安倍晋三首相は29日から欧州を訪問し、アベノミクスや安全保障に関する講演を行う予定だ。大型連休中には、首相を合わせ閣僚19人中16人が外国出張を予定している。過去5年間で最多だった昨年の計12人を4人上回り、行かないのはわずか3閣僚だ。

 安倍首相は29日から5月8日まで、欧州の6カ国(独、英、ポルトガルスペイン、仏、ベルギー)を訪れる。

 日本が加盟して50周年となる経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で講演するほか、経済連携協定(EPA)の交渉を進める欧州連合(EU)と首脳会談する。北大西洋条約機構NATO)での演説も予定し、ウクライナ情勢の対応も話し合われる。

 欧州には中国の習近平(シーチンピン)国家主席と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が3月に相次いで訪問。習氏が講演で日本を批判するなど歴史認識問題を訴えて対日包囲網づくりを進めた。これに対し、首相は女性の社会進出促進などの取り組みを発信することで差別化を図る狙いだ。

 このほか、閣僚では、岸田文雄外相が10日間、デンマークカメルーンを訪問。関係が悪化する中国に行く閣僚はいない。民主党松原仁国対委員長は25日、「北朝鮮に核問題の動きがある。きちんと危機管理態勢を整えて臨むべきだ」と批判している。(小野甲太郎、相原亮)