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社労士受験支援塾(三好塾)

社会保険労務士受験に役立つ情報をお伝えしたいと思っています。

労働相談事件簿(60)前借金相殺の禁止

2007-08-23 02:18:50 | 労働相談事件簿
前借金相殺の禁止

会社から「会社の近くに移転するよう」言われて50万円の借金をした(借用書を書いた)。

借用書には返済条件が明記されていない。ここから「前借金相殺」の問題が生ずる。賃金から“勝手に”5万円、15万円、5万円と引かれて生活に支障を来たすと言う相談なのだ。

確かに、これって労働基準法第17条違反?
同様のトラブルは結構あって、次のURLのような回答になるのだろう。
http://info.pref.fukui.jp/roui/homepage/content/qa/qa17.html

しかし、現実には、会社側はすんなり天引き分を返しはしない。お金を借りておいて、返済条件も決めずに、賃金から引かれたと借金のつけを持って来ても簡単には解決しないのである(労働基準監督署の限界?)。

確かに、不明確な返済条件によるトラブルで両者に責任があると言える。当事者能力がなければ(簡易)裁判所に「民事調停」の申立てをさせて、返済条件を話し合わせるようにしなければ解決に結びつかないようなのです。

「民事調停」をご紹介しておきます。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/minzi/minzi_04_02_10.html

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(59)工場が全焼した場合の休業手当の支払い?

2007-05-09 02:45:36 | 労働相談事件簿
工場が全焼した場合の休業手当の支払い?

「工場が全焼してしまい休業せざるを得ないが休業手当を支払らわなければならないか?」と言う質問。

みなさんどう思いますか? 例によって私はちょっと返答に詰まった。

労働基準法第26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

上記の条文を見れば回答は自ずから明らかでした。要は「使用者の責に帰すべき事由」なのかどうかなのである。火事の原因が使用者の責任なのかどうかで判断が分かれるのだ。火事イコール天災事変とイメージし勝ちであるが、火事イコール天災事変にはならない。電話相談は咄嗟の判断が大事なのだが、冷静に考えれば良いのであります。

ピッタリの事例が案外載っていないのですが、参考に下記のURLをご紹介しておきます。
http://web.thn.jp/roukann/roukihou0026jou.html

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(58)健康診断をしない会社を告訴する

2007-04-30 06:45:36 | 労働相談事件簿
健康診断をしない会社を告訴する

「永年健康診断をしなかった会社を告訴したい」と言う相談。相談者はガンを患っているのだが、会社が法定の健康診断をしていれば早期発見し、悪化させずに済んだと思っている。

労働安全衛生法第66条(健康診断)
1 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
2 以下省略

労働安全衛生規則第44条(定期健康診断)
事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
以下省略

同法第121
次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
一・・・、第66条第1項から第3項まで、・・・の規定に違反した者

以上の法律によりこの告訴は採り上げられる見通しです。

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(57)業務災害で休業する最初の3日間の補償

2007-04-26 02:22:39 | 労働相談事件簿
業務災害で休業する3日間(待期期間)の補償

業務上のケガで休業し、労災保険の休業補償給付を受給できるようになっても、「最初の3日間はいわゆる待期期間のため労災保険からの給付はない」ので、待期期間中は事業主が災害補償をすることになっているが、「事業主が補償しない」と言う相談が現実にあった。

どうしますか?

私はとりあえず、次の通達を相談者に教え(通達をコピーし)、それを事業主に見せるようアドバイスした。勿論補償されなければ労働基準監督署に「申告」してもらう予定だが、この「通達のコピー」がどれだけ効果を発揮しますか(楽しみにしています)。

「休業補償給付は、継続すると断続しているとを問わず実際に休業した日の第4日から支給するのである。したがって、休業が8日をこえる場合にも、休業の最初の3日間については休業補償給付は支給されない。休業の最初の3日間については、労働基準法の規定により事業主が災害補償をすることを要する
(昭和40.7.31基発第901号「基発」とは労働基準局長名通達のことを言います)。

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(56)競業避止義務

2007-04-22 01:49:29 | 労働相談事件簿
競業避止義務

「競業避止義務」この言葉が難しい。参考URLをご紹介します。
http://kobetsu.jil.go.jp/kobetsu/book/75.html

ポイント

1 退職後の競業避止義務は、労働者の職業選択の自由が制約されて、労働者が被る不利益が大きいことから、労働契約上の明確な根拠が必要である。

2 競業避止義務は、退職後の業務の内容、元使用者が競業行為を禁止する必要性、労働者の従前の地位・職務内容、競業行為禁止の期間や地理的範囲、金銭の支払いなど代償措置の有無や内容、義務違反に対して元使用者が取る措置の程度、などを判断材料に、合理的な範囲内でのみ認められる。

