くらぶとろぴか

きもちはいつもシパダンの海の中。シパダンとコタキナバル旅の備忘録、ときどき弾丸、そしてホームワークアウトおたく。

シパダン コーラル・ガーデン

2013-02-28 10:06:24 |  ダイビング
世界中のいろんな海に、「コーラル・ガーデン」というポイントがある。
シパダンにもある。
シパダンのコーラル・ガーデンは、バラクーダポイントのおとなり。
でも、セレベス・エクスプローラーは、勝手に、もひとつ先のホワイトチップ・アベニューと名前を入れ替えてしまった。
コーラル・ガーデンより、ホワイトチップ・アベニューの方がコーラルが栄えているから、そして、ホワイトチップ・アベニューより、コーラルガーデンの方がホワイトチップが多いから、という理由である。
確かに、今はそうかもしれないけれど、ずっと位置的にコーラルガーデンと呼ばれていたところをホワイトチップアベニューとは呼べない。
よだかの星で、よだかが鷹に市蔵と名乗れと言われたのと同じくらい、この改名には賛同できない。
他のダイブオペレーターは昔のままの名前で呼んでいるし、私も、昔のままの名前で呼び続けている。
だから、私がここでいうコーラル・ガーデンは、世間一般のコーラル・ガーデンであって、セレベス・エクスプローラーのやつらが勝手にそう呼んでいるコーラル・ガーデンではない。

コーラル・ガーデンと名のつくところはどこでもきれいなだけで、アドレナリンは出ない系。
シパダンのコーラル・ガーデンも、ご多聞にもれない。
前はギンガメもいたけれど、近年、ここでは見かけていない。
バラクーダは、BPほど人なれしていない一団がたまにやってくる。

ここでうれしかったのは、本当に石となっているStonefishくらい!?


ロウニンアジはけっこういるけれど…


あとは平凡。


まあ、マクロ。






あとは、その名の通り、さまざまなサンゴ。











こうしてエアダイビングをしていても、安全停止、サンゴ以外、あまりイメージが浮かばないコーラル・ガーデン。
過去のログを見ても、ここほど特別な出来事が起らなかった場所はない…
せいぜい、モブラ程度。
だから、きれいなんだけど、1週間のダイビングなら、1回でじゅうぶん。
そして、コーラル・ガーデンから、ホワイトチップ・アベニュー、ミッドリーフ、タートルパッチへと続くが、セレベス・エクスプローラーのざっくりブリーフィングでは、これらのポイントは「同じ壁」の一言で片づけられるほどだし。
だから、このひと続きの壁ばかりを選ばれると、さすがのシパダンとはいえ、ブーイング。
そうすると、トムやジェリーに、「だからリピーターはいやだ」と言われてしまう。
でも、過去、ほかのリゾートのダイブマスターたちが、「Next Diveはコーラル・ガーデン!」と特定してダイビングに行ったのは、全体の5パーセントていどにすぎない。
バラクーダ・ポイントで潜ると、だいたい潮はコーラル・ガーデンに向かうので、コーラル・ガーデンの入り口ではしょっちゅう潜ることになるからだと思う。
実際にサンゴがきれいなのは、この入り口よりちょっと先。
だから、ダイバーにあまり荒らされていないコーラル・ガーデンでのダイビングは、いつまでも美しいコーラル・ガーデンを保護するためにも、たまにだけにしませんか?なんて都合のよい考え。

バラクーダ・ポイント Not far away♪

2013-02-26 22:22:28 |  ダイビング
Barracuda Point's not far away♪
シパダンソングでは、いともあっさり。
でも、近いだけじゃないBarracuda Point=BP。
BPこそがベスト。
シパダンでだけじゃなく、「The World Best Dive Site」と言われていて、まさしくそのとーり!と思う。
少なくとも、私が今まで潜った海の中では、間違いなくBEST。
覚えている限りで、これまで潜ったことのある海は…
伊豆半島は、江の浦、網代、宇佐美、伊東、富戸、IOP、八幡野、赤沢、菖蒲沢、神子元、子浦、雲見、浮島、田子、土肥、大瀬崎。
伊豆七島は三宅島。
沖縄は、沖縄本島、伊江島、水納島、座間味、渡名喜、粟国、久米島、宮古島、西表島。
あと、国内では、本栖湖も…(なかったことにしたい)。
海外は、モルディブ、パラオ、シパダン、マブール、カパライ、コタキナバル、マンタナニ、ランカヤン、ラブアン、ラヤンラヤン、シミラン、コタオ、ヴィサヤ、ラパス、ボラボラ、ランギロア、マラブ、サンガラキ、バリ、スマトラ、アンダマン海。
1700本潜ったわりには、海のバリエーションはたいして多くない
数百本のダイビング仲間の方が、よほどいろんなところを潜り歩いている。
これはひとえに、シパダンが好きすぎて、他の海にはあまり目をむけなくなったからだ
ポジティブに考えれば、ダイビングスタイルがぶれてないっ!
ネガティブな事実は、財力がないだけ!?
そんな私がいちばん多く潜ったポイントはBP。
なのに、next diveはBPと言ってくれる限り、異存はない。

BPの何がそんなによいか?
それは、マクロからワイドまでなんでもありなこと。
ハンマーの群れに出会った回数トップはBP。
ニタリに会ったのもBP。
マンタなら、ここで何回も会った。
シパダンでは私がついに会えないジンベイも年一は出没するらしい。
BPのブリーフィングではよく「You'll be busy」と言われる。
前後左右、上から下から、さまざまな生き物が現れるから、ダイバーはきょろきょろ多忙。
エントリーすれば、ものすごい数のギンガメがぐるぐる。

もちろん、ロウニンもいる。

外洋側の水面には、クマザサハナムロ。


ギンガメばかりに気を取られていると、リーフエッジのコーラルの影にはハダカハオコゼゆらゆら。
ハンマー狙いで急速潜降したい気持ちをおさえてゆっくり潜降してゆけば、アケボノハゼは水深12メートルからつんつん。

アケボノ密度が高く、ときどきチビアケボノが大量発生。
おとなも団地をつくってる。


アオマスクだって負けちゃいない。


壁をみつめれば、ハナダイ鮮やか。






ナポレオンもすーっと通過したりする。


外洋側にはムレハタタテダイが群れ群れ。


イソマグロぶーん。


水が冷たくなれば、グレーリーフがズンズン。


タマカイぬぼー。

模様がきもこわいが、絶滅危惧種らしいから、ありがたくおがもう。

水深50メートルくらいとおぼしきところにギンガメの大群がたまっていることもある。
カイワリ軍団ぎらぎら。


見上げれば、ギンガメ雲。

ひかりものには事欠かない。

最初の10分でこれだけ見られる。
それにBPのスタート10分は、うまくすれば、ハンマーヘッドと出会うチャンス。
BPでのハンマーヘッド体験は、せいぜいMAX50匹。
それも、群れは40メートル++に出没することがほとんどだから、体によくない。
でも、とある4月のこと。
マクロポートかかえて水深24メートル、ここでは平凡なアケボノを撮っていたら、同じグループの他のダイバーたちは、はるか前方。
それでも懲りずにアケボノにはまっていたら、突然、背後に視線を感じ…
パッと振り向いたら、お子さまハンマーが二匹。
1メートルくらいの体にトンカチ頭、くりんくりんの目。
振り向いた私に驚いて固まるハンマーきっず。
予想外のハンマーこどもに固まる私。
が、つぎの瞬間、2匹ともパッと散った。
きっと近くに母親もいただろうし、私が気がつかなかかったら、食われたかも!?


