くらぶとろぴか

きもちはいつもシパダンの海の中。シパダンとコタキナバル旅の備忘録、ときどき弾丸、そしてホームワークアウトおたく。

ガレ場のいやし

2011-12-21 22:11:24 | ボルネオ
真っ黒で地味だけど、見つめていたい。
動きが早くて、ゆっくり見られないけれど、ずっと見ていたい。



シパダンの南側は、ピッキピキのサンゴ畑の中、ところどころにガレ場がある。
みんなスルーしがちだろうけど、そこにはけなげに暮らす、黒いカエルウオがいっぱい。

シパダン初心者の頃、あまりにギンガメとバラクーダの群れに夢中になり、バファローだ、ハンマーだと興奮し、別のボートがジンベエを見たことに打ちひしがれながら図鑑を見ていたら、そのときの担当だった若者DMに、「You only like big fishes!」と挑発された。パラオや沖縄は、マクロに造詣深いイントラのいるショップを厳選して潜ってるんだから、そんなことはない。もちろん、当時、まだ見たことのないジンベイの方が、小物よりはるかに魅力的だったが。「マクロも好きだよ」ムキーっ、と答えると、ここぞとばかりに図鑑を取り上げられ、「I like this fish, very handsome」と開いたページはカエルウオ。

そんな会話はすっかり忘れていた翌日のダイビング、DMが手招きをしているので、どんなレアものかと思って寄ってみると、指さす先は、朽ちたサンゴが堆積するガレ場。
私には、たいしたサカナは見えてこない。
明らかに「?」な私に、DMは同じ目の高さで見るようにサイン。
根気よく指差してくれる先を凝視していると、黒い子たちがひょこひょこ。
藻をつついたり、消えたと思ったら、また次のが出てきたり。
シャイ、というよりは、警戒心が強いんだろうけど、ときどき朽ちたサンゴの上でじっとこちらを見てたりすると萌えである。
見方のコツを覚えると、いくらでも見つけられるが、教えてもらわなかったら、たまたま視界を横切りでもしてくれない限り、気がつかなかっただろう。
決してレアものではなく、個人の好みを紹介してもらっただけなのだが、とぅりまかしばにゃーなのだ。
あれから幾星霜ってやつだけど、今も、ガレ場にこいつらを見つけると、ほっとする。

イシガキカエルウオのような愛くるしさはない。
フタイロカエルウオなんかとはちがって、色は地味なこげ茶~黒。
姿もぶとっとしているが、黒ラブ的愛嬌がある。
遠巻きには、どう見てもインドカエルウオ。
たぶんインドカエルウオなんだと思う。
でも、ここのはアイリングがゴールドだ。

皆さんも、是非、シパダンはガレ場も、凝視願います!



ちょうちょううお~ずin Sipadan

2011-12-08 12:31:27 |  ダイビング
チョウチョウウオがいても、いつもは気にもとめない。
でも、今回は、なぜかチョウチョウウオの神が降臨。
いったい、シパダンウィーク1週間で、どれだけの種類のチョウチョウウオが見られるのか追求してみた。

はじめは、チョウチョウウオ属、学名Chaetodonの子たちから。

フウライチョウチョウウオ Chaetodon vagabundus

英名は、The Vagabond Butterflyfish。
英名も和名も、学名のラテン語、vagabundusがそのまま訳されたものになっている。
名前のとおり、バガボンドなチョウチョウウオらしい。

トゲチョウチョウウオ Chaetodon auriga

英名はThe Thredfin Butterflyfishで、背びれが糸のように細長くなっていることを表現。
トゲは、私にとって、名まえと顔が一致している数少ないチョウチョウウオ属の一種。
学名のラテン語aurigaは「御者」の意味で、そのまま英語にもなっていて、英語では、星座の「ぎょしゃ座」。
Wikipediaでぎょしゃ座を調べると、輪郭がそれっぽいのかな。
英名と和名の意味はいっしょ。
フウライ、トゲ、フウライと並んで写っているが、どちらも気が強いらしい。

ミゾレチョウチョウウオ Chaetodon kleinii

英名は、The Sunburst Butterflyfish、強いひざしの意味をもつ。
和名の、雪でも雨でもない中途半端なミゾレにたいして、英名は、太陽、それも雲間から急にかっと照る太陽。
イメージのとらえ方に、すごいギャップ。
英名では、Black-lipped Butterflyfish、Klein's Butterflyfishともいうらしい。
クチグロがいちばんイメージにあっているのに。

ハナグロチョウチョウウオ Chaetodon ornatissimus

英名はThe Ornate Butterflyfish。

黒い鼻がはずかしいのか、こっちを向いてくれないっ!
日本語だとハナグロ、英語だと、絢爛豪華なとか、どぎつく飾り立てたって意味なのに、超ギャップ。
学名はornatissimusで、ラテン語で、「最も飾り立てた」って意味だそうだ。

ヤリカタギ Chaetodon trifasciatus

英名は The Chevron Butterflyfish、シェブロン柄にちなんで。
他に、Triangulate Butterflyfishとも、V-lined Butterflyfishとも呼ばれるらしい。
和名は、図鑑には、名まえの由来が出ていない。
漢字では「槍担」と書くそうで、背びれを槍をかついでる姿に見立てたとか。

ミカドチョウチョウウオ Chaetodon baronessa

英名はThe Triangular Butterflyfish。
「なぜに帝?」と思ったら、帝蝶々魚ではなく、英名と一緒で、三角と書いてミカドらしい。
これは模様が三角ではなく、体全体が三角形に近いことからの名前らしい。
学名のBaronessaは、男爵夫人?

トノサマダイ Chaetodon speculum

英名はThe Mirror Butterflyfish。
鏡も殿様も、理解しかねる。
学名のspeculumを英名はそのまま訳したものらしい。
「日本の海水魚」によれば、学名は、ラテン語で鮮やかな点らしいが、大きな黒点にしか見えない。
英名では、Oval Spot Butterflyfishとも呼ばれ、これがいちばんあってそう。
孤高な性質らしい。

ミスジチョウチョウウオ Chaetodon trifasciatus

英名は、The Melon Butterflyfish。
学名のtrifasciatusがthree bandedを意味するそうで、だから三筋なのね。
確かに、見ようによっては、帯3本あるもんなあ。
でも、英名のメロンはわかりかねる。
メロンというと、ついついマスクメロンが思い浮かぶが、ほかのウリとも似ているとは思えない・・・。

スダレチョウチョウウオ Chaetodon ulietensis

英名は、Double-saddle Butterflyfish。これには納得。
英語では、他にFalse Furcula Butterflyfishともいう呼び名もある。
False Furculaを直訳すると、ニセ鎖骨???
Falcula Butterflyfishというインド洋のチョウチョウウオに似ているのでニセにされてしまっている。
ひどい話だ。
でも、簾に見えるかなぁ?

オウギチョウチョウウオ Chaetodon meyeri

英名は、Scrawled butterflyfish。
ふだん、スクロール、スクロールと言うけれど。
なぐり書き、走り書き、そんな感じ。
和名の扇に見えるような見えないような。

セグロチョウチョウウオ Chaetodon ephippium

英名はThe Saddled Butterflyfish。
学名のephippiumも、サドルの意味。
背黒蝶々魚。
和名、英名、学名とも、数少ない、納得のネーミング。
おとなしい子たちらしい。

クラカケチョウチョウウオ Chaetodon adiergastos

英名はThe Philippine Butterflyfish。Eye-patch butterflyfishとも呼ばれる。
英名はPanda Butterflyfishにすればよいのに、と思ったら、図鑑には記載はないが、実際、そうとも呼ばれるらしい。
パンダ顔は、きわめて臆病だそうだ。そっとしておいてあげよう。
鞍掛蝶々魚、といっても、あまりに大熊猫っぽくて、どこを鞍に見立てたらよいのやら。

チョウハン Chaetodon lunula

英名はThe Raccoon butterflyfis、確かにアライグマっぽい。
crescent-masked butterflyfish、lunule butterflyfishという別名もある。
三日月、爪半月・・・顔の模様を、無理してそう表現できなくもないけれど、やっぱりアライグマ!
和名は「長範」と書くそうで、熊坂長範という平安時代の伝説上の大盗賊の、長範頭巾に見立てたんだそうだ。
このサカナの黒い部分を、ドロボーが巻く頭巾に見立てるとは。
チョウハンとハタタテダイのペア。

チョウハンは、ミノカサゴとカワハギ系以外には、やさしいらしい。

ハタタテダイが出たところで、チョウチョウ属は終了。
では、ハタタテダイ属 Heniochus。

ハタタテダイ Heniochus acuminatus
英名はThe pennant coralfish。
他に、Longfin Banner Fish、Coachmanなんてのもある。
アクアリストたちの間では、Poor Man's Moorish Idolともいうらしい。
なんだかなぁ・・・。
Moorish Idolはツノダシのことで、ツノダシは、飼育がとても難しいらしいが、似たイメージのハタタテダイは、飼育が簡単だからだそうだ。で、なんでPoor Man'sになるの?

「旗立鯛」というネーミングが納得の、たなびく旗。

ムレハタタテダイ Heniochus diphreutes

英名は、The schooling bannerfish。
ムレハタタテダイの方が、ハタタテダイより目が大きく、鼻面が短いらしい。
群旗立鯛。旗立鯛も群れるのにね。

ミナミハタタテダイ Heniochus chrysostomus

英名は、The Threeband Penant fish。
和名の漢字は、南旗立鯛でいいのかな?
3本の黒い帯を、和名も英名も言っているので、まさか三並旗立鯛だったりして。
学名のchrysostomusは、「黄金色の口」を意味するそうだ。


続いて、フエヤッコダイ属 Forcipiger。
といっても、1種類だけど。

フエヤッコダイ Forcipiger flavissimus

英名は、The Yellow Longnose Butterflyfishで、まさにその通り。
さすがに、この子たちも、古くから知っている。
学名のflavissimusは、flavが黄色、issimusが最上級を意味するラテン語。
これも、和名、英名とも、名まえがイメージにあってる。


ラストは、カスミチョウチョウウオ属 Hemitaurichthys。
これも1種類。

カスミチョウチョウウオ Hemitaurichthys polylepis

英名のThe Pyramid Butterflyfishは、体の白い部分がピラミッド型に見えるから。
和名の霞蝶々魚は、水中が霞むほどの群れを作るかららしい。
学名のpolylepisは、polyは多い、lepisはウロコで、ウロコが多いんだって。
学名がいちばんシュールだね。


以上、1週間で「あ!チョウチョウウオ!」とわかった子たち。
手持ちの図鑑数冊とWikipediaとFish Baseを活用して調べて、名まえをつける人たちの想像力とか、思いもよらぬ固有名詞を持ってくる博識ぶりに驚愕。
でも、たったこれだけのチョウチョウウオチェックでも私は疲労困憊。
チョウチョウウオにたいするうんちくがちょっとだけ深まったが、いったい、次に、何種類覚えているだろう?
きっとシパダンには、さらにいろいろなチョウチョウウオがいるにちがいない。
気が向いたら、また、探してみよう。


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2012年ゴールデンウィークに、あらたに確認したチョウチョウウオーズ。

イッテンチョウチョウウオ Chaetodon unimaculatus

和名どおり、たしかに一点蝶々魚。
英名では、Teardrop butterflyfish。この一点が涙に見えるということらしい。
穏やかで、シャイな子たちらしい。
ミゾレチョウチョウウオの遠縁だとか。


シマハタタテダイ Heniochus singular

英名は、Singular banner fish。
ずっとずっとオニハタタテダイだと思っていた。
シマハタタテダイって、実は、知らなかった。
口のまわりの白い輪、眼の周りの黒帯が一周しているのが特徴らしい。


ツノハタタテダイ Heniochus varius

写真は、ミナミ、ミナミ、ツノ。
角旗立鯛。これも、ルックスどおりのお名前。
英名は、Horned pennant butterflyfishとツノだったり、Humphead banner fishとコブだったり、Brown Butterflyfishと色だったり。


浅瀬のサンゴがキレイなところで、その姿を見れば思い出す、程度のチョウチョウウオファミリーなので、あんまり見つけられなかった。
でもまた、次のシパダンでも、思い出したら探すぞ~!

9月、シパダン、セレベス・エクスプローラー(11) 9月25日(日)かえり

2011-12-05 22:10:42 | ボルネオ
タワウでの半日
夜中から、ひたすらのどが痛い。
切れそうに痛い。
友だちも夕べ寝る前から、ノド痛を訴えはじめ、ひと足早く下船したもうひとりも、ノド痛を連発していた。
これはもう明らかに、はやりやまい。
今思えば、C/Eのスタッフたちも、なんらか病みってた。
カラテカみたいなボートマン→ジェリー→エリエルの順に体調不良を訴え、クスリを飲んでいた。
みんな2日程度で回復したようだけれど、きっとC/Eには、風邪菌が蔓延していたにちがいない。
それに、キャビンの空気もやばいと思う。
だいたいエアコンのフィルターなんて、まず洗わないだろうし、カビ菌やらハウスダストだらけなんだろうな。

ノド以外は正常なので、午前7時半頃には起き上がった。
窓からは遠くに海が見える。

ホテルのななめ前にあるキリスト教教会には、日曜で礼拝に出入りする人がいっぱいみえた。
正しい日曜日のあり方だなぁ。

特に眺めがよいわけではないが、ほっとする景色だ。

さて、のどが痛かろうが、まずは朝食。
ホテル隣接のショッピングモール、イースタン・プラザに入ると、薄暗くて人気もない。
午前8時半じゃ、まだほとんどの店が開店前だ。
でも、地下のフードコートの一角だけは、しっかり営業中。
3.5リンギットの北京ダックや、

クエ(マレーシアのお菓子)に心ひかれながらも…

結局、麺の店で汁麺朝食にした。

飲み物は、もちろんテタレ。
フードコートのテタレでも、お姉さんが左右にジャーを持って、けっこう何十回もけだるそうにtarik。
(tarik=タリッ、マレー語で引っ張ること)
あわあわで甘々な、濃いリプトンと練乳がたまらない。
一方、麺には、野菜とシーフードがバランスよく入っており、細麺だけど、なかなか美味。

2人前で、テタレが4.5リンギット、麺が11リンギット、ひとり200円くらいで満足度の高い朝食。

9:30に、フードコート横のスーパー、サーヴェィがオープンしたので、サバティーやお菓子を買う。
スーパーを出た頃には、他のテナントも開き始めた。
一応、各フロアまわったが、ひやかす気が起きる店がない。
いちおう「Eastern Plaza Shopping Complex」という名まえなのだが、名まえ負けもいいところ。
さっさと部屋に戻り、95パーセント乾いた器材をパッキング。
そして小一時間、台湾のMTVで、わざとダサさを強調した衣装とメガネの男性歌手特集を視聴。

早めにチェックアウトして、べルボーイに荷物を預け、買い物とランチのために町へ出ることにした。
スーパーならジャイアントに行きたいが場所を知らず、サーヴェイは、さっき隣のイースタン・プラザ店に行ったから、私にとってはいちばんプライオリティの低いミレメワで妥協である。
町に出るために、隣のイースタン・プラザ前のタクシー乗り場にゆくが、タクシーはいなかった。
ホテル前に戻り、横断歩道のない車道をわたって、キリスト教教会の前で客待ち中のタクシーに乗り込んだが、そのタクシーにエアコンはなく、とても暑かった。
タワウのモスクはサバ州最大だと、夕べのタクシードライバーが言っていたが、サバ州にはクリスチャンが多いので、キリスト教教会も多い。オーシャン・エリア・シーフードレストランの近くには、モダンな教会、プロムネード・ホテルの前には、マレーシアらしい建築の教会、スーパーに行くまでの、わずか数分の間にも小さな教会がある。その小さな教会の敷地やら私有地にまで乗り入れてまでショートカットするタクシー。自由だなぁ。
ミレメワに着くと、またまた食料品を買いあさり、1リンギットのミレメワエコバッグも買った。
品物はその中に入れてくれるのかな、と思ったら、エコバッグごとプラスチックバッグに突っ込まれる。
それを私は特に止めることもなく、意味ない買い物に。

ミレメワからプラスチックバッグをしゃらしゃらひっさげて、きょうもオーシャン・エリア・シーフードレストランにゆく。
途中、ケーキ屋さんの横を通ったら、並ぶケーキに「かわうい~ね」と、ついついパチリ。

レストランに着くと、夕べの準備風景でわかっていたとおり、きょうは披露宴の看板が出ている。
店の中を覗くと、宴は夜らしく、まだウェイトレスたちが、会場設営作業をしていて準備中。
円卓にだらりんとすわったローカルのウェイターが、私たちを見て、クビを横にふるので、あきらめてその場を去りかけた。
数歩すすんだところで、背後のドアが突然開き、さっきのウェイターに「こちらへどうぞ」と、準備中の間が大宴会場なら、小宴会場にあたる方に通された。
きっと雇用者側チャイニーズが、指示したに違いなく、きょうもメガネの年配の店主と、家族で経営に携わってるっぽい女性が、かんじんなオーダーはとりにくる。
またお茶選びからだが、ウェイトレスに「どれがおすすめ?」とたずねると、夕べのウェイトレスは違う茶葉。
すすめられるままに、おすすめ茶葉にしてもらう。
きょうもサユルマニス。しばらく食べられないだろうな。

KKで食べられなかったレモンチキン。

KKの發記のレモンチキンよりも、カリッとしている。
食感はこちらがよく、ソースは發記の方が好きかも。
でも、おいしい。
ミバサシーフード。

KKではコンローミーばっかり食べてて、やっとミバサにありつけた。
私はやっぱり、ミバサの方が好きだ。
ところできょうは珍しいことに、Tigerをオーダーしていない。
ノドは朝起きぬけが最悪なもので、だいぶ痛みはひいているが、体がBEERを欲しないのだ。
でも、食欲はしっかりで、友だちが、ココナッツプリンは、ひとりひとつでもいけるというので、じゃあ、と。
どーんとホールココナッツをひとりじめするのは、どや顔を禁じえない爽快さである。

5人分はとれるのに・・・。

難なく完食。

きょうも苦しくなるほど食べたが、52リンギット。
さよならオーシャン・エリア・シーフードレストラン。
今回も、おいしかったよ。
願わくば、また数ヶ月以内に戻って来たい。


KKへのフライトの時間がせまっているので、ゆっくりはしていられない。
タクシースポットに向かって歩く途中、ちょうど空車がやってきたので、止めようと思ったら、私たちより前を歩いていた人が、あっさりつかまえてしまった。
ドライバーがたむろっている街路樹のところまで3分ほど歩き、「てくし?」「やー!」で無事乗車。
プロムネードに寄ってもらい、荷物をピックアップして、そのままタワウ空港へゆくことにした。
いつも町のホテルから空港まで40リンギットなので、町からホテル経由で空港でも、あわくば40で!と思ったが、市内の近距離の料金10+町から空港までの40の、しっかり別計算で50リンギットかかった。
こうして、あわただしくタワウでの約18時間が過ぎていった。


KKでの8時間40分
タワウ→KKは、いつものMH2134便で、タワウ14:40発KK15:30着。
そして、KKからは、OZ(アシアナ航空)でインチョン乗り継ぎをする。
KKからは、OZ758という便で、こよみがあしたに変わってすぐの0:10発。
MHの羽田ゆき直行便が、日曜日あってくれさえすればと思うと、本当に残念だ。
いや、残念というか、MHの本社の運航計画担当や、マーケティング担当、考えろ。
月曜日のMH直行便にしようかな、とも思ったが、まるっと1日の年休が惜しい。
MHのKL乗り継ぎで帰ると、成田着だし、会社にも数十分、遅刻してしまうだろう。
シンガポール乗り継ぎは、羽田に帰れるが、KKからシンガポールゆきのフライトの発時間がちょうど昼頃。
香港乗り継ぎも、ちょうど昼頃の出発。
これだと、せっかくのシパダン・ウィークなのに、土曜日に潜れないし、KKも楽しめない。
OZなら、KKでのトランジットが8時間40分もあって、KKに少しでも長くいたい私には、むしろ好都合。
それに、OZなら、日本のさまざまな空港に乗り継げる。
ただ、残念ながら、羽田便への乗り継ぎは悪く、早く帰りたければ成田に帰るしかない。
どうせ成田に着いて遅刻なら、MHで地味に遅刻するのではなく、OZで派手に遅刻して半休のふりをしよう。
東京、名古屋、福岡と、みんな別の空港発着なので、行程のあわせやすさもあって、OZにした。
でも、名古屋の友だちは、OZがとれず、香港乗り継ぎになり、帰国も1日早くなってしまった。

OZで唯一不都合なことは、タワウで、MHから荷物のスルーチェックができないこと。
タワウのMH的には、他社への乗り継ぎで、日付けがかわるとダメという規定なんだそうだ。
今回もチェックインカウンターで、ダメもとで「日付が変わるたって、10分だけじゃないっすか!そこをなんとか。」と言ってみたが、ダメなものはダメである。

わかってはいたことだが、KKまでしかタッグがつかないことに、チェッ、と思いながら、1階の雑貨店で、カゼ薬を探す。
でも、あるのは胃痛や頭痛薬ばかり。
店員に「カゼでノドが痛い」と言ったら、「Dequadin Lozeng」というトローチをすすめられた。
グラクソ系の薬なので、あやしくはなく、Berprisa Sitrus=柑橘風味なのだが、おいしくはない。
私がかぜをひくとすれば、いつも、ベンザブロックでいう「のど系」タイプなので、長期間KKにいた頃などには、よく買ったことがあるやつだ。
劇的に効くわけでもないが、まったく効かないわけでもない。
こっちで具合の悪いときは、薬よりも、バクテスープやクダイ・コピで、生のレモンとグラニュー糖をホットウォーターで割ったやつなんかを飲むと、めきめきと回復するし、気温が高いからたいして悪化せずにすみ、この程度で十分ではある。
発熱の自覚症状はないけれど、これから、エアコンで寒いフライトと、涼しくなっているであろう日本に着いたとたんに悪化することが予想されるので、ノド専用ではなく総合かぜ薬的なものがほしかった。

そして、ダイバー御用達のTシャツ&バティークショップには見向きもせず、さっさと2階にあがり、セキュリティチェックをクリアし、トイレに寄っておく。
毎回、空港税返せと叫びたいタワウのトイレ。
臭い・水浸し・流れない・トイレットペーパーがないことが多い等、不快指数が超高い。
さらにきょうは、洗面の下に巨大ゴキブリがいて絶叫。
臭い・汚い・暗くはないけどこわい(ゴキブリが)、まさに3K!
どっと疲れてゲートへ向かうと、KKゆきの搭乗ゲートは大混雑で、ベンチに空きはない。
昼にビールのビの字も出なかったほど、弱りはじめている私たちは、どうしても座りたかった。
隣のゲートはクローズされていたが、職員に、あっちのベンチに行ってよいかたずねたら、「入ってよし」と言われ、人ごみとは離れたベンチで便を待つ。
搭乗開始になって、ゲートにゆくと、行列の最後尾ははるか彼方。
列が切れるまで待って最後に乗るか、後ろまで歩くか?
ふだんならどうってことない距離だが、もう立っているのも、短距離移動もしんどい。
そんなところに、夕べ、オーシャンエリア・シーフードレストランで、私たちをホテルまで送るとオファーしてくれたチャイニーズにばったり再会。
彼は、笑顔で横入りさせてくれようとするので、きょうも丁重に辞退しとく。
でも、強くすすめられ、ご好意に甘えて、ついついズルをする。
ありがとう。

離陸すると、曇っているのと、若木が多くて地面が目立って茶色っぽく、ボルネオ・グリーンもどんより。
そういえば、伐採後のはげはげ椰子の木農園が多かったな。




そして、あっという間にKKに着いた。




ターンテーブルで荷物をピックアップし、さて、どうしたものか!?
KKIAで荷物を預けても、21時までしか預かってもらえない。
OZのチェックインは、21時40分からで、荷物のためにKKIAに40分早く来るのももったいない。
荷物を持って、スパの4時間半コースという手もあるが、この体調不良は、スパで回復というよりも、寒さにやられそう。
どこか安ホテルをとって休むってのもありかも。
でも、せっかくKKにいて、ホテルで寝てるのももったいない。
ふと、タワウでプロムネードに泊まったから、KKのプロムネードで荷物を預かってもらおうというアイデアが浮かんだ。

プロムネードに乗りつけると、ベルボーイたちは優しかった。
「タワウのプロムネードをさっきチェックアウトして、きょうここに泊まるわけじゃないんだけど、カフェで時間つぶしたいので、荷物預かってくれない?」とたのむと、快く預かってくれた。ほっ。
さすがに、カフェにお金を落とすことをアピールした手前、さっさとホテルを去るのも気が引けて、あんまり乗り気でもないが、さっそくカフェに入る。
ここでもBEER気分にはなれず、かと言って、甘い冷たいものでもなく、いちばんリーズナブルなコーヒーにした。
しんどさはピークに達し、無口になっているところに、隣のテーブルには、キナバル山を下山したばかりの日本人グループがやって来た。
登山後なのに元気いっぱいなのがうらやましい。
コーヒーも飲み干し、日も西に傾き始めたので、意を決してカフェを出ることにした。
TAXとサービスチャージを入れて、ふたりで31.30リンギット、813円くらい。
KKにしては高いコーヒーである。

プロムネードを出たら、がんばってサンセットをみにゆく。
ハイアット前まで、けだるく歩いてゆくと、けっこういい感じのサンセット。
ローカルに混じって、南シナ海のサンセットを堪能。






でも、体が楽じゃない。
楽じゃないのでバクテにゆくことにした。
發記で中華か、スリメラカでマレー料理と思っていたのに、がっつり系は無理と判断。
バクテスープなら、具が食べられなくても、スープは入るにちがいない。
きょうのこのパープル具合は素敵なのに、テンションは低い。




少しでも近い店で、少しでも早くすわりたかったので、本日のバクテは新記にした。

店は混んでいて、店内に一カ所だけあいているテーブルに案内されるが、とても暑い。
暑さでさらに弱りそうなので、「暑いから、待っても歩道に出ているテーブルがいい」と告げると、「こっちも同じ」と、別の看板が出ている隣の店の軒下に連れていかれ。
新記のバクテを食べさせてくれるの?と思うが、お茶でもなんでも、隣からじゃんじゃん持ってくる。
グツグツとバクテが出てきて、うー、食欲ねぇー、と思いながらも、ひと口食べると、以外にはいる。


肉もぜんぜんいける。
熱さとハーブ効果で、血行がよくなり、ふたりともみるみる元気に。
バクテすごい!
こんな大なべに大量のスープ。


さらに火を通して、ぐつぐつしているのを見るだけでも、パワーがわいてくる。

コラーゲン効果に薬膳効果、すばらしい食べ物だ。

バクテですっかり元気を取り戻し、ついに、「今から飲みにゆこうか?」となった。
町の中心に向かって、りっくりっくと歩いていくと、まだミレメワが開いている時間だった。
「寄っとく?」と、ついついミレメワに入り、またまたおみやげを追加購入。
センポルナ、タワウ、KKと、ミレメワ3都市制覇。
ミレメワは、他のスーパーより陳列が雑だし、一番行きたくないスーパーなのに、今回はごひいき状態。
けっこう時間をかけてミレメワで買い物をしていたら、またダルくなってきた。
エアコンで冷えたっぽい。
「もう、きょうはアルコールは無理だね。ワリサンのスタバででも休む?」という話になった。
別にコーヒーが飲みたいわけではないが、楽に座っていられるところは、そのくらいしか思いつかない。
ただ、スタバに行く前に、スタバよりきれいなトイレのあるメリディアンに寄ることにした。

夜のメリディアンは、ロビーやトイレまで、オイルやキャンドルでアロマっていた。
トイレから出ると、ちょうど都合よくソファがあいたので、アロマランプのもと放心状態。
スタバのことなどすっかり忘れて。
こんな不毛なトランジットにするはずじゃなかったのに。
ハッピーアワーで明るいうちから飲みはじめ、早めのディナー、そのあとまだ飲んで、サパーまでして、思い残すことなくソウルゆきのフライトにのぞむつもりだったのに、計算外だ。
こうして、不完全燃焼のまま、KKを去るときが来た。

21時すぎに、プロムネードに戻り、荷物をピックアップして、KKIAへ。
ベルボーイのお兄さんは、夜勤の人と交代していたが、やはりやさしかった。
けっこうな順番待ちのあと、OZにチェックインすると、KKからインチョンまでのボーパス(ボーディングパス)を渡され、インチョンから成田分は、いちばんはじのカウンターで受け取ってと言われた。
去年はすんなり2枚のボーパスを受け取れたのに、めんどうくさいなぁと思いながら、指定のカウンターにゆくと、そこは、ビジネスクラスカウンター。
でも、実際には、乳幼児連れの人の対応とか、エコノミーのボーパスを持って、このシートがいやだから交換してほしい、ってような、駆け込み寺状態になっていて、みんななかなか引き下がらない。
やっと順番が来て、「成田でのボーパスを、ここでピックアップするように言われました。」と伝えると、MHのユニフォームの女性職員は端末操作してはてな顔。
彼女は、DUTYマネジャーらしき、コリアンの男性職員に、成田便へのチェックインができない不思議についてたずねるが、コリアンは、ボーパスが今は出ないという趣旨のことを言っている。
結局、「ボーディングパスは、インチョンのトランスファーデスクで受け取ってください。」ということになり、「WHY?」と聞いてみたが、答えは「I don't know!」
チェックインが走らない、ってやつだ。
福岡の友だちのは走ったのに、なぜ成田は走らない?
まあ、インチョン6:25着、成田への乗り継ぎ便のOZ102は、インチョン9:00発なので、時間はたっぷりあるからよいけれど、面倒臭いなあ。
おまけに、SQのクリスフライヤーのマイル加算のためにカードを出したが、ボーパスには番号も入っていない。
MHは、OZのチェックインなんて、所詮は片手間に代行してるだけで、スターアライアンスなんて知ったこっちゃないんだろうなぁ。

KKIAといえば、往きに見たナマコ石けん。
帰りに、友だちへのお土産に買おうと思っていたのに、ナマコのことなどすっかり忘れて出国。
パスポートコントロールでのフィンガープリント照合が、私も、イミグレ職員も、お互いイラッちんぐになっているのがみえみえなほど、何回も失敗しまくった。
そして、搭乗までスタバでげっそり。
こんどは、コリアンのなんかのスポーツ団体の学生たちがいて、うるさくてくつろげない。
それに、空港は、伝統的に寒すぎ。

搭乗時間となり、じゃばらから外を見ると、地面がぬれている。
ふーん、いいときに町から出て来たな、とちょっと満足。
特徴のない機内食を食べて、ビールも飲まず、トイレにもたたずにひたすら眠った。


9月26日(月)
午前6時25分のほぼ定刻にインチョン着。
朝のノド痛はひどく、肺に違和感もある。
もう、立派な気管支炎。
トランジット旅客のためのセキュリティチェックを受け、出発階にあがり、トランジットカウンターへ。
成田ゆきのボーディングパスをもらいがてら、シャワーの場所をたずねる。
なんでも日本語で通用するのがインチョンの便利なところ。
そのままシャワーへゆくと、シャワーは7時からで、10分ほど待つことになった。
7時になって、レセプションらしきところにゆくが、誰もいない。
同じブース続きの反対側のレセプションにゆくと、いそいそとおばさんが出てきた。
そこはネイルサロンで、私がシャワーが使いたいだけとわかったとたん、おばさんの愛想は悪くなったが、シャワーは無料で勝手に使っていいんだそうだ。
すばらしいぞ、インチョン!
でも、タオルも石鹸も、何もない。
ボディソープとシャンプーは、シャワーのために持っていたが、バスタオルは借りたいところ。
有料で貸してもらえるようだが、別のラウンジまで行かないと買えないので、手持ちの速乾タオルですませることにした。
私の前にいた外人は、数秒思案して、バスケットの中に入っている、使用済みのバスタオルを持っていった。
げっ!超不潔!気持ち悪くないんだろうか?
無料に感激したものの、昨日の使用済タオルを始末してないとか、目皿には髪の毛だらけとか、清潔感がない。
国際空港にあるまじきことだ。
インチョンって、けっこう高評価を受けるエアポートだけど、これじゃぜんぜんダメじゃん。
シャワー後、スタバで休んでいた福岡へ帰る友だちと合流し、免税店を見るが、韓国海苔すら買わず、「お互い早く回復しようね」と言ってバイバイした。

成田ゆきのフライトは定刻に出たが、「強い向かい風」で、定刻の11:10から40分も遅れた。
着陸して間もなく、まだスポットへの移動中に、隣のコリアンのビジネスマンのケータイが鳴った。
おい、電源切ってなかったんでないの?
「すみましぇん、飛行機が遅れて、今、着きました。」と日本語で腰低く、盛んに謝っている。
別に、天候で遅れたんだから、しょうがないじゃん。
取引先にたいしては、そうも言えないのか?
OZのクルーは感じがよいし、悪くはないのだけれど、もう今回でインチョン乗り継ぎは最後にしたい。

また、このぷちディレイで、会社には半休どころではない遅れになることが決定。
都心に最も早く到達するためには、タイミング的にスカイライナーだったので、新しい車両になってから初めて乗ったが、確かに、あっという間に日暮里に着いた感がある。
成田で降機したときも涼しすぎたが、日暮里で10日ぶりに東京の外気にあたると、肌寒すぎ。
慣れない日暮里乗り換えで右往左往し、山手線に乗ると、真夏のいでたちの私は、周囲から浮きまくり。
この涼しさが、体調不良に追い討ちをかけそう。
ああ、この次からC/Eに乗るときは、ファブリーズ、除菌グッズ、マスクを持参しよう。
もしかしたら、寝袋引いて寝たほうがいいんじゃないかなあ。
でも、多かれ少なかれ、空気の循環がいまいちなクルーズのキャビンには、C/Eに限らず必要かも。



*2011年9月版おわり*