(労働基準法の判例集(要旨)第20条)解雇の予告ーその9
労働基準法第20条(解雇の予告)
1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条(解雇制限)第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
4 本条違反の解雇の効力
第20条違反の解雇の効力につき、
第20条の法意は取締役規定であって従って予告のない解雇の意思表示の私法上の効果を失わしめる規定と解釈すべきでない(金沢地裁昭和25.03.06判決)との有効論をとるもの(大阪地裁昭和24.09.03判決、同旨新潟地裁昭和26.08.31等。さらに最高裁大法廷昭和25.07.19判決も傍論として、「解雇の通知の効力は労働基準法第20条所定の手続を経たか否かによって消長を来たす筋合のものでなく・・・」と判示している。)に対して
無効論をとる判決も数多い。無効論中にも、意思表示のときに本条所定条件を備えざる解雇は絶対に無効であり、その後の事情によって有効となることはあり得ない、とするいわゆる絶対的無効論(東京高裁昭和26.05.18判決、岡山地裁昭和26.12.17判決)と、一応無効ではあるが、即時解雇の意思が明確に示されていない限り、所定期間の経過又は爾後手当の支払のあったときから解雇の効力が生ずるとするいわゆる条件附無効論(最高裁第二小法廷昭和35.03.11判決、福岡地裁小倉支部昭和24.03.26判決、名古屋地裁昭和24.07.01判決、東京地裁昭和25.04.11判決、水戸地裁昭和27.04.08判決、宮崎地裁昭和26.01.30判決、横浜地裁昭和27.12.25判決、大阪地裁昭和54.07.24判決、大阪地裁昭和54.11.06判決)とがあるが、最後の説が最高裁判例であり、通説である。
なお、本条違反の解雇に対して労働者は解雇の無効又は予告手当請求の一方を選択しうる(東京地裁昭和41.04.23判決)、労基法第20条に反し使用者が予告手当を支給せずに解雇しかつその後の賃金も支給せずに即時に解雇の効力が生じたものと固執する場合は右解雇は無効であってその後予告手当を提供しあるいは30日を経過しても解雇は有効とならない(札幌地裁昭和50.10.11判決)、使用者が予告手当を支払わず、即時解雇又は解雇予告のいずれとも判然としない意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受けとるかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者としては、相当期間内において解雇の予告がないとしてその無効を主張することもでき、また解雇の無効を主張しないで予告手当の支払を請求することもできる(東京地裁昭和41.04.23判決、同旨奈良地裁昭和41.09.09判決)とするいわゆる選択権説も有力である。
更に続きます。
(担当:社労士久)
労働基準法第20条(解雇の予告)
1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条(解雇制限)第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
4 本条違反の解雇の効力
第20条違反の解雇の効力につき、
第20条の法意は取締役規定であって従って予告のない解雇の意思表示の私法上の効果を失わしめる規定と解釈すべきでない(金沢地裁昭和25.03.06判決)との有効論をとるもの(大阪地裁昭和24.09.03判決、同旨新潟地裁昭和26.08.31等。さらに最高裁大法廷昭和25.07.19判決も傍論として、「解雇の通知の効力は労働基準法第20条所定の手続を経たか否かによって消長を来たす筋合のものでなく・・・」と判示している。)に対して
無効論をとる判決も数多い。無効論中にも、意思表示のときに本条所定条件を備えざる解雇は絶対に無効であり、その後の事情によって有効となることはあり得ない、とするいわゆる絶対的無効論(東京高裁昭和26.05.18判決、岡山地裁昭和26.12.17判決)と、一応無効ではあるが、即時解雇の意思が明確に示されていない限り、所定期間の経過又は爾後手当の支払のあったときから解雇の効力が生ずるとするいわゆる条件附無効論(最高裁第二小法廷昭和35.03.11判決、福岡地裁小倉支部昭和24.03.26判決、名古屋地裁昭和24.07.01判決、東京地裁昭和25.04.11判決、水戸地裁昭和27.04.08判決、宮崎地裁昭和26.01.30判決、横浜地裁昭和27.12.25判決、大阪地裁昭和54.07.24判決、大阪地裁昭和54.11.06判決)とがあるが、最後の説が最高裁判例であり、通説である。
なお、本条違反の解雇に対して労働者は解雇の無効又は予告手当請求の一方を選択しうる(東京地裁昭和41.04.23判決)、労基法第20条に反し使用者が予告手当を支給せずに解雇しかつその後の賃金も支給せずに即時に解雇の効力が生じたものと固執する場合は右解雇は無効であってその後予告手当を提供しあるいは30日を経過しても解雇は有効とならない(札幌地裁昭和50.10.11判決)、使用者が予告手当を支払わず、即時解雇又は解雇予告のいずれとも判然としない意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受けとるかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者としては、相当期間内において解雇の予告がないとしてその無効を主張することもでき、また解雇の無効を主張しないで予告手当の支払を請求することもできる(東京地裁昭和41.04.23判決、同旨奈良地裁昭和41.09.09判決)とするいわゆる選択権説も有力である。
更に続きます。
(担当:社労士久)