さて、水深3メートルから垂直に落ちるカベはやがて、やや傾斜のあるカベになる。


このあたり、ときどきド派手なマンティスシュリンプが見え隠れ。


そのままWall沿いを流すか、リーフの内側に入るか。
だいたいは、ゆるゆると浮上して、リーフの内側に入る。
サウスポイントを除いて、シパダンの地形は、水深3~5メートルのリーフエッジから、ずどんと落ちる2段階イメージだが、ここは、水深10~20メートル前後が、谷めいた砂地になっていて、そこからまた深海へ落ちる3段階イメージ。
この2段階目にあたるリーフにあがると、ホワイトチップがそこらじゅうで休息中。


海底あるある。
チンアナゴ兄弟くねくね。




ニシキチンアナゴは少ない。


そして広々とした砂地。


ダイバーをガン見しているハゼたちがたくさんいるのに、ここのハゼーずはスルーされがち。
クビアカハゼ。


ヤノダテハゼかな?しっぽがみえない。


たぶんなんらかダテハゼ。


色はキレイなんだけど・・・見てもらえないトラギス。

ハワイトラギスっていうの?
ほかにも、この砂地には、ミヤコテグリやウミテングがもそもそしている。

ところで、だいたいこのあたりでバラクーダが登場する。

バラクーダは、リーフの内側にいることも、外洋側にいることもある。
川バラクーダ。

昇りバラクーダ。

バラクーダツリー。

いつもさまざまなフォーメーションを見せてくれる。

朝のうちは、Bumpheadsも。


砂地をはってゆくと、たるさんご庭園。

ここに到達する頃には、もう窒素を大量に摂取しているので、たるさんご庭園にはめったに来ず、だいたいはもっと浅い方を流す。

コーラルガーデンよりの外洋を流していると、マンタがやって来ることも…。

が、ときに強いダウンカレントで、「あーれー!?」となる日もある。

潮がドロップ・オフに向かっていて押し戻されると、ツバメウオに出くわす。

ときどき集団クリーニングで、みんなななめって黒っぽく変色して恍惚状態になっていることがあるが、きもい。

潮がコーラル・ガーデン方向で、リーフの内側を流してゆくと、大きなロックがある。
ロックの影にはハタが隠れていたり、スカシテンジクダイの群れがいる。
側面はシロガヤつんつくで要注意。
前は頂上がソフトコーラルふさふさだったのが、今は不毛。
この不毛になったロックは、マーケティング対象をアオウミガメに転換して、干潮時には、クリーニングで大繁盛。


ウメイロモドキもよく現れる。


中層には、ナポレオンがよく浮かんでいる。


潮が緩慢になると、コーラルガーデンに到着。


ハダカハオコゼいっぱい。


キンギョハナダイもいっぱい。


浅瀬はロウニンが走ったり、小魚の群れが美しく、じっくり見ていたいが、ゴマモンやキヘリが営巣中のことある危険地帯。

安全停止をするあたり、リーフのふちがぷちコーラルに飾られていて大好き。


水面にはイカ、イカ、イカ。



浮上。


かつて、「バラクーダ・ポイントにはもうバラクーダはいない」と言われていた。
でも、いまはまた、たくさん…。
バラクーダ不在の時代には、ハンマーヘッドの群れによく出くわした。
バラクーダが戻ってきたら、ハンマーに会わなくなった。
ハダカハオコゼの見つけ方の傾向と対策も、微妙に変わったりしている。
こんなふうに海の中は年月とともに変わってゆくけれど、私にとっては、BPがNo. 1であり続けている。
うーん、こうしてエアダイビングを展開したら、今すぐにでもBPに入りたい。
とうぶん無理そうだから、しばらくはむなしくエアダイビングだー。

まりん・らいふ・いん・しぱだん(9)トラフザメ

2013-02-19 09:27:43 | シパダン図鑑


ときどき出没するトラフザメ。
英名は、Leopard Shark。
黄色に点々模様がLeoardの由来なんだろうけれと、豹のようなシャープさ、しなやかさは感じられず、図体ばかりでかくて鈍い感じ。
セレベスのスタッフや、日本人は、「レオパードシャーク」と呼びがちだけれど、Leopardのoは発音しないもの。

世間ではそこそこ人気があるサメだけれど、私にとっては貧乏神。
経験上、シパダンでトラフザメが出るサイクルにあたると、他の出ものはイマイチ。
初日にトラフザメ見てしまうと、あ~、今回はハズレかなぁ?なんて。

まあ、温和なサメなので、生暖かい目で見守ることにしている。



シパダン ドロップオフ 世界最強ビーチダイブ

2013-02-14 12:37:38 |  ダイビング
毎年1~2月には、なんらか南の海へ潜りに行っているのに、今年は休みがとれずに寒い日本でくすぶる日々。
日々思うのは、海のこと。
ラジャアンパット、コスタリカ、ガラパゴス、サーディンラン。
まだ見ぬ海は数あれど、やはり海はシパダン。
まあ、いちばん実現可能だし。
花は桜木、海はシパダン。
だから、つらつらとシパダンのことを書いて、エアだいびんぐ。

シパダンでのダイビングは、いつだってドロップオフからだった。
だって、シパダン島のゲストは、シパダン島に着いたら、ここでもれなくオリエンテーションを受けるきまりだったから。
マブールなどから通う今となっては、そんな決まりごとはなく、ドロップオフにはじまり、ドロップオフで終わるパターンがなつかしい。

てけてけビーチからエントリー。
素足にあたるサンゴや貝のかけらに痛がりながら、ゆるゆる腰の高さあたりまで歩いたら、シューッと沈んで浅瀬を沖にむかって泳いでゆく。
やがて白砂がとぎれると、そこはもう、水深600メートルまで落ち込む、まさしくドロップオフ。
ビーチからJettyの先端までのわずかな距離で、劇的に変化。



はじめてこの底の見えないドロップオフに浮かぶ人となったとき、どこまでもこの深みにはまりこみそうな気がした。
下の方にどんなに目を凝らしても、ひたすら暗くて、ただただ静かな深海が佇んでいる。
中層は、東南アジア特有のグリーンがかった世界。
潜り込んでいた友だちも、イントラでさえも、最初はこわいと思ったというドロップオフ。
私も半ば儀式のように、「暗い!こわい!」とバディにクレームしてみた。
それを見て、オリエンテーションのダイブマスターは、「もんすた~! ご~すと!」とからかってくる。
ここまでの長い道中、とても大変だったのに、待っていたのは、こんな暗くて淀んだ海だったとは!
「あー、来るんじゃなかった…」と、ネガティブ全開。
それがちょっと泳いだだけで、「あしたから、早朝・サンセット・ナイト全部やらなきゃ!」とポジティブに豹変。
なんせ潜降以前のビーチから、南の海のスターたちが、走馬灯のよう現れるのだ。

トップバッターはオニカマス。
いつも白砂の上で、獰猛な顔に漂うズタボロ感。
Lonsome Georgeと名付けられていたが、ジョージは何代めだろう?


Jettyまわりには、オヤビッチャ。

Jettyの先端にはツバメウオの幼魚の群れ。


リーフエッジでは、いつもカスミアジが口をもごもごさせながらウロウロ。


これだけでも、他の海なら、タンクをカーンってとこだ。
最初の興奮は、ギンガメアジの群れ。
朝日を浴びるギンガメ。


真昼のギンガメ。


夕暮れのギンガメ。(NIKONOS Vで考えずに撮ったので、めちゃめちゃパララックス)

ナイト以外、いつだって君たちはここにいてくれた。

潜降すると、水深3メートルくらいにあるミニミニオーバーハングには、ヨーロピアンに人気のミノカサゴ。
彼らが喜ぶから、関心度の薄い日本人もおつきあい…


ナポレオン。


WALLには腔腸類がたくさんついていて、昼はなんだこりゃな管だが、夜は黄色いお花畑のようになる。
レンベみたいに、昼から頑張って咲いてくれたら素敵なのに・・・。


ついでに夜は、あちこちでエビの目が金色に光り、まさに夜は千の目を持つなイメージ。

さまざまなコーラル・・・。




さまざまな住人・・・。
たぶん、なんらかウミタケハゼ。


ガラスハゼ。


ヤマブキスズメダイ。


個人的にきもいと思う、ムチカラマツエビ。


なんとなく嫌いな大きなクラムもたくさんあり、近づくと、閉じるのが感じ悪い。


さらに深度をさげると、地形は荘厳でドラマチック。
何百万年も前の海底火山活動で形成されたんだそうだ。
WALLにはたるさんごもいっぱいくっついている。










WALLの数々のくぼみは、夜、ブダイの寝床となる。
カンムリブダイは、朝、おのおののくぼみから出て来て、リーフ上に集合して、島一周に出かけ、夕方はまた各々のくぼみに帰り、眠るのだ。


オーバーハングが多く、その砂地には、ホワイトチップが寝ていたりする。
もちろん、外洋をくねくね泳ぐホワイトチップもいる。


砂地には、さまざまなハゼ、ハゼ、ハゼ。
ヤマブキハゼ。


サンカクハゼ。


アカハチハゼ


ニチリンダテハゼ。


コーラルにはベニハゼ。


一度だけカニハゼもみた。
もちろん、アケボノもいっぱい。

アケボノは、スロープ状で砂のあるところなら、どこにだってつんつんしている。
超えてはいけないレジャーダイブの最大深度を超えれば、じゅうたんのようにいる。

ハゼではないが、アオマスクもいっぱいいる。


そしてWALL沿いは、さまざまなハナダイに彩られている。
ドロップオフは、ハナダイファミリーの多様さはシパダンNo1。
いつまでも見ていたいけれど、みんな行ってしまうので、無制限で好き勝手に潜れない今では、じっくり撮ってもいられない。
フタイロハナゴイ。


フチドリハナダイ。


アカボシハナダイ。


見下ろせば、底のない海。


あんまり得意でないベラもさまざま。
ベラはベラ、ラスで片付けてしまいたい。
トカラベラ。


クロヘリイトヒキベラ。


ラボックラス。派手すぎ。


そうこうするうちに、タートルカバーンにたどりつく。
マイケル・オゥの写真集「SIPADAN」では、「カメの墳」と翻訳されていた。
ユニークな翻訳センスだなぁ。
入り口には、カバーンダイビングの危険を警告する、DANGERサインボードがある。


今は、ほぼ朽ち果てて、判読不能な感じ。
94年9月に初めて潜ったときには、こんなもんはなかったが、 カバーンに無断で入っての死亡事故があとをたたなかったため、三度目に来たときには、この看板が設置されていた。
ボルネオ・ダイバーズをアピるロゴつきの、ピカピカの看板には、ドクロマークが燦然と輝き、事故後間もないだけに不気味だった。
陸上で、カバーンの真ん前にあたるのが、たまたまボルネオ・ダイバーズのシャレーのROOM13(カバーンに入るときは、エアをセーブするため、Jettyからは入らず、カバーンから最短距離となるよう、ボルネオ・ダイバーズのシャレーROOM13の前から入ることになっていた)で、ROOM13に泊まって、原因不明の頭痛に襲われる霊感強いゲストをいた。
鈍感な私は、なんでもないが…。
そんな暗い過去をもつカバーンだって、流線型からマクロまで、さまざまな生き物のシェルターになっている。
入り口には、ギンガメの小さな群れ。

こんなところにいないで、明るい浅瀬の仲間たちのところへ行けばいいのに、と思うが、きっとここがいいのだろう。

砂地には、だいたいいつも運動してなさそうなモヨウフグがすわっている。

ときどき出かけているようだが、かれこれ5年以上、ここに居座っている。
不健康そうに見えて、実は健康?
入り口前の小高いロックから、砂地のシロガヤがはえているあたりには、ニシキフウライウオがよくいる。




こうして、ちまちまいろんなものを見つつ、奥に行くと、だんだん目の前が真っ暗になってゆく。
ナイトでは、ここをFlash Light Fish=ヒカリキンメのイルミネーションショーが、今風に言えば、超ヤバいのだが、入島制限のせいでもう見られない。
ドロップオフでのナイトがあまりに素晴らしかったので、シパダンクローズを機に、ナイトは引退してしまった。




そのまま奥へすすんでゆくと、大きな壁に突き当たる。
この壁のむこうが、まさしく、カメの墳。
ロックの内側に入っても、目が慣れて落ち着いて目をこらせば、外の光が入ってくる。

ここで中性浮力がまずい人がいると、あとは縦穴のエアボケットに顔を出しておしまい。
エアボケットは、空気にどんなガスが含まれているかわからないから、レギュははずすな、とのこと。
みんな中世浮力をちゃんととれれば、複数の「間」に通してもらえる。
一度に、人ひとりしか通れない細いトンネルにも入る。

カバーンには、ドルフィンやマリーンの骨があるが、やらせだとの噂。
カメの骨は、もうほとんど砂に崩れかけているのの、まるで標本のように真っ白できれいな新しいもの、卵を持ったままの悲愴感倍増のものなど、そこらじゅうにある。
それだけ、ここに迷い込むカメはあとをたたないということだ。
「カメは生涯のおしまいにカバーンに入る」とロマンチックに語るむきもあるようだが、夕暮れどきに迷って入り、出口を見失い、酸欠というのが現実らしい。
真新しいカメの死骸があるときは、まわりの水が尋常でない淀み方をしているという。
そんなときはさっさと撤収し、器材洗いを入念にするんだとか。

こんなカバーンには、気心の知れた、信頼しているダイブマスターとしか潜りたくない。
ナイト同様、カバーンもシパダン島クローズを機に封印するつもりだった。
セレベス・エクスプローラには数年前まで、SKさんという、ツルのように痩せているのに裕福な、チャイニーズのおじさんイントラがパートタイムでいた。
このSKさんが、香港グループのリクエストで、ロックのむこうに進入したので、同じグループだった私は、はからずして、封印したカバーンに入ってしまった。まさにby accident!
ライトも持ってないのに…
人さまがライトをあてているところを写真にとったら、なさけないことに。


人のふんどしで相撲をとっちゃいけない、人のライトで写真をとっちゃいけない、ってことね。
でも、これが、私にとっては唯一のカバーン内フォト。
前はネクサスに2灯つけての重装備だったので、巻き上げたら不都合なカバーンに持って入る気合いは、私にはなかった。







カバーンを出ると、外洋には巨大なグルーパーがよくいる。
そのままバラクーダポイント側へ泳いでゆくと、入江状になっていて、ツバメウオやイエローフィンバラクーダが群れている。
西側にちょっとしたオーバーハングがあって、そこはカバーン続きのタートルトムにつながっている。
このオーバーハングには、オドリハゼの家がたくさなる。

ほかにも、ヒレフリサンカクハゼ、ヤマブキハゼがいっぱいいるけれど、ダイバーは、オドリにしか目をくれない。
ここまで来たら、バラクーダポイントももうすぐ。
ビーチエントリーなら、このあたりで引き返してJettyに戻らなくては。

ドリフトで、バラクーダポイントへの流れに乗ってゆくと、このへんから、垂直のWALLにはかわりないが、凹凸に乏しくなり、ちょっと退屈な感じ。
ツバメウオの群れがたちはだかったり・・・


カスミチョウチョウウオも登場。


徐々に浮上してゆくと、リーフエッジのキンギョハナダイの朱が、肉眼には本当に美しく映る。


スイートリップ、ヒメフエダイ、ヒメジなど、なんとなく注目度の低い平和そうなやつらが、あちこちにいる。




ナンヨウハギもいっぱい。
かわいいこどもちゃんも、


こどもちゃんのあとだと残念な感じの、おとなさんも。


サンゴのない不毛なところにはゼブラハゼ。


そして、ドロップオフのおわり、バラクーダポイントの入り口に到達すれば、ふたたびギンガメの群れ。
何万トン、いや、何十万トンいるのだろう?


ハダカハオコゼもいる。



たとえシパダンのベストはバラクーダポイントだとしても、たとえいつか死んでしまったら、バラクーダポイントとスタッグホーンクレストに分骨してほしいと言ったとしても(昔、ボルネオ・ダイバーズのカンティーンで、死んでしまった暁にはシパダンに散骨してもらいたいなぁ、という話をしたら、俺も、私も、てなことになり、みんなどこがいいかという希望を出し合ったら、バラクーダポイントが圧倒的であった)、ドロップオフこそが、The SIPADAN。
ドロップオフなんて、バディさえいれば、いつでも潜れるさー、と思っていたが、島スティができない今となってはかなわぬこと。
今日できることを明日に伸ばしてはいけない。
健康と同じで、失って初めてわかるもの…
そんな教訓すらはまってしまうドロップオフ。
ビーチエントリーで、癒しの白砂、サンゴにトロピカルフィッシュ、迫力の地形に、回遊魚、マクロ、穴と、レジャーダイビングの醍醐味が凝縮されている、類稀なポイントだと思う。

銀塩映写会(13)ヴァドゥ・ハウスリーフ マダラトビエイず

2013-02-08 09:26:42 |  水中写真
近年、モルディブに行くとすれば、クルーズばかり。
クルーズは、遠い海域までゆけたり、ビッグスポットだけを効率よく回れるので、ダイバーがダイビングを最大限に楽しむにはいちばん。
リゾートだと、ダイビングにゆける範囲は限られるけれど、リゾートならではのよさがある。
ドーニでポンポンポンポンとのんびり出かけてゆくのも、ダイビング後、のんびりくつろぐにしても、モルディブにいる感覚を味わえるとしたら、やはりリゾートスティ。
特にハウスリーフのよい海ならば、ハウスリーフに好きな時に潜れる。
クルーズではまず会えない白砂の浅瀬に漂うコバンアジにモルディブらしさを感じたり、浅場のギンガメにまみれたり、底をはいずってトールフィンゴビーをさがしたり。
潜れない最終日、夜のフライトまで狭い船上で途方に暮れることもない。

とある乾期の日のヴァドゥ。
帰る日に、ダイビングができないので、ビーチでごろごろしていると、沖の方から激しくパチャパチャ音がしてくる。
なんだなんだ?と起き上がって音の方を見ると、水面には黒いヒレが見え隠れ・・・
3点セットつけて泳いでゆくと、マダラトビエイの編隊が…
スキューバでなくたって、素潜りでも、外洋並みの光景に会えたりする。
最近のリゾートは、豪華すぎて敷居の高い感じがして、なかなか行けない。
だから次にモルディブにゆくとしたら、またクルーズにちがいない。




銀塩映写会(12)Coral Bleaching

2013-02-07 08:38:08 |  水中写真
1997年、インドネシアの森林火災による煙害=ヘイズが東南アジア全域に蔓延した。
森林火災は森の住人、オランウータンの命をおびやかし、都市部にいる人々の健康をも害した。
もとはインドネシアの焼畑農業から飛び火しての山火事。
陸続きのカリマンタンからボルネオにも、ヘイズはやってきた。
KKにいたら、晴れの日でもグレーの空で、キナバル山の稜線がまるで見えない日が続いた。
ホテルは宿泊客にマスクを配布していたし、KKの町ゆくローカルは皆、南国らしからぬマスク着用。
海上の視界も悪くて、ヘタレなボートマンの送迎にあたった人たちは、センポルナからシパダンまで漂流の憂き目に・・・
セレベス海を半日漂ったあげくにセンポルナに戻り、午後になって、山だてがしっかりできるボートマンと交代して島に着いたら午後5時だったとか。
もちろんシパダンも空はグレー。
そして、なんとなくきな臭い空気で、のどがイガイガ。
幸い、1週間ほどで風向きがかわり、サバ州を漂っていたヘイズは劇的に解消した。
マレー半島側は深刻なヘイズが続いていても、KKは青空。
よかったー、と思ったのもつかの間。
こんどは、この山火事が引き金となって起こったといわれるエルニーニョ現象で、98年には、水温が31度まであがった。
シーガルで潜っていても寒くならないし、時には、ラッシュとボードショーツで潜ったりもした。
ホンソメワケベラに傷口をクリーニングされて流血したのでやめたけど。
暖かい水中でダイバーの体は楽。
でも、水中の無脊椎生物に異変が。
28度を越えると、サンゴと共生している褐虫藻がサンゴやイソギンチャクを離れはじめ、30度ともなると、もう耐えられないらしい。
褐虫藻がサンゴやイソギンチャクの様々な色を出しているのだが、99年春、クマノミの棲むイソギンチャクは、不自然な蛍光ピンクと白に。


ハードコーラルも、だんだん白くなり・・・




そして夏には、ほとんど白。


もっと白くなり、


もう、真っ白白。


サンゴは1年で、石灰質の岩になってしまった。


なにしろ当時は、シパダンに年3~4回通っているクレージーぶりだったので、数か月ごとに島を訪れるたびに劣化する水中環境に、そのつど衝撃を受けた。
1999年、こうして美しかったシパダンのリーフトップは、白い荒野になってしまった。
シパダンだけではない。
世界中のほとんどの海のサンゴが白化してしまった。
発端は山火事、行き着いた先はサンゴの白化現象。
陸でやったことが、陸だけではなく、海にも大きなインパクトを与えたのを、1ダイバーとしてKKとシパダンを訪れただけで、その一部始終を目の当たりにしたわけだ。
ミレニアム、21世紀のはじまり数年間は、藻のはえたサンゴと白く朽ち果てたサンゴの死骸が水底を構成していた。
一説に何十年かかるかといわれた、サンゴの回復であるが、2004年の終わりから、徐々にサンゴが戻ってきて、今はまた、ピッキピキ。
でも、地球は温暖化しているので、予断は許さない。
私にできることは、節電くらいしかないけれど、われわれダイバーが、もう真っ白なイソギンチャクやサンゴ礁を見ることはありませんように。



銀塩映写会(11) コタキナバル サウスイースト

2013-02-06 16:59:16 |  水中写真
KKで潜ると、いつも目を引くのが、色鮮やかなキツネウオの仲間。
Princess Monocle Bream。


あとは、ダイブサイトもマイナーなら、水中の生き物もマイナーで、名前がよくわからない。
みんな、XXの仲間でくくってしまおう。
サウスイーストというポイントも、KK特有カラーの水底である。

トラギスの仲間。
トラギスって、目つきが嫌い。


イソハゼの仲間?


モヨウフグの仲間


カエルウオの仲間


イシモチの仲間





あとは、ウミウシの仲間たち。
私はウミウシはいれば撮る程度で、ぬーでぃぶらんちでいーじゃん、と思っているが、iPhoneアプリとウミウシ図鑑.comでしらべてみた。
でも、間違ってるかも。

Phyllidiella nigra、よく見かけるわりには、和名がないんだそーだ。


タテヒダイボウミウシとか


フリエリイボウミウシとか


ソライロイボウミウシとか


シライトウミウシとか


図鑑でみつからなかったウミウシとか、


フジムスメウミウシとか


オトヒメウミウシとか。


触角のあるウミウシは、表情豊か。
地味なKKダイブ、ウミウシは豊富かも。


銀塩映写会(9) コタキナバル マムティック ピラミッド

2013-02-04 13:20:46 |  水中写真
ピラミッドというダイビングサイト。
にごっているので、何がどうしてピラミッドなのかはわからない。

ここのカクレクマノミはかくれない?


105ミリだと、画角いっぱいいっぱい。




外人のよくやる、背景を黒く落とした写真にしたら、なんか怪談中みたいなことに。


ウミウシは、イボ系。




ミノカサゴや、


ちゃんと写ってない各種クリーニングシュリンプ。






オランウータンクラブも。


見どころ、少ないかも…。
でも、KKのダイビングは、あまりにも安かったので(今はどうか知らない)、たいして不満にも思わなかった。





銀塩映写会(8)コタキナバル スルグ

2013-02-01 13:30:35 |  水中写真
マムディックの隣に浮かぶ、小さなスルグ島。
ローカルの発音は、スルと聞こえる。

KKまわりでは、ここがいちばんおもしろい。
講習・体験ダイビングが多いKKだけに、めずらしくファンダイビングするメンバーがそろった時にくらいしか行けなかった。

もちろん、マクロ。

カエルウオ。


ゴーストパイプフィッシュ。


イシモチのたぐい?


イボウミウシ。


各種エビ
ぜんぜんとれてないオトヒメエビ。


スザクサクラエビ。
見てるとムズムズするけど、暗闇に真紅のボディと青い眼が素敵。
これもぜんぜんとれてないけれど、背後にも金に光る眼が。


カクレエビペア。


KKの空港から、ホテルの上層階から、すぐそこに見える海の中には、こんな小さな住人たちが暮らしているのだ。