3 悪質な競業行為が行われた場合、労働契約上の根拠がなくても義務違反が生じて、元の労働者に損害賠償責任が認められたり、競業行為の差し止めが認められる場合がある。

この競業避止義務違反では「退職金不払い」の事件が“よくおきます”。

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(55)新卒の退職

2007-04-21 01:12:59 | 労働相談事件簿
新卒の退職

今回は今年高校を卒業し「新卒用求人票」に基づき就職したAさん(相談の電話は母親から)が、B社の求人票に記載されていた勤務時間の条件(9時~17時45分)とは大幅に違う9時~21時又は21時~9時までの2交代制の勤務時間を入社式後指示され、就職後間もなく退職したと言う事件。

この事件で私は、先ずハローワークの新卒担当に電話したところ、学校からもこの件で“連絡”があったとのこと。「指導するのか」確認すると「指導する」とのこと。その旨母親に回答。
次に労働基準法第15条(労働条件の明示)違反の問題については、Aさんが退職してしまったので、法違反を直接問わず、損害賠償的な補償金の支払いを求め、不調の場合は労働局の「あっせん」を申請するようアドバイスする方針。

実はこの事件、学校側からも“連絡”があったように複数の“被害者”がいたのだ。
こういうのも「ミスマッチ」と言うのでしょうか? 
大袈裟に言えば“詐欺”だと思うのですが。

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(54)怒鳴る(暴力の怖さ)

2007-04-19 01:49:18 | 労働相談事件簿
怒鳴る(暴力の怖さ)

労働相談をしていて、何度か怒鳴られることがある。いろいろなケースがあるのだが、いちいち瑣末なことを考えていられないほど“暴力的な言辞”をのたまう輩がいる。

とにかく「かっと」なるのだから始末に悪い。

今回の長崎市長を襲った人間は何度も抗議をしていたらしい。恨みが重なり銃撃したとも報道されている(逆恨みが怖い)。

労働相談でもお金にまつわるトラブルが多い。
「給料を払え」、「あいつには給料を払いたくない」。
「解雇予告手当を支払え」、「あいつには解雇予告手当を支払いたくない」。
等々。
挙句に相談に乗っているのに逆恨み。

トラブルに巻き込まれないためには、何もしない。
こうして怖いものには関わらない無気力な人間を増やしていく人間とはやはりどこかで対峙しなければならない(警察の力も大事になります)。

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(53)また解雇

2007-03-28 01:25:57 | 労働相談事件簿
また解雇

ある男性Aがまた「解雇」されたと相談(?)に来た。このAなかなかしたたか。
何故か採用後2週間を経過した時期に「解雇」される。

関係する法律は労働基準法第20条(解雇の予告)と第21条です。
労働基準法第21条[解雇の予告の適用除外
前条(解雇の予告)の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない
一 日日雇い入れられる者
二 二箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者

B会社の社長は「試用期間14日後(直後)使えないので解雇した」文句あるのかと言わんばかりであるが、どうもこうなるとAの方に分がある(?)。30日前の予告解雇か30日分の解雇予告手当の支払いをしなければならなくなる。

過去の判例に「採用後間もなく悶着を起こし、解雇予告手当を得ることを繰り返しいている者には、解雇予告手当は支払う必要がない」というのがありますが、裁判には至らず大騒ぎの挙句、試用期間14日を超えたので30日前の予告解雇になりそうです。
(担当:社労士久)

労働相談事件簿(52)入社前研修

2007-03-20 02:26:17 | 労働相談事件簿
入社前研修

ある男性Aが整体院に応募し、2か月ほど“練習”をさせられたが、その間無給であった。“嫌気がさした”Aはやめてしまったが「賃金が全く支払われないのはおかしい」と相談に来た。オーナーのBは「面接のときにその旨話してあり、Aもそれを承知していた筈」と強く主張している。

このような場合、どう判断しますか? 次のURLなどがヒントになります。
http://next.rikunabi.com/qa/04/03/5017.html

(担当:社労士久)

労働相談事件簿(51)2つの異なる事業場で働く場合

2007-03-10 02:36:41 | 労働相談事件簿
2つの異なる事業場で働く場合

ある中年の男性Aが疲れた顔をして相談(質問)に来た。「昼間B社で8時間働き、夜別のC社で3時間アルバイトをしているが、残業手当はどうなるのか?」

この場合、適用される労働基準法は
第38条(時間計算)
1 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
2 以下省略

これを当てはめると、原則としてC社の労働時間3時間については、全て法定労働時間8時間を超えるので、C社は3時間分の割増賃金を支払わなければならないのだが、どうもこのようになっていない。

C社は大手の運送会社、Aはローンの返済に困って2つの事業場で働いている。このほかにもAのような労働者が一緒に働いていると言うのだ。始めて聞いた事件だが他にも沢山ありそうな事件ですね。
(担当:社労士久)