみなさんからの叱咤(しった)激励は、何よりの良薬だ。この場を借りて感謝申し上げるが、まれに次のような「人生相談」もどきの手紙もくる。
前略 パートナーのことで相談したく筆を執りました。彼は優しく、言葉遣いも丁寧で、金のネクタイがよく似合います。母親はお金持ちでしかも東大卒。おつきあいは短く、「家風が違いすぎる」と心配する人もいましたが、8カ月前に一緒になりました。
最初は毎日が楽しくて仕方がなかったんですが、ある日、彼の言っていることが、くるくる変わって言い訳ばかりなのに気づいたんです。最近では金髪女性に褒められていい気になっているようで、約束違反をなじっても「後で話すから」ととりあってくれません。
親戚(しんせき)のおじさんからは「せっかく一緒になったのだから子供じみたことを言うな」とたしなめられました。確かに今出て行っても未来に展望がひらけるわけではありません。実家も昔は人もうらやむ立派な建物でしたが、今では雨漏りがして、人も少なくなって屋上でミツバチを飼っているほどです。
でもこのまま居座れば、カネと権力に目がくらんだ信念のない女だ、と後ろ指をさされたまま生きていかねばなりません。私はいったいどうすればいいのでしょうか。 草々。
さっそく「あんさん、別れなはれ」と返事を書こうとしたところで、目が覚めた。確か差出人は「みずほ」としたためられていたようだが、おぼろな夢のため判然としない。ついでながら、口先だけ優しくて、決断できない男について行ってもこの先いいことは何一つありませんよ、福島さん。
産経抄 産経新聞 5/26
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge