滋賀県東近江市の防災グッズ企画販売会社「NAテック」が、京大防災研究所(京都府宇治市)の協力を得て、水に浮かぶ敷布団を作った。98%が空気でできているという特殊なビーズを使用。青山栄次社長は「波があっても3日以上浮く。東日本大震災の教訓を生かしたい」と話す。

 商品名は「SAVING FLOATER」。縦2メートル、横1メートルで、重さ2・5キロ。大きさ約6ミリの特殊ビーズを内側に入れ、破れにくい化学繊維の布で覆っている。布は31に区切り、一部が破損しても浮力を保てるように工夫したという。手で握るグリップや貴重品を入れるポケットなども付けている。約10年前、同じ素材で作った枕が要介護者の入浴補助に役立った経験を応用したという。

 青山社長は寝具メーカーの社長も務めており、震災で津波の被害を知って布団を救命具にと考えた。震災発生後の4年間で200以上の試作品をつくり、自身が琵琶湖で浮かぶかどうかの実験をしたという。

 京大防災研究所では波を起こす水槽でも実験した。同研究所の平石哲也教授(海岸工学)は「布団が緊急時の救命につながる。アイデアが形になった」とし、青山社長は「寝心地は普通の布団と遜色ない。万一の時に命を助けたいとの思いを込めた」と話す。敷布団は1枚4万円(税別)。注文・問い合わせは同社(0749・45・2646)。