王様気分

近世のヨーロッパの王室は斯くありなん。

各国の王室がパトロンとなって、自分がひいきの演奏家を応援し、仲間を
招いて、宮殿で音楽会を開く。サロンコンサートって言うそうです。

この夕べは、そんな王様気分を味あわせてもらいました。

ダイドーさんのロボット館の最上階にあるミニコンサートホールで、世界的な
ファゴット奏者エーデルマンさんとその奥さんでチェリスト ラストさんのお二人。
そのお二人の演奏を目の前で見て、聴ける。そんなプレミアムなサロンコンサート。

招かれたのはたった７名なんです。
そんな中に、まったくのクラシック門外漢である私と、私に毛が生えた程度のツノ坊。
場違いも場違い。大場違いです。
おまけに我々二人が真正面の席。
ただでさえ細い身を、さらに細く、小さくして、かしこまって聴きました。

だってファゴットっていう名前は聞いたことがあるものの、どんな楽器だかもよく
分かって程度の私ですから。


日本の童謡をアレンジしたメドレーの中の１曲『冬景色』。
一番と三番はチェロが主旋律を奏でて、ファゴットが伴奏でしたが、二番だけは
その逆で、これがすごく良かった。チェロが自由に泳いでいるような感じが
とてもステキでした。

また「史上最も金持ちの作曲家」メンデルスゾーンの『無言歌 作品109』という
そうですが、その前半部分の進行がスムーズで気持ち良く、心に響きました。




曲によっては、ピアノの水野佐紀さんも加わってトリオでの演奏もありました。


サロンコンサートの後は、エーデルマンさん、ラストさんも一緒の会食にも
お誘い頂きました。



これがまた楽しかった。
我々夫婦以外のご招待客はみなさん音楽にものすごく造詣が深いので、みなさんの
音楽談義にはまったく付いていけないんですが、それ以外の話題なら「任せなさい！」。

驚いたことに、ご夫妻は、天皇皇后両陛下の御前でも演奏したことがあるんです。
最初のきっかけは偶然だったんですが、その時の演奏を両陛下にとても気に入って
もらえたそうで、昨年の皇后様のお誕生日に皇后様のご自身のたってのリクエストがあり、
両陛下とご夫妻の４人だけのお誕生日会にお呼ばれされたそうです。
付き人も、役人も、政治家も一切無し。まったくの４人だけです！

そこで、皇后様がピアノを演奏し、ラストさんがチェロ。それを陛下とエーデルマン
さんが聞く。これぞ サロンコンサートの極みですね。

その時のいろんな裏話、秘話が最高でした。
ロイヤルファミリーのプライベートを垣間見た気分です。

ざっくばらんに、

「両陛下はどんな方でした？」

と質問したら、

「お二人とも本当に素晴らしい方です。
穏やかで、教養があり、親切」

として、コンサート時のあるエピソードを披露してくれました。

皇后様がピアノを演奏していて、楽譜のページめくりをしていた人が、間違って
一度に２枚譜面をめくってしまったそうです。

しかし皇后様は怒ることなど一切無く、穏やかに、ミスをした人を少しも責めること
なく、

「もう一度、最初から演奏し直しましょう」

すばらしいですね。

これ以外にも、いろんなロイヤルエピソードを聞くことができ、美味しい食事共々
耳も、お腹も、心も、目一杯満たされたひと夜でした。


普通ではとても体験できないような機会をいつも与えて下さる、山田社長ご夫妻、
本当にありがとうございました。

王様気分、最高でした！