よみがえる

数日前、テレビのニュースを見ていたら、旧国鉄中央線で廃線になった
愛岐トンネル群の保存再生プロジェクトが紹介されていて、このＧＷ中に限って
そのトンネル群と廃線跡が一般公開されるとのことでした。

ニュースでちらっと見ただけだったで、ＪＲ東海のサイトをチェックしても、それらしい
ことは何も出ていません。あれこれキーワードを考えて検索していて、やっと上記の
ＨＰを探し出すことができました。

ところが何と、今日が一般公開の最終日。
慌てて、出発地点のＪＲ中央線の定光寺駅へ出掛けました。

仮設受付で見学料（一人１００円）を払おうとして、ふと隣を見たら、

　「あれ、Ｏくん！」

　「あ、社長！」

わが社の加工グループのＯくんと奥さん。飲み会になると、いつもヘベレケになる
Ｏくんを迎えに奥さんが来るので、顔馴染みです。こんなサプライズでスタートです。




中央線のこのあたりは、もともと北側に迫っている山とすぐその脇を流れる庄内川に
挟まれたほんのわずかな隙間に現在の線路が通っていますが、廃線となったルートは
現在の線路よりさらに川より、つまりありえないような狭～い、狭～い間でした。

この廃線は、１９００年に開通し、１９６６年に複線電化に伴い新ルートに移行する
まで使用されていましたが、その後は私有地ということもあり、人が入ることなく、
長い眠りについたそうです。

しかしそれが逆に良かったんですね。廃線軌道跡には豊かな自然が回帰しました。




一方このトンネル群は、定光寺－多治見間約８kmに１３のトンネルが現存しています。
どれも赤レンガ製で、当時の土木技術の粋を集めて作られたものばかり。
興味深いのは、これらのトンネルが決して工学的だけで設計されている訳じゃないって
ことです。トンネルの入り口は、少しずつ設計が違うんです。それはトンネルの強度的な
構造設計の違いじゃなくって、設計者のデザイン性、工芸性の自己主張でもあるんで
すって。驚きました。
赤レンガ製のトンネルも、レンガ造りの建物同様、芸術作品ですね。
日本の近代化に向けての貴重な産業遺産と言われる所以です。




という訳で、ここは、日本最大級のトンネル群という産業遺産と豊かな自然が共生する
とてもユニークな一帯なんです。

　　　　　　　　

トンネルの中に入ると、ひんやりとした空気が流れています。


軌道跡だから、路面は線路上によくある角張った石で覆われていて、とても歩きにくい
のです。また４つのトンネルの中は、真っ暗で足元がほとんど見えません。懐中電灯を
持参している人もいます。

だから片道1.5kmの軌道跡ですが、往復するのに、おにぎりを食べたりもしたことも
あって、２時間掛かりました。

このトンネル群の保存再生は、ＮＰＯが担っていて、今日も大勢のボランティアの人
たちが、受付、案内に活躍していました。

この一帯は、わが社と同じ愛知県春日井市で、同じ市内にこんな価値ある産業遺産が
存在することに、一産業人として誇りを感じました。